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『外来種がいなくなったらどうなるの? SF思考で環境問題を考える』を刊行します!
SF出版レーベルのKaguya Booksは2025年7月に、北大CoSTEPのSFプロトタイピングプロジェクトを書籍化した『外来種がいなくなったらどうなるの? SF思考で環境問題を考える』を刊行します。編著者として、宮本道人さんが参加しています。ただいま、Kaguya Booksのオンラインストアにて、刊行記念イベント招待特典つき先行予約を行っています。
外来生物をめぐる問題を「もしも」で考える
『外来種がいなくなったらどうなるの?』は、日本国内における外来生物をめぐる状況や、顕在している問題とその解決を、北海道大学の学生たちを主人公とした物語を通して、SF的な想像力でシミュレーションしてみる試みです。
故意に、あるいは偶然に、国外から日本にやってきた外来生物。野菜など、すでに長く国内に根付いて人々の暮らしを豊かにする側面もあるいっぽう、野生化した外来種が在来種を脅かしたり、元々の自然環境を変化させたりとネガティヴな影響を及ぼし、「特定外来生物」として指定されてるという状況もあります。本州以南で生息していたカブトムシが北海道で広まっているといった、北海道固有の事情もあります。
また外来種問題は、人間に対する利益を期待して持ち込まれた種が、その目的の外に広がると「悪者」として防除の対象となってしまうといった、人間中心主義の問題点も浮き彫りにします。
北海道から日本へ、そして国を超えた人間たちの生活へ。『外来種がいなくなったらどうなるの?』では、外来種の問題を、たくさんの「もしも」を使って考えます。「もしも外来種がすべて消えたら?」「もしも外来種が倍増したら?」「もしも在来種版生類あわれみの令が出たら?」……科学的な知見の積み重ねと地道な取り組み、慎重な対応が必要な「外来生物」について、研究者や外来生物の防除活動に携わってきた方々への取材に基づいた丁寧な議論を、極端な状況を想像するSFのストーリーと、豊富なコラムやインタビューによって読みやすくまとめた一冊、どうぞお楽しみに。
宮本道人さん編著! 北海道大学CoSTEPのプロジェクト
編著者の一人である宮本道人さんは、慶應義塾大学サイエンスフィクション研究開発・実装センター所属。2025年3月までは、北海道大学CoSTEPの特任助教を務めていました。お笑い芸人のNON STYLE石田明さんと共同研究してVR漫才システムを開発したり、企業向けに小説執筆プロジェクトを行ったりするなど、科学と社会をつなぐ分野や、SF思考をめぐる分野で活躍しています。
著書には『古びた未来をどう壊す?』(光文社)、編著に『SF思考』(ダイヤモンド社)『SFプロトタイピング』(早川書房)などがあります。Kaguya Booksが2024年に刊行した『SF作家はこう考える』には、論考「え? 科学技術とSFって関係あるんですか? 本当に?」を寄せています。
北海道大学CoSTEP(科学技術コミュニケーション教育研究部門)とは、北海道大学に設置された科学技術コミュニケーションの教育・実践・研究組織です。科学技術コミュニケーションとは、科学技術の専門家とアカデミアの外の人々をつなぎ、社会の問題を共に解決するための活動で、これを担うのが科学技術コミュニケーターです。科学技術コミュニケーションの実践として、科学にまつわるワークショップやサイエンスカフェの運営・開催、学内外の機関と連携した活動などを行っています。
このCoSTEPで宮本道人さんは、2024年度にサイエンスライティングの講座を担当。北海道や日本国内における外来生物をめぐる状況をSFのナラティヴで考えて書籍を執筆する、というプロジェクトを行いました。今回刊行する書籍『外来種がいなくなったらどうなるの?』はそのプロジェクトの成果です。
先行予約で刊行記念イベントに無料招待!
『外来種がいなくなったらどうなるの?』の刊行に関連して、7月(予定)に東京、8月に札幌で刊行記念イベント(オンライン配信あり)を予定しています。また、8月30-31日の第63回日本SF大会(かまこん)でも、『外来種がいなくなったらどうなるの?』と関連したパネル企画を出展する予定です。
現在、Kaguya Booksのオンラインストアで開催している先行予約にて『外来種がいなくなったらどうなるの?』をご予約いただくと、上記の刊行記念イベントに無料でご招待いたします。これを機にぜひ、ご予約ください。
『外来種がいなくなったらどうなるの? SF思考で環境問題を考える』
外来種がいきなり消えたら混乱が起きる? 逆にいきなり倍増したら社会はどう変わる? 様々な「もしも」の世界を設定することで、簡単に答えがでない課題を多角的に考えてみよう。SF思考研究者と気鋭の科学技術コミュニケーターたちが送る、外来種問題を知るための入口となる一冊。
編著:宮本道人、古澤正三
監修:北海道大学CoSTEP
著:岩田健太郎、佐藤柊介、竹村昌江、中山小夏、西野沙織、福島彩夏
価格:1900円+税
判型:A5判並製
ページ数:160ページ(仮)
Cコード:C0045
ISBN:978-4-911294-05-5
発行・発売:Kaguya Books
特典付き先行予約はこちらから
マガジン『Kaguya Planet No.5 おじさん』2025年4月25日刊行!
ウェブマガジンKaguya Planetが季刊で刊行するマガジン『Kaguya Planet』の最新号、特集「おじさん」が2025年4月25日に刊行されます。「今こそ、おじさんの話をしよう」をテーマに、マジョリティだからこそ語りにくい「おじさんとケア」や「おじさんの弱さ」について、SF的想像力とともに考える一冊です。参加している作家は、倉田タカシ、友田とん、ティファニー・シュエら。詳細はこちらから。
研究者とSF作家が「鏡像生命」の未来を描き出す書籍プロジェクト進行中!
合成生物学の研究では現在、「人類は近い将来、〈鏡写しの生命〉ひいては〈鏡写しの人類〉を創り出す」ということが言われています。〈鏡写しの生命〉とは、生物を構成するDNAや酵素といった様々な小さな部品が、鏡写しの構造になっている生命のこと。見た目はもとの生命と一緒ですが、味覚・吸収できる栄養や毒として作用するもの・匂いなどにおいて元の生命とは全く異なります。同じ地球上に居ながらにして、まったく違う世界を生きる存在との出会いは、どんな未来をもたらしてくれるのでしょうか。
合成生物学のホープ・藤原慶さん、研究者にしてスペキュラティブアートの専門家・長谷川愛さん、人工知能やSFプロトタイピングの研究者・大澤博隆さんが、茜灯里さん・柞刈湯葉さん・瀬名秀明さん・麦原遼さん・八島游舷さんという5名のSF作家たちと共同で、鏡像生命たちのいる世界を想像し、書籍としてまとめるプロジェクトが進行中です。Kaguya Books企画編集の本書は、2025年夏に日刊工業新聞社より刊行予定です。詳細はこちらから。