Kaguya Planet、7〜9月の特集は「食」 | VG+ (バゴプラ)

Kaguya Planet、7〜9月の特集は「食」

Kaguya Planetにて、特集「食」を開催

SF企業VGプラスの運営するオンラインSF誌 Kaguya Planet にて、2024年7月から9月にかけて、特集「食」を開催。特集「食」では「幸せな食卓?」をテーマに、書き下ろしのSF短編賞小説と翻訳小説、そしてエッセイを掲載しました。また、2024年10月には、これらの短編小説・論考に加えて特集と関連したブックレビューやコラム、特集外の書き下ろし小説などを収録したマガジン『Kaguya Planet No.3 食』を刊行しています。

ウェブマガジンKaguya Planetでは毎月、SF短編小説を配信中! 掲載した作品は、三ヶ月に一回、マガジン『Kaguya Planet』として刊行します。Kaguya Planetの会員になると、配信している短編小説を先行公開に読むことができたり、マガジン『Kaguya Planet』が無料で届いたり、イベントに割引価格で参加できたり……魅力的な特典が盛りだくさん! ぜひ会員登録してKaguya Planetに応援をよろしくお願いいたします。

Kaguya Planetについて詳しく知る

特集テーマ「食」は紅坂紫さんがセレクト

特集「食」は、2023年11月に京都で開催されたKaguyaのイベント、「かぐやフェス」の抽選大会で「特集テーマ指定権」を引き当てた紅坂紫さんが、テーマとして「食」を選んだことによって実現したものです。

紅坂紫さんは2001年生まれの小説家、詩人、翻訳家、エッセイスト。ネットプリントとInstagramのウェブzine「CALL Magazine」主宰。『大阪SFアンソロジー:OSAKA2045』(Kaguya Books)に短編「アンダンテ」が掲載されているほか、『生物SFアンソロジー:なまものの方舟』『matotte.』『アンソロジー 夢でしかいけない街』『貝楼諸島より』など様々なアンソロジーなどで精力的に作品を発表しています。

社会評論社
¥1,650 (2025/03/15 12:46:57時点 Amazon調べ-詳細)

翻訳者としては、自身が共同編者として参加した『結晶するプリズム:クィアSFアンソロジー』に掲載のイン・イーシェン「鰐の王子さま」、Kaguya Planetに掲載されているジョイス・チング「まめやかな娘」などの翻訳を手掛けました。また、『S-Fマガジン』でナディア・アフィフィ「バーレーン地下バザール」の翻訳を手がけているほか、NOVEL & SHORT STORY REVIEW欄で未訳作品を紹介する連載を執筆しています。

¥2,200 (2025/03/15 17:47:20時点 Amazon調べ-詳細)

特集:食 に寄せて 「しあわせな食卓?」 

紅坂さんからは、特集「食」開催に寄せて下記のステイトメントをいただいています。

美味しいものを食べると満ち足りる。喜ぶ顔を思い浮かべながら選ばれる食材は美しい。誰かのためにする料理は楽しい。笑いながらくだらない話をした日も、泣きながら前に進むことを決意した日も、わたしの前には大切な一皿があったことを覚えている。

それでも食卓を離れているとき、ふいに思い浮かべてしまうのだった。

毒物、人肉、人工物。食べてはいけないと言われているものへの好奇心のことを。虐殺、戦争、飢饉、フードロス。今日を生き延びるための食事がない人のいる世界で捨てられる一皿のことを。本能、生存戦略。食べなければいけないという焦燥のことを。摂食障害、ルッキズム。痩せなければいけないという規範のことを。気候変動、植民地支配。遠く離れた地にある舌を満足させるために黙認される破壊のことを。鬼、吸血種、サトゥルヌス。食べられる恐怖が変化した異形への憧憬のことを。会食恐怖症、感染症の時代。他者の前で口腔を晒す恐怖のことを。常備薬、サプリメント。薬を口にふくんだときの安心のことを。完全食だけの生活。パフォーマンスを追求しつづけた食事が行きつく虚しさを。殺戮、摂取、排出。実感など伴わないまま机上で学ぶいのちの循環のことを。

幸福だけでは決して説明のつかない「食」の世界があることを。
「食」は歪みつづけながら、綺麗な顔をしてわたしたちの日常に紛れ込んでいる。「食」の負の側面は何食わぬ顔をして、わたしたちの生活の一瞬一瞬にふかく関わっている。見渡せばいつも食べるものがそこらじゅうにあるのに、見渡せどそれらはすべて美しくラッピングされすぎている。ほんとうはもっと魚のように生臭くて、ステーキのように血まみれで、ケーキのように圧し潰されてしまうものであるはずなのに。性行為のように、種が生き延びるためでありながら少しずつ死んでいくものでもあるはずで、性欲と同じように覆い隠されてもよいはずなのに。だからこそ今、未来の食材や食糧生産だけではなく、「食」そのものを一度立ち止まって考える必要がある。

明日また誰かと、美味しいね、と笑い合うためにも。

特集「食」掲載作品&エッセイとマガジン『Kaguya Planet No.3 食』を紹介

エフゲニア・トリアンダフィリウ「ボーンスープ」(訳:紅坂紫)

料理とお菓子作りの名人である祖母の家にはいつも砂糖たっぷりの美味しいギリシャ菓子を求めて子どもたちが集まっていた。しかし実の孫であるディナにだけは、祖母はお菓子を決して食べさせず、かわりに得体の知れない骨を煮込んだスープや羊の脳みそ料理を食べさせるのであった……。

エフゲニア・トリアンダフィリウ
ギリシャの作家・アーティスト。ダークな雰囲気の作品制作を得意とする。中編Six Versions of My Brother Found Under the Bridge(Uncanny Magazine掲載)がシャーリー・ジャクソン賞を受賞しているほか、多くの作品がイグナイト賞、ローカス賞、ネビュラ賞、ワールド・ファンタジー賞にノミネートされている。執筆した作品はReactor、Uncanny、Strange Horizons、ApexなどのSFウェブジンに掲載されている。邦訳が出ている作品は、『ギリシャSF傑作選 ノヴァ・ヘラス』(2023年/竹書房)に収録されている「われらが仕える者」。男の子と犬と一緒にアテネ在住。
¥1,346 (2025/03/15 17:47:21時点 Amazon調べ-詳細)

清水裕貴「美しい腸のための生活」(エッセイ)

健康を維持することは、しっかりした大人なら当たり前にやるべきことで、それを怠るのは怠惰? 食と健康と循環と自律と資本主義などをめぐる、スリリングなエッセイです。

清水裕貴
小説家・写真家。2007年に武蔵野美術大学映像学科を卒業。2011年に1_Wallグランプリ、2016年に三木淳賞、また2018年には新潮社R18文学賞大賞を受賞。著書に『海は地下室に眠る』(KADOKAWA)、『花盛りの椅子』(集英社)、『ここは夜の水のほとり』(R18文学賞受賞作「手さぐりの呼吸」改題、新潮社)がある。土地の歴史や伝承のリサーチをベースにして、写真と言葉を組み合わせて風景を表現している。写真集は『岸』(赤々舎)、主な個展は『微睡み硝子』(PGI)、『岸』(PURPLE)など。企画展や芸術祭にも多数参加。

紅坂紫「鬼姫と絵師」

その村には、「女は人前で食べてはならない」という掟があった。村で唯一の絵師である女も掟を守り、一人で部屋に籠り、口を薄く開けて日々の飯を食べ、生活のために絵を描いて暮らしていた──。
「食べる」という行為の生々しさ、そして生きるために食べることの美しさを描いた短編。

紅坂紫
2001年生まれの小説家、詩人、翻訳家、エッセイスト。フラッシュフィクションのマガジン「CALL Magazine」主宰。『大阪SFアンソロジー:OSAKA2045』『アンソロジー 夢でしかいけない街』『生物SFアンソロジー:なまものの方舟』『貝楼諸島より』『matotte.』などに作品を発表。自身が共同編者として参加した『結晶するプリズム:翻訳クィアSFアンソロジー』所収のイン・イーシェン「鰐の王子さま」、Kaguya Planet掲載のジョイス・チング「まめやかな娘」、『S-Fマガジン』掲載のナディア・アフィフィ「バーレーン地下バザール」などの翻訳者・紹介者としても活躍。
社会評論社
¥1,650 (2025/03/15 12:46:57時点 Amazon調べ-詳細)

『Kaguya Planet No.3 食』好評発売中

コンテンツ
⚫︎特集に寄せて
紅坂紫「しあわせな食卓?」
⚫︎小説
エフゲニア・トリアンダフィリウ「ボーンスープ」(紅坂紫訳)
紅坂紫「鬼姫と絵師」
鈴木林「なく?」
⚫︎エッセイ
清水裕貴「美しい腸のための生活」
⚫︎ブックレビュー
堀川夢 リチャード・ブローティガン『西瓜糖の日々』
⚫︎コラム
齋藤隼飛「おいしくなったチミチャンガ ヒーロー達の食文化」
鯨ヶ岬勇士「チョコミントベーグルと大豆ミート」
井上彼方「食べることがもたらす情動」
⚫︎PICK UP
『トウキョウ下町SFアンソロジー:この中に僕たちは生きている』
『ヴェノム:ザ・ラストダンス』
⚫︎イベントレポート
グラスゴー・ワールドコン(世界SF大会)レポート
第2回カモガワ奇想短編グランプリ
⚫︎VGプラスの活動報告

サイズ:A5
ページ数:90ページ
一般価格:1650円(税込)
ISBN:978-4-911294-02-4

『Kaguya Planet No.3 食』は、Kaguya Planetのオンラインストアで好評発売中です。また、刊行後はいくつかの書店でもお取り扱いいただきます。

オンラインストア

また、Kaguya Planetの会員にご登録いただくと、ベーシック(年間)会員の方に電子版『Kaguya Planet』を、プレミアム会員の方には電子版と紙版の『Kaguya Planet』をお送りしております。Kaguya Planetの会員に登録すると年に4回マガジンが届く他、お得な特典が複数ございますので、これを機にぜひご登録ください。特典の紹介はこちらから。

Kaguya Planet

※マガジン『Kaguya Planet』は、ベーシック(月額500円)の方にはお届けしておりませんので、登録の際にはご注意ください。またKaguya Planetへの登録方法等につきましては、こちらのマニュアルをご確認ください。

Kaguya Planetの最新情報を各種SNSで発信しております。また月に一回程度、最近の活動や最新情報をお知らせするニュースレターもお送りしております。フォロー&ご登録よろしくお願いいたします。

X(Twitter):https://twitter.com/vagopla
Instagram:https://www.instagram.com/kaguyabooks/
bluesky:https://bsky.app/profile/kaguya-sf.bsky.social
ニュースレター:こちらから登録→ https://forms.gle/eHvukwxmuZ4dAo3H7

10月のKaguya Planetはプラネタリウム特集

Kaguya Planetでは現在、プラネタリウム特集開催中。1923年にドイツのイエナで試験公開され、1925年にドイツ博物館にて世界で初めて常設されたプラネタリウム。これら2つのできごとから100周年となる2023年・2025年のあいだに、世界では様々な記念事業が行われています。

Kaguya Planetでは、10月から12月にかけて、プラネタリウムの出てくるSF短編小説などを掲載。10月は、南木義隆さんによる書き下ろし短編小説と、鬼嶋清美さんによるブックガイドを会員向けに先行公開します! また、10月24日〜、12月のプラネタリウム特集の掲載作品を公募します。特集の詳細はこちら。公募の詳細はこちら

VG+編集部

映画から漫画、ゲームに至るまで、最新SF情報と特集をお届け。 お問い合わせ

関連記事

  1. 受注受付は本日まで! 新月Tシャツをゲットしよう 『SFアンソロジー 新月/朧木果樹園の軌跡』グッズ第1弾

  2. 『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』小説版が7月26日発売 円城塔による書き下ろし

  3. Kaguya Booksより書籍の新レーベル始動! レーベル名投票受付中

  4. Kaguya Planet5月先行公開、ユキミ・オガワ「町の果て」(訳・解説 大滝瓶太) 配信開始