Netflix『ONE PIECE』シーズン2が配信開始
尾田栄一郎の世界的人気漫画『ONE PIECE』を実写ドラマ化したNetflixオリジナルシリーズ『ONE PIECE』のシーズン2が2026年3月10日(火) より配信を開始した。シーズン1が配信されたのは2023年8月のことで、約2年半ぶりの新作で舞台は偉大なる航路(グランドライン)へと突入する。
今回は、実写ドラマ版『ONE PIECE』のシーズン2について、ネタバレありで解説し、感想を記していこう。以下の内容はシーズン2最終話までのネタバレを含むので、必ずNetflixで全話を視聴してから読んでいただきたい。
以下の内容は、ドラマ『ONE PIECE』シーズン2の内容に関するネタバレを含みます。
Contents
Netflix実写版『ONE PIECE』ネタバレ解説&考察
これまでの『ONE PIECE』
ドラマ『ONE PIECE』シーズン1では、コミックス11巻途中までにあたるアーロンパーク編までが描かれた。海賊王を目指すルフィはゾロ、ナミ、ウソップ、サンジを仲間にしてアーロン一味を倒すと、原作とは異なり、ルフィの祖父で海軍中将のガープからのテストを経て、ルフィにはイーストブルーで最大となる3,000万ベリーの賞金がかけられることになった。
また、旅の途中でルフィと出会ったコビーが、ヘルメッポと共にガープからのルフィの逮捕命令を拒否するというオリジナル展開も。だがガープは自分の正義を信じたコビーとヘルメッポを見込んで、直々に鍛えることを決意している。
シーズン1第8話のラストでは、麦わらの一味がグランドラインへ向けて出発する一方で、手配書に葉巻を押し付けるスモーカー大佐の姿も描かれた。そして、実写版『ONE PIECE』シーズン2は、「始まりと終わりの町」と呼ばれるローグタウン編から幕をあける。
ただ、『ONE PIECE』シーズン2の冒頭は、ミス・オールサンデーがシェルズタウンを訪れ、Mr.7の遺体を確認するシーンが挿入されている。これはシーズン1でコミック未登場の先代のMr.7からバロックワークスへの勧誘を受けたゾロが、Mr.7を斬り、その首をシェルズタウンまで持って行ったとい設定を踏襲したものだ。ミス・オールサンデーはイーストブルーまで来ていたのである。
ローグタウン編の改変は?
『ONE PIECE』シーズン2第1話は丸々ローグタウン編に費やされる。同時に、処刑の日のゴールド・ロジャーとガープ中将の会話が描かれた点は興味深いポイントだ。ロジャーはガープを「ゴッドバレーの英雄」「ゴールド・ロジャーを捕えた男」と呼んでいる。
ゴッドバレーはコミックス106巻で触れられる名前で、114巻では「ゴッドバレー事件」というタイトルのエピソードが収録される。このように、『ONE PIECE』シーズン2は、前シーズンにも増して、コミックやアニメでは「実はこうでした」と後出しで描かれる内容を、リアルタイムに登場させる画期的な手法を取り入れている。
ロジャーは自身が病気であることに触れ、「最後の頼み事」として生まれてくる自分の子どもをガープに任せたいと話す。「最後まで俺を呪う気か」というガープの反応は、同じジャンプ作品の『呪術廻戦』(2018-2024) の「呪い」というテーマを想起させる。同時に実写『ONE PIECE』シーズン2は、原作のテーマの一つでもある「受け継がれる意志」がテーマになっていく。
『ONE PIECE』シーズン2第1話のもう一つの注目ポイントは、バルトロメオの登場だ。原作ではもっと先での登場になるが、ローグタウンでルフィの姿を見ていたという設定になっているが、実写版ではしっかりルフィと出会っており、嵌めようとして助けられた上にお礼まで言われるバルトロメオの姿が描かれる。
その他にも、アイスクリームの少女・ユウやイエス海賊団のコゼといった、スモーカーを引き立てるキャラたちもしっかり実写化されている。武器屋のオヤジこと、いっぽんマツも見事な再現度で描写されていた。
また、シーズン2では第1話のみの登場となったバギーが「強いのは物語だ」と発言した点も覚えておきたいところだ。そして第1話では、処刑台での「わりい、おれ死んだ」シーンを経て、ドラゴンがスモーカーからルフィを守るシーンも原作通りに描かれる。
一方、実写版ではより明確にドラゴンが起こした風によってスモーカーが退場させられたような描写がなされている。スモーカーが飛ばされるとすぐに風が止むのだ。また、ルフィの船出を見届けるドラゴンの背後にはサボと思われる人影も描かれている。
ちなみにモクモクの実を駆使したスモーカーのバトルシーンはなかなかに絶望感があり、見事なクオリティーで実写化されていた。
ラブーンのアレも先取り
実写版『ONE PIECE』第2話は、グランドラインに突入した直後の双子岬でのクジラのラブーンとの物語が描かれる。ちなみに、カマカマの実の能力者、カマイタチ人間のエリックが登場するアニメオリジナルの展開はカットとなっている。
第2話ではチャリスラ・チャンドラン演じるミス・ウェンズデーが登場すると共に、マルシアル(マーシャル)・T・バッチャメン演じるブルックが回想シーンで登場する。また、原作ではもっと後で言及される「ビンクスの酒」をルフィが歌ってラブーンに接近するという展開も興味深かった。
バルトロメオもそうだが、ブルックの件も原作では後出しで紹介される内容で、実写化にあたって伏線になる内容を組み込み直している点は原作ファンには嬉しい工夫だ。ちなみにルフィが「ビンクスの酒」を歌ってくれていたという人物はシャンクスのことだ。
また、一応中将であるガープと、大佐のスモーカーの師弟のような関係もシーズン2のポイントになる。麦わらを追おうとするスモーカーに、ガープは暗躍する秘密結社バロックワークスの調査という任務を与え、グランドライン入りを許すのだ。たしぎとコビメッポも含め、自分の正義を持った海軍チームの動きも同時に描かれていく点も面白い。
『ONE PIECE』シーズン2第2話はラブーンが実写版でも愛らしく、非常に泣けるストーリーになっていた。また、第2話のラストではクロッカスが若き日のロジャーの写真に語りかけるシーンも挿入されている。原作では写真はないが、クロッカスがロジャーに語りかけるシーンはある。
ゾロを主人公にしたサボテン島
実写版『ONE PIECE』シーズン2第3話では、順当にサボテン島が舞台に。シーズン1で敗れた王下七武海ミホークの亡霊に囚われるゾロが中心的に描かれる。ここでミス・ウェンズデーの「メマーイダンス」が原作と同じく再現されるのだが、実写版ではイガラッポイのサックスで惑わす技となっているy。
そしてやはり原作通りにゾロの100人斬りが描かれるが、原作ではルフィたちが酒と食事で眠らされたのに対し、実写版ではそれぞれが戦闘から離脱させられているという演出に変更されている。
ボムボムの実の能力者Mr.5と、キロキロの実の能力者ミス・バレンタイン、そしてミス・マンデーも海賊を狩ろうと登場する中、ミス・ウェンズデーがアラバスタ王国の王女ネフェルタリ・ビビであったことが明らかになる。
なお、バロックワークスには「Mr.○」「ミス・○」という幹部連中の存在があるが、Mr.6とミス・マザーズデー以下は「フロンティアエージェント」と呼ばれており、Mr.5とミス・バレンタイン以上は「オフィサーエージェント」と呼ばれている。そのトップに君臨するのがMr.0である。
『ONE PIECE』シーズン2第3話では、ゾロは100人斬りを達成してミホーク戦の敗北を一旦は克服。アラバスタ王国の護衛隊長イガラムが身を挺して、バロックワークスに狙われる王女ビビを守って欲しいと麦わらの一味に託すのだった。この展開も、ロジャーがガープに自身の息子を託した展開と重なる。託した意志が受け継がれていくのだ。
また、Mr.9がパートナーであったビビを売らないという展開は原作を踏襲しており、Mr.9の見せ場が残った点は良かった。アンラッキーズもシーズン2第3話で実写化されている。
第3話ラストでは、ビビから、バロックワークスはアラバスタの民衆と王の間に対立を作って内乱に追い込んでいるということ、ビビはイガラムが掴んだ情報を国王に届けたいということが語られている。
リトルガーデンのダークな二人
第4話と第5話は二話にまたがりリトルガーデン編が描かれる。Mr.5とミス・バレンタインに加え、ドルドルの実のキャンドル人間Mr.3と、絵の具で人を操るミス・ゴールデンウィークが登場すると共に、巨人のドリーとブロギーが実写化されている。
ドリーとブロギーの決闘では、「太陽の神ニカがこの戦いに喜びの笑みを浮かべ我らの名が英雄たちの殿堂に刻まれんことを」という原作にはなかった宣誓が行われる。これも原作の内容を先取りした展開となっている。
ナミやルフィ、ゾロに色を塗って催眠をかけていくミス・ゴールデンウィークは、親に絵の具を塗って「箱にしまった」という衝撃的な過去を明かしている。「最初の2-3日は騒いでた」というセリフを聞くに、そのまま親を放置して死なせ、バロックワークスに入ったと予想できる。
なお、ミス・ゴールデンウィークは悪魔の実の能力者ではなく、絵の具を使った催眠術が使える人物である。実写版には登場しなかったクロネコ海賊団のジャンゴと同じ“催眠術師”という括りと考えてよいだろう。
バロックワークスにおける任務を失敗したエージェントの仕置人、ミス・フライデーとMr.13は、組み合わせると不吉な「13日の金曜日」になる名前で、肩書き以上の実力を持っている。ミス・フライデーが、「あの孤児院」以来なにも食べていないという情報は、今後の伏線になるだろうか。
リトルガーデン編はウソップとサンジが活躍を見せてバロックワークスを退ける。ブロギーの「本当の勇気はおそれを抱かないことではなく、怖くても立ち向かうこと」という標語はウソップに刺さったようだ。サンジはアンラッキーズを倒してアラバスタ行きのエターナルポース(特定の島を永続的に指し続けるコンパス)を手に入れ、一行はアラバスタ行きを急ぐ。
『ONE PIECE』シーズン2第5話のラストでは、Mr.0に任務失敗を報告しようとしたミス・バレンタインをMr.3がロウで固めていくオリジナル展開も。リトルガーデン編は、ミス・ゴールデンウィークを演じたソフィア・アン・カルーソとMr.3を演じたデヴィッド・ダストマルチャンの怪演が印象的だった。
ドラム島編の新設定
実写版『ONE PIECE』シーズン2第6話から最終回の第8話まではドラム島編に割かれている。倒れたナミの治療を優先し、麦わらの一味は最寄りの島に寄るが、そこが「黒ひげ」という海賊に壊滅させられたドラム王国という島国であることを知る。
ここでも興味深いドラマオリジナル設定が紹介される。ワポルはバロックワークスに投資しており、その見返りとしてMr.0から悪魔の実を贈られる。黒ひげ襲来時にはワポルは悪魔の実の能力を持っていなかったという設定になっているのだ。
同時に、スモーカーとたしぎのルネス島海軍通信基地での任務も描かれる。ルネス島は、原作でスモーカーがMr.11を逮捕した島という設定になっており、Mr.11は海軍船上でスモーカーとたしぎに捕まった状態で登場していた。
ルネス島では、原作で名前だけ登場していたミス・サーズデーが初めて描かれた。野球のグローブとボールを駆使する野球キャラだったが、スモーカーは「野球ジョークはよせ」と言ってボールを十手で打ち返す姿を見せている。同時期にNetflixが独占配信しているWBCをイメージした演出なのだろうか。たしぎは剣士のMr.11と戦い、花州という刀を没収。こちらは原作通りの設定が映像化された形になっている。
ビビとワポルが10年前に聖地マリージョアのパンゲア城で開催されたレヴェリー(世界会議)で出会うシーンも回想で描かれる。ワポルはここで、魚人族の王妃が殺されたことに触れ、進行役のタラッサ・ルーカスは革命家ドラゴンが勢力を拡大しているとして危険視している。
ここでワポルは、「反乱があれば、与えたものを(民から)取り上げる」と宣言。どこかの大統領のような尊大さを見せている。一方、アラバスタ王国のネフェルタリ・コブラ王は、革命も人々の感情の表れであり、声を上げることが許されない民は幸福とは言えないと看破。「国民あっての国」というコブラの信念と、「政治とは力であってお気持ちじゃない」というワポルの考えは真っ向から対立するもので、現実の政治の状況を想起せざるを得ない。
しかし、コブラの政治に対する考えをしっかり受け継いでいるのがビビで、ビビは病気のナミのために村へ入れてもらうよう率先して土下座する。ルフィもまた、ビビの姿からリーダーとは何たるかを学ぶのだ(一方で念のために刀を出してるゾロも頼もしい)。
ドラム王国のボロボロになった村を守っていたのは、民間護衛団と団長のドルトンだった。ドラム王国は黒ひげに滅ぼされたが、ワポルは国を見捨てて逃げ、世界に誇る医者団・イッシー20も連れて行ってしまっていた。そうしてルフィたちは“魔女”と呼ばれる唯一の医者にナミを診てもらうことになる。
やっぱり泣ける、チョッパーの過去編
そして、ドラマ『ONE PIECE』シーズン2第6話では、実写版のチョッパーが初登場。ドクトリーヌことDr.くれはと共にワポルがいなくなった城に住んでいる。アニメ版と同じく、吹き替えはチョッパーは大谷育江、Dr.くれはは野沢雅子が声を演じている。
原作でルフィたちとDr.くれはが行き違いになる展開は実写ではカットされており、ルフィやサンジはチョッパーを見て喜び、追いかけるものの、原作のように食べようとしてしつこく追い回すという描写はなくなっている。
そして、『ONE PIECE』シーズン2第7話は、そのほとんどがチョッパーの過去編に当てられているのだが、これが神回も神回。原作も素晴らしいが、実写化でよりリアルな表情を見ていると、一つ一つのシーンで涙してしまうくらいに感動的だ。
青い鼻を持って生まれたトナカイのチョッパーは、群れでは迫害を受け、悪魔の実(ヒトヒトの実)を食べて人間のように歩くことができるようになるが、その見た目から人間からも迫害を受けていた。そんなチョッパーを治療して、家族のように受け入れたのが“ヤブ医者”Dr.ヒルルクだった。
ヒルルクはこの国は「希望がない」から病んでおり、絶望すると人は恐怖に負けてしまうと説く。この国を救うために奇跡の薬を作っている、とも。そして、チョッパーにドクロの旗は信念の象徴であり、この世に治せない病気などない、自分の悩みがどんなに小さいか分かるからいつか海に出ろ、と教える。
だが1年以上経ったある日突然、ヒルルクはチョッパーを追い出してしまう。ヒルルクは不治の病にかかっており、チョッパーの目の前で死ねばチョッパーが今以上の絶望を味わうことになると考えたのだ。同時にヒルルクは「チョッパーを頼む」とDr.くれはに依頼している。これもまた誰かに託し、意志が受け継がれるというテーマを象徴している。
ヒルルクはチョッパーが命懸けでとってきた“万能キノコ”を食べると、イッシー20が病気で倒れたと聞いたとして出かけてしまう。そしてやって来たDr.くれはは、チョッパーがとってきたキノコが毒キノコだと指摘する。チョッパーは図鑑に描いてあったドクロマークが毒の意味だと思わずにヒルルクにあげ、元々寿命わずかだったヒルルクはチョッパーの気持ちを汲んで毒キノコだと分かった上でそれを食べたのだ。
もうここまででもギャン泣きで観ざるを得ないのだが、ヒルルクはワポルの城へ出向くと、イッシー20が倒れたというのはデマであったことを知り安堵(どこまでも良い医者だ)。そして、「人はいつ死ぬと思う?」という名言を放つ。
その答えは、「忘れられた時」だ。受け継ぐ者がいれば、人は生き続けるのだ。ヒルルクは、チョッパーを「俺の息子」と言い、「手ェ出すなよ」と釘を刺して自爆。この意志を託されたのは、当時ドラム王国守備隊長だったドルトンだ。ドルトンはチョッパーに「生きてくれ」と告げて帰させると、守備隊をやめると表明したのだった。
なお、原作ではヒルルクは自爆する前に「お前のキノコじゃ俺は死なねぇ」と呟いている。ヒルルクが自爆した背景には、チョッパーの罪悪感を消し去る優しさがあったのだ。
そうしてチョッパーは「俺が万能役になる」として、「医者を教えてください」とDr.くれはに弟子入りしたという背景が語られる。ドラマ版では、サンジは泣きながらこの話を聞いていて、ルフィもしっかり聞いている。ルフィはチョッパーを追いかけ回すのではなく、旗を掲げてあげて、「俺もバケモン」だと言って寄り添う姿が印象的だった。
また、シーズン3の最終回ではサンジはナミに、自分が料理をしたきっかけは病気の母のために料理を作っていたことだと明かし、母の話をして涙を流している。これも先で出てくる話に前倒しで触れているわけだが、それにしても実写版サンジはかなり親近感の湧くキャラになっている。
実写ドラマ『ONE PIECE』シーズン2 ラストをネタバレ解説&考察
最終回は vs ワポル
『ONE PIECE』シーズン3最終話に当たる第8話では、ドラム島編の締めくくりが描かれる。バクバクの実を食べたワポルが帰還すると、バクバクファクトリーで改造人間と化した軍隊を投入する。これはドラマオリジナルの要素で、力のある戦闘員を作ることで、ゾロ、ウソップ、Dr.ドルトンくれはの戦う相手を創出している。
一方で、ルフィ、ビビ、チョッパー、サンジはワポルの本隊と衝突。ごちゃごちゃにならないようにしつつ、それぞれのキャラの見せ場を作るというのは、主要キャラが増えてくると難しくなってくる。シーズン2のクライマックスはメンバーを半分に分けているが、シーズンを経るごとにこの辺りのマネジメントは大変になりそうだ……。
シーズン2最終回では、ナミの黄色いコートを着たルフィの姿が原作から完全再現されている。一方でオリジナルとして描かれるのが、10年前にレヴェリーでワポルにされた平手打ちをビビが返すという描写だ。
ビビの想いを受け、ルフィはビビ&チョッパーの助けを得つつ、最後は原作と同じくサンジとのコンビ技「ゴムゴムの空軍シュート」でワポルを吹っ飛ばす。改造人間になっていた兵士たちがこれで元に戻ったのは、ワポルとの距離が離れすぎたからだろうか。
ドルトンはルフィたちに、ありがとう、これでドラムはきっと変わる」と礼を言うがその直前にはチョッパーの姿を見ている。この「ありがとう」は、ヒルルクに託されたチョッパーを守ったことに対するものだったのかもしれない。
そしてルフィがチョッパーを海賊に誘うシーンも涙なしでは見られない。色々と断る理由を並べる(そのほとんどは自分を卑下するものだ)チョッパーに、ルフィは「うるせえ、いこーーーーー!!」と突っぱねる(?)。時には手を掴んで引っ張ってほしいこともある。
「Dの意志」
Dr.くれはが出ていくというチョッパーを叱りつけて、あえて喧嘩別れを演出する展開も原作から踏襲されている。Dr.くれはは厳しく言っているようで、「あんたは私の助手だ」と認めてもいるのだ。なお、くれはがこっそりソリに忍ばせていた瓶の中身は、ランブルボールだと思われる。
麦わらの一味の出航時には、ヒルルクが完成させ、くれはが打った薬品が、雪をピンクに染め、桜のように舞い落ちる。冬島に巨大な桜の木が咲いたのだ。不可能なことはない、トナカイでも海賊になれるという見事なメッセージだ。
この桜は、ドラム島の人々の心を癒し、もう治らないと思われた病にかかっていたこの国を癒すだろう。大泣きするチョッパーを抱き上げてあげるゾロが優しい。
最後にDr.くれははドルトンに、ルフィを見ていると「ゴール・D・ロジャー」を思い出すとこぼす。139歳のくれはは、「ゴールド・ロジャー」がかつて「ゴール・D・ロジャー」と呼ばれていたことを知っていた。つまり、ルフィやガープと同じ「D」というミドルネームを持っていたのだ。
そして、原作でも当時は大いに話題になった、くれはの「生きてたのかい、『Dの意志』は」という意味深なセリフも再現されている。ヒルルクの「人が死ぬのは忘れられた時」という言葉を重ね合わせるなら、ロジャーは「Dの意志」を通して生きていると言える。
そしてビビは、イガラムが残した情報がMr.0の正体であることをルフィたちに明かす。一方のスモーカーは中継基地で、リトルガーデンでのMr.0とサンジの通信記録に行き着いていた。バロックワークスも麦わらの一味もアラバスタへ向かっていることを確認し、いよいよそれに海軍を加えた3勢力が集結することが示唆される。
シーズン2ラストの意味は?
実写ドラマ『ONE PIECE』シーズン2最終回第8話のラストは、Mr.0とミス・オールサンデーの会話で締めくくられている。Mr.0は、ワポルからの貢物は計画に大いに役立つと、今後の展開にヒントを与えている。
そしてここで、Mr.0の正体がサー・クロコダイルであることが明かされる。その手配書の懸賞金は、「世界政府によって取り消し」とされている。さらにミス・オールサンデーは少女時代の写真で7,900万ベリーの懸賞金をかけられているニコ・ロビンであることも示される。
最後に示されるのは、①ロビンがオフィサーエージェントをアラバスタに招集したこと、②クロコダイルの作戦が「ユートピア作戦」と呼ばれていること、③クロコダイルの狙いはアラバスタを滅ぼしてワンピースに近づくことであること、の三つだ。
『ONE PIECE』シーズン2最終回のエンディングで流れる印象的な曲は、実写『ONE PIECE』のために書き下ろされたSonya Belousova & Giona Ostinelli「Am I Enough (Tony Tony Chopper) feat. Au/Ra」。
実写ドラマ『ONE PIECE』シーズン2ネタバレ感想&考察
良かったところ、気になったところ
実写ドラマ『ONE PIECE』シーズン2は、原作コミック11巻途中のローグタウン編から、12巻の偉大なる航路突入、12巻から13巻ウイスキーピーク編を1話ずつで描いていき、13巻から15巻のリトルガーデン編を2話で、15巻から17巻のドラム島編を3話で描くという配分になっていた。約10巻をまとめたシーズン1に対し、シーズン2は大体6巻程度のボリュームだ。
シーズン2では、グランドラインに入ったばかりの緊張感や、麦わらの一味がゾロとナミを中心に、まだ未熟さを抱えている/感じているという描写が際立っていた。実写化されることで、より人間味のある空気が出ており、そのあたりは、知っている物語を新鮮に観ることができた。
テーマとしては、原作の印象的なフレーズであり、コミックのドラム王国編の第145話のタイトルである「受け継がれる意志」をシーズン2のテーマに設定していた点も興味深かった。全8話で見ると、意志を託す/受け継ぐというテーマが一貫しており、原作の区切りのいいところでブツ切りにしている感じが出なかった点は巧かったと思う。
なお、ロジャーが「止めることのできないもの」として残した言葉は「受け継がれる意思、人の夢、時代のうねり」である。今後、「人の夢」「時代のうねり」もテーマに据えられることになるのだろうか。
繰り返しになるが、すでにコミックやアニメで後出し(後付けではない)で描かれた設定を、リアルタイムで挿入していく手法は、原作ファンとしてはとても楽しかった。一方で、バルトロメオやブルックなど、ドラマだけ観ている人にとっては回収されないポイントも多いように感じられたのではないだろうか。
ドラマ『ONE PIECE』で心配されているのは、この制作ペースで進むと、早い段階でキャストの年齢がそこそこいってしまうという点だ。主人公のルフィを演じるイニャキ・ゴドイは、今や実写ルフィはこの人しかいないと言えるほどにハマり役だと思えるが、『ONE PIECE』シーズン2配信時点で22歳となっている。ルフィを演じられてあと10年というところだろうか。
しかし、『ONE PIECE』シーズン2では、回収が70巻や100巻くらいになるような伏線も登場しており、長期シリーズとして制作するという強い意志は感じられた。途中でキャストを総入れ替えしてストーリーを継続するという方法もあるとは思うが、行けるところまで行ってもらいたいものだ。
改変点は特に大きな不満はなかったが、チョッパーがDr.くれはの元を去る際の「でも男だ」がそのまま残ったのは意外だった(シーズン1ではシャンクスの「おい泣くな、男だろ」はカットされていた)。チョッパーの幼さや育った環境(それに伴う価値観)に対する示唆を残す意図だったのだろうか。
また、CGの描写、特にゴムゴムの実の能力を使う描写については、画面外で済ませることも多く、その点はやや不満が残った。制作スケジュールの都合だろうか。原作とは違い、ビビといつも一緒だった超カルガモのカルーは登場しなかったが、ビビの口からその存在には触れられた。こちらもCGで描かれることになるだろう。シーズン3での登場に期待しよう。
ドラマオリジナルの要素を考察
ドラマオリジナルの展開や演出として考察要素になるのは、Mr.11が通信室で何かを探していたという点だ。ロビンとクロコダイルの元へは、任務は完了したと連絡が入ったようだが、海軍が嘘の情報を流した可能性もあるし、Mr.11とミス・サーズデーは何か物体を持って帰るというより、情報を手に入れて本部に送った後にスモーカーたちにやられたという可能性もある。
同時に、その報告をクロコダイルに伝えたニコ・ロビン自身がほとんど毎話登場して独自の動きを見せていた点もシーズン2の特徴の一つだった。原作でも麦わらの一味の船に現れるなど、同じような動きを見せていたが、ドラマではドラム王国でビビに「あなたたちが阻止できるかどうかに興味がある」と意味深な発言をしていた。
あと気になったのは、サンジとナミがちょっと良い感じなことだ。サンジは原作よりも落ち着いたキャラ設定になっている分、ナミとの常識的な会話や、普通に紳士な対応が随所に見られる。シーズン2ではナミが病気にかかる展開もあって、結構良いじゃんと思えてしまった。
一方で、サンジとゾロも、張り合ってはいるものの、ナミに対するサンジの対応が穏やかである分、ゾロもサンジに対してそれほど茶化すポイントが少ないようで、原作ほどぶつかっている雰囲気はない。要するにサンジとゾロもなんか良い感じなのだ。シーズン3では、この3人の関係にも注目していきたい。
シーズン3はどうなる?
実写ドラマ『ONE PIECE』はすでにシーズン3への更新が発表されており、エース役を『ブルービートル』(2023) の主演などで知られるショロ・マリデュエニャが演じることも発表されている。順当にいけば、シーズン3では原作コミック17巻から23巻までの約7巻でアラバスタ編を描くのだろう。
懸念は、シーズン1とシーズン2では様々な島を巡り、さらに海軍側のストーリーも描いてきたが故に、シーズン3ではアラバスタのあまり変わり映えしない景色が続いてしまうのではないかという点だ。麦わらの一味も、バロックワークスも、海軍もアラバスタに集結するなら尚更のこと、さまざまな海や島で起きている展開を挿入するのは難しくなるだろう。
となると、かなり先で描かれるルフィやエースをめぐる回想シーンなどを先出しするという展開も考えられる。一方で、ここから『ONE PIECE』の物語自体が、一つの島に長く止まる展開が多くなるため、アラバスタ王国編の描き方が今後の試金石になるという見方もできる。
また、シーズン2ではグランドラインに突入したことで、一気に悪魔の実の能力者の数も増え、アクションも派手になっていたように思う。ワンシーズンを通して一つの場所を舞台にしたとしても、ここまで積み上げてきたキャラクターの魅力と、さらに増えていく悪魔の実の演出、そして、ますますポリティカルになっていくストーリーで魅了してくれることだろう。
まだ気が早いが、シーズン3の配信を楽しみに待とう。
ドラマ『ONE PIECE』はシーズン1とシーズン2がNetflixで独占配信中。
漫画『ONE PIECE』最新刊の113巻は発売中。
114巻は2026年4月3日発売。
ドラマシーズン2の続きは17巻途中から描かれる。
シーズン1第1話のネタバレ解説&考察はこちらの記事で。
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