ネタバレ解説『ウィキッド ふたりの魔女』グリンダはなぜ…? アリアナ・グランデがラストの選択を語る | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ解説『ウィキッド ふたりの魔女』グリンダはなぜ…? アリアナ・グランデがラストの選択を語る

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『ウィキッド ふたりの魔女』公開

2024年11月に北米で公開され、ミュージカル映画の歴史を塗り替える大ヒットを記録した『ウィキッド ふたりの魔女』。2025年3月7日(金) よりついに日本でも公開され、大きな話題を呼んでいる。

ジョン・M・チュウ監督が指揮を執った映画『ウィキッド ふたりの魔女』は、ミュージカル『ウィキッド』を実写化した作品。主人公のエルファバ役にシンシア・エリヴォ、後に“北の良い魔女”となるグリンダ役にアリアナ・グランデがキャスティングされている。

『ウィキッド』は二部作として制作されており、続編は2025年11月に米国公開を予定している。第1作目のラストではグリンダがある選択を下すのだが、その選択について演じたアリアナ・グランデが語っている。

なお、以下の内容は『ウィキッド ふたりの魔女』の結末に関するネタバレを含むので、必ず劇場で本編を鑑賞してから読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『ウィキッド ふたりの魔女』の結末に関するネタバレを含みます。

『ウィキッド ふたりの魔女』ラストのグリンダの選択

映画『ウィキッド ふたりの魔女』では、魔法の才能を持って生まれたエルファバが魔法使いに憧れるグリンダとシズ大学で出会い、絆を深めていく。魔法学部長のマダム・モリブルから力を認められたエルファバは、オズを統治するオズの魔法使いと会うことになり、グリンダと共に首都エメラルドシティを訪れることになる。

オズの魔法使いと面会したエルファバだが、オズの魔法使いは魔法を使うことができず、それに動物達を迫害していた黒幕だったことが明らかになる。オズの魔法使いの下で幹部になることを約束されたエルファバだったが、そのオファーを拒否して魔法の書グリモリーを持ち去ろうとする。

この時、グリンダはマダム・モリブルから良い行いがしたければエルファバを連れ戻すよう言われている。その前にはオズの魔法使いからエルファバと一緒にエメラルドシティで暮らす提案を受けてもいる。

エルファバを追ったグリンダは、気球に乗った時点ではエルファバと共にエメラルドシティを離れる気持ちがあったものと思われる。だが、気球が壊れ、互いに「あなたの幸せを願っている」と歌いあった後にはグリンダはそこに残ることを決意する。

それでもグリンダはエルファバの選択も尊重し、オズの国の西へと飛び立っていくエルファバのことを見送った。自由を求め、不公正とも戦うエルファバのことは応援するが、一緒には行けない——それがグリンダの選択だった。

アリアナ・グランデが語る

一見すると“日和見”とも言えるこのグリンダの選択について、グリンダ役を見事に演じたアリアナ・グランデが米iHeartRadioのインタビューで語っている。アリアナ・グランデは『ウィキッド ふたりの魔女』のラストでのグリンダの選択について、「リアル」だと感じたようだ。

本当にリアルに感じました。誰かのことを本当に愛していて、けれど自分の真実や人生、自分が自分であるために進むべき道があるとき、これ以上共に成長していくことがはできず、離れ離れにならざるを得ない、それでもその人のことを心から愛し、相手にとっては(別の道を行くことが)ベストなことだと認められるような、そんな感覚です。

でも、その道は自分にとってはベストではない。だから私はこの瞬間に自分を捨てることをせず、自分がいる場所に留まらなければならない。あなたにはそこへ行ってほしい、でも私は一緒に行けない。

アリアナ・グランデはこうも語っている。

そこには確信があったと思います。あの瞬間、彼女は確固たる意志を持っていました。私はそれを“強さ”だと考えています。彼女は(エルファバと一緒に)行くほどの強さがなかったのではなく、とどまれるほど強かったのだと思うんです。

アリアナ・グランデは、エルファバと一緒に行けなかったグリンダの選択は、弱さではなく強さだと捉えているようだ。確かにエルファバの誘いを受けてグリンダがエルファバについていくことは、グリンダの考え次第では自分を捨てる行為になり得る。

エルファバの“強さ”を前にすれば、観る人はエルファバに憧れを抱くことができる。一方で、誰もがエルファバのように独立できる力を持っているわけではない。グリンダは誰もが持つ“弱さ”を重ね合わせられる存在ではあるのだが、今の自分を受け入れ、背伸びをせず留まれるというのも強さの内だとアリアナ・グランデは考えているのだろう。

一方で、アリアナ・グランデはこうも語っている。

彼女は、自分がそれ(反乱)を選ばないということを知っているほどに強いということでもあります。なぜなら彼女には実現できないからです。彼女はその手段を持っていません。それに自分にとって何が大事かを理解しています。準備ができていないわけではありません。そういうこと(力による反乱)をする人間ではないというだけです。それを理解できるほどの強さを持っているんです。

グリンダは『ウィキッド ふたりの魔女』の時点で、エルファバと違い魔力を持っておらず、エルファバのように権力に挑むことができない。そして、グリンダは自分はその戦いの中で生きる者ではないと認識しているというのがアリアナ・グランデの見立てだ。

圧倒的な力を持つエルファバは“重力”から解放され体制の外に出た。魔法の力を持たないグリンダは体制の中に残ることでチャンスを窺うことにした。グリンダには“人気者”という特殊能力がある。人々に耳を傾けてもらえるグリンダは、自分に有利なルールの中で生きていくことにしたのだろう。

だが、グリンダはオズの魔法使いが支配するオズの国で、エルファバの幸せを実現することができるのだろうか。動物達が迫害される世界を変えることができるのだろうか。『ウィキッド ふたりの魔女』の冒頭で“悪い魔女の死”を祝福していた人々の考えを変えることができるのだろうか。

グリンダの選択は正しかったのか。『ウィキッド ふたりの魔女』の続きは『オズの魔法使い』のストーリーと交わる続編『ウィキッド:フォー・グッド(原題)』で描かれることになる。続編の公開を楽しみに待とう。

映画『ウィキッド ふたりの魔女』は2025年3月7日(金) より全国公開。

『ウィキッド ふたりの魔女』公式サイト

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Source
iHeartRadio

『ウィキッド ふたりの魔女』ラストの解説&感想はこちらから。

『ウィキッド ふたりの魔女』のカメオについてはこちらの記事で。

『ウィキッド ふたりの魔女』続編の情報はこちらの記事で。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。 訳書に『デッドプール 30th Anniversary Book』『ホークアイ オフィシャルガイド』『スパイダーマン:スパイダーバース オフィシャルガイド』『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース オフィシャルガイド』(KADOKAWA)。正井編『大阪SFアンソロジー:OSAKA2045』の編集担当、編書に『野球SF傑作選 ベストナイン2024』(Kaguya Books)。
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