『東京喰種』コラボの裏側、影響を受けた日本の作品…『Dead by Daylight』制作陣マシュー・コート&デイブ・リチャードに聞いた | VG+ (バゴプラ)

『東京喰種』コラボの裏側、影響を受けた日本の作品…『Dead by Daylight』制作陣マシュー・コート&デイブ・リチャードに聞いた

『Dead by Daylight』制作陣にインタビュー

2016年に発売された『Dead by Daylight』は、4対1でオンライン対戦を行うマルチプレイヤーホラーゲーム。世界中で愛される本作は、2025年3月時点で約6,000万人のプレイヤーが存在している。本作では、これまでに映画やアニメ、ゲームにおける多くのホラーアイコンとのコラボレーションを実現しており、2025年4月からは『東京喰種トーキョーグール』とのコラボチャプターも発売を開始した。

10周年を控えてますます注目を集める『Dead by Daylight』。バゴプラ編集部では都内で開催されたファンイベント「Dead by Daylight:TADAIMA JAPAN」に合わせて来日したBehaviour Interactiveパートナーシップ責任者のマシュー・コートと、『Dead by Daylight』シニアクリエイティブディレクターのデイブ・リチャードに話を聞く機会を得た。『東京喰種トーキョーグール』とのコラボの裏側二人が影響を受けた日本の作品ファンダムへの想いなどをたっぷり語ってくれた。

マシュー・コート(左)、デイブ・リチャード(右)


——今回、『東京喰種トーキョーグール』とのコラボが発表されました。『東京喰種トーキョーグール』と『Dead by Daylight』の世界観を融合させるために工夫した点はありますか?

マシュー・コート:当初、私達が『Dead by Daylight』で構築していた世界はホラーへのラブレターのようなもので、ホラーにおけるクラシックな要素をたくさん取り入れていました。しかし、『Dead by Daylight』の世界構築に懸命に取り組んだ結果、それ自体が成長を遂げ、様々な要素が混ざり合い一つになった今の世界観があります。

好例は『サイレントヒル』とのコラボレーションです。キラーの三角頭(エクセキューショナー)とサバイバーのキャラクター達が一堂に会することは、『サイレントヒル』のゲーム内では叶いません。当時、コラボにあたって先方に説明したコンセプトは、「『サイレントヒル』のゲームを全てプレイして、関連書籍も全て読み、映画も観た人が見る悪夢」というものでした。全てが混ざり合って、悪夢が出来上がる。それが『Dead by Daylight』で、様々なキャラクターや世界観をまとめる方法になっているんです。

デイブ・リチャード:一方で、『東京喰種トーキョーグール』についてはそれほど難しくはありませんでした。葛藤を抱えるダークなキャラクターもマッチしていましたし、ストーリーにもダークな面がある。血もたくさん流れるし、主人公カネキの能力も面白い。全てが『Dead by Daylight』にうまくハマっていたように思います。

——今回はアニメ『東京喰種トーキョーグール』とのコラボと発表されています。既に動きが示されているアニメをゲームの中で再現するというのは、難しさもあるのでしょうか。

デイブ・リチャード:ええ、その点は大きな挑戦でした。ゲーム内で赫子(かぐね)を滑らかに動かしたくて、今回のために全く新しいシステムを開発したんです。赫子が滑らかに動き、伸びたり、引っ込んだり、出てきたり、消えたりする様子を上手く表現できるようにね。難しい挑戦ではありましたが、同時に自分達が出せるクオリティの限界に挑んだという意味では、刺激的な経験でした。

——『Dead by Daylight』のコラボでは、いわゆる“ヴィラン”にあたるキャラクターがピックアップされることが多いと思います。『DbD』のユニバースに連れてくるキャラクターを選ぶ際に気をつけていることや意識していることはありますか

デイブ・リチャード:コミュニティの中でレジェンドと目されるような認知と地位が必要だと考えています。「ハロウィン」シリーズのマイケル・マイヤーズはイコンのような存在ですし、カネキは日本だけでなく海外でもクールで素晴らしいキャラクターだと認知されています。『悪魔城ドラキュラ』のドラキュラもそう。彼らはいずれもレジェンドと呼べる存在です。

プレイヤーを恐怖に陥れるような独自の能力や特徴も必要ですが、同時にそれらが魅力的であることも求められます。カネキには赫子がありますよね。それが私たちが重視する要素です。

マシュー・コート:『東京喰種トーキョーグール』とのコラボについて言えば、カネキは葛藤を抱えているキャラクターです。時には疑問を抱くなどキャラクターに幅があり、それが優れた物語を作り出しています。彼は暴力性を内に秘めていて、恐ろしい存在になるポテンシャルがある。『Dead by Daylight』ではそこに焦点を当てました。

——お二人が影響を受けた日本の作品はありますか?

マシュー・コート:実はたくさんあります。子どもの頃、日本の作品だと知らずにたくさんのアニメをフランス語で観ていました。一緒に育ったようなものなので、どれも大事な作品です。小さい頃に観ていたのは『鉄腕アトム』や『グレンダイザー』などですね。日本の作品で特に影響を受けたのは『AKIRA』や『リング』です。

デイブ・リチャード:私は小さい頃、全てのビデオゲームは日本から来ていると思っていました(笑)。『ゼルダの伝説』をプレイして育ったんです。その影響があって、今私はゲームを作っています。私にとってゲームを探究するということは、例えば『ファイナルファンタジー』のような作品で、その物語に豊かさに触れるということでした。

マシュー・コート:私がプレイしていたのは『スーパーマリオ』!

デイブ・リチャード:マリオも素晴らしいよね。プレイ体験やステージの作りが見事だった。日本のゲームからは非常に多くのことを学びました。今、それを自分達の作品に活かすことができています。

マシュー・コート:この機会に言っておきたいのは、『Dead by Daylight』のおかげで、私達が影響を受けてきたレジェンドやヒーロー達、『サイレントヒル』や『バイオハザード』といった作品を手がけてきた方々と一緒に仕事ができているということです。私達のコンポーザーのミシェル(・F・エイプリル氏)も『サイレントヒル』のコンポーザー(山岡晃氏)と一緒に仕事をする機会を得ました。全て夢のような出来事です。

——イベント「TADAIMA JAPAN」の様子を見て改めて感じましたが、『Dead by Daylight』は特にファンダムからのサポートが大きいフランチャイズだと思います。日本のファンダムからのサポートについてどのように受け止めていますか?

マシュー・コート:私達にとっては、とてつもなくかけがえのないものです。本当に素敵で、パワフルなエネルギーを感じていますが、同時にこうしたサポートが当たり前のものではないということも理解しています。花を育てるように水を与え、大切にして、満足してもらえるものを提供しなければいけません。そうすることで返ってくるものがあると考えています。

動画:二人から日本のファンへのメッセージ

(聞き手・構成:齋藤隼飛)

TADAIMA JAPANでのトークイベントの様子


インタビューの後半では、近年相次いでいる『Dead by Daylight』のコミック化や、製作が発表された実写映画版など、メディアを超えた本作の“アダプテーション”について聞いた。また、2026年で10周年を迎える『Dead by Daylight』が次世代に与える影響や、今後の展望についても語ってくれている。インタビューの後編もお楽しみに!

「Dead by Daylight|東京喰種トーキョーグール」は 2025 年 4 月 3 日(木)より、Steam、 PS5、PS4、Xbox One、Xbox Series X|S、Epic Games Store、Windows Store、Nintendo Switch にてリリース。

『Dead by Daylight』公式サイト

『Dead by Daylight™(デッド・バイ・デイライト)』について
Behaviour Interactiveが提供する『Dead by Daylight』は、4対1の非対称型でオンライン対戦を行うマルチプレイヤーホラーゲームだ。「サバイバルなかくれんぼ」をコンセプトに、ダークファンタジーを演出した本作は、総プレイヤー数6,000万人を突破。全世界を震撼させるゲームへと成長した。1日あたり約200万人のユーザーがPCやコンソール、モバイルで、ゲームの舞台である「殺戮場」にてキラーと呼ばれる殺人鬼1人と、殺人鬼からの逃亡を試みるサバイバー(生存者)4人に分かれてプレイしている。2016年の発売以来、TVや映画、ゲームにおける伝説的な作品と次々にコラボレーションし、“ホラーの傑作”が集結し再認識される場として世界観ができあがり、対戦ごとに異なる体験を楽しめるのが特徴。

『東京喰種トーキョーグール』とのコラボについてはこちらの記事で。

「Dead by Daylight:TADAIMA JAPAN」のイベントレポートはこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。 訳書に『デッドプール 30th Anniversary Book』『ホークアイ オフィシャルガイド』『スパイダーマン:スパイダーバース オフィシャルガイド』『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース オフィシャルガイド』(KADOKAWA)。正井編『大阪SFアンソロジー:OSAKA2045』の編集担当、編書に『野球SF傑作選 ベストナイン2024』(Kaguya Books)。
お問い合わせ
¥3,300 (2025/04/22 02:26:05時点 Amazon調べ-詳細)
社会評論社
¥1,650 (2025/04/21 22:41:14時点 Amazon調べ-詳細)

関連記事

  1. 勝山海百合が語る、てのひら怪談・かぐやSFコンテスト・期待の作家「豊かでござんすよ。どこにいたの皆」【Kaguya Planet インタビュー】

  2. 池澤春菜インタビュー「SFで誰かの人生を掘り出す」

  3. 縞田理理 スペシャルインタビュー「私とSF」

  4. 宮澤伊織インタビュー:アニメ化を経て、今書いているもの/見ている世界