Netflix『ノット・オーケー』シーズン2の脚本は完成していた 監督はシーズン1エンディングの差し替え依頼も叶わず… | VG+ (バゴプラ)

Netflix『ノット・オーケー』シーズン2の脚本は完成していた 監督はシーズン1エンディングの差し替え依頼も叶わず…

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『ノット・オーケー』打ち切りの裏側が明らかに

2020年2月26日にNetflixで配信を開始し、好評を得たSFドラマ『ノット・オーケー』。シーズン1の最後には更なる展開を期待させるクリフハンガーが用意されており、ファンはシーズン2の配信を待ち望んでいた。ところが、8月になるとNetflixはシーズン2のキャンセルを発表。打ち切りの理由は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴うものとしていた。

その後、世界中の『ノット・オーケー』ファンがハッシュタグを活用して抗議活動を開始。署名活動も行われるなど、『ノット・オーケー』の打ち切りは大きな話題となったが、2020年11月現在の時点で事態に変化はない。

『ノット・オーケー』の監督と脚本を務めたジョナサン・エントウィッスルもSNSなどで沈黙を貫いていたが、ここに来て英Insider『ノット・オーケー』打ち切りの舞台裏を明かした。人気シリーズ打ち切りの裏側では、一体何が起きていたのだろうか。

シーズン2の脚本は完成していた

ジョナサン・エントウィッスルによると、『ノット・オーケー』はシーズン1の公開前にすでにシーズン2の脚本の執筆を開始していたという。

シーズン1で示された多くの謎は、シーズン2のために用意されたものでした。シーズン2を依頼された時は (シーズン2が) 最後のシーズンになると言われていました。ですから、すでに計画していたフィナーレに向けて脚本を書いていたんです。

執筆作業中にはライター達のストライキが始まりそうになるなど緊迫した場面もあったが、エントウィッスルは何とか作業を進めていったという。しかし、3月に入るとパンデミックが発生し、ライター達の作業は全てZoom越しに。「その状況が良いと言うライターなんていませんよ」と語る通り、8月にはコロナ禍で執筆を続けることについて苦しい心境を吐露していた。

それでもコロナ禍で『ノット・オーケー』シーズン2の脚本は完成。予算も確保し、5月から6月ごろに撮影を開始できるかどうかを伺っていたが、コロナ対策のために500万〜1,000万ドル (約5億〜10億円) の予算が追加で必要になることに。最終的にはこのコスト増がネックとなり、Netflixは『ノット・オーケー』の打ち切りを決定したのだと言う。

コストの問題、延期も視野に

8月以降、Netflixは『ザ・ソサエティ』(2019)『オルタード・カーボン』(2018-2020)『Away -遠く離れて-』(2020)といった人気SF作品の打ち切りを続々と発表している。打ち切りの判断はNetflix独自の計算に基づくもので、作品制作に投じた予算に対する視聴者数の割合からシリーズ続行の可否が判断される。より予算がかかっている作品はより多くの視聴者を獲得しなければ打ち切りになるということだ。

ジョナサン・エントウィッスルは、『ノット・オーケー』が多くの視聴者を獲得したとし、「Huluだったら衝撃的な数字」と話す。だが、監督であるエントウィッスルとNetflixの間には、決定的な認識の違いがあったという。それはエントウィッスルは『ノット・オーケー』を小規模でニッチな番組だと捉えていた一方で、Netflixは同作をNetfixの看板ドラマの一つである『ストレンジャー・シングス』(2016-)の代わりになる存在だと考えていたことだ。Netflixは全体の財政で見た時に、『ノット・オーケー』は期待よりもコストパフォーマンスが悪いと考えた、というのがエントウィッスルの見立てだ。

ジョナサン・エントウィッスルは、2021年2月まで『ノット・オーケー』シーズン2の製作を延期することも視野に入れていたというが、俳優やスタッフのスケジュールを抑えておくにはそれだけで費用が発生してしまう。また、ジョナサン・エントウィッスルや他のスタッフ達もNetflixと包括的な契約があったわけではなかったため、他の仕事に取りかからなければならない。そうした経緯があり、8月21日に『ノット・オーケー』は正式に打ち切りが発表されたのだった。

そして、エントウィッスルはシーズン1のエンディングシーンの再編集を要望していたという話も明らかにしているが、ここから先の内容には『ノット・オーケー』シーズン1のネタバレが含まれるので注意していただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『ノット・オーケー』のエンディングの内容に関するネタバレを含みます。

再編集を依頼していた

『ノット・オーケー』の打ち切りが決まった後、ジョナサン・エントウィッスルはシーズン1のエンディングシーンの再編集をNetflixに申し出たという。シーズン1のエンディングでは、主人公のシドニーは父の死について手がかりを見つけ、シドニーが得たスーパーパワーについても父がかつて同様にその力に苦しんでいたことを示している。そして、シドニーの父と思われる一人の男が現れ、シドニーに「彼らが恐れるべきだ。始めよう」と語りかけ、シーズン1は幕を閉じる。

エントウィッスルは、“最後の2カット”についてNetflixに「台詞をなくし、ただ男が現れるように」映像を差し替えたいと要望したのだという。確かに、「やっとパパの孤独が理解できた」というシドニーのセリフの後にスーパーパワーを持っていた父が現れれば、“父と娘の再会”という形で一応の形にはなるかもしれない。それでも、Netflixはこの提案も飲むことはできなかった。

ファンの存在

そして、ジョナサン・エントウィッスルが何よりも気にしているのは、ファンの存在のようだ。

多くファンの皆さんが見てくれたけど、(ファンが) 見捨てられる形になりとても悲しい気持ちです。いつもたくさんのDMをいただいていて、それらはとてもポジティブな内容です。

そして、作品の扱いを通したファンの扱いにも疑問を抱いている。

番組が打ち切りになった時、彼女ら/彼ら (ファン) はただ次の作品を見るように促されているような感じがします。

波紋を広げるNetflixドラマ『ノット・オーケー』の打ち切りだが、監督のジョナサン・エントウィッスルがその裏側を語ったことで全容が見えつつある。『ノット・オーケー』の場合は、Netflixの厳格な条件とコロナ禍の製作の困難さが合わさった不運な例だと言える。

そして『ノット・オーケー』は、多くのファンを抱えながら打ち切りとなった伝説の作品となってしまった。次々と良作が現れては消えていく時代に、ファンがお気に入りのドラマを存続させるためにできることは、“拡散”だけなのだろうか。

Netflixドラマ『ノット・オーケー』は全1シーズンが配信中。

『ノット・オーケー』(Netflix)

Source
Insider

VG+編集部

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