『万事快調〈オール・グリーンズ〉』ジャパンプレミアで児山隆監督が舞台挨拶
2025年10月27日(月)より都内で開催されている第38回東京国際映画祭にて、2026年1月16日(金)公開の映画『万事快調〈オール・グリーンズ〉』が10月30日に国内で初めて上映され、児山隆監督が舞台挨拶に登場。観客とのQ&Aセッションも実施された。
『万事快調〈オール・グリーンズ〉』は発表当時21歳で第28回松本清張賞を受賞した波木銅の同名小説を実写映画化した作品。ラッパーを夢見ながらも、学校にも家にも居場所を見いだせず鬱屈とした日々を送る朴秀美(ぼく・ひでみ)役を南沙良、クラスの人気者だが家庭では問題を抱えている映画好きの矢口美流紅(やぐち・みるく)役を出口夏希が演じる。
また、朴秀美や美流紅と共に、同好会「オール・グリーンズ」を結成する岩隈真子(いわくま・まこ)役を吉田美月喜が演じる。さらに、羽村仁成、金子大地、黒崎煌代など今最も旬なキャストが集結。鬱屈とした地方で高校生たちが一攫千金を狙う爽快な青春譚を彩っている。
第38回東京国際映画祭での『万事快調〈オール・グリーンズ〉』の公式上映後に実施されたQ&Aでは、児山監督は制作の背景やキャスティングについて秘話を明かした。
まず、発表当時、21歳の大学生だった波木銅によるユニークな小説を映画化した経緯を司会者から問われた児山監督は、「当時、プロデューサーから面白い原作があるからと勧められ、読んでみたらとても面白くて。是非やらせてくださいと。登場人物たちが自身の境遇に悲観していなくて、小説の構造も、荒っぽさもありながら知性がある。既存の物語に対する反逆心も感じました」と、原作の魅力を交えながらコメント。
ここから観客とのQ&Aに入り、南沙良演じる朴秀美のラップシーンが話題に。児山監督はこの時の撮影エピソードについて、「最後の南さんのラップシーンは、撮影中に思いついたシーンで、撮影の3日前にリリックを渡して挑んでもらいました。また、印象的な撮影エピソードといえは、吉田(美月喜)さんのクランクインが、ボーリング場のシーンだったのですが、南さんと出口(夏希)さんの芝居を傍でニコニコ眺めていた吉田さんが『芸能人が二人いてすごいですね!』と言っていて、かわいらしいなと思いました」と明かした。
また、劇中でオープニングタイトルが出るタイミングにはこだわりがあるそうで、「美流紅の『これはわたしたちにとっての第二部なんだよ』というセリフが好きで、人生の第一部は自分では決められないけど、第二部は任意で決められる。本当にそうだなと思って、あのタイミングで意図的にオープニングタイトルを上げました」といい、ロケーションについても撮影前から舞台となる東海村に何度も足を運び、主人公たちが行きそうな場所をくまなくリサーチしたというこだわりを次々と明かすと、「自分も大阪の地方都市出身で、とくに若者の閉塞感は共感できる部分があったので、この映画では鬱屈する部分を表現できればと思いました」と思いを込めた。
今をときめく旬なキャストの共演も話題だが、キャスティングについて児山監督は「朴秀美は、印象としてやさぐれていない人がよかった。今まで南さんは、こういった役はやっていらっしゃらなかったので、直感で朴秀美にぴったりだと思いました。逆に美流紅は悩みまして……。プロデューサーからの提案もあり、出口さんにダメ元で脚本を送ったら、読んでいただき、「脚本が面白い」とおっしゃっていただき、やってくださるとお返事をいただきました。吉田さんは、ちょうど『ルックバック』の頃にご本人にお会いする機会があって、吉田さんの中にキラキラした部分と、鬱屈した所も持ち合わせているように思い、岩隈の属性に合っていると感じました」とキャスティング理由を語った。
映画の終盤には、原作には描かれていない展開が用意されており、観客からは驚嘆の声も。「原作には起承転結の気持ちよさがありますが、これを映画にするのには、クライマックスの一山は新たに作らなければと思いました」と児山監督はいい、映画ならではのクライマックスに期待が高まる。
最後の締めの挨拶では「東京国際映画祭は僕の映画が初めて上映された場所で、またこうして戻ってこられて感慨深く、映画監督として生きてこれたことに感無量です。この映画の出演者は豪華ですが、中規模の作品で、こういった作品が劇場で長く観てもらうというのは難しい現状があります。僕はこの映画が本当に面白いと思っていますので、皆さんのお力をお借りできたら嬉しいです。是非映画を気に入っていただけたら、周りの人に勧めてください」と熱く呼びかけた。
映画『万事快調〈オール・グリーンズ〉』は2026年1月16日(金)に新宿ピカデリー他で全国公開。
◎タイトル:『万事快調<オール・グリーンズ>』
◎原作:波木銅「万事快調<オール・グリーンズ>」(文春文庫)
◎監督・脚本・編集:児山隆
◎出演:南沙良 出口夏希
◎主題歌:NIKO NIKO TAN TAN 「Stranger」 (ビクターエンタテインメント/Getting Better)
◎公開:2026年
◎配給:カルチュア・パブリッシャーズ
◎コピーライト:©2026「万事快調」製作委員会
■公式サイト https://www.culture-pub.jp/allgreens/
■インスタ https://www.instagram.com/allgreens_movie/
■X https://x.com/allgreens_movie
本予告はこちらから。
波木銅の原作『万事快調〈オール・グリーンズ〉』は文春文庫より発売中。
第38回東京国際映画祭は2024年10月27日(月)~11月5日(水)、会場:日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催。
第38回東京国際映画祭での『HAPPYEND』舞台挨拶の模様はこちらから。
齊藤工も登壇した第38回東京国際映画祭コンペティション部門審査員記者会見の模様はこちらから。
第38回東京国際映画祭のレッドカーペットに登場した『万事快調〈オール・グリーンズ〉』監督&キャストの様子はこちらから。
レッドカーペットでの『てっぺんの向こうにあなたがいる』監督&キャストの様子はこちらから。
