ネタバレ解説『マッドマックス:フュリオサ』登場車両まとめ 改造車はキャラクターを映す鏡? | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ解説『マッドマックス:フュリオサ』登場車両まとめ 改造車はキャラクターを映す鏡?

©️Warner Bros. Feature Productions Pty Limited, Village Roadshow Films North America Inc., and Ratpac-Dune Entertainment LLC

キャラクターを映す鏡としての改造車

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015)のスピンオフ作品であり、人気キャラクターである警備大隊長フュリオサの前日譚を描いた『マッドマックス:フュリオサ』が2024年5月31日(金)に公開された。このように広がりを見せる「マッドマックス」シリーズだが、その中でも注目を集めるのが改造車であろう。

キャラクターの精神面を映す鏡になっていると言われている改造車たち。その改造車たちをまとめて紹介しよう。なお、本記事ではキャラクターたちが操縦する改造車をネタバレありで解説と考察、感想を述べていこう。なお、本記事は『マッドマックス:フュリオサ』のネタバレを含むため、必ず劇場で本編を視聴してから読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『マッドマックス:フュリオサ』の内容に関するネタバレを含みます。

『マッドマックス:フュリオサ』に登場する改造車まとめ

ウォー・タンク

馬力:617HP 毎分1800回転
トルク:2050LB-FT 毎分1200回転

ウェイストランド最強の改造車で、ベースはケンワース社の大型キャブ・トラック900シリーズで、1961年から現在に至るまで製造が続けられているフラグシップモデルだ。ウォー・タンクは油圧式のクレーンショベルと油圧式グラップルクレーンショベルを一基ずつ搭載しており、エンジンも2つ搭載している。その他にも銛の発射装置や最後部で鉄球付きの鎖を回転させるボミー・ノッカーなどで武装されている。ボミー・ノッカーを含むこれらの装備はオクトボス率いるSAS(特殊空挺部隊)の末裔のモーティファイアーズとの戦闘で用いられ、空中からの攻撃を凌ぎ、勝利を収めた。

タンクの表面は光沢のステンレススチールとなっており、クロームで塗装されている。更にイモータン・ジョーの偉業が彫刻されているなど、荒野のならず者たちを威圧するデザインになっている。ウォー・タンクの助手席に乗っていたアニャ・テイラー=ジョイ曰く「息を飲むほど圧巻、あれは最高の車」、運転していたトム・バークは「ウォー・タンクのライドは興奮が止まらない。信じられない体験だよ」と評している。ウォー・ボーイズだけではなく、俳優たちも魅了するようだ。

ウォー・タンクはウォー・リグという名前で『マッドマックス 怒りのデス・ロード』にも登場したが、そちらは全盛期でこちらはまだ完成したばかりということになっている。『マッドマックス:フュリオサ』でのウォー・タンクは製造されたばかりであるため、より光沢のあるデザインにしたことを美術のコリン・ギブソンが語っている。運搬用のトラック一つとってもストーリーがあることを表現している名車だ。

チャリオット

ベース車両
馬力:119HP 毎分6500回転
トルク:160LB-FT 毎分5000回転

BMW R18
馬力:79HP 毎分6500回転
トルク:110LB-FT 毎分5000回転

ディメンタスの愛車で、最初はベースがRotecの7気筒航空R2800エンジンのバイクに乗っていた。飛行機用のエンジンをバイクに用いるだけでも非常識な設計だが、チャリオットはその左右を更にバガーのBMW R18で挟み、無人の3台のバイクを戦車から手綱で操作するという危険極まりない設計となっている。これは1920年代にオーストラリアやヨーロッパで流行したモーター・サイクル・チャリオット・レースにインスパイアされたという。

ディメンタスの変化がバイクからチャリオットの変化に影響を与えており、ディメンタスの率いるバイカー・ホードの勢力が増して自信が付いたことがチャリオットの形で表現されていることをクリス・ヘムズワースが語っている。美術のコリン・ギブソン曰く、ディメンタスは操縦に大変苦労しているとのことだ。

他にもコリン・ギブソンは支配者としてのディメンタスを際立たすために既製品の枠から外れたバイクが必要となり、そこで思いついたのがRotecの7気筒航空R2800エンジンのバイクだったと語った。しかし、その製作は困難を極めたが、ディメンタスをカエサルなどローマの歴史上の人物のように描く上で非常に役に立ったことは確かだ。クリス・ヘムズワースも自身のInstagramにチャリオットのベース車両の画像を投稿している


バリアント

馬力:145HP 毎分4000回転
トルク:215LB-FT 毎分2400回転

アニャ・テイラー=ジョイが最初にトレーニングした車両で、ベースになった車両はクライスラー社のプリムス部門で製造されていた1962年式プリムス・バリアント。1950年代末に小型車市場に向けてクライスラーのエントリーモデルとして製造されたプリムス・バリアントは、『ロード・アンド・トラック』誌に「世界的規模を持つ最高の国産車の1台」と評された。V8エンジンではなくスラント6エンジンが搭載されており、スーパーターボモードになっている。逃亡用の車両であるためバイクが2台乗せてあり、塗装が剥げてまばらに赤く、車高が高いのが特徴的だ。

警護隊長のジャックがイモータン・ジョーとディメンタスの全面戦争に紛れて「緑の地」に向かうための車両として用意されたバリアントだが、その作戦は先にディメンタスが弾薬畑〈バレットファーム〉を占拠していたことで失敗する。バリアントとディメンタスの乗るシックス・フットのカーチェイスでフュリオサは左腕を負傷し、左腕を失うきっかけになった。

フュリオサを演じたアニャ・テイラー=ジョイは「あれを乗り回すのは最高だった」と評しており、もともと自動車運転免許を持っていなかったアニャ・テイラー=ジョイは『マッドマックス:フュリオサ』の撮影でスタントに挑むことでドライビングテクニックを身に着けたと英GQに語った。そのスタントは、ジョージ・ミラー監督がアニャ・テイラー=ジョイをスタントダブルの女性だと勘違いしてしまうほど。よほど気に入ったのかアニャ・テイラー=ジョイはInstagramにバリアントの動画を投稿している。


シックス・フット

馬力:1006HP 毎分6500回転
トルク:1000LB-FT 毎分5000回転

勢力を拡大し、弾薬畑〈バレットファーム〉を支配するようになったディメンタスが搭乗する6輪のモンスタートラック。その恐ろしさはディメンタスを演じるクリス・ヘムズワースに「シックス・フットは暴力的な車両だ。デカくて、クレイジーなトラックさ」と言わしめるほどで、ディメンタスの支配力が極限にまで達したことを表現しているモンスタートラックだと考えられる。

ベースになった車両はアメリカの貨物自動車メーカーであるマックトラックスが2005年まで製造し続けた設用トラックのDMシリーズ。エンジンはシボレーの454ビッグブロックエンジンで、約軽自動車11台分のエンジンの大きさを誇るエンジンを搭載している。とにかく巨大で怪物的なイメージを持つシックス・フットは、モンスタートラック選手のマイケル・シュエレブによると時速60㎞から時速65㎞で走行することが可能らしい。

後部にはフュリオサの腕を吊るし、千切れる要因をつくったクレーンが登載されているだけではなく、運転手に指示を出せる教皇シートという気品あふれる座席が設置されている。その他にもディメンタスお得意の演説用のマイクとスピーカーも備品として装備しているなど、正しくチャリオットを越えるディメンタスの支配力の増大を示す車両だと言えよう。

クランキー・ブラック

馬力:229HP 毎分5200回転
トルク:277LB-FT 毎分3000回転

イモータン・ジョーの三男のスクロータスが荒れはてた地の40日戦争のために製造した車両で、フュリオサによってディメンタスの追跡に使われた。ベース車両はシボレーで、ホットロッド仕様に改造されている。コリン・ギブソンはフロントに搭載していたV8ターボエンジンをリアへ移し、砂漠の急勾配を登れるような登山対応装置にした。

基本的なデザインは怒りの戦士としてのフュリオサに合わせて設計されたが、作中設定ではスクロータスのために用意された車両である。戦闘用車両であり、運転席から銛を発射できるような装置が登載されている。しかし、実際にはこの銛が使われることはなく、フュリオサはディメンタスをじわじわと嬲るように苦しめた。

ラストシーンの車というだけあってアニャ・テイラー=ジョイも特別な思いのあるクランキー・ブラックだが、操縦は難しい。ギアが入りにくいところもあるので、運転手は常にシフトレバーを握っていなければならなかったとのことだ。それでもアニャ・テイラー=ジョイにとって最高の車両であることに間違いはないらしい。

『マッドマックス:フュリオサ』には○○も登場?

V8インターセプター

排気量:5.8リッター
最大出力:600PS

後ろ姿だけ登場した「マッドマックス」シリーズの主人公マックス・ロカタンスキーの愛車である対暴走車両迎撃用特殊改造車。1973年製フォードファルコンXB GT クーペをベース車両に、ボンネットを突き破ったスーパーチャージャー及びダブルオーバーヘッドカムシャフトのV8エンジンが特徴的だ。ロードウォーリアーと呼ばれるマックスの愛車というだけあって、『Last V8(最後のV8)』という異名を持つ。

もともとはオーストラリアの警察組織メインフォース・パトロールの車両だったが、マックスが復讐のために無断に持ち出してからはマックスの愛車になる。長年、マックスを支える車両だったが、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』でウォー・ボーイズに奪われて爆発四散する。そのため、「マッドマックス」シリーズファンとしては元気なV8インターセプターの姿を見ることが出来て安心する面もあった。

『マッドマックス:フュリオサ』は「マッドマックス」シリーズには欠かせない改造車によって彩られている。それによって物語の骨太なものにしており、アクション映画としても『マッドマックス:フュリオサ』を成立させてくれている。改造車はキャラクターの精神を映す鏡であるため、改造車に注目することで新しい『マッドマックス:フュリオサ』の一面を観ることができるかもしれない。

マッドマックス:フュリオサ』は2024年5月31日(金)より全国劇場公開。

『マッドマックス:フュリオサ』公式サイト

「マッドマックス」は過去4作を収録した「マッドマックス」アンソロジー4K Ultra HD BOXが発売中。

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『マッドマックス:フュリオサ』のサントラは配信中。

¥1,500 (2024/10/14 20:45:11時点 Amazon調べ-詳細)

Source
ワーナー ブラザース 公式チャンネル/GQ/Chris Hemsworth Instagram/Anya Taylor-Joy Instagram

映画『マッドマックス:フュリオサ』のラストについての解説&考察はこちらの記事で。

『マッドマックス:フュリオサ』の続編についての考察と解説はこちらから。

『マッドマックス:フュリオサ』でメガホンを取ったジョージ・ミラー監督はMCU映画『ソー5』にも興味を示している。詳しくはこちらから。

『マッドマックス:フュリオサ』にはAIも用いられている。詳しくはこちらから。

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のキャスト・吹き替え声優まとめはこちらから

 

鯨ヶ岬 勇士

1998生まれのZ世代。好きだった映画鑑賞やドラマ鑑賞が高じ、その国の政治問題や差別問題に興味を持つようになり、それらのニュースを追うようになる。趣味は細々と小説を書くこと。
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