シーズン4はホームランダーの出自を解説していく展開に
2024年にシーズン4が配信開始され、注目を集めている『ザ・ボーイズ』。シーズン5がファイナルシーズンとなることが発表され、その直前のシーズンであるシーズン4では過激な展開が続いている。『ザ・ボーイズ』シーズン4でホームランダーは人前で殺人を犯しても責められないことを知り、熱狂的な支持のもと、すべての人に愛されたいセレブから怒れる神を自称するようになった。
現実のアメリカ合衆国でも選挙が近づいていることから、ホームランダーとドナルド・トランプを比較する声も多い。しかし、ホームランダーを演じるアントニー・スターは単純に現実を反映させているだけではなく、ホームランダーというキャラクターを生々しく描きたいという思いがあることを英Rolling Stone誌に語っている。
ダンボールから切り抜いたようなものを越えたものを作りたかったんです。邪悪なスーパーマンのように、ホームランダーをただ悪者になることもできます。しかし、そんなことはしたくはありません。私は一から始めて、ホームランダーはどのように育てられたのかを考えるのです。 ホームランダーはジョンとして研究室で育てられました。シーズン4では、私たちは本当にホームランダーの出自に取り組んでいます。ジョンがホームランダーとして研究所に帰郷するのは楽しいエピソードです。
しかし、これは言っておかなければなりません。現実世界と『ザ・ボーイズ』の類似点があるにせよ、『ザ・ボーイズ』のストーリーは登場人物たちによって動かされなければなりません。『ザ・ボーイズ』の中で選挙があるのはヴォート社の目論見として明らかですし、今年は現実でも選挙があります。
でもそれは、ホームランダーの観点からすると、実に自然な流れなんです。ヴォート社やセブンはシーズン1から政治に手を出し、軍隊に入ろうとしてきましたからね。ですから、現実世界と並行する要素は常にありました。しかし、それらは常に物語とうまく関連していると思います。ただ、現実世界の何かを揶揄するためという理由だけで、キャラクターを動かしているわけではありません。
ジョンからホームランダーへ
『ザ・ボーイズ』シーズン4第4話「時の知恵」では、地下の研究室の柱にホームランダーの成長が身長の変化として書いてある。そこでは最初はジョンと書いてあったが、16歳のときにホームランダーと書き換えられており、ジョンは16歳でホームランダーとなり、本名を捨て、ヴォート社の新商品としてデビューしたことが考察できる。
地下の研究室ではホームランダーは幼少期から耐久度テストとして巨大オーブンで焼かれるなど拷問に近い実験を受けてきた。その詳細はスピンオフ作品であるアニメシリーズ『ザ・ボーイズ:ダイアボリカル』でも描かれている。そのときの経験から無敵のようなホームランダーでもヴォート社のCEOであるスタン・エドガー、ホームランダーを生み出したジョナー・ヴォーゲルバウム博士、ヴォート社の科学者で研究所所長のバーバラには叱られる子供のような感情を見せるときもある。
しかし、ホームランダーは暴走状態だ。怒れる神を自称し、故郷とも呼べる研究室で惨殺も行なっている。それも無理はない。ホームランダーは様々なストレス要因に曝されてきた。それに加え、ジョナー・ヴォーゲルバウム博士は公聴会でヴォート社に不利な発言をしないようにビクトリア・ニューマンによって頭部を爆破される。スタン・エドガーは失脚、バーバラの目の前で研究員を殺害するなど、ホームランダーなりの方法で恐怖心を“克服”している。
ホームランダーの恐ろしさは強さよりも弱さにあると考察できる。『ザ・ボーイズ』シーズン4第4話「時の知恵」では、自分の息子であるライアンの教育に関して人間性を削いでいくような発言をしている。ホームランダーは人間性を弱さと考えており、この弱さを削ろうとして周囲に暴力を振るっているのだ。研究所で生み出され、周囲の人間から恐怖心を抱かれて人間らしく育てられなかったアメリカの顔がどのような変化を遂げていくのか。今後の『ザ・ボーイズ』に注目だ。
ドラマ『ザ・ボーイズ』シーズン4はAmazonプライムビデオで配信中。
原作コミックの日本語版は、G-NOVELSから第6巻まで発売中。
Source
Rolling Stone
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