ネタバレ考察『室井慎次 生き続ける者』沖田仁美はどうなった? 定年はいつ? 今後チームを組むのは… | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ考察『室井慎次 生き続ける者』沖田仁美はどうなった? 定年はいつ? 今後チームを組むのは…

©2024 フジテレビジョン ビーエスフジ 東宝

『室井慎次 生き続ける者』公開中

映画『室井慎次 生き続ける者』が2024年11月15日(金) より全国の劇場で公開された。10月に公開された『室井慎次 敗れざる者』に続く「室井慎次」二部作の後編で、再始動した「踊る大捜査線」シリーズの最新作にあたる。

今回は、『室井慎次 生き続ける者』に登場した真矢ミキ演じる沖田仁美に注目してみよう。映画『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』(2003) で初登場を果たした沖田は、21年が経過してどのように描かれたのだろうか。なお、以下の内容は『室井慎次 生き続ける者』の結末に関する重要なネタバレを含むため、必ず劇場で本編を鑑賞してから読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『室井慎次 生き続ける者』の内容と結末に関するネタバレを含みます。

『室井慎次 生き続ける者』沖田仁美はどうなった?

ここまでの沖田

前作『室井慎次 敗れざる者』では、沖田仁美が警察庁長官官房審議官になっていることが明かされた。映画『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』(2012) の時に広島から呼び戻された室井が就いていたポストだ。

沖田は『THE MOVIE 2』での初登場時には警視庁(東京都の警察本部)の管理官だったが、『THE FINAL』のラストでは警察庁の組織改革推進委員会メンバーになっている。その後、交通局担当に左遷された室井とは裏腹に出世しており、人事権を持つ沖田は室井に秋田県警本部長のポストをオファーしている。室井がこれを断ったため、新城がそのポストに収まることになった。

前作では、警察を辞めた室井、秋田県警本部長になった新城、そして警察庁の幹部となった沖田と、青島と関わった三人の元管理官はそれぞれの道を歩んでいることが分かった。一方で『敗れざる者』では沖田の見せ場がなかったのだが、『室井慎次 生き続ける者』ではしっかり沖田の見せ場が用意されていた。

新城のプランを支える沖田

まず、新城が岬で室井に秋田県警から室井の理想を実現するためのモデルを作っていくと話をした時、新城はこの件を話すために東京で沖田に会ったことを明かす。沖田は新城のこのプランを「分かってくれた」と語っており、警察庁幹部という立場である沖田もこのプロジェクトに賛同していることが示唆された。

沖田は『THE MOVIE 2』で警視庁初の女性刑事部管理官となったが、捜査に混乱をきたして本部の指揮権を剥奪された。その尻拭いをしたのが室井だったが、設定ではその後に開かれた査問会で室井が沖田を庇ったことになっている。その恩もあり、沖田は『容疑者 室井慎次』(2005) では室井の無実を証明するために奔走している。

このように沖田と室井は互いに陰ながら支え合ってきた仲である。新城が実直に自分の手で「室井モデル」を作り上げて全国に広げようとしているのに対し、沖田はそれが握りつぶされることがないように上層部から援護することになるのだろう。派手さこそないが肝要なポイントを押さえる立場になったところに沖田らしさと、『THE MOVIE 2』で冷静さを欠いていた頃からの成長が見える。

電話一本で室井を援護

そして、室井は新城から逮捕された国見昇がまだ口を割っていないことを教えてもらうと、警視庁刑事部捜査一課の桜章太郎と共に国見との面会に向かう。その室井の前に立ちはだかるのが、警視庁刑事部捜査一課の管理官である仁狩英明だ。

今の室井は一般人であり関係者ではない人物が被疑者と面会するのは規則違反だというのが、仁狩の主張だ。ごもっともな意見なのだが、かつての管理官である室井が現役の管理官に止められるという悔しい展開でもある。“現場の刑事”である桜の意向が妨げられている場面でもあったが、このピンチに登場したのが沖田仁美だった。

桜から仁狩に渡された電話の向こうで、沖田は「室井さんを中に入れて差し上げて」と指示を出す。沖田もかつては管理官だったが、『踊る大捜査線 THE LAST TV サラリーマン刑事と最後の難事件』(2012) で室井が鳥飼にやったように、沖田は仁狩の頭を飛び越えて現場に指示を出したのだ。

このシーンは、またも沖田がスマートなやり方(文字通り電話一本)で室井を助けたシーンでもある。と同時に、沖田が現場の刑事と連携をとっている姿が見れる場面でもある。桜が沖田に簡単に電話をかけられたのは、室井の存在もあってのことかもしれないが、あれから12年経ち、沖田も室井にとっての青島のような存在が現場にいるのではないだろうか。桜がそういう存在なのだとすれば、今後のシリーズでの沖田と桜のコンビに期待がかかる。

沖田仁美の今後は?

三人での活躍に期待

『室井慎次 敗れざる者』の沖田考察でも記した通り、沖田はかつていち早く監視カメラによるセキュリティ強化の重要性に気づいており、青島俊作は現在警視庁の捜査支援分析センター(防犯カメラの画像解析やスマホのデータ解析などを行う部署)にいる。ITに強い二人の相性は良さげで、警察庁幹部と警視庁の刑事としての共闘には期待したい。

ここに前述の桜章太郎が加えて、ベテラン刑事の青島、若い刑事の桜、キャリアの沖田と、室井慎次を知る三人による活躍が見てみたい。特に特殊詐欺グループなど、ITを駆使する犯罪グループに対しては力を発揮できるのではないだろうか。

沖田の定年はいつ?

一方で、沖田仁美にも定年はやってくる。日本では2023年から2032年までかけて2年に1歳ずつ公務員の定年を引き上げる計画が進んでいる。この結果、公務員の定年時期は60歳から65歳まで引き上げられるが、その影響で沖田や新城らの世代は生まれ年によって定年退職の年齢が異なる。

沖田仁美の生年月日は1968年1月31日で、『室井慎次 生き続ける者』の時点で56歳になっていると思われる。沖田は1967年12月13日生まれの青島俊作と同学年であり、二人は2032年に65歳で定年を迎える。

沖田と青島より1歳上の新城は、その2年前の2030年に64歳で定年を迎えることになる。新城秋田県警本部長を起点とした「室井モデル」の構築はあと5年がタイムリミットだ。また、新城が完成させた室井モデルを沖田の立場で守れるのは2032年までということになる。

仁狩をはじめ、室井達の意志を継ぐ次のキャリア警察も育てなければならないだろう。その先頭に立てるのは沖田に他ならない。室井と青島の影響を受けたキャリア警察の、警察庁における最後の生き残りである沖田。持ち前のスマートさを武器に、すでに仲間を抱えている可能性もある。今後の「踊る大捜査線」での沖田の活躍に期待しよう。

映画『室井慎次 生き続ける者』は2024年11月15日(金) より全国の劇場で公開。

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『室井慎次 生き続ける者』ラストのネタバレ解説・考察・感想はこちらから。

『室井慎次 生き続ける者』の新城と「室井モデル」についての解説&考察はこちらから。

『踊る大捜査線 THE FINAL』と『室井慎次 生き続ける者』を受けての恩田すみれについての考察はこちらから。

『室井慎次 生き続ける者』のラストを受けての青島俊作についての考察はこちらの記事で。

『踊る大捜査線 THE FINAL』『室井慎次 生き続ける者』を受けての鳥飼誠一についての考察はこちらから。

 

『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』ラストのネタバレ解説&感想はこちらから。

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齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。 訳書に『デッドプール 30th Anniversary Book』『ホークアイ オフィシャルガイド』『スパイダーマン:スパイダーバース オフィシャルガイド』『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース オフィシャルガイド』(KADOKAWA)。正井編『大阪SFアンソロジー:OSAKA2045』の編集担当、編書に『野球SF傑作選 ベストナイン2024』(Kaguya Books)。
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