『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン2第7話はどうなった?
MCUドラマ『デアデビル:ボーン・アゲイン』のシーズン2が早くもクライマックスに突入する。Netflixで配信されたドラマ『デアデビル』(2015-2018) から数えて10年以上の時を経て、デアデビルことマット・マードックと、キングピンことウィルソン・フィスクの戦いは佳境を迎えている。
今回は、ドラマ『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン2第7話について、ネタバレありで解説&考察していこう。以下の内容はネタバレを含むため、必ず本編をディズニープラスで視聴してから読んでいただきたい。
以下の内容は、ドラマ『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン2第7話の内容に関するネタバレを含みます。
Contents
『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン2第7話ネタバレ解説&考察
冒頭の音楽は?
『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン2第7話の監督を務めるのはイアン・B・マクドナルド。ドラマ『マット・ルブランの元気か〜い?ハリウッド!』(2011-2017) シーズン3ではエミー賞にノミネートされた経験もあり、本作ではシーズン2最終話となる第8話も監督を担当する。シーズン2第7話の脚本はシーズン2第3話も手がけたヘザー・ベルソンが担当している。
バネッサの死からジェシカの再登場、デアデビル vs キングピンの直接対決、そしてカレン・ペイジが描かれた前回。シーズン2第7話では、自警団が市庁舎を襲撃したという市側の発表と、AVTFが抗議者を攻撃して死者が出たという報道が流れている。
ウィルソン・フィスクはこれまでの象徴的な白のスーツから一転し、黒のスーツを身に纏っている。実は、フィスクは旧『デアデビル』の初期は黒いスーツを着ており、バネッサとの出会いを経て白いスーツを着るようになっている。つまり、フィスクはかつての姿に戻ったという示唆だと捉えることもできる。
『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン2第7話の冒頭で流れる音楽はデヴィッド・ボウイ「It Ain’t Easy」(1972)。「簡単なことではない、厳しい状況から天国へ辿り着くのは」という歌詞が、キングピンとデアデビルの両陣営の心情を表しているかのようだ。
キングピンは留置所に入れられたカレンの面会へ。この時点ではキングピンは白いコートを羽織っているが、これ以降は外衣も含めて黒の衣装をまとうようになる。ここでキングピンは、意外にも自制してカレンのもとを立ち去る。衝動性を失ったフィスクはより厄介な敵にも思えるが果たして……。
明かされたアノ人の現在
そして、『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン2第7話では、前回に続きジェシカが嬉しい再登場。前話では、1話のみのゲストキャラ的な雰囲気を醸し出していたが、そうではなかったようだ。
ジェシカは娘と住む家に部隊を派遣したチャールズを詰めている。チャールズからは能力の衰えを指摘されているが、CIAの人間の住処を掴んで侵入するとは、探偵としての腕はまだまだ衰えていないようだ。
チャールズは、自分を殺せば「ルーク」との繋がりが途絶えると指摘。ルークは「神の仕事」で海外にいるという。このルークというのは、マットやジェシカと共に〈ザ・ディフェンダーズ〉サーガのドラマ『ルーク・ケイジ』(2016-2018) の主人公となったルーク・ケイジのことだ。
ジェシカ・ジョーンズとデアデビルはヘルズ・キッチンを拠点にしていたが、ルーク・ケイジの拠点はハーレム。ルーク・ケイジは人体実験によって怪力と鋼鉄の皮膚といったスーパーパワーを得ており、ジェシカ・ジョーンズと同じく、マスクなし、ヒーロー名なしで街の人々のために戦った。
ルーク・ケイジとジェシカ・ジョーンズにはそれぞれ恋人のような相手がいたが、二人の間にはカジュアルな肉体関係があった。『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン2第6話ではジェシカの娘の肌の色が濃かったことから、父は黒人であるルーク・ケイジではないかという声があがっていた。
また、同話では、声をかけられてCIAのために働いている仲間がいることを示唆する会話がマットとジェシカの間で交わされていた。マットが何かを察する反応を見せていたが、マットはジェシカとルークが結ばれたことを知っていて、その上でルークがCIAの誘いに乗ったことを悟ったということだったのだろう。
ルークの名前が登場したのは嬉しいが、今は海外にいるらしい。ワカンダやテン・リングス、ムーンナイトとかと揉めていなければいいが……。ちなみに実写版ではハーレム=ルーク・ケイジの管轄というイメージが強いが、コミックではキャプテン・アメリカことサム・ウィルソンもハーレム出身という設定だったのが、MCUではルイジアナ州出身という設定になっている。黒人でプエルトリコ系のスパイダーマンであるマイルス・モラレスは、スティーブ・ロジャースやバッキー・バーンズと同じブルックリン出身だ(ピーター・パーカーはクイーンズ)。
マットの選択
チャールズは、マキャフリー州知事がフィスクの排除を望んでいるが、フィスクは知事をも殺すだろうと示唆する。キングピンは、ついに州政府も連邦政府も恐れる存在になってしまったのだ。
ジェシカ・ジョーンズはこの話をマットと共有すると、マットはジェシカにチェリーを紹介する。久しぶりの登場となったチェリーだが、新旧キャラの交流は嬉しい。チェリーはジェシカの大ファンだと言うが、自身も警察引退後は探偵のようなことをしているので親近感もあるのだろう。
チェリーは、カレンが15分署に留置されていると明かす。15分署はヘルズキッチンにある警察署で、マットとジェシカにとってはお馴染みの場所だ。すぐに動き出そうとするマットだったが、チェリーはキングピンが裁判で合法的にカレンを葬るつもりだと説明する。
マットはチェリーの警察時代のツテを使ってカレンと会うことに。一方のジェシカは「街に必要だ」と説得されるも、「家で娘が待ってる」と、これを拒否。みんなそれぞれにライフチェンジを経験したんだなという気持ちにもなる(マットはあまり変わってなさそうだが)。
マットはジェシカから、逆に「死なないで、街にはあなたが必要」と言われるが、一方で、フィスクを止めるためには誰かがフィスクを殺さなければいけないと忠告も受けていた。もちろんマットにはフィスクを殺すつもりはないだろうが、マットはブルズアイことポインデクスターを解放するという手に打って出る。
フォギー、ラントム神父、ナディーム捜査官を殺した(うちフォギーとナディームはバネッサの指示)ポインデクスターに、マットは「お前を殺したい。だが赦したい」という矛盾した感情を吐露する。「殺したい」も「赦したい」も根源は欲望であり、その気持ちは両方存在していていい。その欲望と共存しながらも支配されないために、人類には司法があるのだ。こうしてブルズアイは善行を行うチャンスを得たのだった。
15分署に現れたのは…
15分署でカレンの前に現れたのはブレット・マホニー。旧『デアデビル』やドラマ『パニッシャー』(2017-2019) に登場した善意の警官で、当時は巡査だったが、今回は刑事部長(Chief of Detective)としてカレンが15分署で留置されるよう手を回したという。
マホニーはそれだけでなく、カレンとデアデビルと面会させることに成功。チェリーの「ツテ」はマホニーのことだったようだ。ここでも新旧キャラのコラボが実現している。デアデビルは、裁判で合法的に面目を回復しようとしているキングピンを法廷で倒すために、別の形で一線を越えると予告するのだった。
一方、キングピンと会っているのはヘザーにジャック・デュケインの精神鑑定結果を改ざんさせたホックバーグ検事だ。そこに入ってきたのはヘザーで、フィスクとヘザーは共に黒い服になっている。
キングピンは、愛は牢獄だと思っていたが、牢獄の中で一人になると思っていなかったと吐露。ヘザーは、慰めばかり与える他の人間と違い、「誰も言わない事実」として、これからも苦しみは続き、終わりがあるかは分からないと告げる。フィスクはこれに感謝するが、それはつまり、べネッサを永遠に忘れないということの裏返しでもあるのだろう。
するとフィスクは、前話でヘザーが盗み出したベネッサのイヤリングのもう一方を取り出し、それをヘザーに授ける。ミューズの赤い血を思わせるベネッサのイヤリングは、ヘザーにどんな変化をもたらすのだろうか。
カレン・ペイジ裁判
自警団の幇助などいくつもの重罪に問われるカレンの裁判が始まり、弁護はもちろんキルスティン・マクダフィーが行う。法廷で「自警団=ヴィジランテとは何か?」とした上で、「己の正義を押し付けて法を破る者か、最後の砦であり腐敗した社会に正義をもたらす者か」と問いかける。
実際のところ、この二択はあまり意味は変わらないのだと思う。社会=法ならば、社会が腐敗すれば、法を破らなければもたらすことのできない正義はある。アメリカ合衆国がイギリスの植民地政府から独立した経緯は、“不当な政府を打倒する”という目的によって正当化されている。
そして、ここで共同弁護人として法廷に召喚されたのは、マシュー・マードックだった。世間的には、市長を銃撃から守り、行方不明になっていた伝説の弁護士だ。そのマットが市長と戦う側で登場したのである。これがマットの言っていた「別の方法で一線を越える」やり方だったのだ。
マットとキルスティンはAVTFのパウエルやノースを尋問し、目の見えない弁護士の家に武装した装甲車で向かったこと、ヘクター殺しに市長が関与している可能性があることなどを指摘。裁判長からは劇場型の弁護は控えるよう言われるが、二人の目的は陪審員へのアピールではなく、カメラの向こうにあった。
この中継を見ていた州知事は、フィスクは叩けば山ほど埃が出ると判断したのか、シーズン2第1話で登場した州司法長官のアラン・スティーヴルドに連絡。フィスクを排除する手続きを進めるよう指示を出すのだった。
前回、反政権放送を繰り返す「恐れなき街」をBBが運営していることを知ったダニエル・ブレイクは、BBをバックに引き渡すか、一緒に逃げるか葛藤していた。ダニエルはBBに自分も遺体を埋めたと告白した上で、誰にも知られるわけにはいかないと強弁する。一度手を染めれば次からはそれをネタに強請られる、まるで闇バイトだ。
だが、「これが理想の自分?」と問われたダニエルは、「正しいことをする」と言ってBBを逃すことに。前回、母から「お父さんも誇りに思ってる」と言われたことも影響しているのだろうか。あるいは、ダニエルはここでBBを差し出すようなら、いつか自分は母をも差し出すようになるだろうと考えたのかもしれない。
カレンの過去と複雑な愛
裁判が休廷となりNYPDはマットを安全に逃そうとするが、やはりAVTFによる襲撃を受ける。走行する車の窓から標的に向けて銃を掃射する手法は「ドライブバイ (drive-by)」と言って、アメリカでは古くから存在するギャングのやり口だ。仲間であるはずの警察までを殺している点も含め、AVTFがいかに無法者かを示す演出だ。
マットは撃たれるも、なんとか白杖を槍の要領で敵の車両に突き刺して逃げることに成功。一方で、知事はやはり暗殺されそうになっていたが、これを止めたのはブルズアイだった。マット采配ズバリ。ブルズアイのツーフィンガーでの敬礼と余裕の退場をかます姿は憎たらしいが、とりあえずいてくれて良かった。
ダニエルがバックにタコ殴りにされている一方、カレンはヘザーの精神鑑定を受けることに。互いにマットと愛し合った微妙な関係だ。カレンは“今カノ”として「複雑な人だけどセクシー」とマウントを取るが、ヘザーも負けていない。カレンがかつて弟を殺したと指摘するのだ。
カレンの過去はドラマ『デアデビル』シーズン3第10話で丸々1話を使って描かれている。同話のタイトルは「カレン」だった。カレンが麻薬と酒の影響下で運転して事故を起こし、弟のケヴィンを死なせたのは事実だが、それまでに複雑な経緯があり、カレンが重傷を負っていたケヴィンを助けようとした中での出来事だった。
また、ヘザーは『デアデビル』シーズン1でキングピンの右腕であったウェスリーをカレンが殺した時のことについても言及。この時も正当防衛だった。一方で、「フランクに弱い」という点は痛いところを突いてくる。
その上でカレンは、マットが自分を愛していて、どんな矛盾も葛藤も受け入れていると主張する。このセリフの英語の全文は少しややこしく、全て訳すと「私の隣にいるあの謎めいた存在であるマットが私を愛しているのは分かってる。その愛し方は、彼と私の中にあるあらゆる矛盾や葛藤を、すべて私たちの一部にすること」という詩的な表現になっている。長い歴史がある二人だからこそ出てくる表現だ。
ヘザーはさらにカレンに挑発されると、カレンに往復ビンタをかます。前回バックに煽られて、ヘザーの中には確実に暴力性が目覚めている。そろそろ一線を越えてしまいそうだが、それでも笑うカレンはまるでジョーカーのようだ。
衝撃のラスト
バックにタコ殴りにされていたダニエルは、ついに銃を向けられると、「ここはヘルマンド?」と憎まれ口を叩く。シーズン2第5話では、バックとダニエルの会話の中で、バックがアフガニスタンのヘルマンドに派兵され、14歳の少年を殺したことが明かされていた。ダニエルはバックを、その時から変わっていないのかと挑発しているのだ。
銃撃されたマットは逃げ込んだ教会で祈りを捧げていた。「聖ユダよ」と祈りを捧げているが、これはイエスを裏切ったイスカリオテのユダではなく、「タダイ」とも呼ばれる別のキリストの弟子である。
聖ユダは裏切り者のユダという名が避けられたために、「忘れ去られた聖人」とされてきた。マットは「困難の守護者」「絶望の守護者」と呼んでいるが、聖ユダは「敗北者の守護者」としても知られている。
マットはカトリックらしく、試練と苦しみの中で慰めを得られるようにと神に祈ると、教会に入ってきたのはジェシカ・ジョーンズだった。残れないと言っていたのに、裁判の中継を見たのだろうか、ジェシカは戻ってきたのである。
そしてバックは、ダニエルから「いつか自分も銃を向けられる」と忠告を受け、葛藤しながらもダニエルを射殺。マットの「アーメン」という声も虚しく、画面はブラックアウトして『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン2第7話は幕を閉じている。
『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン2第7話ネタバレ感想&考察
最終回へ、出揃った布陣
最終回目前となったドラマ『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン2第7話では、カレンの裁判に合わせてマットがいよいよ表舞台に登場すると共に、ジェシカ・ジョーンズが本格的に復帰の予感。
一方で、バネッサに続きダニエルが死に、フィスク陣営ばかりに死者が出ているという点は興味深い。悪政や圧政は内部にこそ牙を剥くものなのかもしれない。また、今回ヘザーとバックはそれぞれ違う形で一線を越えている。
ヘザーとバックが本格的にヴィランになったのであれば、シーズン2最終回の構図はデアデビル&ジェシカ・ジョーンズ vs ヘザー&バックという形になりそう。一方、ブルズアイが“野放し”になっている点もミソで、このワイルドカードがキングピンを仕留めてしまう可能性もある。
だがもちろん、それはマットが望む解決ではないはず。州司法長官の動きによってフィスクは失脚するかもしれないが、問題はその後である。誰が新市長となりニューヨークを再建 (Rebuild) するのか、そしてすでに制作が発表されているシーズン3へどのようにつながっていくのかという点にも注目だ。
もう一つ付け加えるとすれば、デアデビルことマット・マードックの“正体暴露”がそろそろありそうな予感。市長を救ったのがデアデビルであり、AVTFに襲撃されたのがマット・マードックであったという真逆の構図が見えれば、事態は大きく動くだろう。法廷での「I am Daredevil」にも期待したい。
「パニッシャー」「スパイダーマン」と繋がる?
また、『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン2の最終回となる第8話が配信された翌週には、パニッシャーことフランク・キャッスルが単独主人公となるスペシャルドラマ『パニッシャー:ワン・ラスト・キル』が配信される。流れ的に『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン2のラストでパニッシャーが乱入して『ワン・ラスト・キル』に続くという展開もありそうだ。
さらに7月31日(金) の日米同時公開を予定している映画『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』にも、パニッシャーが登場する。MCU「スパイダーマン」シリーズの前作『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021) では、デアデビルことマット・マードックがMCUに参戦したが、デアデビルのストーリーがスパイダーマンと接続する展開もあり得るだろうか。
ジェシカ・ジョーンズの今後とルーク・ケイジの現在も気になるところ。「デアデビル」世界のニューヨークと、MCU世界の各キャラの物語がどうなっていくのか、気になって仕方がない。早くも迎えるシーズン2の最終回、刮目して見届けよう。
ドラマ『デアデビル:ボーン・アゲイン』はディズニープラスで独占配信中。
〈インフィニティ・サーガ〉のラストを飾った名作の舞台裏に迫る『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム アート・オブ・ザ・ムービー』はKADOKAWAより4月27日(月)発売。
MCUの多数のコンセプトアートを収録した『マーベル・スタジオ:ジ・アート・オブ・ライアン・メイナーディング』はKADOKAWAより発売中。
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