エンドクレジット後をネタバレ解説『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』最終話後、シャロンはどうなるのか | VG+ (バゴプラ)

エンドクレジット後をネタバレ解説『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』最終話後、シャロンはどうなるのか

© 2021 Marvel

最終話を迎えた『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』

Disney+のオリジナルMCUドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』は、2021年4月23日(金)に最終話が配信され、完結を迎えた。様々な“ヴィラン”が登場する中、キャプテン・アメリカの盾の継承を巡る物語が展開され、現代のアメリカ社会を問う重厚なストーリーでMCUフェーズ4の更なる躍進を期待させてくれた。

今回は、MCUでお馴染みとなっているエンドクレジット後の映像(ポスト・クレジットシーン)について考えていきたい。あのシーンの真意とは、そしてあのシーンに辿り着くまでの経緯を振り返り、ネタバレ有りで解説していこう。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『ファルコン&ウィンターソルジャー』の内容に関するネタバレを含みます。

エンディングを解説

『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』最終話となる第6話のラストに待っていたのは、シャロン・カーターへの謝罪と恩赦、そして職務復帰だ。シャロンは『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014) ではS.H.I.E.L.Dに所属していたが、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016) では対テロ共同対策本部に所属しており、CIAのエージェントということになっている。

シャロンが復帰するのは秘密裏に活動を続けているS.H.I.E.L.Dなのか、それともCIAなのか。いずれにしてもシャロンは政府の情報が手に入るポジションに戻ったことになるが、それは、裏社会を牛耳るパワー・ブローカーがアメリカ政府の中枢に入り込んだことになる。

国防長官は、シャロンの親族であるペギー・カーターを主人公に据えたドラマ『エージェント・カーター』(2015-2016) のタイトルから引用して「おかえり、エージェント・カーター」とシャロンに呼びかけている。だが、“エージェント”には“スパイ”という意味もあり、やはりシャロンがパワー・ブローカーとして悪意を持って政府に侵入していくことを示唆している。

外に出たシャロン・カーターは、パワー・ブローカーとして電話で指示を出す。ここでシャロンは「政府の機密や開発兵器の情報が手に入る」と発言。「開発兵器」とは英語で「prototype weapons」となっている。『ワンダヴィジョン』(2020) では、S.W.O.R.D.の長官だったヘイワードがヴィジョンの兵器利用を目論んでいたことが思い出される。アメリカ政府の人間が危険な兵器に手を出せば出すほどにシャロンに有利な状況が生まれ、世界を危機に晒すことになるだろう。

張られていた伏線

ではここで、『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』内で張られていたシャロン=パワー・ブローカーというオチの伏線を確認してみよう。最終話までのシャロンの動きと、その目的が見えてくるはずだ。

まず、パワー・ブローカーについては、第3話「パワー・ブローカー」で登場したマドリプールの街では「彼=He」という代名詞が使われており、視聴者のミスリードを誘っていた。マドリプールでサム、バッキー、ジモと合流したシャロンは高級車で豪邸へ。盗品の絵画を捌いてボロ儲けしているという説明がされていたが、これらはパワー・ブローカーとして築いた富だったのだ。

また、ここでシャロンは「一時間以内にクライアントが来る」と、三人に着替えを急かしている。最終話のポスト・クレジットシーンでパワー・ブローカーとしてバイヤーを集めるよう指示を出していたが、このクライアントもパワー・ブローカーの顧客だったのだろう。ここでシャロンは星条旗のことを「Stars and Stripes bullshit」と蔑んでおり、既に米国に対する忠誠心など欠片もないことが分かる。

そして、サムが超人血清を再現したネイゲル博士を探しているとシャロンに告げると、シャロンは消極的な態度を取る。自身の部下なのだから当然だ。だが、サムがシャロンの恩赦を取り付けると約束したことで、これを受け入れる。振り返ってみれば、シャロンは米国政府内に舞い戻るために部下を犠牲にしたと考えられる。

その後、シャロンがネイゲル博士のラボに突入した瞬間、ジモは博士を射殺。博士が射殺された瞬間、シャロンは「何を……」と漏らし、パワー・ブローカーとしてショックを隠し切れないという表情を見せていた。三人と別れたシャロンは、部下に「大問題が重なった」と、超人兵士を揃える計画が頓挫しかけていることに対する焦りを見せている。

第5話「真実」ではテオドール・ジェリコーの『メデューズ号の筏』(1818〜1819)、クロード・モネの『散歩、日傘をさす女性』(1875) を所有しているシーンが映し出される。いずれも値段がつけられないほど貴重な作品であり、シャロンがただの絵画ディーラーではないことを示唆している。なお、『メデューズ号の筏』は黒人男性を中心に据えた絵画であり、『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』のメッセージを示していると考えられる。

この場面でシャロンはフランス語で喋る相手に倍の報酬を提示して仕事を依頼しているが、この通話相手の正体がバトロックだったのだ。バトロックは最終話でパワー・ブローカーの正体を知ったことで口止め料として4倍の報酬を求め、シャロンに射殺される。

シャロンはカーリやバトロックを射殺し、ネイゲル博士の居場所もサムとバッキーに提供。博士のラボ付近で見張りをしている間も、本来は自分の部下である戦闘員たちをナイフで刺し、射殺する冷徹さを見せている。これだけのことをして、シャロンはアメリカ政府内に舞い戻ったのだ。

シャロン/パワー・ブローカーの目的は?

では、パワー・ブローカーとしてのシャロンの目的とは何なのだろうか。『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』最終話でカーリが口にしたのは「あなたの狙いは憎い世界の支配でしょ」という言葉。また、シャロンはカーリに「一緒に世界を変えよう」と返答している。

『シビル・ウォー』以降、シャロンが立たされてきた境遇についてはこちらの記事に詳しいが、シャロンが求めているのは、贅沢な生活というよりも“力”そのものだ。シャロンにとって不本意な世界を塗り替えていく力が、超人兵士であり、莫大な資産であり、アメリカ政府へのパスポートだったのだろう。

シャロンがパワー・ブローカーになるまでの謎についての考察と、キャストのコメントはこちらの記事に詳しい。

なお、マーベル・スタジオ社長ケヴィン・ファイギは、ヴィランを「力を渇望する人間」と定義している。

今後のMCUで、シャロンは冷徹なヴィラン、パワー・ブローカーとして舞い戻ってくるだろう。平易な言葉になるが、その目的は“世界征服”ではないだろうか。サムやバッキー、スティーブにとっては恩人であり、混沌とした世界の被害者でもあるシャロン。パワー・ブローカーとしてアベンジャーズの前に立ちはだかった時、ヒーローたちはどのような戦い方を見せるのだろうか。

『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』最終話から見えたMCUのヴィランチーム結成の可能性についてはこちらの記事で。

『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』シーズン2の考察はこちらから。

ドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』はDisney+で独占配信中。

Disney+

『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』最終話 第6話のあらすじ&ネタバレ解説はこちらの記事から。

『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』最終話を踏まえた、カーリとキルモンガーについての解説はこちらの記事で。

『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』のキャスト&吹き替え声優のまとめはこちら

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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