『ウィキッド ふたりの魔女』公開
映画『ウィキッド ふたりの魔女』が2025年3月8日(金) より全国の劇場で公開され、初週末で洋画No.1となる大ヒットを記録している。ブロードウェイミュージカル『ウィキッド』を映画化した本作では、シンシア・エリヴォとアリアナ・グランデが主演を務め、先に公開された北米では高い評価を受けてアカデミー賞二部門の受賞を果たしている。
ブロードウェイミュージカルを実写化した映画としては最大のヒットを記録した『ウィキッド ふたりの魔女』では、意外なカメオも仕込まれている。今回は、『ウィキッド ふたりの魔女』のあるシーンに登場した人物について紹介していこう。なお、以下の内容はネタバレを含むため、必ず本編を劇場で鑑賞してから読んでいただきたい。
以下の内容は、映画『ウィキッド ふたりの魔女』の内容に関するネタバレを含みます。
『ウィキッド ふたりの魔女』の意外なカメオ
登場したのはオリジナルのふたり
映画『ウィキッド ふたりの魔女』の終盤では、主人公のエルファバとグリンダがオズの魔法使いが待つエメラルドシティを訪れる。そこではオズの国の歴史についてのミュージカルが上演されており、ふたりの演者を中心に呪文書グリモリーの存在と、オズの魔法使いがこの国を治めるようになった経緯が語られる。
この劇中劇で歌を披露している二人はイディナ・メンゼルとクリスティン・チェノウェス。2003年に初上演されたミュージカル『ウィキッド』では、イディナ・メンゼルがエルファバを、クリスティン・チェノウェスがグリンダを演じた。つまり、この二人はオリジナルのエルファバとグリンダを創り上げた“ふたりの魔女”なのだ。
イディナ・メンゼルは舞台『ウィキッド』のエルファバ役でトニー賞主演女優賞を受賞、『アナと雪の女王』(2013) からエルサの声を演じ、「レット・イット・ゴー」でアカデミー賞歌曲賞を受賞している。
クリスティン・チェノウェスは『きみはいい人 チャーリー・ブラウン』(1999) のサリー役でトニー賞助演女優賞を受賞。『ウィキッド』のグリンダ役は高い評価を得て、その後はドラマや映画でも活躍を見せている。
随所にミュージカル版へのリスペクト
『ウィキッド ふたりの魔女』では、イディナ・メンゼルとクリスティン・チェノウェスは劇を上演するエメラルドシティ・プレイヤーズの主演俳優として登場。かつてこの国に存在したふたりの魔女を演じる。
このシーンの中ではイディナ・メンゼルがシンシア・エリヴォ演じるエルファバが被る魔女の帽子を直してあげる場面も。イディナ・メンゼルはユダヤ系アメリカ人で、シンシア・エリヴォはナイジェリア系イギリス人。様々なマイノリティの表象となったエルファバの“継承”が行われた瞬間だ。
かつてグリンダを演じたクリスティン・チェノウェスもまた、舞台版を思わせるコミカルな動きと見事な歌声で観客を魅了する。また、『ウィキッド ふたりの魔女』には、ミュージカル版『ウィキッド』で音楽監督を務めたスティーヴン・オリームスが音楽の製作総指揮として加わっている。
米国で公開されている『ウィキッド ふたりの魔女』のボーナスクリップでは、スティーヴン・オリームスがこのシーンの背景を語っている。その中で、イディナ・メンゼルが最後に歌い上げる一節は、最後にエルファバが歌う「Defying Gravity」からの引用であることを認めている。
ちなみにニューヨークのブロードウェイではなくロンドンのウエストエンドで上映された『ウィキッド』でエルファバを演じたアリス・ファーンも、『ウィキッド ふたりの魔女』でのカメオ出演を果たしている。少しだけ登場するグリンダの母親を演じているのがアリス・ファーンである。
その他にも、『ウィキッド ふたりの魔女』には、ウエストエンドとブロードウェイの両方でエルファバを演じたケリー・エリスや、ウエストエンドでグリンダを演じた経験があるダイアン・ピルキントンらもカメオ出演している。
『ウィキッド ふたりの魔女』は、ミュージカル版キャストのカメオにも注目して観てみると、さらに楽しむことができるだろう。
映画『ウィキッド ふたりの魔女』は2025年3月7日(金) より全国公開。
『ウィキッド ふたりの魔女』のオリジナル・サウンドトラックは発売中。
アリアナ・グランデが語ったグリンダの選択について背景はこちらから。
『ウィキッド ふたりの魔女』ラストの解説&感想はこちらから。
『ウィキッド ふたりの魔女』続編の情報はこちらの記事で。