『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン2第1話配信開始
デアデビルが帰ってきた。2025年にシーズン1が配信されたドラマ『デアデビル:ボーン・アゲイン』のシーズン2が、2026年3月25日(水) よりディズニープラスで独占配信を開始した。本作は、かつてNetflixで配信されていたドラマ『デアデビル』(2015-2018) を引き継ぎつつ、同作を中心とする〈ディフェンダーズ・サーガ〉をMCUに合流させた重要作だ。
一方で、シーズン1はそれまでのMCUドラマとは一線を画すシリアスなテイストで話題を呼び、ファンからも高い評価を得ている。すでにシーズン3への更新も発表されているが、シーズン2ではどんなストーリーが描かれるのか。今回は『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン2第1話をネタバレありで解説&考察していこう。以下の内容はネタバレを含むので、必ず本編をディズニープラスで視聴してから読んでいただきたい。
以下の内容は、ドラマ『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン2第1話の内容に関するネタバレを含みます。
Contents
『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン2第1話ネタバレ解説
これまでの『デアデビル:ボーン・アゲイン』
『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン1では、犯罪王として知られていたキングピンことウィルソン・フィスクがニューヨーク市長選で当選。問題のある警官を集めた自警団制圧チームを結成し、シーズン1の最終回では治安回復法の施行を宣言した。すべての自警活動を違法とし、近い将来に夜8時以降は外出禁止とする戒厳令を敷くと表明している。
シーズン1でポイントとなったのは、キングピン不在のニューヨークで組織を仕切っていた妻のヴァネッサが、ブルズアイことポインデクスターを雇ってフォギーを殺害していたことだ。フォギーはキングピンとヴァネッサが開発を進める港のレッド・フックが、歴史的経緯から国にも州にも属さない地域であることを突き止めていた。
レッド・フックで捕まった窃盗犯の弁護にあたり、フォギーはそこが法の適用されない地域であることを盾に裁判を戦おうとしていた。しかし、レッド・フックに美術品を集めて資金洗浄を行なっていたと思われるヴァネッサは、フォギーがレッド・フックの秘密を明らかにすることを阻止するため、ブルズアイにフォギーを殺害させたのである。
脱獄したブルズアイはキングピンを襲撃。狙撃するがマットはフォギー殺しに関与していなかったキングピンを身体を張ってかばったのだった。一方のキングピンは、この襲撃を利用して治安回復法の施行を宣言している。
現実での変化
なお、『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン1は、現実の政治状況を反映させたような描写が話題になったが、シーズン2までの一年間で現実でも大きな変化があった。ICEの暴走と新たなニューヨーク市長の誕生だ。
ICE(アメリカ合衆国移民・関税執行局)は、ドナルド・トランプ大統領の政権下で潤沢な予算が与えられると、取り締まりがエスカレート。2026年1月には米市民のレネー・グッドを公然の場で射殺したことが話題となり、全米で抗議活動が行われた。
キングピン直属の部隊が「マスクをしていないこと」を誇りにしていたドラマとは逆で、ICEは職員が徹底的にマスクをつけて身分を隠すことで知られる。トランプ大統領はICEの派遣を脅しに使うようになっており、キングピンの姿勢と重なる部分も多い(もっとも、トランプ政権に限らず、権力者が超法規的な親衛隊を抱えるのがファシズムの傾向ではある)。
もう一つの変化が、新たなニューヨーク市長にゾーラン・マムダニが34歳の若さで選出されたことだ。民主党所属で“アメリカ民主社会主義者”に属し、トランプ政権との対決姿勢を鮮明にしているマムダニ市長の誕生は、『デアデビル:ボーン・アゲイン』でのキングピン市長の誕生とは対照的な出来事として注目を集めている。
半年後のデアデビル
『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン2第1話は、前シーズンの第1話と同じくアーロン・ムーアヘッド&ジャスティン・ベンソンが監督、ダリオ・スカーダペインが脚本という布陣で制作されている。第2話も同じタッグとなるようで、シーズン2第1話と第2話はセットの物語になりそうだ。
『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン2第1話では、前回のラストでジョージーズに集まった善意の警官を含む市民に「街を取り戻そう」と語りかけたデアデビルことマット・マードックと、ニューヨークの街のその後が描かれる。
BB・ユーリックが運営していたBBレポートでは、パニッシャーのロゴをつけた自警団制圧チームのAVTF(アンチ・ヴィジランテ・タスク・フォース)が笑顔で街に立つ姿や、「ニューヨーク・ボーン・アゲイン」というフィスクの標語が映し出される。「ニューヨークは今が最高」という市民の声も。
シーズン1の最終回では市民の姿が消えたニューヨークの街が映し出され、市民の“沈黙”を表現していた。シーズン2の冒頭では、BBレポートもキングピン市長寄りの報道をするようになっていることが示される。
一方のマットは、ブルックリン・ブリッジの下、イーストリバーを通る船を襲撃していた。余談だが、ブルックリンといえばスティーブ・ロジャースとバッキー・バーンズの出身地である。
胸に「デアデビル(DareDevil)」のイニシャルである「DD」のロゴが入った新しいコスチュームを身にまとったマット。胸に「DD」と書かれた黒いデアデビルは、原作コミックの「シャドウランド」での姿を思わせる。
自警活動が違法化され、厳しく取り締まられているニューヨークにおいても、デアデビルは活動をやめていなかった。むしろ、自身がデアデビルであることを示す「DD」の文字を敢えてカメラに見せて存在をアピールしている。前作から半年が経っても、マットは抵抗を続けていたのだ。
デアデビルが襲撃した船には大量の武器が積まれており、船長らは襲撃を受けて指示通りに船を沈めてしまう。『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン2は、こうして大規模なアクションシーンから幕を開けることになった。
約束はどうなった?
マットは、カレン・ペイジと共にジョージーズを拠点にしていると思われる。カレンも戦えるように自分を鍛え始めている。デアデビルが襲撃したノーザンスター号からはロケットランチャーなど軍用の武器が見つかったといい、この武器を誰が何のために欲しがったのか、ということが『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン2の争点になりそうだ。
なお、旧シリーズの『デアデビル』シーズン3最終回から『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン1までは、キングピンとマットの間で「キングピンがデアデビルの正体をバラさず、カレンとフォギーに手出ししない限り、マットはヴァネッサがFBI捜査官暗殺の指示を出したことを口外しない」という抑止が成立していた。キングピン市政が圧倒的優位性を持つ現在では、その約束は意味をなさなくなったものと考えられる。それにヴァネッサはアダム殺害やフォギーの殺害指示という悪事に次々と手を染めており、秘密を握っているのはマットだけではなくなっている。
厳しい状況下だが、熱い口付けを交わすマットとカレン。シーズン1ではヘザーとの新たな恋が描かれたが、ヘザーはキングピン市政のメンタルヘルス責任者になってしまっている。その直前には、フィスクを庇って撃たれたマットが目を覚ました時にヘザーに「カレン?」と言ってしまっていた。元の鞘に収まるのも無理はないか。
また一回り大きくなったように見えるキングピンは、デアデビルとカレン・ペイジを追うよう指示。マット・マードックを指名手配しないのは、世間的には「市長を救った弁護士」ということになっているからだろうか。
そして、『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン2で初登場となった重要キャラも。ノーザンスター号沈没のニュースを見る人物の背後にはホワイトハウスが見え、電話を受けたこの人物が連邦政府があるワシントンD.C.からニューヨークに向かうことが示唆されている。
カレンが連絡を取る相手
間に挿入されるBBレポートでは、やはり船の沈没に関して自警団を悪党扱いする市民の声が紹介されている。ロックダウンや部隊の派遣も支持するという市民。半分だけ沈んだ船は象徴的なモニュメントになっており、ニューヨークという街が“沈みゆく船”であることを示しているかのようだ。
BBレポートを観ていたカレンは、フィスクが怒っているせいで情報源と会うのが遅れそうと話し、その情報源がBBレポートを運営するBB・ユーリックであることが示唆されている。カレンは、復活し続けるキングピンにウンザリしているが、マットも「追求は免れない」としつつも「そう信じよう」と言うしかない。確かにマヤ・ロペスに殺されても死なず、“治癒”を受けても悪党に返り咲いたウィルソン・フィスクのしつこさったらない。
一方で、カレンは「ジェシカ」から積荷目録と船長および一等航海士の情報を受け取る。二人はキプロス人で家族がアストリア(クイーンズの地区)にいるという。クイーンズといえばスパイダーマンことピーター・パーカーの地元だ。
そして、ここで名前が出た「ジェシカ」というのは、もちろんドラマ『ジェシカ・ジョーンズ』(2015-2019) の主人公で、デアデビルと同じくヘルズ・キッチンを拠点にするジェシカ・ジョーンズのことだろう。カレンとジェシカに深い繋がりはなかったはずだが、シーズン1で結成を表明した「部隊 (army)」の一員として声をかけられたものと考えられる。ジェシカ・ジョーンズはスーパーパワーもあるが探偵でもあり、シーズン2第1話でも調査員として力を貸してくれたようだ。
アノ人からの使者
キングピンことウィルソン・フィスク市長は、ニューヨーク州のゴメス副知事、スティーヴルド州司法長官から詰められていた。自警団をテロリスト扱いし、自警行為は例外なく終身刑という強硬姿勢について、知事や州司法長官に何の相談もなかったと怒られているのだ。
確かに、シーズン1でキングピンが打ち出した施作は、いち市長にできることの範疇を超えており、米国のファンの間では「リアリティーがない」という指摘はあった。ここでようやく州から監視を行うという展開が挿入される。この辺りも制作陣のケアが細やかだ。
しかし、そこに現れたのは、マシュー・リラード演じるミスター・チャールズ。先ほどワシントンD.C.でニュースを見て電話を受けていた人物だ。ちなみにチャールズが食べている「ギロ・キング」は、マンハッタンに実在するハラル地中海料理店である。
「ラングレーから来た」というミスター・チャールズ。ラングレーとはCIA本部があるバージニア州の地名のことで、つまりCIAを指す言葉だ。するとスティーヴルド州司法長官が電話を受け、「わかりました、デ・フォンティーヌさん」と応答すると、キングピンの計画全てに賛同し、監視も必要ないと手のひらを返すのだった。
デ・フォンテーヌとは、もちろんヴァレンティーナ・アレグラ・デ・フォンテーヌのことだ。ドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』(2021) でジョン・ウォーカー、映画『ブラック・ウィドウ』(2021) でエレーナ・ベロワの前に現れ、映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』(2022) ではCIA長官に就任したことが明かされた。
映画『サンダーボルツ*』(2025) では、ニューヨークを舞台に、結果的に“ニュー・アベンジャーズ”の結成会見を開いている。『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン2でも、CIAからチャールズを寄越したということは、変わらずCIA長官の座にあるのだろうか。
なお、『ワカンダ・フォーエバー』では、CIA捜査官のエヴェレット・K・ロスがヴァレンティーナの元夫であったことが明らかになっている。その後、ロスは逮捕されるが、ワカンダ王国のオコエらに救出されており、ワカンダに渡ったものと考えられる。ミスター・チャールズはロスの後釜となるヴァレンティーナの右腕といったところだろうか。
マットのパートナーたちのその後
カレン・ペイジは自警団を幇助した疑いで指名手配されていた。『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン2第1話ではこれ以降、カレンは外では変装した状態で登場することになる。ウィッグとメイクで見事に変装しているので、視聴者はやや混乱するかもしれない。
マットの元恋人ヘザー・グレンは、前回のラストで拘禁されている姿が映し出されていたソーズマンことジャック・デュケインと面談している。ジャックは「弁護士を頼んだら精神科医が来た」と不満を漏らしている。
「大の大人がコスチュームを着て警察とやりあえば精神鑑定は不可欠」というヘザーの意見は尤もらしいが、ジャックは自警活動を否定。精神鑑定は検察と弁護側の承認後に行うようヘザーに告げている。
ジャックはここで「法律には詳しい」と言っているが、確かにジャックはドラマ『ホークアイ』(2021) でも誤認逮捕されたが、あっさりと釈放されてパーティー会場に姿を見せていた。だが、法律も権力も上書きされる“暴力”をちらつかせることで、ヘザーはジャックに鑑定を受けさせる。この場所は市の管轄外で、見張りはなんでもすると脅すのだ。
ヘザーがこうなってしまった理由は、明らかに前シーズンでミューズに襲われ、自衛のために射殺してしまった経験が背景にある。ヘザーはジャックの背後の窓の中に自分が射殺したミューズの姿を見ており、どんな手を使ってもヴィジランテを葬らねばという強迫観念に襲われている。
ヘザーが最後に聞いた「科学技術雑誌を読む」への「いいえ」というジャックの応答は、「科学的な思考ができず凶暴」とでも評価されるのだろう。評価者が権力の側に立ち、恣意的な判断を下す危険な状況だ。
マットのビジネスパートナーだったキルスティンのオフィスには、特別部隊に拘束された人の親族からの依頼が殺到していた。被害者は貧しく、事務所も資金難に陥っているといい、元刑事で調査員として雇われているチェリーへの報酬もないという。
そんなキルスティンの弁護士事務所を訪れたベン・ホックバーグ検事は、キルスティンの元上司だったそうで、この事務所を「Legal aid hospital」と表現する。「Legal aid」とは、低所得者向けの無料または低価格の法律扶助サービスで、日本でいうところの「法テラス」に近い。そこに「hospital(病院)」までつけることで、「安請け合いの救済施設」というニュアンスで指摘しているのだ。
ホックバーグは「デュケインの裁判で負ければ恥」と言っており、キルスティンがジャックの弁護を行うようだ。さらに「証拠に意味があるとでも?」と、法曹とは思えない発言をして、「検事局に戻ってこい」と誘ったキルスティンに「クソ食らえ」と、MCUでは数少ないFワードで追い返されている。検察までもがキングピンの手中に。あとは市民で構成される陪審員に望みを託すしかないか……。
そのキルスティンの前から姿を消したマットだが、チェリーとは密会しており、フィスクはレッド・フックに武器を隠すつもりだとして、取引相手を見つけ出そうとしている。マットはチェリーのことは頼りにしているようで、ジェシカから得た密輸の共犯者、船長のアキレオと一等航海士のクリストフィを調べるよう依頼するのだった。
アキレオとクリストフィの家族が暮らすアストリアにあるギリシャ料理店には、AVTFのパウエル巡査が乗り込んでいた。店主がギリシャ語で「F⚪︎⚪︎king Fascist.(ファシスト野郎)」と言い放つが、AVTFは匿われていたアキレオを暴力的に確保したのだった。それにしても、街の中に抵抗する人々がいるというのは勇気づけられるし、ジョージーズのジョージーなど、地域を支える店のオーナーがそういう立場に立つという設定は納得感もある。
フィスク政権のアキレス腱?
この後で挿入される、“本来のBBレポート”っぽい映像は何だったのだろうか。BBレポートの映像を「FAKE」としてBB・ユーリックを糾弾し、殺されたおじのベン・ユーリックは哀しむとまで言っている。フィスクがベンを殺したことを知っているということは、BB自身の思いを反映させた映像なのかもしれない。
市長代理(副市長)になったダニエル・ブレイクは、フィスクがオーナーで安くしてくれたという高級マンションで暮らしていた。「バックが管理してる」と細かな情報もBBに与えている。BBはやはり内部から市政を崩そうとしているようだが、浮かれているダニエルが政権のアキレス腱になる可能性は高そうだ。
一方のマットはギリシャ料理店のオーナーに会いに行っていた。オーナーの反応を見るに、マットは世間から行方不明か死んだと思われているようだ。オーナーは街から人々を逃がしているということで、マットは共闘を持ちかける。今のマットには、こうして地道に味方を増やしていくしかないのである。「諦めない」という言葉が力強い。
アキレオはトロント経由でキプロスの首都ニコシアに向かうつもりだったというが、その頃アキレオはパウエルによって拷問を受けていた。身柄を拘束しても裁きを司法に委ねるのではなく、監禁して痛めつけるという非道さ。
しかも、アキレオは自警団ですらない。これがフィクションとして片付けられないのは、現実で不法移民を取り締まるという触れ込みだったICEが米国市民を殺害しているからだ。どんな名目であれ、強権と共に武器を与えられた人間は暴走を始めるのだ。
クリストフィの居場所を聞き出そうとするパウエルに、「痛めつけるのを楽しみすぎだ」と注意しながら現れたのはフィスクの右腕バック・キャッシュマンだった。キャッシュマンは「かわいそうに、あんたに非はない」と言いながら、アキレオを射殺する。
シーズン1第7話では、バック・キャッシュマンはフィスクを暗殺しようとしたルカを射殺している。今回も汚れ仕事を引き受けた格好だが、アキレオの頭を撃った直後には天を仰ぐ姿も見せている。バック・キャッシュマンがアキレス腱になる展開もあり得るだろうか。
CIAの目的は
フィスクはというと、フランクな態度のミスター・チャールズに不快感を示している。フィスクのことだから、そもそも州の人間から追及された場面で、勝手に助けられたことが嫌だったのだろう。チャールズは服装もフランクでリスペクトに欠ける。
チャールズの雇い主はレッド・フッドでの取引に感謝しているというが、沈没騒ぎは相当まずいとして、チャールズが武器の回収班を手配するという。チャールズは「物流が専門」と話しており、世界中から作業員を集め、武器の回収後に事故扱いで消せばいいと、かなり怖いことを言っている。
フィスクは干渉や指示を嫌う傾向にあるが、今回の相手はちょっとスケールが違う。後始末が自分たちにつながることもないと断言するチャールズに、フィスクは後始末を委ねることに。ミスター・チャールズは何者なのだろうか。
ミスター・チャールズがCIAから来ており、軍用武器を積んだ船の沈没の後始末を迅速に進めようとしているところを見るに、武器の取引相手は米軍ということなのだろうか。あるいは、S.H.I.E.L.D.なき今、スーパーヒーローに頼らない組織をヴァルが作ろうとしているとも考えられる。ニュー・アベンジャーズはヴァルにコントロールできないだろうから……。
カレンとベンの過去
ダニエル・ブレイクはパーティーの翌朝、部屋が綺麗に掃除されていて満足げだ。テーブルのカードには「It’s been a pleasure cleaning for you.」と書かれており、誰かが掃除したことが分かる。ダニエルは部屋の掃除の料金500ドルをスマホで送金。画面には「Texting with BB」と表示されており、掃除の仕事を請け負ったのがBBであったことが示されている。
そのBBは、変装したカレンと密会している。やはりカレンの情報源はBBだったようだ。BBは本人は気づいてないがダニエルは内通者だと説明すると、カレンは「よくベンが言ってた」として、「操る側の人間ほど楽に操れる」と忠告する。
旧ドラマシリーズの『デアデビル』では、カレンはBBのおじのベン・ユーリックと共にフィスクの過去について調べ、父親殺しの情報に辿り着いた。しかし、ベンは踏み込みすぎたせいでフィスクに殺されてしまった。引退していたベンを説得して引きずり出したのはカレンで、だから『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン2第1話ではカレンはベンについて「罪悪感を抱えている」「私のせいで殺された」と吐露するのだ。
カレンが恐れているのは、BBが同じように死んでしまうことだ。それでも、すでに大勢の人が死んでおり、その死に報いるために頑張ることを二人は決意するのだった。
カレンの後に登場しがちなヘザーは、ジャックの面談を聞き返している途中で、前半でキルスティンの事務所を訪れていたホックバーグ検事から電話を受ける。録音では、「自分が一番賢い」という問いにだけ「はい」と答えるジャックがらしくて愉快だ。
ホックバーグは、ジャック・デュケインの鑑定結果を不正に操作するよう依頼。ネットでも情報を集める陪審員に、デュケインが異常者であると確信させたいというのだ。ヘザーはまたもミューズの姿を見て、この改ざん要求に同意。「時々悪魔に支配される」という問いの答えを「はい」に書き換えるのだった。
しかし、この問いはまさにヘザーの現状を表している。自警団を罰することに話が及ぶとミューズの亡霊を見てしまうヘザーは、もはや悪魔に支配されている状態だ。でも、世界が傾く演出は不穏で良い。
ラストの意味は?
マットは今でも訓練を続けているが、カレンが感心すると「イカれた先生と何年も特訓した」と答える。この先生とは、視力を失った少年時代のマットを鍛えたスティックのことだ。ドラマ『デアデビル』とドラマ『ザ・ディフェンダーズ』(2017) に登場したスティックは、ヤミノテ(ザ・ハンド)と戦うチェイストのメンバーで、マットを戦力にするために鍛えていた。
マットは、ギリシャ料理店のオーナーを念頭に、自警団の裁判に備えてフィスクと戦う人間を増やすと宣言。スティックのことを思い出して、ジェシカ・ジョーンズ、ルーク・ケイジ、アイアン・フィストと組んだザ・ディフェンダーズのことも思い出したのだろうか。
一方のカレンは、マット・マードックの日々や、フォギーと三人でやっていた事務所が懐かしいかと問いかける。マットは、今は前に進むだけだと答える一方で、あの頃がたまに懐かしくなると認める。一方のカレンは、毎日懐かしがっていると正直に明かしている。この二人が一緒にいられることがせめてもの救いである。
このシーンで流れる音楽はクリスチャン・リー・ハトソン「After hours」(2024)。「私たちの冒険が恋しい」「あなたはその夜、本当に孤独だった」といった歌詞が歌われている。
ギリシャレストランにはノーザンスター号の一等航海士クリストフィが逃げ込んでいた。キングピンによる武器の密輸を証言できるもう一人の証人だ。一方、アキレオとクリストフィの足取りを追っていたチェリーの元には、AVTFが突入。なぜ船員を追うのかとチェリーへの拷問を始める。
そこにもちろんデアデビルが助けに来る。チェリーは直前に、レストランの予約の確認メッセージに見せかけた連絡に「N(=NO)」と返している。これがデアデビルへのSOSだったのだ。
負傷したチェリーの心臓音を聞き、連れて逃げることは困難と判断したデアデビルは、逃げずにその場で戦うことに。しかし、心拍数の高鳴りを耳にしてフォギーの死がフラッシュバックすると、生まれた隙を突かれてデアデビルは制圧されてしまう。
ついにデアデビルはマスクを剥がれ、その正体がマット・マードックであったことがバレるが、その瞬間に外部からの“狙撃”によって4人の隊員は全員殺される。最後に飛んできたナイフには「礼はいい(YOU’RE WELCOME)」と書かれており、その中心にある“的”のマークから、マットを助けたのはブルズアイであることが示唆されて『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン2第1話は幕を閉じている。
ドラマ『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン2第1話のエンディングで流れる曲は、チェリーの部屋のレコードから流れていたカーラ・トーマス「Gee Whiz (Look At His Eyes)」(1961)。「ああ、なんてこと、あの人が大好き」と歌われるこの曲は、ブルズアイことベンジャミン・ポインデクスターへの愛が表現されているかのようだ。
ドラマ『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン2第1話ネタバレ考察&感想
シーズン2も見事なスタート
ドラマ『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン2もいきなりのロケットスタート。唸らされる展開と演出がいくつも待っていた。まずは武器を密輸していた船が沈むというスペクタクルかつ象徴的な展開があり、その事件をめぐるサスペンスが展開されていく。第1話は名前のみの登場だったが、ミステリ展開の調査で探偵だったジェシカを絡めるという展開も巧い。
さらにマットらは、密輸をしていた側の船長と一等航海士を助けることでキングピンを追い込もうとしているというのも重要なポイントだ。現実ではICEは“不法移民”を取り締まろうとしたが、そもそも移民がなぜ不法な状態に置かれているのか、犯罪に手を染めるものの背景には何があるのかを考える必要がある。マットは、犯罪に手を貸す人々を退治するのではなく、その構造に巻き込まれ、問題が起きれば真っ先に切り捨てられる人々に手を差し伸べることで、キングピンの失脚を狙うのだ。
『デアデビル:ボーン・アゲイン』におけるMCUのユニバース設定の活用はシーズン1でも賞賛されたが、シーズン2第1話ではヴァルことヴァレンティーナ・アレグラ・デ・フォンテーヌの名前が登場。ニューヨーク市を支配したキングピン陣営の不安定要素として、ミスター・チャールズが紹介された。
映画『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』(2025) でロス大統領が失脚した後、MCU世界で誰が現在の大統領になっているのかは不明だが、もし政府の闇がキングピンにとって不利な形でニューヨークを侵食するのだとすれば、キングピンとデアデビルの共闘という展開もあり得るかもしれない。
あるいは、キングピンが大統領選にまで野心を見せれば、デアデビルは他の地域のヒーローたちとも手を取り合う必要があるだろう。いずれにせよ、シーズン1で市長の権限が大きすぎて現実から乖離していると指摘された点がシーズン2で解消されたのは良かった。
ブルズアイは味方?
『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン2第1話のラストでは、まさかのブルズアイがデアデビルをサポートしたかのような演出が待っていた。シーズン1ではマットは弁護士としてポインデクスターと面会し、顔を机に打ちつけている。
結果、ポインデクスターは折れた歯を“弾”として使って脱獄に成功したが、その後、キングピンを狙撃しようとしてマットが身代わりになっている。ポインデクスターは歯を折ってもらったことでマットに恩ができたということなのだろうか。
ポインデクスターはフォギーを殺した張本人だが、ポインデクスターを雇って指示を出したのはヴァネッサだ。ポインデクスターもフィスク夫妻への復讐を狙っているのだとしたら、マットとの共闘もあり得るが、マットはどう判断するか……。
ちなみにデアデビルが襲撃した船の名前はノーザンスター号だったが、この「Northern Star」という名前は、ポインデクスターが過去に追い求め続けた「北極星(North Star)」を思わせる。北極星とは、目標や希望、指針になる存在のことで、かつてポインデクスターはカウンセラーに「北極星になる人がいれば、あなたの心のコンパスはちゃんと動く」と助言されている。
この言葉にこだわるあまり、『デアデビル』ではポインデクスターはフィスクに利用されることになった。だが、ポインデクスターがマットを次の「北極星」に認定したのだとすれば……。
ニューヨークのヒーローたち
だがそうなると、デアデビルのチームアップがどうなるかということが気になるところだ。ジェシカ・ジョーンズは合流するとして、こんな状況のニューヨークでルーク・ケイジも黙っていないはずだ。アイアン・フィストことダニー・ランドは海外にいるかもしれないが、コリーン・ウィングはニューヨークにいるはず。ザ・ディフェンダーズの再結成もあり得るだろう。
このチームアップにスパイダーマンとパニッシャーが入ってきてほしいところだが、『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン2の配信開始を前にして映画『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』(7月31日公開)の予告編と、パニッシャーの単独ドラマスペシャル『パニッシャー:ワン・ラスト・キル(原題)』の配信情報が発表された。
『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』の予告編には、スパイダーマンと小競り合いをしながら、「小僧、勝ち目はないぞ」と助言(?)するパニッシャーことフランク・キャッスルの姿も捉えられている。『パニッシャー:ワン・ラスト・キル』は、『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン2最終回配信の翌週に当たる米時間5月12日に配信されることが発表された。
つまり、『パニッシャー:ワン・ラスト・キル』が『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン2と『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』を繋ぐ作品になる可能性もある。なお、パニッシャーは『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン1ラストのポストクレジットシーンで脱獄に成功しており、自由の身になっている。マットが大変な時にスパイダーマンとイチャイチャしているのだろうか。
それに加えて同じくニューヨークが舞台になった『サンダーボルツ*』の時にデアデビルやスパイダーマンが何をしていたのか、『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』でキングピン市政はどうなっているのか(予告ではスパイダーマンが市から表彰されるシーンがある)など、ユニバース的なつながりへの関心は尽きない。『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン2の展開とともに、こちらも追っていこう。
ドラマ『デアデビル:ボーン・アゲイン』はディズニープラスで独占配信中。
MCUスパイダーマン誕生の裏側に迫る『スパイダーマン:ホームカミング アート・オブ・ザ・ムービー』はKADOKAWAより3月27日(金)発売。
MCUの多数のコンセプトアートを収録した『マーベル・スタジオ:ジ・アート・オブ・ライアン・メイナーディング』はKADOKAWAより発売中。
『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン1最終回の解説&考察はこちらから。
『ワンダーマン』シーズン2の情報はこちらから。
【ネタバレ注意】『ワンダーマン』全話の解説&考察はこちらから。
『ワンダーマン』に見た〈ミュータント・サーガ〉の前触れとなる設定の考察はこちらの記事で。
ドラマ『ヴィジョンクエスト(原題)』についてはこちらの記事で。
『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』予告編の注目ポイントはこちらから。
『パニッシャー』単独スペシャルドラマの情報はこちらから。
