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シリーズ第6作『ゴジラxコング スーパーノヴァ』2027年公開
映画シリーズだけではなく、ドラマシリーズなど多彩な展開を見せるハリウッド版ゴジラと「モンスター・ヴァース」。その最新作である『ゴジラxコング スーパーノヴァ(原題:Godzilla x Kong: Supernova)』のタイトルと予告編が2025年5月10日にYouTubeなどで公開された。『ゴジラxコング スーパーノヴァ』は2027年3月26日に全米で公開される。
その予告編は43秒と短いものだったが、背景映像やタイトルから今後のモンスター・ヴァースの行く末を考察するには十分な長さだった。本記事では、『ゴジラxコング スーパーノヴァ』の予告編から、どのような敵怪獣が登場するのか、また前作の『ゴジラxコング 新たなる帝国』(2024)との関係性について考察&解説していこう。
『ゴジラxコング スーパーノヴァ』の宇宙怪獣登場について考察
モンスター・ヴァースの最新作である『ゴジラxコング スーパーノヴァ』について明らかになっていることは、まだ少ない。43秒の映像から読み取れる範囲で、少ないならば少ないなりに考察と解説を述べていこう。まず注目すべきは映画のタイトルにもなっているスーパーノヴァ、つまりは超新星についてだ。
超新星は天文学の用語であることから、『ゴジラxコング スーパーノヴァ』には宇宙怪獣が登場する可能性が高いと考察できる。事実、すでに『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019)で、モンスター・ヴァースの地球はかつて宇宙怪獣の脅威に晒されていたことが解説されている。
その脅威とは『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』で地球の調和を乱す偽りの王、外来種として描かれた宇宙怪獣キングギドラだ。モンスター・ゼロとも呼ばれるキングギドラは、嵐を操って太古よりゴジラと戦いを繰り広げ、地球の環境を破壊してきた。キングギドラは死後もその影響を残し、キングギドラの頭蓋骨はメカゴジラの素材となった。
これらのことから、『ゴジラxコング スーパーノヴァ』でも地球を脅かす脅威として宇宙怪獣が登場する可能性は高いだろう。それでは、これまでの「ゴジラ」シリーズに登場してきた宇宙怪獣を紹介し、『ゴジラxコング スーパーノヴァ』に登場する可能性について考察と解説をしていこう。
ガイガン
「ゴジラ」シリーズにおいて、キングギドラと双璧をなす宇宙怪獣と言えばガイガンがあげられるだろう。『地球進撃命令 ゴジラ対ガイガン』(1972)で初登場したガイガンはM宇宙ハンター星人が宇宙恐竜を改造し、ゴジラたち地球怪獣と戦わせるための尖兵として送り込んだ怪獣だ。
サイボーグ怪獣、未来怪獣とも呼ばれるガイガンは腹に丸ノコを持ち、眼はゴーグルのような単眼になっているなど非生物的な要素を持っているのが特徴だ。『地球進撃命令 ゴジラ対ガイガン』ではゴキブリ型のM宇宙ハンター星人、『ゴジラ FINAL WARS』(2004)ではX星人など、どの作品でも宇宙人たちの侵略兵器として扱われている。
米Deadlineの報道によれば、レジェンダリー・ピクチャーズを筆頭とするスタジオ側はモンスター・ヴァースの人間ドラマを深掘りしていきたいとしている。人間ドラマの深掘りと宇宙からの脅威の可能性。その2つから『ゴジラxコング スーパーノヴァ』ではガイガンを使った宇宙人による地球侵略といった展開が考察できる。
宇宙人によって改造されたサイボーグ怪獣であるガイガンは、『ゴジラxコング スーパーノヴァ』で宇宙人VS地球人という対立構造を描くエッセンスになるのかもしれない。『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』のコンセプトアートにはガイガンが描かれていたため、モンスター・ヴァースでガイガンはキングギドラと同様に地球に古代からいた可能性も考察できる。
事実、『ゴジラ FINAL WARS』ではガイガンは地球に古代より地球で休眠状態になっていた怪獣として描かれていた。そして、『ゴジラ FINAL WARS』でガイガンを送り込んだX星人は自分たちの遺伝子「M塩基」を人類と交配することで残し、ミュータントを生み出している。
モンスター・ヴァースでは怪獣とコミュニケーションを取ることのできる人類が僅かに存在していることから、M塩基によるミュータントの設定を利用して、『ゴジラxコング スーパーノヴァ』では人間ドラマの深掘りがなされる可能性が考察できる。そうなると、同じくM塩基を持つ怪獣であるガイガンの登場も濃厚になるであろう。
ミレニアン/オルガ
ガイガンのように宇宙怪獣の登場に合わせて、人間ドラマの深掘りのために宇宙人も登場する可能性があるとすれば、ミレニアン/オルガも『ゴジラxコング スーパーノヴァ』の登場怪獣として挙げられるだろう。サイボーグ怪獣であるガイガンとは違い、ミレニアン/オルガはゴジラの細胞によって宇宙人が突然変異した怪獣だ。
『ゴジラ2000ミレニアム』(1999)に登場する宇宙人ミレニアンは6000万年前に地球へ不時着。その後、長年眠りについていたが、ゴジラの細胞「オルガナイザーG1」が自身の復活の鍵になると知り、その細胞を狙う宇宙人だ。そしてオルガナイザーG1を獲得することに成功したミレニアンだったが、強力過ぎた細胞をコントロールできず、宇宙怪獣オルガになってしまった。
その後、よりオルガナイザーG1を取り込もうとオルガはゴジラを捕食しようとする。そして、ゴジラを丸飲みした際に口腔内から放射熱線を浴びてしまい、炭化して死亡してしまった。だが、その高度な知能を持つという設定は人間ドラマを深掘りする上では良いエッセンスになることが考察できる。
人類の知識を奪い、キリスト教の千年王国を宣言するなどの宗教要素を持つミレニアンは、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』で偽りの王とされたキングギドラに似た設定の怪獣になるかもしれない。本作のグラント・スピュートリ監督と脚本家のデイヴ・キャラハムが『ゴジラxコング スーパーノヴァ』で、これまでのモンスター・ヴァースで描かれてきた宗教的要素をどう回収するのかにも注目だ。
スペースゴジラ
ここまで『ゴジラxコング スーパーノヴァ』で人間ドラマが深掘りされるという情報から、宇宙人の登場を考察してきた。しかし、そのような遠回りをしてタイトルの宇宙要素に触れる必要性はないかもしれない。本来、スーパーノヴァとは主に恒星の爆発による天体などを指す言葉で、「ゴジラ」シリーズには恒星の爆発によって誕生した怪獣が存在している。それがスペースゴジラだ。
宇宙怪獣の他に宇宙結晶怪獣、破壊神、戦闘生命、宇宙凶悪戦闘獣、戦闘生物などの異名を持つスペースゴジラは『ゴジラvsスペースゴジラ』(1994)で初登場した怪獣だ。スペースゴジラは『ゴジラvsビオランテ』(1989)や『ゴジラvsモスラ』(1992)でゴジラ細胞が宇宙でブラックホールに飲み込まれ、結晶生物と融合し、恒星の爆発を浴びてホワイトホールから飛び出してきた怪獣と解説されている。
まさしく、スーパーノヴァの名にふさわしいスペースゴジラだが、『ゴジラxコング スーパーノヴァ』で登場するとすれば、モンスター・ヴァースにおいては、どのようにゴジラ細胞が宇宙に飛散したのだろうか。そのヒントはコングたちが住んでいる地下空洞「ホロウ・アース」への人類の進出にあると考察できる。
ホロウ・アースへの侵入は怪獣、つまりはタイタンの誘導が無ければ不可能であり、鉄壁とも言うべき重力の波によって守られている。この重力の波を攻略すべく、『ゴジラvsコング』(2021)では重力に適応した探索船が開発され、『ゴジラxコング 新たなる帝国』では重力を制御する方法について研究が進められている。
これらの人類のホロウ・アース進出への研究が、宇宙進出へと転用されるのではないだろうか。そして、地球の異常な重力場を克服するための研究が、宇宙の特殊な重力場であるブラックホールの影響を受けてしまい、その過程でゴジラ細胞が宇宙に飛散することになる可能性が考察できる。
現在公開されている予告編では背景に一瞬、結晶体のピラミッドが地上に出現していることがニュース映像として流れている。もしかすれば、これらの結晶体は『ゴジラxコング 新たなる帝国』でモスラを復活させた結晶体ではなく、スペースゴジラが生み出すバトルフィールドの結晶体なのかもしれない。今後公開されるであろう他の予告編に注目だ。
人類とゴジラの関係はどうなった? 背景のニュースを解説
『ゴジラxコング 新たなる帝国』で破壊されたリオデジャネイロの復興
スペースゴジラの考察でも触れたが、『ゴジラxコング スーパーノヴァ』の予告編は短いながらも、よく見てみると情報量が多いものであった。その一つが背景のニュース映像だ。その映像では、『ゴジラxコング 新たなる帝国』でスカーキングとの死闘で破壊されたブラジル・リオデジャネイロが復興したと報道されている。
スカーキングはシーモを利用し、かなりの範囲を破壊しつくした。それを踏まえて、リオデジャネイロの復興がかなり進んでいることを見ると、モンスター・ヴァースでは長い時間が経過している可能性があると考察できる。『ゴジラxコング スーパーノヴァ』では新キャストとしてケイトリン・デヴァー、ジャック・オコンネルが出演することが明らかになっており、前作からの続投が明らかになっているのはトラッパー役のダン・スティーヴンスだけだ。
もしかすると、『ゴジラxコング スーパーノヴァ』は『ゴジラxコング 新たなる帝国』のキャストは時間経過に伴い退場してしまうのではないだろうか。その場合、新キャストたちの登用は、ある意味で登場人物たちが世代交代してしまった結果なのかもしれない。
地球の調和の危機に地球怪獣が集結?
『ゴジラxコング 新たなる帝国』までの長いときを経て、モンスター・ヴァースの地球はゴジラによる地上の調和とコングによるホロウ・アースの支配によって平和がもたらされている。その平和に至るにはゴジラとコングだけではなく、怪獣の女王であるモスラの協力も不可欠であった。
ここまでの『ゴジラxコング スーパーノヴァ』についての考察では、そのタイトルのスーパーノヴァから、宇宙怪獣の脅威について述べてきた。実際、ゴジラとコング、モスラによる地球の調和を乱すほどの脅威となると、宇宙怪獣レベルでないと難しいだろう。
裏を返せば、『ゴジラxコング スーパーノヴァ』で現われる宇宙からの脅威に対して、ゴジラとコング、モスラたち地球怪獣が集結する可能性がある。『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』で登場して以降、音沙汰のないラドンも登場するかもしれない。
往年の「ゴジラ」シリーズのように地球の危機に対して地球怪獣たちが集結する様子がモンスター・ヴァースで観られるかもしれないと思うと、怪獣ファンとしては興奮を抑えきれない。『ゴジラxコング スーパーノヴァ』での地球怪獣集結に期待が高まる。
『ゴジラxコング スーパーノヴァ(原題:Godzilla x Kong: Supernova)』は2027年3月26日に全米公開予定。
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Deadline
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