徳間文庫から新レーベル
徳間書店が徳間文庫内に復刊を専門にした新レーベルを立ち上げた。その名も「トクマの特選!」。2021年10月から毎月刊行される予定で、10月8日には5タイトルが一挙に刊行された。創刊ラインナップには小松左京、笹沢左保、山田正紀、かんべむさし、樋口修吉の名前が並ぶ。
新レーベル「トクマの特選!」からは、「Z世代に読んでほしい名作」としてミステリやSFのほか、一般小説、エッセイ、ノンフィクションなども刊行される。人気イラストレーターや漫画家が新たにカバーイラストを手がけ、読み口が一目で分かるアイコンとレーダーチャートを提示するなど、次の世代に工夫が施されている。
また、「トクマの特選!」ではイメージキャラクターの トク魔くん がPRを担当。公式Twitterや販促物、動画などを通して刊行作品を紹介していく。
【10月8日 徳間文庫・新レーベル始動!】
お知らせだよ!
〈復刊だけどSomething New〉徳間文庫創刊41年目の新レーベル #トクマの特選!をスタートします。収録されるのは、ミステリ・SF・時代小説、エッセイ、ノンフィクションなど、今の時代に読む価値がある昭和・平成の名作ばかりを集めました! pic.twitter.com/bqfJszLyJX— トク魔くん(トクマの特選!) (@Toku2_Tokumakun) September 29, 2021
「トクマの特選!」創刊ラインナップは以下の通り。
小松左京『小松左京“21世紀”セレクション1 見知らぬ明日/アメリカの壁【グローバル化・混迷する世界】編』
1977年に21世紀の未来を予見したかのような「アメリカの壁」をはじめ、小松左京のSF短編12編が収録されている。解説は池上彰。カバーイラストと口絵は、「月刊コミックビーム」で『ダニッチの怪』を連載する田辺剛が手がけた。小松左京作品は〝予言的中作品〟のみを集めたアンソロジー全4巻が刊行される予定で、「小松左京“21世紀”セレクション1」がその第一弾となる。
笹沢左保『有栖川有栖選 必読! Selection1 招かれざる客』
1960年に刊行された笹沢左保のデビュー作『招かれざる』を復刊。アリバイ崩し、密室、暗号と、ミステリの醍醐味が詰め込まれた一作だ。解説は有栖川有栖、カバーと口絵のイラストを手掛けたのは人気イラストレーターのwataboku。
山田正紀『超絶ミステリコレクション#1 妖鳥(ハルピュイア)』
SF作家山田正紀の『妖鳥(ハルピュイア)』が20年以上の時を経て復刊。黒い妖鳥の伝説を宿す聖バード病院で、次々と不吉な現象が発生し、不条理な死が患者たちを襲う。解説は阿津川辰海、イラストを手掛けたのはポップなイラストが人気のKENTOO。なお、山田正紀の「超絶ミステリコレクション」の続刊は2021年12月に刊行される予定だ。
かんべむさし『公共考査機構』
40年前に現代の“炎上社会”を予見していた、かんべむさし『公共考査機構』が復刊。主人公はテレビカメラを向けられ、“モラル裁判”にかけられる。復刊にあたっての作者からのメッセージも掲載されている。解説はコメンテーターやテレビプロデューサー等として幅広く活躍するマライ・メントライン。イラストはディストピア漫画『国民クイズ』(1993) で作画を担当した加藤伸吉が手がけている。
樋口修吉『ジェームス山の李蘭』
1981年に樋口修吉が第36回小説現代新人賞を受賞し、第90回直木賞候補にも選ばれた『ジェームス山の李蘭』が復刊。1992年には映画化もされた異色の恋愛小説で、左腕を失った中国人・李蘭と訳ありの青年・八坂葉介の愛を描く。
解説は、樋口修吉が小説を書くきっかけになった張本人とされる色川武大。コミックイラスト集「Veil」が話題で、過去にはフクダイクミ名義で田中芳樹のSF小説『七都市物語』を漫画化したコテリがカバー&口絵のイラストを手がけた。
徳間書店の「トクマの特選!」では、毎月上旬に3〜5点が刊行される。今後のラインナップにも期待しよう。
「トクマの特選!」最新情報はトク魔くんの公式Twitterで。
【カバー先行公開!】
10/8発売 #徳間文庫「#トクマの特選!」樋口修吉さん
『ジェームス山の李蘭』イラスト コテリさん @_K0TTERl_
デザイン 円と球さん @entokyu_ pic.twitter.com/zOaWM4Dlj2— トク魔くん(トクマの特選!) (@Toku2_Tokumakun) September 29, 2021