シーズン2第6話ネタバレ解説&感想 ドラマ『THE LAST OF US』原作改変の意図は?【ラスアス】 | VG+ (バゴプラ)

シーズン2第6話ネタバレ解説&感想 ドラマ『THE LAST OF US』原作改変の意図は?【ラスアス】

Liane Hentscher/HBO

ドラマ『ラスアス』シーズン2第6話はどうなった?

ドラマ『THE LAST OF US』(2023-) は、同名の人気ゲームシリーズを実写化した作品。パンデミックによって菌類が人類を支配するようになった世界で、ペドロ・パスカル演じるジョエルと、ベラ・ラムジー演じるエリーを中心とした物語が繰り広げられる。

今回は、ドラマ『ラスアス』シーズン2第6話について、ネタバレありで解説&感想を記していこう。全7話で構成されるシーズン2の最終回目前、第6話ではどんな物語が描かれたのだろうか。

なお、以下の内容はネタバレを含むため、必ず本編をU-NEXTで鑑賞してから読んでいただきたい。また、虐待及びDVに関する描写とそれに対する言及を含むのでご注意を。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『THE LAST OF US』シーズン2第6話の内容に関するネタバレを含みます。
注意
以下の内容は、虐待及びDVに関する内容を含みます。

ドラマ『ラスアス』シーズン2第6話ネタバレ解説

ジョエルの知られざる過去

ドラマ『THE LAST OF US』シーズン2第6話「代償」は原作ゲームの生みの親であるNaughty Dogのニール・ドラックマンが自ら監督を務める。ニール・ドラックマンはシーズン1第2話でも監督を務めている。また、脚本はニール・ドラックマンと、シリーズのクリエイターであるクレイグ・メイジン、そして原作『The Last of Us II』(2020) でも共同脚本を手がけたハレー・グロスが共同で手掛けている。

原作ゲームの制作陣が手がけた『ラスアス』シーズン2第6話の冒頭は、1983年テキサス州オースティンでの若き日のジョエルとトミーの回想から始まる。これはドラマオリジナルの描写で、ドラマで二人のオリジンが深掘りされることになった。

二人の父を演じるのは、MCUドラマ『ホークアイ』(2021) などでジャック・デュケイン役を演じるトニー・ダルトンだ。トニー・ダルトン自身はテキサス生まれのメキシコ・シティー育ちである。若い頃のジョエルを演じるアンドリュー・ディアスもジョエル役のペドロ・パスカルの面影があり、良いキャスティングだ。

ジョエルとトミーの父は警官だったが子どもに暴力を振るうDV父だったようで、ジョエルはトミーの非行を自分が被ろうとしている。ドラマ版のジョエルは1967年生まれなので、1983年時点だと大体14歳くらいだが、この父は未成年の息子にビールも飲ませている。

父は酷い暴力を加えてきた自分の父よりはマシだと弁解し、お前の番が来たら俺より上手くやれとジョエルに告げる。当たり前のことではあるが、ジョエルは子どもに手をあげることをせず、暴力の連鎖を断ち切っていたのである。同時に、父よりマシでなければならないという思いが、エリーに対する過保護な態度として現れていたのだろう。

ジョエルが唄う歌

オープニングクレジットの後、舞台はジョエルがジャクソンに来てから2ヶ月後に移る。酒を煽るバーの店主のセスも元警察だったと聞き、ジョエルは父としての振る舞いを意識せざるを得なかったはずだ。シーズン2第1話でジョエルはセスを殴ったが、エリーに攻撃的な態度を見せたセスに自分の父の姿を重ね合わせていたのかもしれない。

現在から約4年前、15歳のエリーは腕を火傷してトミーと帰ってくる。「誰の責任だ」と憤るジョエルは、エリーを大層大事にしている。ドラマ『マンダロリアン』(2019-) でペドロ・パスカルが演じたディン・ジャリンが養子にしたグローグーに対して見せる態度を見ているかのようだ。

ジョエルはエリーの15歳の誕生日のためにセスとの取引でケーキを手に入れたが、ケーキに書かれている名前は「ELLIE(エリー)」ではなく「ELI(イーライ)」になっている。そしてジョエルは自作したギターをエリーにプレゼント。シーズン1最終回で交わしたいつかギターを教えるという約束を果たすのだった。

誕生日に歌を要求されたジョエルは、前話でエリーが歌いかけたパール・ジャムの「Future Days」(2013) だ。「私が見つけた大切なものは全て、自分だけで見つけたものじゃない」「挑戦すればうまくいくこともあるだろう」「君のことが見えるから、二人で過ごす未来を信じてる」と歌われている。

最後にジョエルはエリーが負った火傷について、「分かってる」と理解を示す。エリーは感染者に噛まれた跡を隠すために火傷をつけたのだろう。「半袖が着たかった」というのは、半袖を着ると腕にある噛まれた跡が見えて、エリーに免疫があることが世間にバレてしまうからだ。

エリーが見ていたもの

1年後、ジョエルはエリーの16歳の誕生日にまたプレゼントを用意していた。現在から3年前の出来事だ。原作ゲームではジョエルとエリーの回想はステージの間に差し込まれるのだが、ドラマ版『ラスアス』ではシーズン2第6話にまとめることになったようだ。

恐竜博物館から宇宙博物館を経て、アポロ15号の展示へ辿り着くのも原作と同じ流れで、ゲームで動かせる太陽系の模型もしっかり再現されている。エリーは1960年代のジェミニ時代のヘルメットを選んでアポロ15号に乗り込むと、ジョエルからプレゼントされたアポロ11号打ち上げ時の音声を聴いて想像を膨らませる。サプライズが大成功してジョエルは満足気な表情を見せている。

だが、その帰り道にエリーは立ち止まり、ぼんやりとした表情を浮かべる。ジョエルは気づいていないが、その視線の先にエリーが見ていたのは蛍だった。蛍は英語で「ファイアフライ」であり、エリーはファイアフライのこと、ソルトレイクでファイアフライの病院から連れ出されたことを思い出していたものと思われる。

蛾の意味は?

さらに1年後、ジョエルはエリーの17歳の誕生日にまたもケーキを用意していたが、エリーはマリファナを吸い、タトゥーを入れ、年上の女性と関係を持っていた。古風なジョエルはそのどれも受け入れることができず、二人は喧嘩になってしまう。

それでもジョエルが、自由を求め、自分はジョエルのものじゃないと主張するエリーを尊重したのは、父よりマシでなければならないという思いがあったからだろうか。エリーが絵に描き続け、タトゥーにもした蛾はエリーを象徴する存在だ。ゲーム『The Last of Us II』でもロード画面には蛾が登場し、エリーの日記には蛾の絵が描かれている。

エリーは蛾を夢で見ると話し、ジョエルは蛾が「変化」や「成長」を意味していると考察する。同時に、希望の光となる蛍(ファイアフライ)に対して、エリーは光を求めて飛ぶ蛾である。かつては自分の存在が人類にとっての希望の光だったが、エリーは今、自分で希望を見つけて飛ばなければならない。だが、ジョエルによる保護はエリーを押さえつけてしまってもいる。

ここまではゲーム原作でも多くのファンが考察していたところだ。しかし、ドラマ版ではシーズン2第1話でジョエルのセラピーを担当していたゲイルが、夢分析で言うならば蛾は「死」を意味すると語る。ドラマ版では、原作制作陣による新たな解釈が提示されるのだ。

ジョエルのもう一つの嘘

2年後、エリーは意を決してジョエルにシーズン1最終回のソルトレイクシティでの出来事について聞こうとしている。ソルトレイクの病院では、治療薬を作るためにはエリーを殺して脳を取り出さなければならないと知ったジョエルが、エリーが麻酔で寝ている間にファイアフライを殺してエリーを連れて逃げ出していた。

ジョエルはエリーに、他に何十人も免疫を持つ人がいたが治療薬の開発には失敗した、二人は盗賊が来て逃げ出したという二つの嘘をついていた。盗賊が来たというのはドラマオリジナルの嘘であり、なぜファイアフライは盗賊に気付けず、どうやってジョエルがエリーを抱えて盗賊から逃げ切ったのかと、エリーが疑問を持つ要因を増やしている。

19歳になったエリーはジョエルに巡回デビューというプレゼントをもらうが、そこで二人はユージーンからの応援要請を受ける。ユージーンはシーズン2第2話のセブンイレブンでジェシーが触れていた人物で、セラピストのゲイルの夫である。

すでに感染していたユージーンは妻のゲイルに伝えることがあるとして、町に戻りたがっていた。町のルールがあるとして拒否するジョエルに対し、エリーはまだ時間はあるとして最後にユージーンを妻に会わせるよう懇願するのだった。

エリーがユージーンに対して行ったテストは、かつて噛まれたエリーにFEDRAが行った感染の進行具合を測るテストだ。シーズン1第1話では、感染が進んでいると発話と発音が曖昧になると説明されている。

ジョエルはユージーンを町に連れて行くとエリーに約束したが、ジョエルはその約束を破り、「彼女の顔が見たい」と懇願するユージーンを殺したのだった。ジョエルがユージーンを撃ったことは明確に描写はされていないが、鳥の群れが飛び、銃が発砲されたことが表現されている。

ジョエルはエリーに「すべきこと」「選択肢はなかった」と言うが、エリーからすればジョエルはその「すべきこと」をいつも勝手に決めて、自分のいないところで行動に移している。毎年の誕生日のサプライズもそれの裏返しで、エリーにとって嬉しいこともあるが、ジョエルはいつも「すべきこと」を自分で決めていたのだ。

町に戻ったジョエルはユージーンの妻ゲイルに、ユージーンに愛していると伝えるよう言われた、死を恐れていなかった、自ら命を絶った、全て逆のことを伝える。本当はユージーンはゲイルからの言葉を求めていて、死ぬのを恐れていて、ジョエルが殺したのである。

しかし、ここでエリーはゲイルに真実を告げる。シーズン2第1話でゲイルが夫を殺したジョエルを憎んでいると伝えたのは、この件を指していたようだ。セラピーでゲイルがジョエルに「エリーに何をした?」と聞いた背景には、ゲイルがジョエルに嘘をつかれたこともあったのだろう。ちなみにユージーンとゲイルに関するストーリーは全てドラマオリジナルのものだ。

原作からの改変は?

9ヶ月後、同じくシーズン2第1話のパーティーでジョエルがセスを突き飛ばし、エリーに「ジョエルの助けはいらない」と突き放されるシーンが挿入される。その直前には、マリアがジョエルに「伯父さんは大事な家族の一員。家族は必要な時に助け合うもの」と言っていたことが明かされている。

この昼にはジョエルは難民の受け入れに難色を示しており、ユージーンの件と合わせて、ジョエルは町を守るために過度に守りの態勢をとるようになっていたことが分かる。マリアの言葉が重要になるのは、ジョエルには互いを「助け合う」という姿勢が欠けているからだ。その背景には、子どもの頃に父の暴力から弟を守らなければならなかったという経験もあったのだろう。

そして、ドラマ『ラスアス』シーズン2第6話のラストは、第1話のラストの続きが描かれる。一人ギターを弾くジョエルの元に、通り過ぎたはずのエリーが帰ってくるのだ。このシーンはゲーム原作のラストシーンが元になっている。

ジョエルが「ちょっと恥ずかしいほど高くついた」という大好きなコーヒーを手に入れたという話からディーナとの関係までのやり取りは、ゲームからそのまま再現されたもの。しかし、ユージーンをめぐるジョエルの嘘を通して、エリーが5年前にもジョエルが嘘をついていたことを確信したという展開はドラマオリジナルだ。

原作では、ある日エリーが町を抜け出して病院までやってきた後、エリーは追いかけてきたジョエルに真実を問いただす。エリーはここでジョエルとの関係を終わらせると告げるが、後日パーティーの後、ポーチでジョエルと話をして一定の和解に辿り着く。

ドラマ版では、その二つのシーンが一つになっている。出来事の順番が変更されたことで、ドラマでは、ジョエルはエリーと距離ができていることについて、ゲイルからエリーに何かを隠しているのではないかと問われ、エリーから真実を問われるという時系列になっている。

そしてジョエルは、他に免疫がある人はいないこと、盗賊も来ていないこと、治療薬は作れたかもしれないが、エリーを助けるためにファイアフライの人々を殺したことを認める。ジョエルは、「その代償にエリーを失う」と言っているが、結果的にはアビーに復讐されるので、代償として失ったのは自分の命であり、エリーがジョエルを失うことになっている。

ジョエルは、もしやり直せたとしても同じことをすると語る。それに対し、エリーは「自分勝手だから」と非難するが、ジョエルは「愛しているからだ」と返す。それでもジョエルは、「親になれば分かる」とは言わない。「もしいつか親になったら、俺より上手くやれ」と、自分の罪を受け入れ、かつて父に言われた言葉を告げるのだった。

エリーは、一生許せないと思うとしながらも、でも許したいとは思っていると矛盾した心境を明かす。ゲームではこの後も少しだけ会話を交わすのだが、ドラマはここで回想シーンが終わる。そして、現在のエリー、つまり前回ノラを追い詰めていた後のエリーが雨の中歩を進めるシーンでシーズン2第6話は幕をとじる。

ドラマ『ラスアス』シーズン2第6話ネタバレ感想&考察

原作改変の意図は?

ドラマ『ラスアス』シーズン2第6話は、お待ちかねのジョエルとエリーの回想回だった。平和な時間を過ごす二人の姿を見られたのは良かったが、その中にもジョエルの“罪”とエリーの“傷”が見え隠れする辛いエピソードでもあった。

シーズン2第6話「代償」の特徴は、ゲーム原作とは異なる解釈を提示したことだ。まず、エリーの象徴である「蛾」については、一度あえてジョエルの口から「変化」「成長」を表しているという定説を示した上で、「死」を表しているという別の説を提示した。

それによってジョエルがエリーに対してより過保護になったとも考えられるが、ドラマのシーズン2第6話を手がけた原作チームは、本来の意味は「死」であるということを示したかったのかもしれない。この辺りは最終回も含めて今後の展開で示される部分だろうか。

二つ目の改変点は、ジョエルの嘘がエリーとジョエルの関係で完結するものではなく、ジョエルの父とトミーの過去、ユージーンとゲイルが絡む出来事の中で示されるより複雑なものとして提示されている点だ。

ジョエルがエリーを助けるためについた嘘は、苦し紛れの嘘ではなく、愛する者を守るために自分で決断を下すというジョエルの習性のようなものだった。だからジョエル自身にはどうしようもなく、自分の番が来たらエリーには自分よりマシにやってほしいと託すしかない。

夜になってもコーヒーを飲むジョエルは、未成年の子どもにビールを飲ませていた父よりはマシになっている。人類がアップデートしていくというのは、こうした営みを少しずつ積み重ねていくことだ。だからエリーは「許せないが許したいとは思う」という矛盾した気持ちを抱えて、次の時代を生きていくのだろう。その営みは、前回菌類が見せた、感染力と機動力の向上という合理的な進化とは異なるもので、人類は痛みと矛盾を抱えたまま進んでいかなければならない。

このようにドラマ版『ラスアス』では、少し大きな話の中にジョエルとエリーを置いている。シーズン2第6話の展開をめぐっては、海外でも原作ファンを中心に賛否が起きている。だが、本エピソードを原作ゲームの制作陣が手掛けているということは、これが/これも本来制作陣が提示したかったメッセージだったのだろう。皆さんはどのように受け止めだろうか。

シーズン2も次回で最終回。すでにシーズン3の制作が発表されているドラマ『THE LAST OF US』だが、シーズン2はどんな結末を迎えるのだろうか。

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シーズン2第7話の解説&感想はこちらから。

シーズン2第5話の解説&感想はこちらから。

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シーズン2第2話の解説&感想はこちらから。

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ドラマ『THE LAST OF US』シーズン1最終回のネタバレ解説&感想はこちらから。

ペドロ・パスカルが主演を務める映画『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』は2025年7月25日(金) 公開。本予告の解説はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。 訳書に『デッドプール 30th Anniversary Book』『ホークアイ オフィシャルガイド』『スパイダーマン:スパイダーバース オフィシャルガイド』『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース オフィシャルガイド』(KADOKAWA)。正井編『大阪SFアンソロジー:OSAKA2045』の編集担当、編書に『野球SF傑作選 ベストナイン2024』(Kaguya Books)。
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