『スター・ウォーズ:スケルトン・クルー』第3話はどうなった?
ドラマ『スター・ウォーズ:スケルトン・クルー』は2024年12月から配信を開始した「スター・ウォーズ」シリーズ最新作。『マンダロリアン』(2019-) と同じ新共和国を舞台に、子ども達とジュード・ロウ演じるフォースを操る謎の人物の冒険が描かれる。
ドラマ『スケルトン・クルー』は第3話目が配信される2週目からは日本時間の水曜日午前11時に配信される。今回は、『スケルトン・クルー』の第3話について、ネタバレありで解説&考察し、感想を記していこう。以下の内容はネタバレを含むので、必ずディズニープラスで本編を視聴してから読んでいただきたい。
以下の内容は、ドラマ『スター・ウォーズ/スケルトン・クルー』第3話の内容に関するネタバレを含みます。
Contents
『スター・ウォーズ:スケルトン・クルー』第3話ネタバレ解説
不気味なアト・アティン
ドラマ『スケルトン・クルー』第3話は第2話と同じくデヴィッド・ロウリーがエピソード監督、クリストファー・フォードとジョン・ワッツが脚本を共同で手がける。この布陣は一旦、第3話で見納めということになる。
第1話で宇宙に飛び立ってしまったウィム、ファーン、ニール、KBの四人。第3話冒頭では宇宙船が飛び立つのを目撃したウィムの父、管理局次官のファーンの母、ニールの母、そして初めてKBの両親が登場。4人の失踪を受けて集まっているようだ。
4人は心配している様子だが、管理局次官であるファーンの母ファラは当局の調査力を信頼している様子。しかし、やってきたドロイドによって、違法にバリア外に出たため連絡ができないと調査できない旨を言い渡されている。
ここでウィムの父ウェンドルは「共和国に支援を要請できるか?」と言っている。やはり第1話のファラに続いてウェンドルも「新共和国」ではなく「共和国」と呼んでいるのだ。ファラだけに固有の呼び方ではなかったようだ。それに、「管理官」と呼ばれる人物が姿を見せないことも不気味だ。
君の名は…
一方、4人とフォースを操る謎の人物は脱獄に成功していた。いつでも逃げられたのに、という疑問については、やはり船がなければ意味がないと考えていたようだ。アト・アティンに眠る宝が狙いかというニールの質問は否定し、ウィムは「ジェダイだぞ」と援護している。だが、この時点っでこの人物は「フォースの導き」とは言っているが、「ジェダイ」という単語は使っていない。
そして、ジュード・ロウ演じるこの人物の名前は「ジョッド・ナ・ナウッド」ということが明らかになる。英語表記は「Jod Na Nawood」で、「Obi-Wan Kenobi(オビ=ワン・ケノービ)」のようにハイフンが入っているわけではなく、「Jar Jar Binks(ジャー・ジャー・ビンクス)」や「Jabba Desilijic Tiure(ジャバ・デシリジク・ティウレ(ジャバ・ザ・ハットの本名))」のように三つに区切られている。
このことから、ジョッド・ナ・ナウッドは私たちが知る平均的な「スター・ウォーズ」キャラクターとは違う文化圏から来ているとも考えられる(あくまで本名なら、だが)。「スター・ウォーズ」世界では、スカイウォーカー家のようにファミリーネームが後に来る場合と、ディン・ジャリンとディン・グローグーのようにファミリーネームが先に来る場合もあり、名前については様々な様式がある。
ジャワに懐かしのドロイドも
フェムは「ジェダイは正義と平和の守護者」と主張するが、奪ったブラスターを持つジョッド・ナ・ナウッドの姿は、むしろハン・ソロを彷彿とさせる。ボーゴには、ジャワ族の姿もある。惑星タトゥイーンに住む民族で、『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』(1977) から『マンダロリアン』まで、様々な作品で姿を見せている。
街で揉め事を起こしているのは、先ほど牢屋の廊下で背中を押されて歩いていた別の囚人だ。逃げられてもまた捕まるという緊張感が演出されている。それでも難なく船にたどり着いた一行だったが、ドロイドのSM-33が置き去りになっており、ジョッド・ナ・ナウッドが助けに行くことになる。
「ジェダイは誰も見捨てない」という子ども達に対し、ジョッド・ナ・ナウッドは「ジェダイはそんなこと言っていない」と反論している。一方で、「ジェダイなんでしょ」という問いかけには「もちろん」と答えている。自らジェダイだと名乗ることはなく、受け身でジェダイであることを受け入れる格好となっている。
街ではシルヴォが脱獄したと騒ぎになっていた。シルヴォは第1話冒頭でブルータスに謀反を起こされた海賊の元船長だ。その騒ぎを横目にドロイド修理屋に忍び込んだジョッド・ナ・ナウッドだが、この時点でSM-33を見たことがないため、一台ずつ起動させている。
「王子が危ない」と騒ぐドロイドは、かつて『エピソード4』でR2-D2がレイア“姫”の危機を伝えたことのパロディだろう。目覚めたバトルドロイドが「俺たち勝った?」と言うのは、旧共和国時代のクローン戦争時から電源を落とされていたためだと考えられる。帝国は分離主義勢力が使用したバトルドロイドの生産と使用を禁止していたからだ。
そしてジョッド・ナ・ナウッドはSM-33と頭の中のネズミを発見。ニールが頭の中のネズミも連れてきてと言っていたことで、ジョッド・ナ・ナウッドはこのドロイドがSM-33だということに気づいたのだ。
ジョッド・ナ・ナウッドの正体
しかし、そこに現れたベンジャー・プラニックという海賊の一員によって、ジョッド・ナ・ナウッドの正体が第1話でマスクをしていた海賊の元船長シルヴォだったことが明らかになる。アト・アティンの伝説は「いつも話していた儲け話」だったようだ。だが、そもそもシルヴォが謀反を起こされた原因は、シルヴォが宝の山だと思っていた輸送船の貨物庫が空だったことだ。その嗅覚はもはや信用されていない。
子ども達の方もジョッド・ナ・ナウッドのことを疑っている。確かにフォースを見せたのは鍵を浮かせた場面だけ。ファーンは、リパルサー・リフト(スピーダーなどを浮遊させる技術)や「ヒモ」でも物は浮かせられると主張する。
この「ヒモ」という言葉は英語で「String」になっており、ドラマ『スター・ウォーズ:アコライト』(2024) に登場した魔女の集団がフォースを「糸(Thread)」と表現したことと重なる。この魔女の集団はジェダイではないフォースの使い手だったが、ジョッド・ナ・ナウッドもまたジェダイとは異なるフォースの使い手なのかもしれない。
追われながらも船に戻ってきたジョッド・ナ・ナウッドは、給油ホースを絡ませて他の船達をドミノ倒しのように巻き込みながらハイパースパース・ジャンプを敢行。めちゃくちゃだが流石は海賊の元船長。見事な腕前だ。
ジョッド・ナ・ナウッドはアト・アティンのことを知りたがりながらも、子ども達の分の食事も用意しており、善人か悪人か図りかねる状況が続く。一方で、ドロイドのSM-33に対しては強い態度を見せており、初期ディン・ジャリンのドロイド嫌いを思わせる。
ジョッド・ナ・ナウッドが船内に刺さったナイフを自分のものにする場面も。「スター・ウォーズ」といえばライトセーバーのようなレーザー武器のイメージがあるが、続三部作でレイが使っていたり、マンダロリアンも武器の一つとしてナイフを使っている。
子ども達の方は、自分達の親が分析官という事実に疑問を持ち始める。何を分析しているのかと。KBは確率的にジョッド・ナ・ナウッドがジェダイではないと考えていたが、ジョッドは銀河では勘も大事だと告げる。いかにも海賊らしい考えだ。
旧共和国の宝石
一同は星に詳しいジョッド・ナ・ナウッドの古い友人がいるという月に着くが、ジョッドはその人物は信用ならないという。その相手はキムという名のフクロウと猫を合わせたような見た目の人物で、ジョッドはキムには「クリムゾン・ジャック」という名を名乗っていたらしい。一体いくつ名前があるのか……。
なんだかテーマパークっぽいキムの基地。銀河中の星図を持っているということで、今後、他の作品にも登場しそうだ。キムはアト・アティンについて、銀河から意図的に隠されている「旧共和国の宝石(Jewels of the Old Republic)」の一つだと明かす。旧共和国の宝石は保護するために隠された惑星や秘境で、星図には9の惑星が描かれているが、アト・アティンを除いて大昔に破壊されたという。
今ではこの話はおとぎ話や海賊の歌にしか登場せず、だからジョッドはアト・アティンのことを知っていたのだ。キムは、星の特性を元にアト・アティンの場所を絞り込むことに。KBは学校でコルサントとオルデランについて学んだと話すが、キムは子ども達がオルドランに何があったか知らないことに驚きを隠せない。
コルサントは共和国時代と帝国時代の首都惑星のことで、新共和国時代は首都惑星は各星の持ち回りになっている。オルデランはレイアとオーガナ一族の故郷で、ドラマ『オビ=ワン・ケノービ』(2022) にも登場した豊かな惑星だったが、デス・スター完成時に見せしめとしてスーパーレーザー砲を放たれて消滅した。
続いて、アト・アティンはガス星雲によって周囲から隠されていたこと、そこに住む人々はバリアの外に出ないことが「大いなる事業」の一部だと教えられていたことも明らかになる。キムはさらにファーンが持っていた学級委員長のバッジの記章に「パルマー数字(Palmarish numerals)」が使われていることを発見。元ネタは「スター・ウォーズ」の有名なオープニングクロールをジョージ・ルーカスと共に制作したブライアン・デ・パルマだろうか。
“スケルトン・クルー”誕生
様々な情報の断片を組み合わせて座標を洗い出そうとするキムの試みは、ワクワクするものではあるが、どうやら時間稼ぎをしていたらしい。ジョッド・ナ・ナウッドには海賊からの懸賞金もかけられていたが、キムが呼んだのは新共和国スターファイター部隊のXウイングだった。
だが、キムはちゃんと座標は出しており、ジョッド達はそれを奪って逃げることに。ジョッドを信用していないKBはキムから「頭を使い、真実を手に入れる」ことを告げられて別れている。子ども達の中でも一人冷静なKBがキーパーソンになりそうだ。
船で飛び立つ前に、ジョッドは本当の正体を聞かれ、自分も子ども達と同じ迷子だと認め、ジェダイではないことを示唆する。家まで送る代わりに「信用と少しの報酬」をもらうことを条件に、ジョッドは子ども達の手下になるのだった。
だが、船に乗ってしまえば流石は元船長。ニールに操縦を委ね、KBが座標とハイパースペースジャンプ係、ファーンとウィムが狙撃手と見事に役割を分担している。第3話のラストでようやく“クルー”らしくなった。ちなみに「スケルトン・クルー」の意味は、チームの骨格になるような「最小限の乗組員」のことである。
ジョッド達はXウイングから逃げ切ってハイパースペースジャンプに成功。Xウイングのパイロットは子どもが中にいたことで無理な追撃ができなかったのだ。キムは、その行き先について、「言っても信じない」と答えたところでドラマ『スケルトン・クルー』第3話は幕を閉じる。
ドラマ『スケルトン・クルー』第3話ネタバレ考察&感想
ジェダイ? それとも…
ドラマ『スター・ウォーズ:スケルトン・クルー』第3話では、意外と早くジュード・ロウ演じるキャラクターの正体が明らかになった。ジョッド・ナ・ナウッドを名乗るこの人物が海賊の元船長シルヴォなのだとしたら、船長に上り詰めるくらいだから長らく海賊として活動してきたと想像できる。
しかし、顔を隠して海賊をやっていたこと、クリムゾン・ジャックという第三の名を持っていたことも気になるポイントだ。どうもその正体を隠して生きてきたように思える。それに、「ジェダイは誰も見捨てない」とジェダイは言っていないと否定したことも、逆説的にジェダイのことを知っているということにならないだろうか。
仮にジョッド・ナ・ナウッドが帝国の時代が終わってもジェダイとしての過去を隠して生きているとすれば、その背景には何があるのだろうか。ドロイド嫌いの一面も気になるところ。『マンダロリアン』では、主人公ディン・ジャリンは幼い頃にクローン戦争でドロイド軍の攻撃によって両親と故郷を失ったことでドロイド嫌いになったという過去があった。ジョッドにもそうしたトラウマがあるのだろうか。
「スター・ウォーズ」ではジェダイ以外にもフォースを操る人々は複数登場している。『アコライト』の終盤、第7話ではフォースを操る魔女の集団からマザー・コリルが黒い霧になって消えた。魔女の集団は存在を隠して生きており、ジョッドがジェダイ以外の集団の出身で身を隠していた可能性もあるだろう。
それにしても、頼れるカリスマかと思いきや裏のある人物だったという設定は、映画『キャプテン・マーベル』(2019) でジュード・ロウが演じたヨン・ロッグを思わせる。だからこそ、『スケルトン・クルー』ではもう一段階も二段階もどんでん返しが待っているような気もする。
アト・アティンについては、意図的に保護するために隠された惑星であることが明らかになった。パルパティーンもその存在を知らず、帝国の支配からも逃れられたということだろう。新共和国時代は、マンダロアの復興やら帝国の残党の勃興やら事件が続く。アト・アティンの“発見”が新共和国にどのような影響を及ぼすのかにも注目したい。
全8話で構成される『スター・ウォーズ:スケルトン・クルー』。折り返しとなる第4話の配信も楽しみに待とう。
ドラマ『スター・ウォーズ:スケルトン・クルー』は2024年12月3日(火) よりディズニープラスで独占配信。
絵本『STAR WARS マンダロリアンとグローグー』は2025年1月20日発売で予約受付中。
2025年のウォールカレンダーも発売中。
『スケルトン・クルー』第4話のネタバレ解説&考察はこちらから。
第2話のネタバレ解説&考察はこちらから。
第1話のネタバレ解説&考察はこちらから。
4月23日配信開始の『キャシアン・アンドー』シーズン2の情報はこちらから。
【ネタバレ注意】『スター・ウォーズ:アコライト』最終話の解説&考察はこちらから。
【ネタバレ注意】ドラマ『アソーカ』シーズン1最終回のネタバレ解説&考察はこちらから。
【ネタバレ注意】アニメ『バッド・バッチ』シーズン3フィナーレの解説はこちらから。