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『バットマン:ホワイトナイト』作者が語る“コミックと政治” 「同意しない信条も描かなきゃいけない」

「バットマン」作者が語る“コミックと政治”

政治的なテーマを扱った『バットマン:ホワイトナイト』

『バットマン:ホワイトナイト (原題: Batman: White Knight)』の著者であるショーン・マーフィーは27日、Paste誌のインタビューに答え、コミックで政治的なテーマを扱うことの難しさについて語った。

『バットマン:ホワイトナイト』は、2017年10月にアメリカで発売。正気を取り戻し、メディア戦略や裁判、慈善施設への寄付などの政治活動を通して影響力を広げていくジョーカーと、正義と過剰な暴力の間で揺れるバットマンの闘いが描かれた。正気を取り戻した“政治家”としてのジョーカーはファンを魅了し、『バットマン:ホワイトナイト』はスマッシュヒットを記録。2019年に続編が発刊されることも発表された。

「政治的にならざるを得ないよ」

そんなヒット作を生み出したショーン・マーフィーだが、「バットマン」の世界観にリアルな政治を持ち込んだ技法について、以下のように語っている。

『バットマン:ホワイトナイト』での目的は、ゴッサムをコミックの世界としてではなく、リアルな街として描くことだった。読者にゴッサムの住民になって、バットマンが現実に存在したらどう思うだろうか、ということを考えてみてほしかったんだ。「バットマンは犯罪者か? それとも警察の仲間か?」ってね。彼がヴィランと戦ったときに出た損害は誰が補償してる? ゴッサムの政治家と富裕層の間でどんな汚職が蔓延していて、バットマンの存在をよしとしているのか? この疑問に答えようと思ったら、政治的にならざるを得ないよ。

つまり、「バットマン」の設定を現実に近づけて考えれば考えるほど、政治的なテーマに踏み込まざるを得なかったということだ。その上で、コミックで政治を扱うことの難しさについて、こう続ける。

コミックで政治的な議論を扱うコツは、より多様な意見を持つキャラクターを登場させることだと思うよ。そして、それらの意見をなるべく公平に扱うようにするんだ。正確にいえば、それを読む読者たちが共感できるようにするということだよ。

by ショーン・マーフィー

「同意しない信条も描かなきゃいけない」

更にショーン・マーフィーは、物語を作る上で、「同意しない信条も描かなきゃいけない」とし、自分が同意しない意見をも肯定的に描かなければならない辛さについても語っている。だが、それも自分とは意見が合わない人々にも物語を届ける為の手段であり、自分の主張は自分が肩入れするキャラクターに全て語らせればいい、というのが彼の考え方である。同時に、自分とは意見が異なるキャラクターを登場させ、何が彼女/彼をそうさせるのか、ということを描いていくのだ。

読者自身の立ち位置を問う

『バットマン:ホワイトナイト』には、二人のレポーターが議論を交わす場面が登場する。リベラル派と保守派の二人が、ジョーカーが政治家として選挙に立候補するに相応しい人物かということについて、意見をぶつけ合うのだ。興味深いのは、リベラル派のレポーターが正気を取り戻したジョーカーを支持し、保守派のレポーターが法を無視してヴィランを退治するバットマンを支持するという点だ。読者からすれば、ジョーカーはマイノリティの為に闘う政治家で、バットマンは狂気にまみれた大金持ちという見方も成り立つ。このように様々な視点が交差し、他でもない読者自身の政治的な立ち位置を問いかけるのが『バットマン:ホワイトナイト』という作品なのだ。

同作で扱われているテーマは、人種差別、銃規制、自警行為、経済格差、政治家の汚職など、多岐にわたる。読者たちは、「民主党、共和党、そしてトランプといった言葉を使わずに」現実の政治的な問題について議論を交わしていると、ショーン・マーフィーは指摘する。同意しない信条をも物語の中で描き出すことによって、読者に議論の場を提供しているのだ。読み手のリテラシーを信頼しているからこそ、なせるワザだろう。

『バットマン:ホワイトナイト (原題: Batman: White Knight)』は、日本語版はまだ登場していないが、英語版は全8巻が発刊されている。これらを一冊にまとめたペーパーバック版も、2018年10月9日に発売される予定だ。

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