ネタバレ考察『だぁれかさんとアソぼ?』都市伝説“タカヤサマ”と高谷さなは何者? 残された謎はどうなる? | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ考察『だぁれかさんとアソぼ?』都市伝説“タカヤサマ”と高谷さなは何者? 残された謎はどうなる?

(C)2026「だぁれかさんとアソぼ?」製作委員会

2026年、ホラークイーン“高谷さな”は新たなステージへ

「呪怨」シリーズを手掛けたジャパニーズ・ホラーの巨星・清水崇監督が贈る、『ミンナのウタ』(2023)と『あのコはだぁれ?』(2024)に続く“高谷さな”ユニバースの第3作目『だぁれかさんとアソぼ?』が2026年7月24日(金)より全国公開された。

清水崇監督たちが生み出した“高谷さな”は、穂紫朋子の怪演も相まって新生ホラークイーンとして邦画の世界に衝撃的な登場を果たした。『ミンナのウタ』で初登場し、『あのコはだぁれ?』で設定が深掘りされた高谷さなは、『だぁれかさんとアソぼ?』で“タカヤサマ”という新しい顔を見せた。

本記事では『だぁれかさんとアソぼ?』における高谷さなとタカヤサマの描き方について解説と考察をしていこう。なお、以下の内容は『だぁれかさんとアソぼ?』のラストに関わる重要なネタバレを含むため、本編鑑賞後に読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『だぁれかさんとアソぼ?』および『あのコはだぁれ?』、『ミンナのウタ』の内容に関するネタバレを含みます。
自殺描写注意
以下の内容は、自殺描写を含みます。

『だぁれかさんとアソぼ?』タカヤサマは都市伝説化か、神格化か

そもそも高谷さなは何者なのか?

『ミンナのウタ』で高谷さなの目的は「自分の歌をみんなに届け、みんなを自分の世界に引き込むこと」であると卒業文章に書かれており、そのためには“最期の音”を集める必要性があると考えていた。そのために、祖母や猫に手をかけ、弟の高谷俊雄の胎動の音を集めていたことが明らかになっている。

そして、自分の“最期の音”を録音するため、2階の自分の部屋で掃除機のコードで首をくくると「ドアにコードが引っかかって開かなくなった」と両親にコードを引っ張らせて自殺した。その直前に担任の川松先生に両親がもめていると電話をかけ、自分の絞殺死体を発見させることで両親が自分を殺したことにしたとされている。

死後、幽霊となった高谷さなは“最期の音”を集めて生み出した歌を拡散させようと画策した。しかし、利用しようとしたGENERATIONSのマネージャーの角田凛が彼女に寄り添ったことで失敗してしまう。その後、自分の同級生の子どもたちへの接触を図るも、弟の俊雄=七尾悠馬の婚約者・君島ほのかに阻止され再び失敗。最後は母親・高谷詩織によって道連れにされたはずだった。

都市伝説“タカヤサマ”という“神”へ

高谷さなによる凶行は『あのコはだぁれ』を最後に終わったかと思われた。しかし、高谷さなは“タカヤサマ”という都市伝説になってよみがえる。タカヤサマは階段の13段目でカセットテープに「殺したい相手の名前」と「殺してほしい日時」を伝えると、呪殺してくれるという存在である。

タカヤサマは儀式によって人を呪い殺す“現代のこっくりさん”とされるが、『ミンナのウタ』を観ている観客は少し違和感を抱くかもしれない。なぜならば、探偵の権田継俊の捜査によって「高谷さなは善意で自分の歌を拡散している」のが明らかになっているからである。そのため、誰かのために呪い殺すのは少し不可解だ。

その謎は『だぁれかさんとアソぼ?』のラストで高谷さなが自ら解説する。彼女はタカヤサマになったことで、日本全国の呪殺してほしいという願いを引き受け、それによって“最期の音”が勝手に集まることを喜んでいたのだ。

多くの若者たちにとっては遊びだったかもしれない。しかし、タカヤサマによって高谷さなの「自分の歌をみんなに届け、みんなを自分の世界に引き込むこと」という夢が実現してしまったのだと考察できる。

この構造は恐ろしいことに信仰心に似ている。儀式を行う人々はタカヤサマにカセットテープを通して祈りを捧げ、タカヤサマはそれに応え、犠牲者の“最期の音”が彼女に奉納されるのである。すべての祈りに応えているわけではないだろうが、映画の高谷さなの世界、通称“さなワールド”の犠牲者の数を見るとかなり呪殺していることがわかる。

主人公の平瀬小春から「みんなそんなつもりじゃなかった」と言われ、高谷さなは子どもっぽく「えー」と返しているが、今回のさがみ野高校の犠牲者たちは真剣にタカヤサマに呪殺してほしいと願っていたことがわかる。“さなワールド”では切実な祈りの声が響いており、さらには奥山衣緒理という強烈な信者も生み出していた。これは宗教にかなり近い。

更地になったはずの場所に佇む高谷家は、タカヤサマという神における聖域として機能していたと考察できる。そこに入るためには高谷さなに取り込まれる必要性があり、高谷さなの部屋は彼女が生み出した無限に広がる暗闇へとつながっている。つまり、あの家が神社における鳥居のような境界装置の役割を果たしていた可能性が高い。

“神”という構造による敗北

ただの少女の幽霊の域を出て、日本全国から信仰心を集め、“最期の音”を奉納されるという神に近しい存在になった高谷さな。しかし、『だぁれかさんとアソぼ?』において高谷さなが平瀬小春たちに敗北した理由は、そのように神格化されたことが原因だと考察できる。

高谷さなは都市伝説となっていく過程で、タカヤサマと呼ばれるようになった。そして若者たちはタカヤサマに祈りを捧げ、タカヤサマに向けて儀式を行ない、タカヤサマに“最期の音”という供儀を奉納しているのである。つまり、高谷さなは始まりではあるものの、最終的に神に近い信仰心を集めていたのはタカヤサマの方であった。

これに関しては、芥見下々『呪術廻戦』(2018-2024)における仮想怨霊の例えがわかりやすいかもしれない。『呪術廻戦』の仮想怨霊とは、実際には存在してないが人間から作り出される恐怖の感情が集まって生み出された呪霊である。

つまり、高谷さなの目的は“最期の音”を集めることであり、呪殺はその副産物でしかない。だが、信者が求めるのは呪殺であり、“最期の音”が副産物で、それを奉納している。そのため、信者が崇拝しているのは高谷さな本人ではなく、呪殺してくれるタカヤサマというイメージだった。

そして、SNSなどで拡散する中で“最期の音”を集める少女・高谷さなという本体と“現代のこっくりさん”と呼ばれるタカヤサマというイメージが乖離しはじめていく。その結果、タカヤサマという”高谷さなから半ば独立した都市伝説”が形成されていき、タカヤサマは仮想怨霊のような存在になったと考察できる。

ラストでは、高谷さな自身が「2026年7月17日、高谷さな」とカセットテープに録音され、これまで犠牲者に起きてきたタカヤサマの儀式を自ら受けることになる。そして録音されたのは、他の犠牲者と同じように彼女自身の”最期の音”だった。

もしタカヤサマが都市伝説として高谷さなから独立した存在へ変化していたのだとすれば、この場面は「創造主が、自ら生み出した都市伝説に裁かれた瞬間」とも読める。高谷さなは他者の”最期の音”を集め続けた末、最後は自分自身の”最期の音”までタカヤサマに奉納することになった。彼女の目的は、皮肉にも自らを最後の犠牲者にすることで完成したとも読める。

『だぁれかさんとアソぼ?』で残された謎を考察

誰がテープレコーダーを持ち込んだのか?

『だぁれかさんとアソぼ?』で高谷さなはタカヤサマによって闇へと引きずり込まれた。しかし、これですべて解決したわけではない。謎はまだ残っており、その謎が新たな恐怖を生む可能性がある。その一つがテープレコーダーの存在だ。

さがみ野高校の音楽室の準備倉庫にあったテープレコーダーは高谷さなの私物である。『あのコはだぁれ?』は高谷さなの母校の中学校が舞台だったため、彼女の私物があってもおかしくはないが、さがみ野高校は彼女と何も関係ない。

『あのコはだぁれ?』で高谷さなと友人になりかけていた三浦瞳が進学していたため、彼女についていったとも考えることはできる。だが、彼女はタカヤサマによって死亡者が出てからテープレコーダーがさがみ野高校にあったことを知った。そのため、高谷さなが三浦瞳についていって自分の存在を知らせようとした可能性は低い。

さらに言えば、三浦瞳がさがみ野高校に高谷さなのテープレコーダーがあることを知る前から、生徒たちはそれでタカヤサマの遊びをしていた。つまり、誰かがタカヤサマの遊びとともに高谷さなのテープレコーダーを使うようにと拡散していたのである。

本当に高谷さなは自殺だったのか?

そして、本作最大の謎が高谷さなの死の真相だ。『ミンナのウタ』と『あのコはだぁれ?』では、彼女は他殺に見せかけた自殺とされていた。しかし、『だぁれかさんとアソぼ?』では、それを覆すような新しい事実が明らかになった。それは高谷夫妻が娘の死体を家の玄関先にあるコンクリートの階段に隠していたことだ。

『ミンナのウタ』でGENERATIONSのマネージャーである角田凛と『あのコはだぁれ?』で教師の君島ほのかが、高谷さなの記憶の中と思われる世界で彼女が死ぬ瞬間に立ち会っている。そこでは高谷さなが自ら首に掃除機のコードをかけ、ドアに引っかかったと言って両親にコードを引っ張らせていた。

このシーンだが、よく考えると疑問が残る。そもそも、コードが引っかかってドアが開かなくなったのなら、コードが引きちぎれそうになるまで引っ張るのではなく、2階に上がってドアを直接開けてみようと試みるのが自然だ。つまり、そもそも高谷さなが本当に両親を使って他殺に見せかけた自殺のトリックを仕組んだとしても、あまりにもお粗末すぎたのだ。

幽霊になっても親子は憎しみあっているのか?

『だぁれかさんとアソぼ?』では、高谷さなが平瀬菜々美を自分と同じように縊死させようとし、その際に高谷夫妻がコードを引っ張っている様子を見せる。このシーンを注目すると本気で引っ張りはじめた父親の洋一と違い、母親の詩織は面倒くさそうとに手伝いはじめた上、笑いながら引っ張っていることがわかる。

詩織は高谷さなが布団に潜り込んで妊娠中の俊雄の胎動を録音しはじめたあたりから彼女を恐れているような言動をしており、いじめ疑惑で怪我をした川松先生が高谷さなを家まで連れ帰ったとき、被害者であるはずの娘を殴っている。他にも産まなきゃよかったとも言っていたことが明かされている。

さらに、父親の洋一が「さなは死にきれなかった」と表現し、回想の中の高谷さなが手足が折れながらも玄関へと這いずり、もう一度自殺を試みていたという新しい真実も明らかになった。これは完全には死ねなかった幽霊の高谷さなが死を再現し続けているとも取れるが、それだとしても娘の死体を玄関先にコンクリートで埋めるのは奇妙だ。

もしかすると、娘が自殺しようとしているのを知りながら高谷夫妻はそれを手伝い、そして死にきれずに蘇生した彼女を殺したのではないだろうか。1992年の週刊誌によれば、高谷さなの自殺は殺害事件として取り扱われている。容疑者となったが最後は容疑が晴れて遺体が帰ってきたとしても、娘の遺体を玄関先のコンクリートの下に埋める意味がわからない。

そうなるとやはり、高谷夫妻には娘・さなの自殺において何かやましい思いがあったのではないだろうか。そうなると『あのコはだぁれ?』で高谷詩織が死に際に幽霊の高谷さなを道連れにしたことの意味が変わってくる。あのシーンは詩織が犠牲になりそうな子どもを救ったのではなく、幽霊になった娘を再び殺した瞬間なのかもしれない。「もう一度死ねる」。その言葉の裏には高谷夫妻の「もう一度殺せる」という言葉が隠れている可能性がある。

『だぁれかさんとアソぼ』その後世界はどうなる?

『ミンナのウタ』『あのコはだぁれ?』と続いてきた“高谷さな”ユニバースだが、高谷さなを現実世界に縛っていた依り代であるカセットテープとテープレコーダーを弟の七尾悠馬が破壊。そして、これまで弔われていなかった遺体をコンクリートの下から発見したことで、現実世界に高谷さなを縛り続けるものは無くなったと考察できる。

そして、幽霊の高谷さなは都市伝説化したことで生まれたタカヤサマによって“さなワールド”に引きずり込まれてしまった。これにより、高谷さなは現実世界に戻ってくるすべを失ったと思われる。しかし、それはハッピーエンドと言えるのだろうか。

前述の通り、高谷さなの死は自殺なのか、他殺なのかすらもわからない謎多き事件だ。それに加えて弟の七尾悠馬はタカヤサマの儀式を執り行なったとはいえ、姉の遺品を壊したことで姉の幽霊が現実世界から消滅したのを目撃した。そうすれば母親・詩織が殺人に関与していたかどうかはさておき、現実世界から解放すべく遺品のとしお人形を破壊するかもしれない。

すべての悪霊がいなくなったとすれば、何が『だぁれかさんとアソぼ?』の事件後の世界に残るのだろうか。それはおそらく、高谷さなへの恐怖心の集合体・タカヤサマではないだろうか。依り代である遺品や遺体も持たず、真実もわからない噂の内容だけを頼りに呪殺を続け、“最期の音”と信仰心を集め続けるオートマチックな呪い。

もはや『ミンナのウタ』『あのコはだぁれ?』『だぁれかさんとアソぼ?』の3作で描かれ続けた高谷さなという少女はいなくなった。しかし、人々が恐れ、語り継ぐ限り、“タカヤサマ”という存在だけは残り続けるのかもしれない。

映画『だぁれかさんとアソぼ?』は2026年7月24日(金)より全国公開。

『だぁれかさんとアソぼ?』公式

映画『だぁれかさんとアソぼ?』は公式ノベライズが発売中。

映画『だぁれかさんとアソぼ?』はオリジナル・サウンドトラックが発売中。

映画『あのコはだぁれ?』はAmazonプライムビデオで見放題配信中。

Blu-ray、オリジナル・サウンドトラックも発売中。

『ミンナのウタ』はBlu-ray、DVDが発売中。配信でも視聴できる。

映画『だぁれかさんとアソぼ?』ラストの解説&考察はこちらから。

『あのコはだぁれ?』と『ミンナのウタ』を合わせて考える“高谷さな”についての考察はこちらから。

『あのコはだぁれ?』ラストの解説&考察はこちらから。

鯨ヶ岬 勇士

1998生まれのZ世代。好きだった映画鑑賞やドラマ鑑賞が高じ、その国の政治問題や差別問題に興味を持つようになり、それらのニュースを追うようになる。趣味は細々と小説を書くこと。
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