『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン1完結
ドラマ『デアデビル:ボーン・アゲイン』の最終回となる第9話が2025年4月16日(水) にディズニープラスで配信され、シーズン1の物語が幕を閉じた。シーズン2は2026年配信予定となっており、デアデビルことマット・マードックとキングピンことウィルソン・フィスクの次の物語が待たれている。
だが、そこはMCU作品。『デアデビル:ボーン・アゲイン』の最終回では、シーズン2の到着の前に他の作品に大いに影響を与えそうな展開があった。同じくニューヨークを舞台とする映画『サンダーボルツ*』にどのような影響を与えうるのか、今回は『デアデビル:ボーン・アゲイン』最終回のネタバレありで考察してみよう。
以下の内容は、ドラマ『デアデビル:ボーン・アゲイン』最終回第9話の内容に関するネタバレを含みます。
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『デアデビル:ボーン・アゲイン』が『サンダーボルツ*』に与える影響を考察
『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン1第9話ラストの展開
ドラマ『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン1では、裏社会を牛耳ってきたキングピンことウィルソン・フィスクがニューヨーク市長に就任。デアデビルことマット・マードックは親友の死をきっかけにデアデビルとしての活動を辞めてしまう。
一方で、ニューヨークの街にはミューズというヴィジランテが現れて連続殺人事件を起こしながらアートで表現と主張を続けていく。フィスクはヴィジランテの取り締まりを宣言し、正義のヴィジランテであるホワイト・タイガーは殺害されるなど、ヴィジランテは苦しい状況に立たされている。
そんな状況を前にマットはデアデビルとして復帰。脱獄したブルズアイからフィスクを救うも、その事件をきっかけにフィスクは治安回復法を施行。ニューヨーク市に、①全ての自警活動の禁止、②夜8時以降の外出禁止、③近い将来の戒厳令発令が言い渡される。
ニューヨーク州知事や最高裁に掛け合おうとしていたニューヨーク市の警察部長は始末され、フィスクは自ら指揮できる対ヴィジランテの特別部隊を持っている。ニューヨーク市の街全体がフィスクの独裁政権下にあり、ニューヨークを舞台にした他のMCU作品への影響は必至だ。
『サンダーボルツ*』はどうなる?
ドラマ『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン1の直後に公開されるMCU作品が、映画『サンダーボルツ*』だ。『サンダーボルツ*』はバッキー・バーンズ、エレーナ・ベロワらクセの強いキャラクターを集めた新チームの活躍が描かれる作品で、ニューヨークの街が舞台になる。
これまでに公開された予告映像では、かつてトニー・スタークがニューヨークに所有していたアベンジャーズ・タワーも登場する。英Empireによると、ジェイク・シュライアー監督は旧アベンジャーズ・タワーは「ウォッチタワー」と呼ばれており、ヴァレンティーナ・アレグラ・デ・フォンテーヌの管理下にあるとしている。
ニューヨークのウォッチタワーはサンダーボルツの拠点になりそうだが、同時にフィスク市政の管轄にある。『サンダーボルツ*』では、セントリー/ボブがアベンジャーズ以上の力を持つ強大な敵として登場することが予告されており、予告ではニューヨークの街が闇に包まれるシーンもある。
サンダーボルツがセントリーに戦いを挑めば、キングピンが禁止した「自警活動」にあたると思われる。一方で、セントリーはキングピンの特別部隊が適う相手でもなさそうだ。思えば『サンダーボルツ*』の予告ではここまで夜のニューヨークでの野外シーンがなく、「夜8時以降の外出禁止」という治安回復法のルールに従っているようにも思える。
『サンダーボルツ*』『デアデビル:ボーン・アゲイン』S1の時系列は?
『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン1のタイムライン
だがそれも、『サンダーボルツ*』が『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン1の後の出来事だと仮定した場合の話だ。両作の時系列はどうなっているのだろうか。
まず、『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン1の最終回は2027年4月以降の話だと想定できる。ディズニープラスの時系列順の表記によると、『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン1はドラマ『アガサ・オール・アロング』(2024) よりも後の話ということになっている。
『アガサ・オール・アロング』は『ワンダヴィジョン』(2021) から3年後が舞台。『ワンダヴィジョン』は2023年が舞台の『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019) の直後の話なので、『アガサ・オール・アロング』は2026年10月が舞台ということになる。
『デアデビル:ボーン・アゲイン』第1話ではフィスクが市長に就任して新年を祝う様子が描かれたが、本作が『アガサ・オール・アロング』よりも後の話ということは、第1話では2027年の門出を祝っていたと想定できる。『デアデビル:ボーン・アゲイン』第5話では3月17日の聖パトリックデーが舞台になっており、最終回の第9話では外に桜が咲いているため、フィスクの治安回復法は2027年4月頃に発動したものと考えられる。
『サンダーボルツ*』のタイムライン
次に映画『サンダーボルツ*』は、その2027年4月以降が舞台であることは確実だ。映画『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』(2024) では、サム・ウィルソンが受け取ったサミットへの招待状に「April 16, 2027」と書かれていたことから、2027年4月が舞台であることが分かる。
同作にはバッキー・バーンズが登場し、下院議員を目指して活動していることが明らかになったが、『サンダーボルツ*』ではバッキーは下院議員になっていることが明かされている。ゆえに時系列的には『ブレイブ・ニュー・ワールド』→『サンダーボルツ*』となり、『サンダーボルツ*』は確実に2027年4月より後が舞台であることが分かっている。
つまり、『サンダーボルツ*』ではキングピンによる治安回復法が施行されているニューヨークが舞台になる可能性は十分にある。仮に同作でニューヨークに治安回復法が施行されていなければ、同作の舞台はフィスク市政が倒れた後であると考えられる。そうなれば、『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン2でフィスク市政が終わる時期が大まかに予想できることになる。
『サンダーボルツ*』でキングピンの治安回復法が描かれるにせよ、描かれないにせよ、両作の結び付きは避けられない状況にあるということだ。7月公開の『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』もまたニューヨーク市を舞台にした作品だが、同作は別ユニバースの作品と予想されている。『デアデビル:ボーン・アゲイン』の大事件との絡みを避ける意味でも良い判断になったのではないだろうか。
米政府とニューヨークの関係に注目
キングピンとサンダーボルツがWIN-WINな訳
では、もし仮に『デアデビル:ボーン・アゲイン』最終回で描かれたキングピンの治安回復法が『サンダーボルツ*』に影響を与えると想定すると、どんな展開が考えられるだろうか。まず、サンダーボルツを率いるヴァレンティーナ・アレグラ・デ・フォンテーヌは、映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』(2022) でCIA長官になったことが明かされている。
次に、サンダーボルツのリーダー格となるバッキー・バーンズは下院議員になっているということなので、サンダーボルツは明確に米政府がリードするチームと考えてよいだろう。ニューヨーク市が治安回復法の下にあるとしても、ヴァレンティーナとバッキーが連邦の権限をかざして介入するとすれば、キングピンも個人のヴィジランテに対するような対抗措置は取れないだろう。
一方で、合衆国憲法には連邦の権限は州の権限に優先されるという原則はあるが、州と連邦が緊張関係にあることも事実だ(現実においても米トランプ大統領とニューヨーク州知事は対立関係にある)。ニューヨーク州知事にはニューヨーク市長を罷免する権限もあるが、おいそれと連邦の言いなりにはならないだろう。
ところが、センチュリーのような強大な存在がニューヨークの街を襲うとすれば、おそらく連邦政府とフィスク市政の利害は一致する。連邦からすればアベンジャーズに代わる自前の部隊で成果を出すチャンスだし、フィスク市政からすればスパイダーマンのようなヴィジランテに頼らずに、公的な力によってスーパーヒューマンの問題を解決できるからだ。
とはいえ、実際に現場で問題の対処にあたるのはバッキー、エレーナ、アレクセイらサンダーボルツのメンバーだ。サンダーボルツの仕事はアベンジャーズ不在で政府に押しつけられた汚れ仕事とも捉えられる。あまりに強力な敵を前にサンダーボルツはどう挑むのか。
政治的混乱続くMCU
『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン1後のMCUでは、ニューヨークを舞台にした作品は治安回復法の影響を受けざるを得ない。同作の直後に公開される映画が、政府組織の活躍を描く『サンダーボルツ*』と別ユニバースのニューヨークが舞台の『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』だったというのは、偶然ではなく綿密の計算の結果だったのかもしれない。
それにしても、2026年11月にサディアス・ロスが大統領就任、同年12月にウィルソン・フィスクが市長就任、2027年4月にロスがワシントンでレッド・ハルクとして暴走、同じ時期にキングピンがニューヨーク市で戒厳令の予告と、MCUの最新の時系列では政治的混乱が続いている。撮影時期はずっと前だったはずだが、現実と重なる部分も多い。
まずは映画『サンダーボルツ*』がどんな展開になるのか、そして2026年公開の映画『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ(原題)』にどんな影響を与え、『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン2でどんな結末を見るのか。引き続き注目していこう。
ドラマ『デアデビル:ボーン・アゲイン』はディズニープラスで独占配信中、映画『サンダーボルツ*』は2025年5月2日(金)より劇場公開。
齋藤隼飛訳、マーベル・スタジオの歴史をアート部門トップのライアン・メイナーディングのアートと共に振り返る『マーベル・スタジオ:ジ・アート・オブ・ライアン・メイナーディング』は5月2日発売で予約受付中。
Source
Empire
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