第6話ネタバレ感想&解説!!『機動戦士ガンダム 水星の魔女』~ガンダム同士の決闘~ | VG+ (バゴプラ)

第6話ネタバレ感想&解説!!『機動戦士ガンダム 水星の魔女』~ガンダム同士の決闘~

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『機動戦士ガンダム 水星の魔女』放送中

2022年10月2日(日)より放送を開始した『機動戦士ガンダム 水星の魔女』。「水星の魔女」世界初のガンダム同士の決闘ということで大注目だった第6話。それでは、いよいよ「ガンダム」らしい盛り上がりを見せた第6話「鬱陶しい歌」をネタバレありで早速振り返っていこう。

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もう一人の魔女

ペイル・テクノロジーズ所属のベルメリアはプロスペラの後輩だ。彼女に「ベルはヴァナディースの意思を継いだのね」と語り掛けるプロスペラに、ベルメリアは「今更、21年前の復讐なんて無意味」だと言う。一体21年前に何があったのだろうか。

これが「PROLOGUE」で描かれたカテドラルによるヴァナディース機関への強襲のことを指すのだとしたら、「17歳」という設定年齢のスレッタはまだ生まれていないことになる。第5話でスレッタが父親の死を覚えていないと言っていた台詞も頷ける。ということは、やはり「PROLOGUE」に登場した「エリクト・サマヤ」はスレッタの姉なのだろうか? だとしたら、エリクトは今どこで何をしているのだろうか…

ベルメリアを軽くあしらったプロスペラは端末で誰かに連絡し、「魔女はもう一人居た」と告げる。未だに「魔女」の意味するところは明確には判明していないが、番組のキャッチコピー「その魔女は、ガンダムを駆る。」からすると一義的にはガンダムのパイロットであるスレッタのことだろう。

そして、これまでの流れからすると「ガンダム」および「ガンドフォーマット」に携わる開発者のことをも指しているらしい。あるいは彼女らが「魔女」と名指されるきっかけとなる出来事が、ヴァナディース機関への強襲とは別の事件として21年前に起こったとも考えられる。

そして、気になるのはやはりこの世界のMSおよびガンダムの戦闘能力の高さだ。遠隔攻撃が可能な「ガンビット」がガンダムにのみ許された特殊装備であるにせよ、それ以外のMSにもビーム兵器は標準装備されている。これだけの戦闘能力はやはり「戦争」を意識したものとしか考えられない。アスティカシア高等専門学園における決闘の他に、やはりこの世界にもかつてMSを使用した戦争が起こったのだろうか。それともこれから起きてしまうのだろうか。

ガンダム・エアリアルvsガンダム・ファラクト

決闘の前にエランの真意を確かめるべく、スレッタはエアリアルに乗って単身ペイル寮へと赴く。個人端末の呼び掛けに応答しないエランに呼び掛ける為、スレッタはペイル寮の全回線に接続することで強制的にエランに呼び掛ける。誕生日がないと告げた自分に、ならば今日を誕生日にすれば良いと「ハッピバースデートゥーユー」を歌うスレッタの無邪気さに、通信を切った後でエランは改めて鬱陶しいと吐き捨てる。

傍から見ていても、確かにここのスレッタの態度は無神経にも程があるだろう。決闘の相手が一度勝ったグエルであることに対して「良かった」と本人の前で口にするなどスレッタはこれまでもあんまりな‟天然”っぷりを発揮していたが、これまでは単に思ったままに口を滑らせてしまうということだったが、今回はむしろ「相手を喜ばす為」という風にスレッタなりに一旦考えた上で歌ってしまっているところにスレッタの他者の感情の機微を察することのできない鈍さが表れている。

とは言え、「水星の魔女」世界でガンダムに乗るということは身も心も極限まで擦り減らすハイリスクなことらしい。このスレッタの鈍さが「ガンダムに乗った」ことの副作用であることさえ疑ってしまう程に、ガンダムはどうやら‟呪いのモビルスーツ”であるようだ。

そんな呪いのモビルスーツであるガンダム2機、エアリアルとファラクトの決闘は宇宙空間を舞台に行われた。一見スナイパーライフルと思しき長身の銃を持つファラクトはしかし、見た目に反して高機動タイプらしい。ファラクトの機動性に追い付く為にニカら地球寮の生徒たちの力を借りてスレッタはエアリアルに高機動型のバックパックを装備して出撃する。お約束のビームサーベル同士の鍔迫り合いが見れて感無量だ。

その後のガンビット同士の激しい対決の末に、スレッタはガンビットのビームでファラクトのアンテナを撃ち抜く。決着後、コクピットからスレッタに救出されたエランの表情からは憑き物が落ちたようだった。後日、ミオリネを交えて三人でスレッタはエランと落ち合う約束をする。しかし、その頃エランはペイル・テクノロジーズにより「用済み」として殺されてしまうのだった…

決闘という「戦い」を通じて確かにスレッタとエランは互いへの理解を深めたようだ。ガンダム作品はこれまでも戦いを単に否定すべきものとしては描かず、その中で得られるものや失われるもの、あるいは失ってでも得たいもの、戦わざるを得ない場合にしかしどのような戦いならば許されるかといった「戦いの価値」を描いてきた。その意味で、スレッタとエランの決闘には確かに価値があっただろう。

しかし、その代償は余りにも大きかった。もしも決闘の結果エランが命を失うと知っていたら、スレッタは決闘に臨んだだろうか。もしも決闘に勝っていたら、エアリアルを手に入れてエランは何をするつもりだったのだろうか。

エランにはどうやら「オリジナル」が存在するようだ。エランがそのオリジナルのクローンなのか、それとも全く別の人間が整形技術などを用いてガンダムに乗る為の身代わりを強いられているのかは定かでないが、少なくとも劇中に登場したエラン以外にも「代わり」は複数存在するようだ。

まるで『新世紀エヴァンゲリオン』(1995~1996)に登場した人気キャラクター、綾波レイの男版だ。何故オリジナルのエラン本人がガンダムに乗らないのだろうか。ガンダムとは本人を乗せられない程危険な存在なのだろうか。だとしたら、エアリアルに乗っているスレッタもまた誰かの「身代わり」なのだろうか……?

益々謎の深まる『機動戦士ガンダム 水星の魔女』。プロスペラは「仮面」に相応しく、ヒールに徹する覚悟を決めているようだ。もしもスレッタが「エリクトの身代わり」としてエアリアルに乗せられているのだとしたら、そしてそのことをスレッタ自身が知ったら、自分と言葉を交わしたエランがまた誰かの身代わりとして殺されたことを知ったら、そこからそんな「世界」を作った大人たちに対するスレッタ自身の戦いが始まるのかも知れない。その時、エアリアルがスレッタの最高の味方であることを祈って。

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』は、2022年10月2日(日)より、毎週日曜午後5時~MBS/TBS系全国28局ネットにて放送中。

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』公式サイト

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第7話のネタバレ感想はこちらから。

第6話までの振り返りと用語解説はこちらから。

第1話のネタバレ感想はこちらから。

第2話のネタバレ感想はこちらから。

第3話のネタバレ感想はこちらから。

第4話のネタバレ感想はこちらから。

第5話のネタバレ感想はこちらから。

腐ってもみかん

普段は自転車で料理を運んで生計を立てる文字通りの自転車操業生活。けれど真の顔は……という冒頭から始まる変身ヒーローになりたい。文学賞獲ったらなれるかな? ラップしたり小説書いたりしてます。文章書くのは得意じゃないけどそれしかできません。明日はどっちだ!
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