ネタバレ解説&感想『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第1話 クトゥルフ神話要素について考察 | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ解説&感想『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第1話 クトゥルフ神話要素について考察

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モンスター・ヴァースに新展開

2027年、モンスター・ヴァース映画最新作『ゴジラxコング:スーパーノヴァ』公開が予定される中、モンスター・ヴァースをさらに深掘りするドラマシリーズ『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第1話「因果関係」の配信がApple TV+で始まった。本作は秘密組織MONARCHとランダ家の50年以上にもわたる数奇な運命を描いた物語だ。

シーズン1ではサンフランシスコのゴジラ出現の影響を引きずる2015年を舞台に、1950年代に行方不明になったケイコ・ミウラを救い出すべく、ゴジラを利用して空洞世界〈ホロウ・アース〉に向おうとする人々が描かれた。シーズン2ではそれから2年後の世界を舞台に新たな怪獣(タイタン)の台頭を描く。

本記事では、『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第1話「因果関係」の解説と考察、感想を述べていこう。なお、以下の内容は『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第1話「因果関係」のネタバレが含まれるため、本編視聴後に読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第1話「因果関係」の内容に関するネタバレを含みます。

『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第1話「因果関係」ネタバレ解説&考察

大きすぎた代償

ケイコたちが立てた仮説「世界軸(アクシス・ムンディ)」のもと、ガンマ線シミュレーターで怪獣(タイタン)を呼び寄せ、それに便乗して空洞世界から地上に帰還したケイトたち。しかし、その代償はあまりにも大きすぎた。

みんなを逃がすため、リー・ショウは単独で空洞世界に取り残されてしまった。さらには装置や資金提供のため、ケイトの父親のヒロシたちはMONARCHだけではなく、エイペックス社とも手を組んだのである。

エイペック社と言えば、モンスター・ヴァースにおいてメカゴジラを生み出した企業だ。『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン1でも片鱗は見られ、メイに動物の脳を外部からコントロールできるプログラムを生み出させていた。このプログラムと宇宙怪獣であるギドラの頭骨を組み合わせることで、誕生したのがメカゴジラだ。

『ゴジラvsコング』(2021)では、エイペックス社とMONARCHが手を組んだのは2019年のギドラとゴジラの戦い以降とされている。しかし、MONARCHの存在が公になる2019年よりも前に、実はケイトたちの救出という名目でエイペックス社は水面下でMONARCHと協力体制にあったことが、ここで解説される。

2017年、髑髏島

ケイコ、ケイト、メイの3人が飛び出してきたのは空洞世界が地上に噴出したことで誕生した島である髑髏島であった。髑髏島と言えば、あのコングが支配する縄張りだ。さらに空洞世界と地上世界では時間の流れが違うため、空洞世界に数日滞在しただけで地上では2年経過していた。

ケイトたちが地上に帰還した際にコングは怒り、暴れ出す。エイペックス社のブレンダ・ホランドは何故コングが怒っているのかわからないという態度を取っているが、『ゴジラvsコング』でのことを考えると、この時点では可能性は思い当たるが、隠しているのだと考察できる。

何故ならば、『ゴジラvsコング』の時点では、エイペックス社は髑髏島の頂点捕食者の一種であるメカゴジラの性能テスト用にスカル・クローラーを繁殖させた。つまり、『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2の頃には髑髏島で実験を始めていてもおかしくないのである。

ゴジラvsコング(吹替版)

見つからなかった怪獣・プルガサリ

創設したばかりの秘密組織MONARCHとして調査をしていたケイコとリー、そしてビル・ランダ。3人は朝鮮半島で怪獣の捜索をしたが無駄骨に終わったと語っている。ここで探していた怪獣として名前が挙げられたのが「プルガサリ」だ。

プルガサリは朝鮮半島の民話に登場する伝説上の動物で、名前は「殺せないもの」という意味を持つ。鉄を食べ、悪夢と邪気を払う奇怪な形相の怪物とされ、「得体のしれないもの」や「手の付けられない乱暴者」といった意味を持つこともある。しかし、『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2で語られると、別の意味を持つ。

それは『プルガサリ 伝説の大怪獣』(1988)という北朝鮮の怪獣映画の存在だ。この映画は北朝鮮に国をあげてつくった自信作であり、世界公開に向けて動いていた。製作には「ゴジラ」シリーズの中野昭慶や東宝特撮チームが招かれ、特撮技術を担当。さらにゴジラのスーツアクターである薩摩剣八郎も参加するなど、「ゴジラ」シリーズとは縁の深い作品である。

なぜ、『プルガサリ 伝説の大怪獣』が特別な意味を持つのか。それは本作が“政治的な理由”で公開が中止されたからである。詳しくは明らかになっていないが、『プルガサリ 伝説の大怪獣』で監督を務めた申相玉のその後の言動を見れば、“政治的な理由”の意味が容易に考察できる。

申相玉はもともと韓国で著名な監督であり、妻は韓国の大スターだった崔銀姫と韓国映画界を語る上で外せない人物だ。しかし、1978年に崔銀姫が北朝鮮によって拉致される。その後、北朝鮮は申相玉監督が自発的に北朝鮮に亡命したと発表。申相玉監督は複数の映画を北朝鮮で制作したため、その報道は信じられた。

しかし、オーストリアのウィーン滞在中、彼は妻である崔銀姫と共にアメリカ大使館に亡命。そこで申相玉監督は金正日の命令で北朝鮮により拉致され、映画を制作していたことを明らかにする。さらに実は二度脱北を図るも失敗に終わり、強制収容所に入れられたことも語った。

そんな申相玉監督が、北朝鮮で最後に制作した映画が『プルガサリ 伝説の大怪獣』だったのだ。そのような政治的にも、倫理的にも許されない制作体制で生み出された怪獣・プルガサリ。

それが結局見つからなかったというのは映画が上映されなかったことと、そのような体制で怪獣映画をつくってもビルのような真の怪獣研究者の心を動かすことなどできないという皮肉だと考察できる。

クトゥルフ神話怪獣の登場か?

1957年、古文書の情報を頼りにケイコ、リー、ビルたちはチリの漁村へ怪獣の捜索に赴いていた。空気は重たく、独特な遺跡が村の中心にあり、血の跡が残されていた。村の酒場には『ゴジラ』(1984)のショッキラスを思わせる奇妙な甲殻類が飾られており、村民たちはよそ者に対して敵対心すら感じさせる。

謎が多い漁村だが、この陰鬱な雰囲気はSFファンならばピンとくる人も多いことだろう。ケイコたちが訪れた漁村のモデルは、ハワード・フィリップ・ラヴクラフトが1938年に発表した小説『インスマスの影』に登場する港町インスマスだと考察できる。

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『インスマスの影』はハワード・フィリップ・ラヴクラフトの生み出したクトゥルフ神話を代表する作品であり、ダゴン秘密教団、深きものどもなど、クトゥルフ神話を語る上で欠かせない存在が登場する。インスマスの住人たちは先祖が海洋生物と交わったとされ、住人たちは“父なるダゴンと母なるヒュドラ”を信仰している。

事実、ケイコたちが訪れた村の住人でありながら彼女たちに協力的なルシアは、この漁村の住人たちは怪獣(タイタン)を文字通り神と崇めていると解説している。彼女が案内した洞窟の壁画に描かれた「偉大なる海の神(エル・グランディオス・デルマール)」の絵は、『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2で登場するタコのような怪獣タイタンXそのものだ。

クトゥルフ神話においてタコと言えば、『クトゥルフの呼び声』(1928)で初登場した人類が太刀打ちできない太古の地球の支配者クトゥルフだ。クトゥルフはニュージーランドと南米大陸、南極大陸の間に沈む古代都市ルルイエに眠っているとされる。もしかすると、このチリの漁村はルルイエへの道の一つなのかもしれない。

実はクトゥルフ神話でクトゥルフと同一視されることがあるダゴンはモンスター・ヴァースに既に登場済みだ。それはグラフィック・ノベルの一冊である『ゴジラ:アフターショック』(2019)で、ダゴンはゴジラの先祖としてフェニキア人からは海神、日本人からは雷神として信仰される怪獣とされている。

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リー・ショウ救出作戦

話を2017年に戻そう。MONARCHとエイペック社がリーの生存を絶望的だとし、救出を諦める中、ケイトたちは彼らを出し抜いて髑髏島に向った。この直前、ブレンダがメイをエイペックス社に戻るように説得しているが、メイは彼女が何かを企んでいることを見抜いており、CEOのウォルター・シモンズのための点数稼ぎと評している。

髑髏島はこの頃はまだ嵐の壁に囲まれ、独自の生態系を持つガラパゴス諸島のような状況だが、これから2年後の2019年にギドラの呼び声で復活した怪獣にしてマヤ神話の蝙蝠の神・カマソッソに襲撃されている。コングの奮闘虚しく、ジア以外のイーウィス族を滅亡に追い込んだ。

このことからもわかる通り、コングは2017年頃、髑髏島の支配者として完全に成長しきっていなかった可能性が考察できる。その反面、1973年に調査隊が髑髏島を訪れたときよりは成熟しており、無防備な状態で眠るなど安心しきった様子も見せている。ゴジラが完成された怪獣の王だとすれば、コングは王子といった存在なのかもしれない。

変わってしまった世界

1959年に失踪したケイコにとって、2017年の世界は大きく変わっていた。自分たちが3人で立ち上げたMONARCHは巨大な秘密組織になり、世界中に監視網を張り巡らしている。その上、女性である自分を博士と呼ばせるために苦労したが、2017年ではこの巨大組織を女性であるナタリア・ヴェルデューゴ副長官が率いている。

技術面だけではなく、すべてにおいてケイコは浦島太郎状態だ。それでも彼女が優秀な科学者であることに変わりはない。ケイコは監視カメラの映像に、かつてチリの漁村で見た奇妙な甲殻類を発見する。そして、コングが縄張りに入ってきた別の怪獣に抵抗するべく暴れたと考察するのだった。

この時点で、ケイコは現在のMONARCHが知らない怪獣たちの知識を持っていることは明らかだ。彼女こそ怪獣研究の第一人者であり、変わってしまった世界においても彼女の知識は貴重な財産、つまりMONARCHにとってのレガシーであると言える。

邪神の目覚め

ケイトは命の恩人であるリーを救うべく、世界軸(アクシス・ムンディ)の裂け目を開くが、“何か”の目覚めを恐れるケイコは「家族をもう失いたくない」と止めようとする。裂け目に気が付いたリーはポッドに飛び乗り脱出するが、その最中、裂け目に触手を持った“何か”が潜り込んでいくのを目撃した。

空洞世界も、髑髏島も、すべての怪獣が騒然とする中、触手を持った“何か”――タイタンXは目覚め、地上へと解き放たれる。異常を感知したコングが裂け目のもとを破壊したが、時すでに遅し、クトゥルフのような恐るべき怪獣は自由の身となったのだった。

タイタンXがどれほどまでの脅威なのかは、コングの行動でわかる。コングは海に逃げ込んだタイタンXを縄張りから追い出すというよりも追跡して退治しようとしている。コングはその後のモンスター・ヴァース作品でも明らかにされているが、王に相応しい怪獣の一体だ。

そのような地球の環境を守るために行動を起こす怪獣の王、コングが退治に動かなければならないほどの強敵がタイタンXということなのだろう。果たしてタイタンXは偉大なる海の神か、それとも邪神か。今後の『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2に注目だ。

『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第1話「因果関係」ネタバレ感想

ケイコが最初にすべきことは家族の対処?

『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第1話「因果関係」で、50年以上経ってからようやく地上に帰れたケイコ。彼女はあまりにも多くの時間を失ったと嘆くが、シーズン1から観ている視聴者として、嘆くにはまだ早いという感想を抱いてしまう。

ケイコは久しぶりに会えた息子・ヒロシが既に大人になっており、子供までいる事に驚きを隠せていないが、これからもっと驚くべきことが待っている。それはヒロシが不倫の末に二つの家庭を同時に持ち、別々の女性を妊娠させているということだ。

ヒロシとケンタロウはケイト救出のための2年間で距離を縮めたが、ケイトはそうではない。ケイトはどうして二つの家庭を持てると思ったのかと聞いたが、彼の語った内容は「母親のレガシーを継いで疲れたところ、同じ職場の女性と出会い、そのままケンタロウをもうけた」という到底納得できるような内容ではなかった。

ヒロシはケイトの母親・キャロラインにはMONARCHでの仕事を隠さないといけなかったため、本心を打ち明けられるのはMONARCHの職員だったケンタロウの母親・ミエコだけだったと言い訳を述べるが、正直共感できる理由ではない。ケイコが対処すべき最初の問題は、ゴジラでも、コングでも、タイタンXでもなく、息子・ヒロシを親として教育し直すことかもしれない。

今後のモンスター・ヴァースはクトゥルフ神話の知識が必要?

1957年にチリの漁村を訪れたケイコたちが目撃したものは、正しく『インスマスの影』の世界であり、住人は海の恵みと引き換えに「偉大なる海の神」という怪獣を崇めているという事実だった。このことからも考察できるように『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2ではクトゥルフ神話の知識があると、より楽しめるかもしれない。

実は日本の特撮はクトゥルフ神話と相性が良い。例えばゴジラで言えば、特撮マニアであり、クトゥルフ神話マニアでもある俳優の佐野史郎は「ゴジラ=ダゴン」説を提唱したことがあり、『ゴジラ FINAL WARS』(2004)ではダゴンの召喚の呪文を唱えた。

さらにはクトゥルフ神話をテーマにしたヒーローとして『ウルトラマンティガ』(1996-1997)が存在しており、その他の「ウルトラマン」シリーズにもたびたびクトゥルフ神話をモデルにした怪獣が登場している。また、ハワード・フィリップ・ラヴクラフトの作品『眠りの壁の彼方』(1919)には地球人に憑依する“光の兄弟”が登場する。

オーガスト・ダーレスとマーク・スコラーの短編小説『潜伏するもの』(1932)では善なる旧神“星の戦士”が登場する。星の戦士は巨大な人型の炎の生命体で、旧支配者が復活するとオリオン座の方角から火の玉になって飛来し、旧支配者を封印すると去っていく存在である。この設定がウルトラマンと酷似していることもあってか、「ウルトラマン」シリーズではクトゥルフ神話をもとにした怪獣が度々登場する。

また、ティム役のジョー・ティペットが『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2に関するインタビューで「ペットにしたい怪獣(タイタン)は?」と聞かれてガメラと答えているが、ガメラにもクトゥルフをモデルの一つとした怪獣の邪神イリスが登場する。

このように日本の特撮怪獣とクトゥルフ神話は相性が良く、度々モチーフとなって登場する。それが『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2で本格的にゴジラと合流することになったと考察できる。『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019)では宇宙から来た偽りの王であるギドラが登場するなど、クトゥルフ神話と合流する土台は出来ていた。

もしかすれば、ハワード・フィリップ・ラヴクラフトが怪獣たちのことを小説というレガシーに遺した人物として、今後登場する可能性が考察できる。それらのクトゥルフ神話知識を入れて、『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2を観るとより一層楽しめるかもしれない。

『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第1話「因果関係」は2026年2月27日(金)よりApple TV+にて配信開始

『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』配信ページ

『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン1第1話のネタバレ解説&感想はこちらから。

『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン1最終話のネタバレ解説&感想はこちらから。

モンスター・ヴァースの年表はこちらから。

鯨ヶ岬 勇士

1998生まれのZ世代。好きだった映画鑑賞やドラマ鑑賞が高じ、その国の政治問題や差別問題に興味を持つようになり、それらのニュースを追うようになる。趣味は細々と小説を書くこと。
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