シーズン2第2話ネタバレ解説&感想 ドラマ『THE LAST OF US』まさかの展開、原作との違いは?【ラスアス】 | VG+ (バゴプラ)

シーズン2第2話ネタバレ解説&感想 ドラマ『THE LAST OF US』まさかの展開、原作との違いは?【ラスアス】

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ドラマ『ラスアス』シーズン2第2話はどうなった?

ペドロ・パスカルとベラ・ラムジーが主演を務めるドラマ『THE LAST OF US』(2023-) のシーズン2が2025年4月より公開されている。日本ではU-NEXTで独占配信されており、4月21日(月) からはシーズン2第2話が配信されている。

今回は、ドラマ『ラスアス』シーズン2の第2話についてネタバレありで解説&考察していこう。以下の内容はネタバレを含むので、必ずU-NEXTで本編を視聴してから読んで頂きたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『THE LAST OF US』シーズン2第2話の内容に関するネタバレを含みます。

ドラマ『ラスアス』シーズン2第2話ネタバレ解説

ジョエルに迫る脅威

ドラマ『THE LAST OF US』シーズン2第2話の監督を務めるのは、映画『ザ・メニュー』(2022) の監督やドラマ『メディア王 〜華麗なる一族〜』(2018-) や『ゲーム・オブ・スローンズ』(2011-2019) のエピソード監督として知られるマーク・マイロッド。HBOが新たに制作するドラマ版『ハリー・ポッター』では複数のエピソードを監督し、製作総指揮にも加わることが発表されている。

ドラマ『THE LAST OF US』シーズン2第1話では、①悪化しているエリーとジョエルの関係②新種の感染者とジャクソンの街に迫り来る菌③ジョエルへの復讐に燃えるアビーの存在、という三つの要素が中心に描かれた。シーズン1のラストから10年、居場所を見つけたジョエルとエリーだったが、新たな危機に直面している。

『ラスアス』シーズン2第2話の冒頭は、仲間たちを殺されたアビーの夢から幕をあける。ここでシーズン1ラストでジョエルがエリーを助け出すためにファイアフライのメンバー達を殺した病院で、アビーの父が殺されていたことが明らかになる。

ジョエルを探してジャクソンの近くまで来たアビーとオーウェン、マニー達は想定していた以上に大きくてセキュリティもしっかりしていたジャクソンの街に困惑している。一行が寝泊まりしているロッジは原作ゲームをしっかり再現した形になっている。こだわりがすごい。

ジャクソンについて、一同は「犬もいる」という話をしているが、ゲームでは『The Last of Us II』(2020) から第1作目に登場しなかった犬が敵として登場する。それも踏まえた発言だろう。ここでアビーは、ジョエルの居場所を聞き出すためにジョエル以外の人間に危害を加える可能性を示唆し、アビーの中にある危うさを見せている。

セスのアップデート

エリーの方は巡回へ。ディーナとのキスをめぐるジェシーとの会話は原作ゲームの冒頭をそのまま再現したものだ。つまり、シーズン2第2話はゲーム続編の冒頭から始まることになる。ジェシーは雪の下からの感染者の死体から生きた感染者が30体現れ、街が厳戒態勢を敷いていることを明かす。原作ゲームではこのやり取りはなく、エリーがジョエルと巡回に行くと言い出すのもオリジナルの展開だ。

原作でのこのシーンはジェシーとディーナとの関係をエリーが気にしており、元々付き合っていたが別れたジェシーとディーナと、友人であるジェシーとエリーとの間にわだかまりがないことをエリーが確認するくだりになっている。ドラマ版シーズン2第2話ではジョエルとエリーの関係にスポットライトを当てる意図があるように思える。

だが、ジョエルはディーナと一緒に巡回に行ってしまった模様。代わりにエリーはマリアに呼び出されてバーへ向かうが、そこではジョエルの弟のトミーが街の人々と今回の緊急事態への対応を確認していた。危機にあっても和やかに町民達とコミュニケーションが取れるトミーは、しっかりジャクソンのリーダーとしての役割を果たしている。

前話でエリーとディーナに差別発言をしたセスの謝罪も少しアレンジが加えられている。原作では飲みすぎたことを言い訳にするだけだったが、ドラマ版ではお酒の言い訳をした上で、言っとことも思ったことすらも悪かったと、きちんと謝罪している。セスがアップデートされた瞬間だ。

ユージーンの改変とジョエルの過去

吹雪が吹き荒れる中、エリーとジェシーは廃棄された集落で一時的に暖をとることに。大麻栽培所と化したセブンイレブンで触れられるユージーン・リンデンは原作ゲームでも名前が出るキャラクターで、かつてはトミーと共にファイアフライのメンバーだったという設定になっている。

ゲーム版では脳卒中で死んだことになっているが、ドラマ版ではジョエルに殺されたとい。シーズン2第1話でセラピーをしていたゲイルの夫“ユージーン”がこのユージーン・リンデンだったのだ。ジェシーが「仕方なかった」という反応を示していることから、やはりユージーンは感染してしまいジョエルに殺されたのだろう。

また、ユージーンはベトナムの帰還兵だという設定が語られているが、ドラマ版ではジョエルも湾岸戦争の帰還兵であることが明かされている。アビーのグループは、ジャクソンの街のセキュリティは元軍人だと話していた。元軍人であるユージーンとジョエルは共に感染者と戦う中で、ユージーンを殺さざるを得ない状況に立たされたのかもしれない。

また、トミーが立派なリーダーを務める一方で、ジョエルは振り切れたように汚れ仕事を請け負っていたとも考えられる。ミラー兄弟を演じるペドロ・パスカルはチリ生まれ、ガブリエル・ルナはメキシコ系と、二人は中南米にルーツを持っている。トミーとジョエルの二人の関係には、キューバ革命を成就させながらも、政治家の道を歩んだフィデル・カストロと革命家であり続けようとしたチェ・ゲバラの関係を想起させるところもある。

ブローター登場

アビーは雪の下の感染者の死体と遭遇。地滑りによってその下から出てきた大量の生きた感染者達に追われることになる。アビーが逃げる場面は、シーズン2最初の圧巻のゾンビシーン。倒れたフェンスの下をなんとか匍匐前進で逃げるシーンはゲームを再現しているが、より緊迫感のあるシーンに仕上がっている。

そんなアビーを助けたのはジョエルだった。原作ではジョエルはトミーと行動しており、エリーはディーナと巡回に出ていたところにジェシーが合流する流れになっていた。ドラマではエリーとジェシーが一緒に、ジョエルとディーナが共に行動しており、トミーはよりリーダーらしく街から指示を出している。この構図によって、無線でジョエルとディーナに連絡が取れていないことを知ったエリーとジェシーが二人を心配して手分けして雪山に探しに出かけるという展開になっている。

吹雪で雪が地滑りした影響で、雪中に眠っていた大量の感染者達がジャクソンに迫り来る中、トミーとマリアは街で避難の指示とゾンビ戦の対応にあたる。ゾンビから街を守る籠城戦は『ラスアス』シーズン2で描かれる新要素の一つ。ジャクソン軍は十分に誘き寄せたところで火をつけるというスマートな策をとっている。

だがトミーは群の中に一際屈強な感染者の姿を見つける。クリッカーからさらに感染が進んだブローターだ。壁を破って襲いくるブローターは脅威。ゲームでは特定の場所に現れるだけだったが、自分達が住んでいる場所にブローターからやって来ることを想像すると恐ろしい。

前話では原作以上に恐ろしいストーカーの一面がフィーチャーされたが、シーズン2第2話ではブローターもより恐ろしく描写されている。ヒューマンドラマが重視されたドラマ版ではあまり活躍の場がなかった感染者達だが、シーズン2は序盤から感染者にも活躍の場が与えられている(与えんでいい)。

町民は侵入した感染者達と戦い、トミーはマリアに目をつけたブローターと1対1で対決。火炎放射器でギリギリ勝利を収めると、マリアの方は犬を放って感染者達と抗戦している。ブローターと一人で戦うトミーの見せ場を作るとともに、犬の対感染者、対人戦の強さを強調する演出だ。

ラスト15分の幕開け

アビーは感染者から逃げ得る中で、棚ぼたでジョエルを仲間がいるロッジに連れて行くことに成功。オーウェンの作戦はアビーを説得して引き返すことだったが、目の前にジョエルが現れてしまった。ディーナはそこで一同が身につける「WLF(ウルフ)」のバッジを見つけている。

先陣を切ってディーナを人質にしたのはダニー・ラミレス演じるマニーだ。MCUではファルコンを演じるダニー・ラミレスが、『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』(2025) でミスター・ファンタスティックを演じるペドロ・パスカルと対峙している。

ディーナは眠らされジャクソンが燃える中、ジョエルはその間にアビーからの拷問を受けることになる。ドラマ『ラスアス』シーズン2第2話ラストの悪夢の15分が始まる。アビーは、シーズン1のラストでジョエルが兵士18人と医者一人を殺したと告げ、その医者は自分の父だったと明かす。

『The Last of Us II』のゲーム開始から1時間くらいで訪れるこのシーンは、ゲームではジョエルがいきなり足を撃たれ、一緒にいたトミーは頭を殴られて気絶させられる。また、アビーが背景を語る描写はなく、アビーがゴルフクラブでジョエルを殴り続けるので、アビー陣営の非人間的な側面が強調されていた。

一方で、ドラマ版ではアビー側にも共感できる作りになっており、アビーが父を失った当時19歳だったこともここで語られている。現在のエリーと同じ19歳。ジョエルはその姿をエリーに重ね合わせたことだろう。だからジョエルは抵抗せずにアビーの行動を受け入れる。

衝撃のラスト、音楽の意味

アビーは、自分が所属する「身を守れない相手は殺さない」という掟を紹介しながらも、どうでもいいと吐き捨てる。英語ではアビーは「あんたみたいなクズ」になっても復讐を果たすと話している。武器を持たない相手を殺したジョエルと同じように、アビーは抵抗できないジョエルを殺すということだ。

ジョエルが痛めつけられる中、エリーが到着。ジョエルはエリーが見ている目の前でアビーに殺されてしまう。原作ではゴルフクラブでとどめを刺されているが、ドラマでは警棒を首に突き刺されている。

エリーは必死にジョエルに呼びかけるのだが、これもドラマ版のアレンジで、ゲーム版ではアビー達を罵る方に重心が置かれていた。エリーは最後にはアビーに止めるよう懇願。その願いは聞き入れられず、復讐の輪は繋がっていく。エリーはアビー達を殺すと宣言するのだった。

叫ぶエリーの腹をマニーが蹴る描写もあるが、ゲーム版ではマニーはエリーも殺そうとして仲間達に止められている。ドラマ版では目的を達成したアビーらは静かに去っていき、エリーは動かなくなったジョエルに寄り添う。これもドラマオリジナルの描写で、エリーが共に歩んできたジョエルの死に涙を流すエモーショナルな演出となっている。

ドラマ『THE LAST OF US』シーズン2第2話の最後に流れる曲は、Ashley Johnson & Chris Rondinella「Through the Valley」(2020)。ショーン・ジェームズの原曲をゲーム『The Last of Us II』のためにアシュリー・ジョンソンがクリス・ロンディネッラと共にカバーした曲だ。アシュリー・ジョンソンは原作ゲームでエリーの声を演じ、ドラマ版ではエリーの母アンナを演じた。

「Through the Valley」では、「私は死の影が落ちた谷を歩く」「敵が来れば殺す」「水辺を歩いて魂を取り戻す」「正しい道を行くことはできない、間違った人間だから」「彼は『世界を破滅と痛みから救う』と言ったが、私は『世界から自分自身をどう救う?』と聞いた」「私が地獄に落ちるのは分かってる」と歌われている。

詩的な内容だが、具体的な描写が谷や水辺を進むゲームの内容とリンクしており、自分を「間違っている」「地獄に落ちる」と卑下する歌詞は、罪を背負った者の復讐の輪廻が始まるストーリーの展開とマッチしている。

アビー達がロッジを後にする背景では、ジェシーが載っていると思われる馬がロッジに到着していることが分かる。炎上後のジャクソンの街では噛まれた町民を殺す処置が進められ、多くを失ったトミーとマリアの姿が描かれる。ジャクソンの「残された者達」にもスポットライトが当てられるドラマオリジナルの描写だ。

ジェシーはエリーとディーナ、そしてジョエルの遺体が入った袋と共に下山。4人と深い雪山、煙が立つジャクソンの街を映してドラマ『ラスアス』シーズン2第2話は幕を閉じる。

『THE LAST OF US』シーズン2第2話ネタバレ感想&考察

残されたエリー

『THE LAST OF US』シーズン2第2話では、ドラマ組の人にとっては衝撃の展開が待っていた。ペドロ・パスカル演じるジョエル・ミラーの死。原作ゲームをプレイした人にとっては、原作通りに実写化されたことが嬉しくもあり、悲しくもあるというところだろう。

シーズン1ラストのジョエルの行動は、ジョエル自身に返ってきた。アビーの父は武器を持たない医者であり、それを殺したジョエルにも非があることは確かだ。それでも、そうした背景を知らないエリーの目の前で殺されてしまうなんて、悲しい展開である。

一方で、シーズン1のラストからシーズン2まで10年の月日が流れていることは救いの一つだ。ジョエルとエリーはあれから一緒に楽しい時間を過ごしたはず。ジョエルもエリーも、二人が出会うまでは手に入ることはなかった大切な時間を得たのだ。

だからこそ、エリーの喪失感は大きいはず。「THE LAST OF US(残された二人)」は「残された一人」になってしまった。シーズン1でライリー、アンナ、テス、サムらが去り、ジョエルとエリーは残される立場だったが、今度はジョエルがエリーを残して去ってしまった。

アビーもまた父に先立たれて「残された」人物の一人だ。ここから、この残された二人の関係がどう描写されていくのかにも注目しよう。

注目はトミーと第3話

ドラマのオリジナル展開は、ジョエルの喪失と大量の感染者が街を襲った悲劇が並んで描かれることだ。ジョエルの弟であり、街のリーダーであるトミーにとっては二重の悲劇。ジョエルの退場後、ドラマではガブリエル・ルナが演じるトミーにさらに焦点が当てられることに期待したい。

次回は第3話だが、シーズン1では第3話「長い間(Long Long Time)」はフランクとビルの二人のオリジナルストーリーが描かれ、“神回”との高い評価を得た。シーズン2第3話ではどんな展開が描かれるのか、短編映画レベルのオリジナルストーリーはあるのか、引き続きドラマ『ラスアス』を追いかけていこう。

ドラマ『THE LAST OF US』シーズン2はU-NEXTで独占配信中。

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原作ゲームの『The Last of Us』はPS5リメイク版が発売中。

『The Last of Us』と続編『The Last of Us II』はPS4でも発売中。

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シーズン2第3話の解説&考察はこちらから。

シーズン2第1話の解説&考察はこちらから。

ドラマ『THE LAST OF US』シーズン1最終回のネタバレ解説&感想はこちらから。

ペドロ・パスカルが主演を務める映画『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』は2025年7月25日(金) 公開。本予告の解説はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。 訳書に『デッドプール 30th Anniversary Book』『ホークアイ オフィシャルガイド』『スパイダーマン:スパイダーバース オフィシャルガイド』『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース オフィシャルガイド』(KADOKAWA)。正井編『大阪SFアンソロジー:OSAKA2045』の編集担当、編書に『野球SF傑作選 ベストナイン2024』(Kaguya Books)。
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