本誌バレ注意! 『呪術廻戦』最終回の意味は? ラストのアレは何? 続編はある? ネタバレ解説・考察&感想 | VG+ (バゴプラ)

本誌バレ注意! 『呪術廻戦』最終回の意味は? ラストのアレは何? 続編はある? ネタバレ解説・考察&感想

©️芥見下々/集英社

『呪術廻戦』終幕

芥見下々による漫画『呪術廻戦』が2024年9月30日刊行の「週刊少年ジャンプ」2024年44号にて最終回を迎えた。『呪術廻戦』は2018年3月5日から連載をスタートし、コミックのシリーズ累計発行部数は2024年9月時点で1億部を突破、アニメや劇場版映画も人気で、海外でも「JJK」の愛称で大きな支持を集めている。

今回は、そんな『呪術廻戦』の最終話にあたる第271話「これから」についてネタバレありで解説&考察していこう。なお、以下の内容はアニメ化およびコミック化される前の「週刊少年ジャンプ」本誌の内容を含むので、必ず本誌で最終回を見届けてから読むようにしていただきたい。『呪術廻戦』最終回までの「追いつきパック」とジャンプの最新刊は「少年ジャンプ+」アプリとWebサイトでも読むことができる。

少年ジャンプ+

ネタバレ注意
以下の内容は、漫画『呪術廻戦』最終話271話の内容及び結末に関するネタバレを含みます。

『呪術廻戦』最終回はどうなった?

迷惑呪詛師に挑む三人

『呪術廻戦』最終話目前の270話「夢の終わり」では、ラストで新たな敵の登場が示唆された。事件は、同棲中の婚約者の顔が「変わって」見える(目だけ巨大に見える)という比較的軽いもので、虎杖悠仁、釘崎野薔薇、伏黒恵の三人が呪術師として解決に当たろうとしていた。

嫌がらせレベルの迷惑行為のようだが、虎杖らはかつてのように任務に臨んでいる。思えば虎杖悠仁は両面宿儺の指を飲み込んでからというもの、常に何らかの“状況”に追われて戦いを続けてきたように思う。新宿決戦もやはり、宿儺に乗っ取られた恵のための戦いという側面が強かったのではないだろうか。

『呪術廻戦』最終回の時点で、虎杖悠仁はすでに物理的な“呪い”からは解放されており、今度こそ状況に迫られてではなく、自分の意思で呪術師としての仕事についている。そんな虎杖の新たな船出が見られるのは嬉しい。

相変わらずの三人

ナナミン(七海建人)が死に、五条悟が死んだ。もう先生やメンターに頼れない三人は協力して知恵を出し合い、迷惑呪詛師の術式の範囲から被害者の二人を出すという案を考え出して、犯人の呪詛師を誘き出すことに成功する。

呪詛師の前に現れた虎杖と野薔薇だったが、呪詛師の術式によって互いの目がつぶらで巨大に見えてしまい、虚を突かれることになる。この呪詛師の術式が対象に幻覚を見せることができる術式だとすれば、将来的にかなり強い能力を持つこともできそうだ。『呪術廻戦』最終回のこの場面では呪術師と相対しても“目”の見え方を変えることしかできていないので、まだ能力は開花していないと言っていいだろう。

虎杖と野薔薇が手間取る中、伏黒が式神の玉犬・渾を使ってこの呪詛師を取り押さえている。恵については、宿儺から解放された後も渾と共に「十種影法術」の術式が健在であることが示されている。

一般人に嫌がらせをしていた呪詛師は、被害者がキャバクラで働いていた時に高額なバッグをプレゼントしていたが、被害者が婚約して同棲していることを逆恨みしていたようだ。ちなみに野薔薇は「目クソ鼻クソ案件」と罵るが、恵は「普通に逆恨み」と被害者に寄り添う姿勢を見せている。虎杖は高級バッグを指して「便利だよねあれ」と適当なことを言っており、相変わらずの無頓着さを見せている。

最終回で描かれた五条悟

虎杖と五条が入れ替わらなかった理由

しかし、この時の虎杖の関心は別にあったようだ。反省している様子の呪詛師に声をかけるのだ。「死刑になるわけじゃねぇんだから」という励ましの言葉は、死刑宣告をされた虎杖ならではの説得力がある。

ここで場面は回想シーンに移る。憂憂の術式を使った入れ替え修行の場面だ。憂憂は対象を瞬時に移動させる術式を持っているが、その応用で魂を入れ替えることもできる。この入れ替え修行では虎杖が日下部と身体を入れ替えて呪力操作と簡易領域を、乙骨憂太と入れ替わって反転術式を習得した。

魂の入れ替えにはインターバルが必要なため、1ヶ月の修行期間では一人につき2回までが限度とされていた。虎杖はなぜ五条悟ではなく乙骨憂人と入れ替えをしたのかという点は最終回まで明かされていなかったが、最終話ではその点が明らかになっている。

虎杖悠仁と五条悟が話をしているのは、五条と乙骨が入れ替え修行をしていた地下室だ。日下部の後は五条と入れ替え修行をすると思っていたと話す虎杖に対し、五条は虎杖には「五条悟とかどーでもよくない?」と思っていてほしいと語る。

五条悟とは違う強さを持つ人間がいてほしい、それが五条の願いだった。唯一入れ替え修行をした乙骨は五条の愛弟子で、自分が死んだ後の身体を託した相手でもある。けれど、虎杖悠仁には五条のことさえ忘れて、違う強さを持ってほしいと話すのだ。その五条の願いが、虎杖が5条からではなく乙骨から反転術式を習得した理由だったのだろう。

あの日、五条は夏油傑と別れ、教育者になる道を選んだ。それは、五条悟という“一人の最強”の限界を悟っていたからかもしれない。哲学者のソクラテスは、人間は教育を通してのみ永遠を手に入れられると説いた。五条はここで描かれたように、“自分の後”のことを考えて行動していたのである。

だから虎杖は、「先生、弱気じゃない?」と宿儺との決戦を控えて自分が死んだ後のことを考えている五条のことを心配している。五条悟の「宿儺に勝てる」という確信は、もしかしたら、乙骨や虎杖ら、自分の教え子たちと一緒なら勝つことができるという確信だったのかもしれない。

虎杖が背負った呪い

そうして五条とは違う強さを求められた虎杖だが、それに従うことはすなわち五条の遺志を継ぐことでもある。この時五条にかけられた「期待してる」という言葉を、虎杖は捕まった呪詛師にかけてやる。

虎杖は宿儺に身体の主導権を譲って大量殺戮を許してしまい、自責の念で押しつぶされそうになったことがある。その虎杖が、間違えたと思ってるのなら大丈夫だと呪詛師に声をかけて、いつか自分たちを手伝ってほしいと、その力を活かせるように役割を与えたのだ。かつて五条が虎杖にそうしたように。

『呪術廻戦』最終回で描かれたこのシーンは、虎杖の成長を象徴するシーンだと言える。しかし、何よりも虎杖が五条からの“呪い”を受け入れた場面でもある。虎杖はナナミンの「あとは頼みます」という言葉も背負って生きてきた。「呪い」の物語である『呪術廻戦』では、死にゆく者が生き残るものに言葉をかけ、生き延びた人間はある種の「呪い」を背負って生きていくことになる。それは決して悪いことではなく、人間は連綿と呪いと共に生きていくということなのだろう。

宿儺と真人のその後

明かされる宿儺の過去

そして最後に描かれたのが宿儺と真人の対話である。真人によると、舞台は「循環する魂の通り道」。漏瑚が死んだ時に宿儺と対話したところと同じ場所か似たような場所だと考察できる。真人が死んだのはかなり前だが、真人は魂に干渉する術式を持っているため、残滓として死んだ宿儺と話すことができているようだ。

真人には宿儺に聞きたいことがあった。宿儺は『呪術廻戦』の劇中で「身の丈」という言葉を多用している。例えば鹿紫雲と戦った時にも「俺は俺の身の丈で生きているに過ぎない」と語り、好きに生きているだけだが、その“身の丈”が「大きすぎる」ということを言い訳にしてきた。

真人は自分の行為を“身の丈”という言葉で逃げてきた宿儺が、実際にはその人生は忌み子として生まれた自分を虐げてきた者たちに対する復讐のために捧げられてきたのではないかと問いかける。宿儺はこれを否定せず、それもまた宿儺の“身の丈”だと答える。

しかし、ここで宿儺は自分の過去について考え直す。違う生き方を選ぶきっかけが二度あったと言うのだ。このシーンでは二人の人物の後ろ姿が描かれている。一人は少女のような姿で、生前の裏梅だと考えられる。この後のシーンでもこの人物は宿儺と共に“魂の通り道を”歩いているので、新宿決戦で宿儺と共に死んだ裏梅と考えて間違いないだろう。

そもそも裏梅は現代では氷見汐梨という人物の身体に受肉しているが、呪術全盛の平安時代にどのような姿だったのかということは明かされていなかった。裏梅が生前にまだ少女だったとして、宿儺が「違う生き方」を選ぶきっかけになっていたとすれば、裏梅は宿儺にとっての娘のような存在だったのかもしれない。

あるいは、裏梅が宿儺と同じく忌み子として生まれた子どもだったらば。宿儺は、村で忌み子として虐げられていたミミとナナとの出会いから呪詛師に転じた夏油傑と似たような形で闇堕ちしたという可能性も考えられる。

「きっかけ」だったもう一人の人物とは

「きっかけ」だったもう一人の人物については巫女の姿をしており、現時点ではファンの間では宿儺の母ではないかという考察が多い。宿儺の母については、宿儺の母は双子を孕っていたが母が飢えていたため、胎内の宿儺は双子の片割れを食って生き延びたことが明かされている。その片割れの魂は転生して虎杖悠仁の父・虎杖仁としてこの世に生まれた。そして、羂索は仁の妻の虎杖香織の身体を乗っ取って悠仁を産んだというわけである。

四本の腕と目を持つ異形の宿儺を産んだ母は、それでも宿儺のことを愛したのかもしれない。宿儺がその時、母のために生きることができたとしたら。あるいは、娘(のような存在)の裏梅のために生きることができたとしたら。母と娘、二人の女性の存在が宿儺にとって違う人生を生きられるきっかけだった可能性は大いにある。

しかし、宿儺は自らの呪詛を吐き出さずに生きることはできなかった。それが宿儺が繰り返している「身の丈」の意味なのだろう。自分の呪いに焼き殺されることを「恐れた」とまで言っている。宿儺にも“恐れ”という感覚があったのだ。

そして宿儺は、幼い裏梅の肩に手を置きながら、次があれば生き方を変えてみてもいいのかもしれないと語る。こうじゃない生き方でもよかったと、宿儺が認めたのだ。最後の最後に人間的な姿を見せた宿儺に対し、真人は激怒。真人は本来呪いであり、宿儺とは違う存在なのだということを印象付けるシーンだ。

丸くなるのも負けたのだから当然だと語る宿儺はとっても潔い。なんだか宿儺主人公の過去編が作られる気もしなくない、クールな後ろ姿を見せて裏梅と共に退場している。

最後のコマの意味は?

百葉箱の中の指

宿儺のその後が描かれた後は、セリフこそないが呪術高専生(東京校)たちのその後が描かれる。一番上のコマは2年ズ。禪院真希、乙骨憂太、ちっちゃくなったパンダ、狗巻棘の姿が描かれている。二コマ目は3年生で、秤金次と星綺羅羅の姿が描かれている。死滅回游が始まるまでは二人とも停学中だったが、新宿決戦での活躍が認められたのだろう、制服を着ていることから復学したことが窺える。下のコマは虎杖、恵、野薔薇の三人だが、改めてそれぞれ顔に負った傷が戦いの痕跡として残っている。

そして、漫画『呪術廻戦』最終話271話最後のコマに映し出されたのは、宿儺の指だった。この指は、第266話で描かれたダムのような場所に吊るされていた“最後の一本”だと思われる。これは五条悟が隠していたもので、復活した釘崎野薔薇がこの指に「共鳴り」を当てて宿儺にダメージを与えている。五条悟が宿儺の指の最後の一本を隠していた理由については、虎杖悠仁の処刑を回避するためだと222話で宿儺が考察している。

『呪術廻戦』の最終回で最後に宿儺の指が描かれたことには、どのような意味があるのだろうか。まず、この場面で宿儺の指は学校などに置かれる百葉箱に保管されている。百葉箱とは、温度計や湿度計を入れて天気を調べるための箱であり、教育目的で学校に置かれることが多い。

『呪術廻戦』第1話の最初のコマには杉沢第三高校に設置された百葉箱の絵が描かれており、『呪術廻戦』は最終話で宿儺の指を再び百葉箱に収めることで円環(廻戦)を閉じたと言える。一方、第1話で描かれた宿儺の指は高校に魔除けとして封印されていたが、封印のお札をぐるぐる巻きにした状態だった。最終回の宿儺の指は裸であり、すでに危険性がなくなっていることが示唆されている。

この前のシーンでは、虎杖が野薔薇に「あれどうしたの」と聞かれ、「捨てた」と言いつつも「今度こそ丁度いい魔除けだろ」と答えている。「今度こそ」というのは、第1話で宿儺の指が魔除けとして封印されていたことを踏まえてのセリフで、それを恵に向かって言っているのは、封印されていた魔除け=宿儺の指が解放されたことが二人の出会いだったからだろう。

宿儺と真人のやりとりを見ても、おそらく宿儺が再び現れてこの世に危険をもたらす心配はない。それでも、百葉箱の扉が開いて宿儺の指に光が当たる演出は気になるところ。やっぱり、宿儺を主人公にした過去編はあり得るかも?

漫画『呪術廻戦』最終回ネタバレ感想&考察

五条と宿儺の違い

『呪術廻戦』最終話では、五条悟から虎杖悠仁への継承、そして宿儺の反省会が大きなトピックとして描かれた。五条悟と宿儺、共に自分ひとりではできないことを課題として抱え、五条は“最強”であるがゆえに他者に託すことを選び、宿儺は“最強”であるがゆえに復讐に生きることを選んだ。

けれど、五条がその道を選ぶことができたのは、生き方を問うた夏油傑の存在があったからだろう。五条は自らの手で夏油の命を断つときに、呪いの言葉を吐かなかった(夏油は「最期くらい呪いの言葉を吐けよ」とツッコんでいる)。他者を呪うのではなく、他者との繋がりを最も欲していたのが五条悟であり、それは最強であるがゆえの五条の“弱さ”だったとも言える。

一方の宿儺は、そうした他者を求める弱さを“身の丈”という言葉で覆い隠してしまった。生まれながらに背負った宿命、そこに他者に介在させる余地を与えず、“最強の自分”の思うがままに生きることにした。ひょっとすると五条を誘った夏油は、五条にそんな風に生きてほしかったのかもしれない。

『呪術廻戦』続編はある?

気になるのは、『呪術廻戦』に続編はあるのかどうかということ。多くのヒットした少年漫画と違い、『呪術廻戦』は“ゴールがない”ことが特徴とされてきた。例えばドラゴンボールを集めるだとか、海賊王になるといったポジティブなゴールが設定されていないのだ。

人間が存在する限り呪いは生まれ、『呪術廻戦』の世界自体は続いていく。映画『呪術廻戦0』(2021) の原作となった『呪術廻戦』の前日譚のタイトルは「東京都立呪術高等専門学校」であり、高専を舞台にした別のストーリーが描かれる可能性はあるだろう。

一方で、やはり最終回の最後のコマが“日の当たる宿儺の指”であったことにメッセージを感じずにはいられない。最終回では宿儺の知られざる過去が語られ、「次があれば」「生き方を変えてみるのもいいかもしれない」と反省の弁も語られた。

宿儺が食べた双子の魂が虎杖悠仁の父・虎杖仁として転生したことも踏まえると、宿儺の転生、つまり「次」が描かれる可能性もあるだろう。また、宿儺と宿儺の母、そして裏梅の間に何があって宿儺は道を誤ったのか、という物語が平安時代を舞台に描かれる余地もある。“ヴィラン(悪役)のオリジン”という人気ジャンルを宿儺で見れるなら最高だ。

物語の幕は閉じたが、まだまだ考察の余地がある『呪術廻戦』。コミックスは28巻が2024年10月4日(金)、29巻と最終巻の30巻が2024年12月25日(水) に同時発売される。2025年には「懐玉・玉折」総集編が劇場で公開されるほか、死滅回游編のアニメ化も決定している。これまでと同様、漫画版にはなかった要素が描かれる可能性もあり、まだまだ目が離せない。

漫画『呪術廻戦』は28巻が2024年10月4日(金)発売。29巻と最終巻30巻は2024年12月25日(水)発売。

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アニメ『呪術廻戦』第2期最終回の解説&感想はこちらから。

実写化夏油傑が話題になったCMについてはこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。 訳書に『デッドプール 30th Anniversary Book』『ホークアイ オフィシャルガイド』『スパイダーマン:スパイダーバース オフィシャルガイド』『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース オフィシャルガイド』(KADOKAWA)。正井編『大阪SFアンソロジー:OSAKA2045』の編集担当、編書に『野球SF傑作選 ベストナイン2024』(Kaguya Books)。
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