記念上映で撮影秘話が明らかに『HAPPYEND』空音央監督、栗原颯人、日高由起刀、林裕太が舞台挨拶【東京国際映画祭】 | VG+ (バゴプラ)

記念上映で撮影秘話が明らかに『HAPPYEND』空音央監督、栗原颯人、日高由起刀、林裕太が舞台挨拶【東京国際映画祭】

『HAPPYEND』東京国際映画祭で記念上映開催

2025年10月27日から11月5日まで開催されている第38回東京国際映画祭にて、日本映画監督協会新人賞を受賞した空音央監督の映画『HAPPYEND』の記念上映が行われた。舞台挨拶に空音央監督、出演者の栗原颯人日高由起刀林裕太、そして同賞の審査委員長を務めた映画監督の大森立嗣が登壇した。

映画『HAPPYEND』は監視社会と化した近未来の高校を舞台に、マイノリティへの抑圧と社会への抵抗の狭間で揺れ動く親友ふたりの関係を描いた作品だ。2024年10月に日本で公開されると、口コミで高い評価が広がり、アジア各国で上映を拡大し、韓国でも観客動員10万人を突破するヒットを記録した。

第38回東京国際映画祭の記念上映には多くの観客が詰めかけ、満員の劇場で空監督は本作を制作したきっかけについて、「自分が高校、大学、そして大学卒業直後にいろいろ経験した感情、主に友情に関する感情が主なんですが、それに付随する世界中で起こっていた社会問題や社会運動が友情関係に深く影響していたので、その全てを映画にしたいなと思ったのが第一のきっかけです」と語った。

空音央監督は、映画『HAPPYEND』で日本映画監督協会新人賞を受賞。同賞の審査委員長を務めた大森立嗣は、「近未来を舞台にしているが、僕たちの生きている外側に世界があるという点を描いた作品」と評価。さらにメインキャラの5人中4人が演技未経験というキャストについては、こう語った。

さっき初めてお会いしたんですが、「本物だ」って思っちゃうくらい、緊張してしまうくらいにスクリーンの中で生きていたなっていう風に感じたんですよ。青春を描くときに外部というか外側があることで、青春がヒリヒリと、キラキラとするということを体現していたと思います。日本映画においてはなかなか珍しい作品ではないかと思いました。

空監督は、演技未経験の役者が中心となった制作過程について以下のように語った。

意図的にそうしたというわけではなくて、オーディションをしてキャラクターに一番合う人を探したいなと思っていました。僕自身が日本の芸能界に疎いのでどういう人がいるのかということを知らずに、でも制限を設けずにオーディションをしたんですが、一番キャラクターにフィットした人を選んだというか、直感ですね。それに加えて、俳優同士の化学反応、ケミストリーが生まれるかということも念頭に置いて、あの5人が一番良かったということでした。

当時、演技未経験でオーディションを経て主人公ユウタ役に抜擢された栗原颯人は、「メインキャスト5人のうち4人が演技未経験ということもあって、林くん(アタちゃん役、林裕太)だったりに聞きながら、アドバイスをもらいながら演じることができたと思います」と撮影を振り返り、「監督の二ヶ月前からのワークショップを含め、一緒に過ごす時間がすごくあって、演じるというよりは、そのキャラクターとして生きているような感覚がありました」と語った。

同じく演技未経験からオーディションを経てコウ役に抜擢された日高由起刀は、「僕の人生の中でそういう(本作のような)場面があったということを思い出して演技したという記憶があります」と語る。当時すでに俳優として活躍していたアタちゃん役の林裕太は、「台本を読んだときにアタちゃんはムードメイカーで明るいキャラクターだと知っていて、その上でこの5人で一緒にいることが役作りになりました」として、以下のように続けた。

監督からは、もしお芝居で4人が悩むことがあったら相談に乗ってほしいと言われて、そんなに良いアドバイスができたかどうかわからないんですが、そうやって交流をしていくこと自体が役作りになっていました。

ここで日高由起刀が林裕太に「楽しかったね」と語りかけると、林は「楽しかった(笑)」と応答。すると空監督が「僕が言ったわけではないんですけど、撮影が終わったらその日の夜に皆で飯に行って、裕ちゃんのめちゃくちゃ狭いホテルの部屋で5人で次の日の本読みしたりして。全然頼んでないのに(笑)」と秘話を明かした。日高由起刀は「楽しかったです。思い出ですよね、僕らのデビュー作なので。これが当たり前なのかなっていうくらい、熱心にやってました」と振り返り、会場は暖かい雰囲気に包まれた。

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第38回東京国際映画祭は2024年10月27日(月)~11月5日(水)、会場:日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催。

東京国際映画祭 公式サイト

齊藤工も登壇した第38回東京国際映画祭コンペティション部門審査員記者会見の模様はこちらから。

第38回東京国際映画祭のレッドカーペットに登場した『万事快調〈オール・グリーンズ〉』監督&キャストの様子はこちらから。

レッドカーペットでの『てっぺんの向こうにあなたがいる』監督&キャストの様子はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。 訳書に『デッドプール 30th Anniversary Book』『ホークアイ オフィシャルガイド』『スパイダーマン:スパイダーバース オフィシャルガイド』『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース オフィシャルガイド』(KADOKAWA)。正井編『大阪SFアンソロジー:OSAKA2045』の編集担当、編書に『野球SF傑作選 ベストナイン2024』(Kaguya Books)。
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