ネタバレ解説『ゴジラxコング 新たなる帝国』に霊長類学者が意見 コングたちはリアルではない? | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ解説『ゴジラxコング 新たなる帝国』に霊長類学者が意見 コングたちはリアルではない?

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『ゴジラxコング 新たなる帝国』はリアルではない?

「ゴジラ」シリーズ70周年とモンスター・ヴァース10周年を記念する『ゴジラxコング 新たなる帝国』(2024)。その類人猿型の怪獣たちに辛口な評価を下した専門家がいる。しかし、それは映画の専門家ではない。

その専門家とは類人猿の専門家だ。本記事では、その専門家のインタビューについて解説していこう。本記事は『ゴジラxコング 新たなる帝国』のネタバレを含むため、本編視聴後に読んでいただけると幸いである。

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『ゴジラxコング 新たなる帝国』の内容に関するネタバレを含みます。

霊長類学者としての見解

霊長類学者であり、探検家としても高名なミレヤ・メイヤー博士が『ゴジラxコング 新たなる帝国』に辛口な評価を付けたのだ。それは『ゴジラxコング 新たなる帝国』のストーリーなどではない。コングとその近縁種である怪獣のグレイトエイプの表現についてだ。霊長類学者の観点から、コングとグレイトエイプの表現は10点中1点だという。その理由について、米InsiderのYouTubeチャンネルで詳しく語った。

この類人猿が幼い類人猿を助ける姿は、私が何度も何度も目撃してきたことですが、それはすべて状況証拠にすぎません。もちろん、遺伝的な関係も必要ですが、例えばシルバーバック(背中が白っぽくなっている成熟したゴリラのこと)が若いゴリラを助け、本当にコツを教え、トラブルや危険から救い出しているのを目にすることが多いです。私がこれまで野生で見た中で一番かわいい場面は、シルバーバックが若いオスに胸の叩き方を教えているところです。

 

類人猿は実はとても感情的な表情をしていて、怒っているとき、喜んでいるとき、恥ずかしがっているときなど、様々な表情を間違いなく見ることができます。類人猿の表情を読み違えるのは簡単なことです。ほとんどの人はチンパンジーやゴリラが笑っているのを見て、幸せな類人猿だと思うでしょう。しかし、様々な感情を持つ類人猿は、間違いなくそれを示しています。

私は、類人猿がある種の爬虫類と戦っているところを目撃したことはありません。しかし、そのような状況になった場合、ゴリラがパワフルで知的であることは間違いありません。私の知る限り、ゴジラのような大きさの爬虫類はいないので、ゴジラは強いと思います。これはおそらく多くの人を怒らせるでしょうが、私はこの映画のリアリズムに10点満点中1点をつけたいと思います。私にとって唯一リアルに感じられたのは、年上の猿と幼体の間のこの甘いやりとりでした。

コングとスカーキングは人類を表現している?

スーコに暴力を振るうスカーキングに対して、それを庇ったグレイトエイプの場面やスーコとコングの関係性はリアルだったがそれ以外はリアリティに欠けるとミレヤ・メイヤー博士は評したのだ。しかし、米Screen Rantの報道では、類人猿のリアリティに欠けた『ゴジラxコング 新たなる帝国』は、2024年5月28日時点で2024年の世界興行収入ランキング2位にあたるとしている。

アダム・ウィンガード監督は『ゴジラxコング 新たなる帝国』でモンスター・ヴァースにおいてコングは人類の持つ善なる部分を表現しているが、スカーキングは正反対で人類の持つ最悪の部分を表現していると米Total Filmに語っている。

『ゴジラxコング:新たなる帝国』で興味深いのは、モンスター・ヴァースがこれまで見たことのないような方向に進んでいることです。つまり、スカーキングはある意味で、人間の脅威を怪獣そのものに重ね合わせたような存在なのです。

そのため、コングたちは類人猿としてのリアリティよりも、人間的な描写を優先したと考察できる。今後のモンスター・ヴァースでは類人猿型の怪獣をリアル寄りに描写するのか、それとも人間性を表現する存在として描写するのか。今後のモンスター・ヴァースに注目していきたい。

『ゴジラxコング 新たなる帝国』は2024年4月26日(金)より全国公開。

『ゴジラxコング 新たなる帝国』公式サイト

『ゴジラxコング 新たなる帝国』のサウンドトラックは発売中。

¥1,500 (2024/10/07 19:01:44時点 Amazon調べ-詳細)

『ゴジラvsコング』の完全数量限定生産4枚組Blu-rayも発売中。

Source
Insider YouTube Channel/Screen Rant/Total Film

『ゴジラxコング 新たなる帝国』のラストのネタバレ解説と考察はこちらから。

『ゴジラxコング 新たなる帝国』の続編制作の可能性と、そこに登場する敵怪獣の考察はこちらから。

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ゴジラのピンク色へのパワーアップには「ドラゴンボール」シリーズの影響があると解説されている。詳しくはこちらから。

アダム・ウィンガード監督は『ゴジラxコング 新たなる帝国』を三部作の第二章としたいと解説されている。詳しくはこちらから。

アダム・ウィンガード監督が米IGNに『ゴジラxコング 新たなる帝国』について語った内容はこちらから。

モンスター・ヴァースは『ゴジラxコング 新たなる帝国』で10年の節目を迎える。詳しくはこちらから。

鯨ヶ岬 勇士

1998生まれのZ世代。好きだった映画鑑賞やドラマ鑑賞が高じ、その国の政治問題や差別問題に興味を持つようになり、それらのニュースを追うようになる。趣味は細々と小説を書くこと。
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