映画『グランメゾン・パリ』公開
映画『グランメゾン・パリ』が2024年12月30日(月) より全国の劇場で公開された。前日にはスペシャルドラマ『グランメゾン東京』も放送され、2019年に放送されたドラマシリーズ以来、5年ぶりに「グランメゾン」プロジェクトが再始動した。
今回は、映画『グランメゾン・パリ』の内容と、スペシャルドラマ『グランメゾン東京』の内容がどのようにつながったのかを、両作のネタバレありで解説&考察していこう。以下の内容は両作の結末に関するネタバレを含むので、両作を視聴した上で読んでいただきたい。
以下の内容は、映画『グランメゾン・パリ』およびドラマスペシャル『グランメゾン東京』の内容に関するネタバレを含みます。
Contents
映画『グランメゾン・パリ』『グランメゾン東京 スペシャル』とのつながりは?
『グランメゾン東京 スペシャル』で描かれたこと
映画『グランメゾン・パリ』の公開前日に放送されたテレビスペシャル『グランメゾン東京』は、ドラマ『グランメゾン東京』と映画『グランメゾン・パリ』の間に起きた事件を描くストーリーで、映画『グランメゾン・パリ』の前日譚でもあった。
『グランメゾン東京 スペシャル』では、ドラマシリーズで三つ星を獲得したグランメゾン東京がコロナ禍で失墜し、全ての星を失ったことが明かされた。グランメゾン東京は生き残りのためにコンサル会社のNEXと提携を結び、冷凍食品の開発やレシピサイトの運営で店を持たせていたが、肝心の料理に手が回らなくなっていたのだ。
そこでパリでの開店準備を進めていた尾花夏樹は帰国し、NEXをグランメゾン東京から離す策を講じた。結果、早見倫子はシェフの座を平古祥平に譲り、新生グランメゾン東京がスタート。ミシュランの星を取り戻したのだった。
そして、グランメゾン東京のライバル店として尾花夏樹が立ち上げをサポートしたメイユール京都から、シェフの湯浅利久がグランメゾン東京に加入することに。メイユール京都は倫子に危機感を持たせつつNEXを引き剥がすために作ったレストランであり、尾花と湯浅は目的を達成してメイユール京都を畳んだのだった。
『グランメゾン東京 スペシャル』のラストでは、倫子はパリに発とうとする尾花夏樹を追いかけた。グランメゾン東京は平古祥平、湯浅利久、松井萌絵、久住栞奈、芹田公一ら若いメンバーに任せるというのだ。
京野も共にパリに向かうと明かし、今度は倫子が尾花夏樹にパリで三つ星を獲らせると約束している。その後、パリでの尾花夏樹達の挑戦は一定程度はうまくいったようで、グランメゾン・パリはミシュランの二つ星を獲得していることが映画の冒頭で明かされている。
映画『グランメゾン・パリ』に繋がったこと
映画『グランメゾン・パリ』では、『グランメゾン東京 スペシャル』のラストでの尾花夏樹の発言がピックアップされた。早見倫子が尾花夏樹に店を諦めようと訴えかけるシーンで、倫子は尾花に三つ星を獲らせるという約束を取り上げつつ、それに拘らなくてもいいのではないかと問いかけるのだ。
尾花夏樹はそれを受け入れず、倫子がドラマスペシャルの最後に尾花に言った「終わるわけねぇだろ、こんなおもしれーこと」という言葉を引用して諦めることを拒否するのだった。予想していた答えだったという反応を見せる凛子に、尾花夏樹は「終わんねぇよ」と答え、作品を跨いで倫子の言葉へのアンサーが返ってくることになった。
そうしてグランメゾン・パリは多国籍なスタッフの意見を取り入れ、自分たちのやり方でフランス料理を進化させる道を選ぶことになる。日本の文化を取り入れることを拒否してきたシェフ・尾花夏樹がついに人の意見を聞き、頂点を目指す覚悟を決めたのだ。
グランメゾン・パリから東京への依頼
湯浅と尾花の信頼関係
世界中の食材と文化を取り入れることにしたグランメゾン・パリは新たなコースを作ることに。そして、一番先にグランメゾン・パリが頼ったのは、姉妹店のグランメゾン東京だった。『グランメゾン東京』ファンには、映画『グランメゾン・パリ』のハイライトの一つとなったワンシーンだ。
平古祥平率いるグランメゾン東京はなかなか忙しそうで、順調にレストランを経営していることが分かる。グランメゾン東京には京野から久住栞奈へ連絡を入れたようで、まずはグランメゾン・パリで大量に仕入れることになったコンテチーズの買取を依頼している。
このチーズはグランメゾン・パリのパティシエであるユアンが借金をしていた相手に放火され、住宅を燃やされた際に、隣接していたチーズ屋の保管庫が破損し、グランメゾン・パリが責任を持って全て買い取ることにした品物だ。買い取りは尾花夏樹が了承したもので、京野は尾花がそう言うと思っていたと返している。
チーズの買い取りの話を受けて、グランメゾン東京では湯浅が久住栞奈に品質の確認を行なっている。品質は尾花が保証すると聞いた途端、祥平と湯浅はできるだけの量を仕入れることを決定。二人とも尾花のエスコフィユ時代に働いていた仲間であり、尾花に対する信頼は絶対のようだ。
グランメゾン東京メンバーは、知り合いのレストランでも仕入れてもらえるところがないか当たるという意思も見せており、尾花や京野、倫子のために動こうという姿勢が感じ取れる。だが、グランメゾン・パリからグランメゾン東京への協力要請は、それだけではなかった。
グランメゾン・パリを救ったチョイス
グランメゾン・パリからは、フランス人に合いそうな味噌・醤油・日本酒を送ってほしいという要請も受けていた。この無茶振りを「向こうは面白い感じになってる」と受け取るのがグランメゾン東京チームの良いところだ。
自分たちに頼ってくるということが、「大変そう」という感想にとどまらず、「新しいことにチャレンジしてる」という風に捉えたのだろう。それに、後輩である自分たちにまで頼ってくるなんて、本気で、全身全霊で料理にぶつかろうとしている、そんな風に感じたのではないだろうか。
グランメゾン東京のシェフである平古祥平は店を優先して、このミッションを湯浅に譲る。湯浅は尾花の期待に応えることにめんどくさそうな態度を見せつつも、日本からパリへ食材を送ることになる。
結果的に、グランメゾンパリのフルコースには、日本酒や白味噌が取り入れられることになっている。この辺りはやはり尾花夏樹と湯浅利久の阿吽の連携が上手くいった結果だろう。尾花と湯浅は、『グランメゾン東京 スペシャル』でも交わす言葉こそ少なかったが、互いにシェフとしての信頼を置いていることが伝わった。
今後はどうなる?
映画『グランメゾン・パリ』では尾花夏樹がパリでミシュランの三つ星を獲った。そして、尾花夏樹、湯浅利久、平古祥平はパリのエスコフィユで共に働いていた関係だった。湯浅と祥平は先輩と後輩という関係で、実は湯浅の方がキャリア的には先輩のようだ。
映画では尾花夏樹の物語には一つの区切りがつけられた。だが、『グランメゾン東京』というタイトルの作品であれば、祥平が率いるレストランのその後という形でシリーズは続けていくことができそうだ。
スピンオフドラマ『グラグラメゾン♥東京 〜平古祥平の揺れる思い〜』では、平古祥平が独立してフレンチ店を開店するストーリーも描かれたが、どうやらそれは無かったことになったっぽい。だが、そのストーリーを再活用するならば、祥平がグランメゾン東京を離れ、尾花夏樹と阿吽の呼吸を見せる湯浅利久がグランメゾン東京に残ってシェフになるという未来もあり得るかもしれない。
そうなれば、『グランメゾン東京』という作品の主演は湯浅役の窪田正孝になるのかもしれない。スピンオフの主演を務めた祥平役の玉森裕太と共に今後どんな物語を築いていくのか、それとも築いていかないのか、まだまだ「グランメゾン」プロジェクトから目が離せない。
映画『グランメゾン・パリ』は2024年12月30日(月) より全国の劇場で公開。
ドラマ『グランメゾン東京』はBlu-rayボックスセットが発売中。
映画『グランメゾン・パリ』コラボの「〆まで美味しい トリュフ香る蛤のマリニエール風スープ チーズ仕立て」は発売中。
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