ネタバレ解説『ザ・ボーイズ』のV52は嘘ではない? 一部は事実だと制作陣が認める | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ解説『ザ・ボーイズ』のV52は嘘ではない? 一部は事実だと制作陣が認める

© Amazon Content Services LLC

Amazonがヴォート社と同じことをしようとしていた?

社会風刺を行ない、セレブリティと軍需産業、資本主義を批判してきた「ザ・ボーイズ」シリーズ。そのシーズン4第5話「ジャバウォックに気をつけろ」では、ヒーローたちを生み出したヴォート社がヒーローたちを主人公にした映画を発表するイベントV52が公開された。そこで発表された社会風刺かと思われた要素が実際にあったことを制作のエリック・クリプキが認めた。

本記事では『ザ・ボーイズ』シーズン4第5話「ジャバウォックに気をつけろ」で描かれるV52について解説と考察をしていこう。なお、本記事は『ザ・ボーイズ』シーズン4第5話「ジャバウォックに気をつけろ」のネタバレを含むため、本編視聴後に読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『ザ・ボーイズ』の内容に関するネタバレを含みます。

Amazonからの提案について解説

『ザ・ボーイズ』シーズン4第5話「ジャバウォックに気をつけろ」では、人種ごとにキャラクターが持つ商品が変わるカスタムデジタルプロダクトプレイスメントという機能がV52で紹介された。たとえば、黒人の視聴者が番組を見ると、キャラクターの持っていた物がコニャックに変更されるといったように、人種を含む視聴者の属性によって商品が変わるというものだ。

これに対し、Aトレインをはじめとする黒人ヒーローは終始引き気味であり、黒人の観客の反応も芳しくなかった。これに乗り気だったのはディープをはじめとする白人だけであり、ヴォート社の白人至上主義傾向を感じさせるものだった。しかし、これは完全なジョークではない。「ザ・ボーイズ」シリーズの制作者であるエリック・クリプキは、カスタムデジタルプロダクトプレイスメントが実際にAmazonから提案されたものであることを自身のX(旧Twitter)で認めた。

カスタムデジタルプロダクトプレイスメントは実在するんですよ。Amazonが『ザ・ボーイズ』のために提案してきました。しかし、シーズン4では絶対ジョークにすると決めていました。

実際に行われたV52の告知

他にもV52で紹介された映画は米DiscussingFilmのXのアカウントで紹介されている。その内容は実際のMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)やDCEU(DCエクステンデッド・ユニバース)、それ以外の大作映画をもとにしたジョークが満載だった。

Aトレインが主演を務める『A-TRAIN: INTO THE MULTIVERSE』では、ヴォート・スタジオは「視覚効果とスローモーション撮影における画期的な成果によって、まるでAトレインが普通の速さで走っているかのようです」と評していることを明かしている。これはおそらく『ザ・フラッシュ』(2023)でフラッシュ/バリー・アレンを演じたエズラ・ミラーが舞踊をもとにした独特な走り方をしていたことをジョークにしていると思われる。


ディープが主演を務める『THE DEEP: SECRETS OF ATLANTIS』では、ケイト・ウィンスレットよりも長時間水中にいたことを注目ポイントとしてあげている。これは『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』(2022)の撮影でケイト・ウィンスレットが7分15秒間息を止めて水中で撮影したことをジョークにしていると考察できるが、ディープは鰓があって水中で呼吸できるため、当然のことである。

他にも2代目ブラック・ノワールが指示待ち人間であることを揶揄した『BLACK NOIR: BACK TO HANOI 3』、テックナイトの穴への執着を脚本の穴とひっかけた『THE TEK KNIGHT』、ライアンに拒否された『SUPER SCHOOL』などについても米DiscussingFilmのXのアカウントで投稿されている。このような遊び心のある展開に期待したい反面、実際にカスタムデジタルプロダクトプレイスメントを実行しようとしたグロテスクさに複雑な感情を抱いてしまう。エリック・クリプキが今後の『ザ・ボーイズ』でどのように社会を切るのか注目したい。

ドラマ『ザ・ボーイズ』シーズン4はAmazonプライムビデオで配信中。

原作コミックの日本語版は、G-NOVELSから第6巻まで発売中。

誠文堂新光社
¥3,300 (2024/07/03 16:49:07時点 Amazon調べ-詳細)
¥3,564 (2024/07/03 13:06:11時点 Amazon調べ-詳細)

Source
Eric Kripke X/DiscussingFilm X

 

『ザ・ボーイズ』シーズン4第5話のネタバレ解説&考察はこちらから。

シーズン4第4話のネタバレ解説&考察はこちらから。

シーズン4第3話のネタバレ解説&考察はこちらから。

シーズン4第2話のネタバレ解説&考察はこちらから。

シーズン4第1話のネタバレ解説&考察はこちらから。

 

『ザ・ボーイズ』シーズン3最終話のネタバレ解説&考察はこちらから。

スピンオフドラマ『ジェン・ブイ』シーズン1最終回のネタバレ解説&考察はこちらから。

 

『ザ・ボーイズ』のシーズン5での終了についてエリック・クリプキ監督が語った内容はこちらの記事で。

『ジェン・ブイ』シーズン2についての情報はこちらから。

「ザ・ボーイズ」フランチャイズの更なるスピンオフ展開についてはこちらの記事で。

鯨ヶ岬 勇士

1998生まれのZ世代。好きだった映画鑑賞やドラマ鑑賞が高じ、その国の政治問題や差別問題に興味を持つようになり、それらのニュースを追うようになる。趣味は細々と小説を書くこと。
お問い合わせ

関連記事

  1. 『ザ・ボーイズ』シーズン3、『ウォーキング・デッド』のジェフリー・ディーン・モーガン出演に現実味

  2. 「私は白人で異性愛者で中流階級」——『バンダースナッチ』コリン役ウィル・ポールターが語ったマジョリティの責務

  3. 【あらすじ】Amazonドラマ『アップロード ~デジタルなあの世へようこそ』は『The Office』監督が手がけるSFコメディ

  4. ネタバレ! 『シークレット・インベージョン』最終回のポストクレジットについて監督が明かす