映画『踊る大捜査線 N.E.W.』2026年公開
「踊る大捜査線」最新作の映画『踊る大捜査線 N.E.W.』が2026年に公開される。公式から3時間限定で特別映像が公開され、織田裕二演じる青島俊作が帰ってくることが予告されている。「踊る大捜査線」シリーズでは2024年10月に『室井慎次 敗れざる者』が劇場公開され、12年ぶりにシリーズが復活。11月には『室井慎次 生き続ける者』が公開されると共に、「踊るレジェンド」が継続されることが告知されていた。
◤ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
#踊る大捜査線 N.E.W.
2026年公開
https://t.co/RB7qW8Eh94🚨3時間限定公開!見逃すな!🚨
___________◢ pic.twitter.com/TPsOqdYtr0
— 『室井慎次 敗れざる者』『室井慎次 生き続ける者』公式 (@odoru_movief) December 4, 2024
今回、新作がスピンオフではなく、『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』(2012) 以来となる「踊る大捜査線」を冠した作品となることが明らかになった。『踊る大捜査線 N.E.W.』の「N.E.W.」は「NEXT.」「EVOLUTION.」「WORLD.」を意味しているようだが、その内容は一体どのようなものになるのだろうか。
今回は、現在劇場で公開中の『室井慎次 生き続ける者』の内容を踏まえて、『踊る大捜査線 N.E.W.』の内容を予想&考察してみよう。以下の内容は『生き続ける者』のネタバレを含むため、必ず同作を劇場で観てから読むようにしていただきたい。
以下の内容は、映画『室井慎次 生き続ける者』の結末に関するネタバレを含みます。
Contents
考察&予想『踊る大捜査線 N.E.W.』はどうなる?
タイムラインは2026年?
まず、「踊る大捜査線」シリーズ全体の前提として、タイムラインがしっかりと定まっているということに注目したい。警察組織の中での昇格や降格、異動などの人事が重要な要素となるため、各キャラクターの履歴が明確に出るのが「踊る」の特徴だ。『室井慎次 敗れざる者』の公開に際しても室井慎次の履歴書が公開され話題になった。
チラシ裏面には#室井慎次 の履歴書が…
室井の歩みが、今明かされるー。#odoru #踊るプロジェクト #MUROISM pic.twitter.com/rnhpdEvzeD
— 『室井慎次 敗れざる者』『室井慎次 生き続ける者』公式 (@odoru_movief) July 23, 2024
そして、「踊る大捜査線」の映画シリーズは、青島と室井がコートを着る関係で秋から春が舞台になっていることが多いが、年については基本的に公開された年が劇中の舞台になっている。ということは、『踊る大捜査線 N.E.W.』は2026年が舞台になっている可能性が高い。今からおおよそ2年後、『生き続ける者』から2年ほど経った時期が舞台だと予想できる。
では、青島にとって2026年とはどういう時期なのだろうか。青島俊作の生年月日は織田裕二と同日に設定されており、2026年12月で59歳を迎える。60歳で定年を迎えた、ドラマシリーズのいかりや長介演じる和久さんとほぼ同じ年齢だ。ただ、現在の日本では2023年から公務員の定年延長が始まった関係から、青島俊作は2032年に65歳で定年を迎えると見られる。
還暦まであと1年、定年まではあと6年という中で、青島俊作はこれまでのような無茶は出来ないだろう。そんな青島の状況とは裏腹に、『踊る大捜査線』の新作には「N.E.W.」という副題が付けられる。そこにはどんな意味が込められているのだろうか。
舞台は警視庁?
『室井慎次 敗れざる者』では、青島俊作が湾岸署を離れて警視庁に移り、刑事部の捜査支援分析センターに所属していることが明かされた。そのため、舞台はおそらくこれまでの湾岸署から警視庁に移るものと思われる。
「室井慎次」二部作には、松下洸平演じる桜章太郎が警視庁刑事部捜査一課の刑事として登場。室井と共に捜査をするという貴重な経験を経ている。また、ドラマシリーズで室井が就いていた警視庁刑事部捜査一課管理官のキャラクターとして、西村直人演じる仁狩英明管理官も登場。旧作のキャラでは、湾岸署にいた甲本雅裕演じる緒方薫が警視庁刑事部捜査一課の刑事として登場してもいる。
湾岸署を離れて警視庁にいても、青島には室井を知る桜章太郎と緒方薫という味方がいてくれるはず。仁狩管理官はかつての新庄賢太郎や沖田仁美のような、厄介なキャリア警察という感じだが、『室井慎次 生き続ける者』では警察庁長官官房審議官になった沖田仁美の一声で桜に譲歩している。青島は意外と悪くない環境で働くことになるのかもしれない。
もちろん、青島があと2年の間に再び異動になる可能性もあるが、引き続き捜査支援分析センターに所属しているとすれば、防犯カメラの画像解析や押収したスマホのデータ解析などが主な仕事になるだろう。現場での捜査は桜たち若手に任せることになるかもしれず、「NEXT.」「EVOLUTION.」「WORLD.」を意味する「N.E.W.」という副題は、次世代に託すという意味が込められているとも考えられる。
新城賢太郎はどこまでできる?
『踊る大捜査線 N.E.W.』で注目したいのは、新城賢太郎の状況だ。新城は『室井慎次 生き続ける者』のラストで「事件捜査における室井モデル草案」を作り、室井慎次と青島俊作の約束を引き継ぐことを宣言した。秋田県警からモデルを作り、それを全国へと広げるという説得力のある道筋を掲げている。
今回公開された『踊る大捜査線 N.E.W.』のロゴには、「室井慎次」二部作で使用された「ムロイズム」のマークが確認できる。室井がいなくなっても室井は「踊る」シリーズの中に「生き続ける」というメッセージだと思われる。一方、新城は2030年に64歳で定年を迎える見込みだ。2026年時点でどこまで「室井モデル」を進めることができているのだろうか。
また、シリーズの中心に青島が戻ってくるということで、『室井慎次 生き続ける者』のラストで大逆転で室井の“後継者”となった新城が青島とうまくやっていけるのかどうかにも注目したいところ。秋田県警と警視庁で“室井観”の違いで揉めないかは心配なところだ……。
室井慎次の再登場は?
『室井慎次 生き続ける者』では、室井慎次の死が描かれた。『踊る大捜査線 N.E.W.』には「ムロイズム」マークはあるが、室井の再登場は決してないと言い切れるだろうか。2024年11月15日に実施された『室井慎次 生き続ける者』の初日舞台挨拶では、本広克行監督が気になる発言をしている。
本広監督は、笑いながらではあるが、「室井さんは亡くなってはいるかも知んないですけど、出てくるんじゃないですか? 亡霊とかで。『スター・ウォーズ』でも出てきますもんね?」と発言。「スター・ウォーズ」ではジェダイだった人物は“フォースの霊体”として再登場することがあり、SF好きで知られる本広監督らしい例えで柳葉敏郎を困らせている。
たまらず柳葉敏郎が「構想はないということですよね?」とカットインすると、本広監督は「ほら、ここで言っちゃうと色々、ね」と笑顔を見せている。この時点で『踊る大捜査線 N.E.W.』の構想はあったものと考えられるが、室井慎次の今後の作品への登場を匂わせる発言になった。室井慎次再登場の線は、回想での登場などが現実的だが、例えば「室井モデル」がAI化して登場するといったSF展開も、様々なSF作品をベースにしてきた「踊る大捜査線」ならあり得るだろう。
注目は子ども達?
一方で、本広監督は「室井慎次」二部作が監督最終作になるとも言われている。『室井慎次 敗れざる者/生き続ける者 シナリオ・ガイドブック』では、ラストの展開は若手のプロデューサー陣にも相談していたと明かしており、『踊る大捜査線 N.E.W.』は製作陣も次世代にバトンタッチする可能性もある。
また、『シナリオ・ガイドブック』では新城賢太郎を演じた筧利夫がインタビューの中で、今後の「踊る」で新城が室井の代わりを担うこともあり得るかと聞かれ、「続編があるとしたら、室井さんの隠し子が出てくるのかも(笑)」と発言している。
本広監督もインタビューで、ムロイズムを持った子ども達の今後が楽しみだと話しており、今後の「踊る」では室井慎次が育てた子ども達が鍵になっていきそうだ。大学生になり東京に出るタカ、成人を迎える杏、中学に上がってハードSFを読み始めるリクにも注目だ。
『室井慎次 生き続ける者』で描かれていた?
ちなみに齋藤潤演じるタカは『生き続ける者』のエンドロールで大学で授業を受ける姿が描かれており、『シナリオ・ガイドブック』によるとこの描写は「1年後」とされている。タカは東京大学法学部を目指していたが、このエンドロールで『踊る大捜査線 N.E.W.』の時系列の時点のタカの姿が既に描かれていた可能性もある。
また、『生き続ける者』のポストクレジットシーンでは青島俊作が登場したが、亀山千広はこのシーンで室井家の近くに携帯の電波が届いていること、雪がないことから、時系列は必ずしも室井の死の直後ではないと話している。
今回公開された『踊る大捜査線 N.E.W.』の映像も、似たようなシーンになっており、あのポストクレジットシーンが『N.E.W.』のワンシーンだったという可能性もあるだろう。だとすれば、青島が室井の死の2年後に秋田へなぜ赴いたのかということも考察要素になる。
わずかな情報だけでも、今からワクワクが尽きない映画『踊る大捜査線 N.E.W.』。続報を楽しみに待とう。
映画『踊る大捜査線 N.E.W.』は2026年公開。映画『室井慎次 敗れざる者』『室井慎次 生き続ける者』は劇場で公開中。
『室井慎次 敗れざる者/生き続ける者 シナリオ・ガイドブック』はキネマ旬報社より発売中。
『室井慎次 敗れざる者』と『室井慎次 生き続ける者』のオリジナル・サウンドトラックは予約受付中。
『室井慎次 生き続ける者』ラストのネタバレ解説・考察・感想はこちらから。
『室井慎次 生き続ける者』の新庄賢太郎と「室井モデル」の考察はこちらから。
『室井慎次 生き続ける者』を受けての青島俊作についての考察はこちらの記事で。
『室井慎次 生き続ける者』から考える恩田すみれの現在についての考察はこちらから。
鳥飼誠一はどうなったのか、『THE FINAL』と『生き続ける者』を受けての解説&考察はこちらから。
『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』ラストのネタバレ解説&感想はこちらから。
『踊る大捜査線 THE LAST TV サラリーマン刑事と最後の難事件』ラストのネタバレ解説&感想はこちらから。