ドラマ『ザ・ペンギン』配信開始
2022年に公開された映画『THE BATMAN-ザ・バットマン-』の1週間後から幕をあけるドラマ『THE PENGUIN-ザ・ペンギン-』が、2024年9月20日(金) よりU-NEXTで独占配信を開始した。特殊メイクでペンギンことオズワルド・コブを演じるコリン・ファレルが主演として再登場。自ら製作総指揮も務めて新たなクライム・サーガが描かれる。
『ザ・ペンギン』のショーランナーを務めるのはローレン・ルフラン。マーベルドラマ『エージェント・オブ・シールド』(2013-2020) の脚本も務めたローレン・ルフランが「バットマン」シリーズの人気キャラの一人であるペンギンの新たな物語を描く。
映画『ザ・バットマン Part.2(原題)』に先駆けて公開されたドラマ『ザ・ペンギン』の第1話では、実は『ザ・バットマン』のメインヴィランだったリドラーに関連する重要な要素が登場した。今回はその内容をネタバレありで解説&考察していこう。なお、以下の内容は『ザ・バットマン』と『ザ・ペンギン』第1話のネタバレを含むのでご注意を。
以下の内容は、映画『ザ・バットマン』およびドラマ『ザ・ペンギン』第1話の内容に関するネタバレを含みます。
『ザ・ペンギン』第1話にリドラーのアレが?
崩壊したゴッサム
『ザ・ペンギン』第1話は、映画『ザ・バットマン』のラストの1週間後が舞台だ。リドラーが画策したテロにより、ゴッサムの裏社会を牛耳るカーマイン・ファルコーネが死亡。さらにリドラーが起こした洪水で、ゴッサムのダウンタウンに住む貧困層は被害を受けており、富裕層は無傷という不公平な状況に陥っていた。
一方、バットマンことブルース・ウェインの父トーマス・ウェインの死以来となる権力の空白が生まれたゴッサムでは、ペンギンことオズワルド・コブが台頭しようとしていた。コミックやアニメ、ドラマ、映画など様々な媒体で描かれてきた「バットマン」シリーズだが、表の権力者トーマス・ウェインと裏の権力者カーマイン・ファルコーネの存在によってパワーバランスが保たれてきたと描写されることがある。
『ザ・ペンギン』第1話では、ペンギンことオズワルド・コブはこの権力の空白を狙って(ヘマをしつつも)暗躍する姿が描かれるのだが、ペンギンが新たに子分にしたヴィクターと電車に乗って実家の母を訪ねるシーンも。このシーンでリドラーに関する小ネタが登場するのである。
あのコードは…
電車に乗るペンギンとヴィクターの前に現れたのは、「ゴッサムの裏側を見よう」と言いながらQRコード/二次元コードが書かれた紙を配る人物。その顔は『ザ・バットマン』でペンギンがつけていたマスクで覆われている。
このQRコード/二次元コードの中心には「?」が書かれているのだが、コードは実際に読み取ることができる。読み取った先のリンクは「https://www.rataalada.com/」になっており、これは『ザ・バットマン』の劇中とラストにも登場する。
『ザ・バットマン』公開時には多くの人がこのURLにアクセスし、用意されていた暗号の解読に挑んだ。当時は示された暗号に対応するアルファベットが25個しかなく、「J」が欠落していたことから、“ミスター・J”ことジョーカーが次作に登場するという予告であると考察されていた。
今回、『ザ・ペンギン』ではこの「https://www.rataalada.com/」が久しぶりに更新され、リドラー信者と思われる者たちの以下のような会話が表示されるようになっている。
Clockbreak3r:動き出したものを止めることはできない。
XXREIGNITINxx:アーカムが患者を釈放し始めていて、ブラックゲートも混乱状態にある。あそこじゃ誰も本当の意味で囚人ではない。懐かしのサル・マローニも例外じゃない。
HOLDTHELINE81:人々は真実が知りたいと言うが、私たちが光を当てれば目を背ける。
DETERMINATOR:奴らがまた汚職や殺し、ファルコーネの権力に目が眩まないようにしよう……。
HOLDTHELINE81:我々は路上から始める。今夜9時だ。クラウン・ポイントの地下鉄の外で会おう。
Clockbreak3r:分かった。革命は始まったばかりだ。
上記の会話を順に追っていくと、精神病院のアーカム・アサイラムが「患者を釈放し始めて」いるというのは、カーマイン・ファルコーネの娘で『ザ・ペンギン』ではアーカム・アサイラムから出所してきたソフィア・マルコーネのことも含まれているのだろう。混乱に陥っているという「ブラックゲート」はアーカム・アサイラムと同じ敷地内にある別の刑務所の名前だ。
「サル・マローニも例外じゃない」というのは、『ザ・ペンギン』第1話でペンギンが面談した獄中のマローニが余裕を見せていた通り、塀の中からでも権力を振るえる、またすぐに出所するかもしれないということを指摘しているのだろう。ちなみにサルバトーレ・マローニは『ザ・バットマン』の冒頭でライバルのファルコーネに嵌められて逮捕されている。
「ファルコーネの権力」の部分にはリンクが貼られており、それをクリックすると新聞記事の画像が表示されるようになっている。そこには、アルベルト・ファルコーネが父カーマイン・ファルコーネの死後にゴッサムの街の権力者になるだろうという内容が書かれている。リドラーは汚職の中心にいたカーマイン・ファルコーネを暗殺することに成功したが、首がすげ替えられて街が再び汚職に脅かされることをリドラー信者たちは危惧しているのだ。
バットマンが向き合うべき相手
そして、リドラー信者たちはこの日の夜9時にクラウン・ポイントの地下鉄の外に集合することを約束している。『ザ・ペンギン』第1話の冒頭では、クラウン・ポイントの街は洪水で浸水し、水も電気も供給が止まっていることが報じられていた。リドラー支持者の残党は貧困地域から「革命」を起こすつもりなのだ。
映画『ザ・バットマン』では、リドラーがSNSを通してテロ作戦への同調者を集めていたことが明らかになった。ドラマ『ザ・ペンギン』では闇社会の権力闘争が描かれる一方で、ペンギンはQRコード/二元コードのチラシを配る人物に「近寄るな」と言い放っており、ペンギンが民間人の間に燻る不満にまで目を向けられていないことが示されている。
となれば、そうした人々に目を向けるのは、『ザ・バットマン』で人々の恐怖ではなく希望になることを誓ったバットマンことブルース・ウェインの仕事になるだろう。2026年10月2日米公開を予定している映画『ザ・バットマン Part Ⅱ(原題)』では、ブルースは新たなヴィランとペンギンらの闇社会の人々、そしてリドラーが火をつけた民間人と対峙することになるのかもしれない……。
まずは、ドラマ『ザ・ペンギン』でどんな展開が待っているのかをチェックしていこう。
ドラマ『THE PENGUIN-ザ・ペンギン-』はU-NEXTで独占配信中。第2話からは毎週月曜日に配信される。
『ザ・バットマン』は4K ULTRA HD&ブルーレイセットが発売中。
『ザ・バットマン』ラストのネタバレ解説はこちらから。
『ザ・バットマン』ヴィランのリドラーについての考察はこちらから。
『ザ・バットマン』ジョーカーの削除シーンについての解説はこちらの記事で。
マット・リーヴス監督が『ザ・ペンギン』を含む『ザ・バットマン』のスピンオフについて語った内容はこちらから。