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『NOMAD メガロボクス2』第1話を振り返り
2019年に放送され、世界で熱い支持を獲得したアニメ『メガロボクス』。『あしたのジョー』(1968-1973) を原作に、SF作品として生まれ変わったボクシングアニメで、ボクサーたちがギアをつけて戦う“メガロボクス”という競技を通して人間ドラマを描いた。
第二期として2021年4月4日(日)に放送を開始した『NOMAD メガロボクス2』では、メガロニアの決勝戦から7年が経過した舞台に、ジョーの“その後”の姿が描かれる。今回は、第1話「亡霊たちは鎮魂歌を口ずさむ」を振り返ってみよう。
以下の内容は、アニメ『NOMAD メガロボクス2』第1話の内容に関するネタバレを含みます。
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BS11 本日24:30より放送開始📢
\鎮痛剤が欠かせないほどボロボロの身体で地下リングに立つジョー。
過去に何があったのか!?
気になり過ぎます!!📺BS11 4月6日(火)より毎週火曜 24:30~#メガロボクス #MEGALOBOX pic.twitter.com/IkWGMVY7U7
— 『NOMAD メガロボクス2』公式 (@joe50_megalobox) April 6, 2021
『メガロボクス2』第1話「亡霊たちは鎮魂歌を口ずさむ」あらすじ(ネタバレあり)
変わり果てたジョーの姿
『メガロボクス2』第1話の冒頭は、ギアレス・ジョーがメガロニアの初代チャンピオンになった光景の回想から始まる。かつてジョーが手にした栄光を見守るマックは、「俺の居場所はリングじゃない」と呟く。ジョーの戦いを見て何かを悟ったようだ。
一方、“地下名店街”の地下3階でリングに上がるジョーは、“ノマド”と呼ばれている。舞台は7年後に移ったようだ。金色のグローブをつけた“ノマド”は、マーダー桐矢相手に圧倒的な力を見せつけている。地下のリングに戻ったジョーだが、八百長はしない。かつて八百長試合でファイトマネーを得る地下ボクサーだった“ジャンクドッグ”とは違う苦悩を抱えているようだ。
地下のシーンで流れる音楽は、チェリストのヒドゥル・グドナドッティルが手掛けた映画『ジョーカー』の音楽を想起させる。今回のジョーは、孤独を抱えて苦しんでいるように見える。
ジョーは地方でファイトマネーを稼いで入るが、ボクサーとしての誇りから八百長に手を出すこともできず、居場所を失っていた。「たかがメガロボクス」という興行主の言葉が、ジョーの背中に刺さる。メガロボクスを通して貧困から駆け上がり、栄光と友情を手にしたジョーにはあまりに重い言葉だが、それでもジョーは振り返らない。
薬に溺れるジョー
モーテルに戻ったジョーは、服用している薬の副作用から嘔吐を繰り返していた。そこに、かつての相棒である南部贋作が現れ、ジョーに「罰を受けたがってる」「過去は帳消しにならない」と語りかける。だが、この南部には失明したはずの左目が残っている。おそらくジョーの幻覚なのだろう。ジョーはかつて南部が持っていた十字架を手にしている。
テレビからは、エディソン・リュウvsマック・ロサリオのタイトルマッチについてのニュースが流れている。ディソン・リュウは第2回メガロニアチャンピオンで、ジョーのライバルであった勇利の弟子。エキシビションマッチでジョーに勝利したのだという。ジョーは伝説のボクサーと呼ばれているが、リュウとの対戦を最後に事実上の引退状態にあるということが明らかになる。
そしてマックは、この第1話の冒頭に登場した「俺の居場所はリングじゃない」と呟いていた人物だ。ここでは「奇跡の復活を果たした」と紹介されており、結局リングにカムバックしたことが分かる。ジョーの“カムバック”に向けた重要な人物になりそうだ。
一方のジョーは、副作用の強い高額な鎮痛剤を購入する。このためにファイトマネーを稼いでいたようだ。薬を飲み、吐き続けるジョー。路地裏に描かれた自身のチャンピオン時代の壁画を一瞥し、バーへ向かう。バーで唄われるスペイン語の歌を耳にして、ジョーは一筋の涙を零す。眠り込んだジョーに話しかける“チーフ”という人物。先ほどまで歌っていた人物だ。
チーフに忠告されたジョーは一度は錠剤を一捨てるが、やはりそれを拾い直す。薬なしでやっていくことはできないようだ。ジョーは過去の戦いを思い出しながらバイクを走らせるが、現れた狼を避けて転倒する。ジョーを見つめる狼の目に恐怖心はなく、迫りくる相手から逃げない強い信念が宿っていた。
対チーフ戦
ジョーは、対戦相手が見つからないという元ランカーの対戦相手に名乗り出る。改めて“八百長お断り”を見せたジョーは“謎の放浪ボクサー ノマド”と紹介される。そして対戦相手は……先ほどバーで出会ったチーフだ。客に話しかける陽気なチーフ、ジョーはイラつきを隠せない。
ジョーの耳には、「どうした、何にイラついてる」「何期待してんだ」と語りかける南部の声。ノマドをギアレス・ジョーだと認識しているらしいチーフは、相当な実力者だ。ジョーはなんとダウンを奪われてしまう。だが、ジョーが放った浅い当たりで、チーフはあっさりKOされてしまう。八百長だ。
試合後、ボクサーとして本物の戦いを求めていたジョーは、「イカサマ野郎」「恥ずかしくねぇのか」とチーフを問い詰めるが、チーフは「あんたはどうなんだ」とやり返す。薬に溺れたジョーは簡単にチーフにノックダウンされてしまう。不甲斐ないジョーの姿に、チーフはもはや「ギアレス・ジョー」とは呼ばない。「達者でな、ノマド」と声をかけ、チーフは去っていった。
第1話のラストシーン、ジョーは先ほど登場した狼が死んでいるのを見つける。体は傷だらけになっている。迫りくるものから逃げずに挑み続けたのだろう。ジョーは勇敢な死を遂げた狼を弔う。そして焚き火にあたるジョーの前に、再び南部が現れる。南部は、ジョーが「どうなってもいいと」とヤケになりながらも、八百長はできないというプライドが残っているということを指摘する。
『メガロボクス2』は第1回メガロニアから7年後という設定だが、南部は「あれから5年か」と口にする。メガロニア決勝から2年後、今から5年前にジョーの身に何かがあったことを示唆し、『メガロボクス2』第1話は幕を閉じる。
『メガロボクス2』第1話「亡霊たちは鎮魂歌を口ずさむ」解説&考察
ジョーに何が……?
第1期のエネルギッシュなジョーの姿と打って変わり、苦しみ続けるジョーの姿が映し出され続けた『メガロボクス2』の第1話。今回判明したのは、ジョーは勇利の弟子のリュウにエキシビションマッチで破れたということ、メガロボクス世界王者決定戦メガロニアの2年後、現在から5年前にジョーの身に何かが起きたということだ。
ジョーは、原作『あしたのジョー』のようにパンチドランカーになったわけではなさそうだ。鎮痛剤を服用しているが、明らかに精神面にも深い傷を負っている。そして、南部贋作はジョーの薬が切れた時に現れているように見える。ジョーは南部の姿を思い出さないように薬を服用しているのだろうか。それとも、強度の鎮痛剤が必要なほど身体がボロボロになってしまっているのだろうか。
加えて気になるのは狼の比喩だ。迫りくるバイクにも逃げる姿勢を見せない狼に対し、ジョーはリスペクトを見せていた。ジョーは、もしかすると強大な敵から逃げ続けているのかもしれない。だとすれば、表舞台では最後の試合となったリュウ戦での敗北が関係しているのだろう。
ジョーはなぜ“ノマド”なのか
そして最後に南部は、ジョーは「次はどこへいく? 相棒」と声をかける。「NOMAD」というタイトルの通り、今回の『メガロボクス2』では、ジョーは旅を続けることになりそうだ。“ノマド”とは放浪する者のことで、必ずしも帰るところを持たない“ホームレス”であるとは限らない。その多くは家を持たないだけの“ハウスレス”だ。だが、『メガロボクス2』のジョーは明らかに“ホーム”を失っている。その記憶の中には、第1期であのエンディングを共に迎えたサチオやアラガキ、勇利の姿もない。白都ゆき子や樹生も同様だ。ジョーが南部の死に直面した可能性は大いに考えられるが、他の人々の身にも何かが起きたのかもしれない。
エンディングにも注目
第1期のエンディングはNakamuraEmiが手掛けた「かかってこいよ」だったが、第2期では劇中音楽を手がけるmabanuaが歌うスペイン語の楽曲「El Canto del Colibrí」が流れる。歌詞の「荒野を彷徨う魂の抜け殻」とは苦しみながら彷徨うジョーを、「立ちすくむ旅人にハチドリが歌う」とは、ギアにハチドリの模様を入れたチーフのことを指しているのだろう。この歌詞の通り、チーフがジョーに「捨てたはずの過去と未来」をもたらしてくれるのだろうか。
『NOMAD メガロボクス2』はTOKYO MXで4月4日(日)より毎週日曜 23時から、BS11で4月6日(火)より毎週火曜 24時30分から放送中。NetflixやAmazonプライムビデオでも配信を開始している。
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