藤崎ほつまがBFC王者に!
2024年11月24日午前11時、第6回ブンゲイファイトクラブ (BFC6) 決勝の結果が発表され、藤崎ほつまが「静かなるもの」で優勝を果たした。
準優勝は深澤うろこ。そして決勝のジャッジを務めたのは松本勝手口だ。
藤崎・深澤両名の決勝作品「静かなるもの」と「プールの記憶」、そして松本勝手口による決勝ジャッジは、以下のリンク先で読むことができる。
藤崎ほつまは、2014年からセルフパブリッシングで小説の発表をはじめ、2016年からはセルパブ有志によるムック「このセルフパブリッシングがすごい!」の編集長を務めた。BFCでは2021年の第3回、2022年の第4回で本戦出場を果たし、今回ついに優勝の栄光に輝いた。
また、短編「かつて公園と呼ばれたサウダーヂ」が『大阪SFアンソロジー:OSAKA2045』(Kaguya Books)に所収。SF企業VGプラスが主催する第三回かぐやSFコンテストの最終候補作品に選出された「あの星がみえているか」は『第三回かぐやSFコンテスト最終候補作品集』(Kaguya Books)に収録されている。
ブンゲイファイトクラブは文芸による名誉をかけた戦いで、賞金なし、参加資格とジャンルの制限なし、ジャッジ自身もジャッジされるという前代未聞のルールを掲げた文芸イベントだ。文字数の上限は原稿用紙六枚。各試合の勝者はジャッジの判定によって決定されるが、ジャッジもまた出場ファイターからのジャッジを受け、高い評価を得たジャッジが生き残っていく。主宰は西崎憲が運営する「惑星と口笛」。
開催は今回で6回目となり、毎年この時期の風物詩のような存在だ。ブンゲイファイトクラブで腕を磨いてきた作家たちの活躍も目覚ましく、円熟した文芸イベントとなっている。
今年も盛況だったBFC
第6回ブンゲイファイトクラブにはファイター部門に241名、ジャッジ部門に7名の応募があった。ファイター部門の予選通過作品の発表を経たのち、2024年11月3日(日)にファイターの中から本戦出場に選ばれた26名の筆者名と、7名のジャッジ名が公表された。そして、翌日の11月4日(月) に一回戦の26作品が発表された。
26作品は2つのグループに分けられ、7名のジャッジは26作品すべてに得点をつけた上で、割り振られた11〜12作品に評を書く。16作品発表の10日後、1月14日(木)にファイターの深澤うろこと藤崎ほつまの決勝進出が発表され、同時に7名のジャッジによる「1回戦ジャッジ採点および評」が公開された。その4日後の11月17日(日)には決勝の2作品が、11月20日(水)には松本勝手口の決勝進出と「一回戦ジャッジをジャッジ」が公表された。そして本日11月24日(日)、藤崎ほつまが見事栄冠を手にした。
過酷なスケジュールを戦い抜いたファイターとジャッジに拍手を送りつつ、それぞれの今後の活躍にも注目しよう。
これまでのBFC
2019年に開催された第1回ブンゲイファイトクラブでは、決勝ジャッジを『構造素子』の樋口恭介が務め、『100文字SF』などで知られる北野勇作が初代王者の座に輝いた。第2回ブンゲイファイトクラブでは、決勝ジャッジを竹中朖が務め、蜂本みさが栄冠を手にした。第3回ブンゲイファイトクラブでは、決勝ジャッジを青山新が務め、左沢森が優勝した。第4回ブンゲイファイトクラブでは、決勝ジャッジを岡田麻沙が務め、冬乃くじが優勝した。第5回ブンゲイファイトクラブでは決勝のジャッジを野村金光が務め、蜂本みさが二度目となる優勝を果たした。
オンラインSF誌Kaguya Planetでは、これまでの王者が寄稿した書き下ろしSF短編小説を多数掲載している。初代王者北野勇作による「ひゃくじま」、第2回・第5回王者の蜂本みさによる「冬眠世代」と「せんねんまんねん」、そして連載『遊びの国のモシカたち』、BFC3で準優勝した坂崎かおるによる「パラミツ戦記」と「アネクドート」、そしてBFC4で優勝した冬乃くじによる「猫の上で暮らす一族の話」と「国破れて在りしもの」。どれも原稿用紙六枚という制約から解き放たれた過去の王者たちによる珠玉の短編小説だ。