『サンダーボルツ*』公開中
映画『サンダーボルツ*』が2025年5月2日(金) より劇場で公開され、多くの人が劇場に駆けつけている。本作は、MCUの中でもクセのあるキャラクター達がチームアップする作品で、新旧のファンから注目を集めている。
新キャラのボブを演じるルイス・プルマンは、映画『トップガン マーヴェリック』(2022) でもボブという愛称のキャラクターの役で出演。『サンダーボルツ*』でも好演を見せ、堂々のMCUファミリー入りを果たしている。
そのルイス・プルマンが、『サンダーボルツ*』の劇中におけるボブとフローレンス・ピュー演じるエレーナの共通点について語っている。なお、以下の内容は『サンダーボルツ*』の結末に関するネタバレを含むため、必ず本編を劇場で鑑賞してから読んでいただきたい。また、児童虐待およびDVについての言及を含むのでご注意を。
以下の内容は、映画『サンダーボルツ*』の内容および結末に関するネタバレを含みます。
以下の内容は、児童虐待およびDVに関する内容を含みます。
Contents
ボブとエレーナの共通点は? ネタバレ解説
エレーナとセントリー計画
映画『サンダーボルツ*』では、ヴァルが経営していたOXE社の施設でボブが目覚め、OXEに命を狙われたエレーナ達はボブと共に脱出を試みる。ボブは本名をロバート・レイノルズといい(ボブは英語圏におけるロバートの略称)、OXEの「セントリー計画」に被験者として参加していた。
ボブは小さい頃に父親から虐待を受け、心に闇を抱えており、大人になってからは「最悪薬が手に入れば」と訪れた東南アジアを放浪していた。そこである人物に声をかけられ、マレーシアのクアラルンプールのラボでセントリー計画の臨床実験を受けたのだ。
セントリー計画はOXEが人工的にスーパーヒーローを作り出す計画で、アベンジャーズなき時代に、ヴァルが絶大な権力を握るために仕組んだものだ。実験に参加した人間はボブを除いて死んだようで、非人道的な実験が行われていたことが分かる。
ボブが実験を受けたクアラルンプールのラボは、『サンダーボルツ*』の冒頭でエレーナが潜入し、爆破した施設だ。エレーナは淡々と仕事をこなす中でOXEの悪事の証拠隠滅に加担していたのである。
エレーナが出した答え
それでも、エレーナはヴォイドと化したボブの中に自ら足を踏み入れ、対話によってボブがヴォイドを乗り越える手助けをする。クアラルンプールでは擬似的にビルから飛び降りる姿も見せたエレーナは、ボブと同じような虚無感を抱えていたが、アレクセイらサンダーボルツメンバーと一緒にいることで救いを感じていた。
それに、エレーナが幼少期にゴールキーパーを志願したというアレクセイが語ったエピソードを通して、エレーナは他者からしか見えない自分の姿もあるということを学んでいた。孤独でいると、自分の愚かさや卑しさに絶望的な気持ちになることもある。だが、他人から見た自分は、案外悪いやつじゃなかったりもする。
そうして、誰かと共にいる意味を一足早く知ったエレーナは、サンダーボルツメンバーと共にボブに寄り添い、「一人じゃない」と伝えることでボブをヴォイドから救い出したのだった。
ボブ役ルイス・プルマンが語った共通点
ボブを演じたルイス・プルマンは、米ニューヨーク・タイムズでエレーナとボブの関係について語っている。ボブとエレーナを繋ぐものについて聞かれたルイス・プルマンは、こう話している。
彼女は本当の意味で彼のことを見た最初の一人でした。二人には、繋がりや意味を求めるという共通点があります。それは私が(エレーナ役の)フローレンスに共感を抱いた点でもあります。彼女はこの世界に入ってきた自分に対して、非常に寛大で思いやりを持って接してくれました。
自分の居場所がないと感じ、インポスター症候群[訳註:自分は過大な評価を受けており、その評価に値しないと感じること]から抜け出せないのではないかという私の不安を、彼女は見抜いていたんです。彼女は単なる共演者としてだけでなく、友人としても非常に協力的でいてくれました。それがカメラを通しても伝わっているといいなと思います。
ルイス・プルマンは、「彼女は自分自身の中にある何かを彼の中にも見ている」とも語り、「彼女は、二人が共に限界を迎えていることを理解しています」と解説している。人生の中で繋がりや意味を求めるがゆえに、それが得られない時に苦しさを感じる、その状態が限界を迎えた——というのがエレーナとボブの共通点だったのだろう。
二人が求めた「繋がり」と「意味」
「いつも事態を悪化させてしまう」
思えばボブはヴォイドの記憶の中で、父にDVを受ける母を守ろうと立ち上がっていた。エレーナ、ゴースト、ジョン・ウォーカーとOXEの施設を脱出した時には、自分が囮になって3人を逃そうともしていた。誰かのために意味のあることをしたいという思いはずっとボブの中にあったものと思われる。
だが、ボブは父をより怒らせてしまい、母親からも「いつも状況を悪くしている」と責められる。ルイス・プルマンは、ボブのキャラクターについてこうも語っている。
(自分が)無価値だと感じながらも自分を信じてもいる、その揺れ動く姿には共感が持てます。役に立ちたいと思っているのに、関わろうとするといつも事態を悪化させてしまう。それがボブの重要な要素です。私たちの多くが、何らかの形でそう言われてきましたよね。この超常的な状況の中で、非常に現実味のある人物がいることで、共感を呼ぶのだと思います。
エレーナに起きた変化
エレーナもまた工作員としての仕事に疲れ、意味を求めるようになっていた。表舞台に出るということは、世間との繋がりを得るということでもある。一方で父アレクセイとの繋がりを求めながらも言い出すことができず、エレーナの中の虚無感=ヴォイドは広がっていったのである。
繋がりと意味を求めながら、それがうまくいかないという状況。だが、エレーナはエイヴァとジョンとの出会いを経て、エレーナの元には娘を心配するアレクセイが駆けつけてくれた。それにバッキーが耳を傾け、みんなと“善い行い”のために立ち上がることができた。
自分が誰かに救われたその経験があったからエレーナはボブを見捨てず、自らヴォイドの中へと足を運んだのだろう。エレーナがクアラルンプールの施設でモルモットを助け出したように、誰かに手を差し伸べることはできる(モルモットはミッドクレジットの絵の中にも登場している)。
エレーナはOXEの施設でボブに語った、虚無感が広がった時には「押さえつける」という対処法が間違いだったことを認め、「一緒にいること」を解決策として提示し、ボブはそれに応えたのだった。
ボブのように感じている人へ
エレーナとボブには共通点もあり、エレーナがボブの立場になっていてもおかしくはなかった。だが、エレーナには幸運なことに周りにいてくれる人がいた。
だからエレーナは、ボブの近くにいる人になろうとして、ボブはそれに応えた。そして、その役割をエレーナ一人に背負わせない仲間がいるから、サンダーボルツは“強い”のだ。
ルイス・プルマンは、ニューヨーク・タイムズの取材に「高校生の頃にこんなキャラに出会いたかった」とも語っている。ボブのように感じている人に言いたいことは、という問いにはこう答えている。
笑わなくてもいいし、泣いてもいい、感情を吐き出してもいい。無理に押さえつける必要はありません。思い切って弱いところを見せることができれば、大抵の場合、それを受け止めてくれる誰かがいることに気づくはずです。
セントリー/ボブというキャラクターを実写映画で見事に描き直した製作陣とキャスト陣。2026年5月公開予定の映画『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』ではどんな物語が描かれるのか、次の展開を楽しみに待とう。
映画『サンダーボルツ*』/『ニュー・アベンジャーズ』は公開中。
本記事の筆者・齋藤隼飛が翻訳を手がけた『マーベル・スタジオ:ジ・アート・オブ・ライアン・メイナーディング』は5月2日発売。500点以上のアートと共にMCUの歴史を辿る貴重な一冊なのでぜひチェックしていただきたい。
『サンダーボルツ*』オリジナル・サウンドトラックは発売中。
コミック『サンダーボルツ』は中沢俊介の翻訳で発売中。
Source
The New York Times
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