ネタバレ考察『踊る大捜査線 N.E.W.』恩田すみれはどうなった? 『THE FINAL』後と青島との関係を解説 | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ考察『踊る大捜査線 N.E.W.』恩田すみれはどうなった? 『THE FINAL』後と青島との関係を解説

(C)1998フジテレビジョン

『踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!』公開

「踊る大捜査線」シリーズ最新作『踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!』が2026年9月18日(金) より全国公開を迎えた。「室井慎次」二部作から2年、『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』から14年ぶりとなる青島俊作主人公の「踊る」作品の公開となる。

今回は、多くのファンが注目し期待した、深津絵里演じる恩田すみれが『踊る大捜査線 N.E.W.』にどのように関わったのか、関わっていないのか、ネタバレありで解説し、考察していこう。以下の内容は本編の結末に関するネタバレを含むので、必ず劇場で本作を鑑賞してから読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!』の内容に関するネタバレを含みます。

『踊る大捜査線 N.E.W.』恩田すみれはどうなった?

恩田すみれに青島を託された和久伸次郎

映画『踊る大捜査線 N.E.W.』は、2012年12月が舞台となった『THE FINAL』の14年後、2026年12月が舞台になった。1971年1月11日生まれの恩田すみれは、『N.E.W.』の時点で55歳、翌月には56歳になる。

かつて湾岸署にいた青島俊作は警視庁の捜査一課におり、かつての仲間たちとは離ればなれになっている。湾岸署で共に仕事をしていて、捜査一課でも同じ現場にいるのは緒方薫くらいだ。

篠原夏美は警視庁総務部、栗山孝治は警視庁MOCと、警視庁にはいるものの、基本的には青島とは同じ空間にはいない。恩田すみれが『THE FINAL』で「青島くんのこと、ちゃんと見ててあげるのよ」と託した和久伸次郎は、八重洲署の刑事課長になっている。

ただし、和久伸次郎については恩田すみれを想起させる要素が登場する。八重洲署の壁に、「事件に大きいも小さいもない」という言葉が貼られているのだ。この言葉は映画第1弾で、窃盗事件を軽視した青島にすみれが放った言葉で、ドラマ第4話にて青島が本庁の刑事たちに言った「事件にでかいとか小さいとかあるんすか?」がベースになっている。

『THE FINAL』ですみれが警察を辞めようと思っていることを知っていたのは、上司の魚住課長以外では、酔った時にすみれが話してしまったという和久伸次郎だけだった。二人は飲みに行くような先輩後輩の関係で、和久はすみれへのリスペクトを込めて、八重洲署の刑事課長になった今もすみれの言葉を大切にしているのだろう。それに、すみれの「青島くんをちゃんと見てて」という言葉に応えるように、序盤では電動キックボードと水を青島に届けてもいる。

恩田すみれと青島俊作の現在

ここまで見て分かる通り、『踊る大捜査線 N.E.W.』の時点で、恩田すみれはもう警察にはいない。映画『室井慎次 生き続ける者』(2024) では、『THE FINAL』ですみれが訴えていた通り、『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』(2005) で国見昇に撃たれた傷の後遺症で苦しみ、警察を退職していることが明かされた。

『THE FINAL』では最後のバスでの突入シーンで死んだのではないかという死亡説もあったが、室井慎次の口から存命であること、けれど警察は退職しており、今も後遺症に苦しんでいることが明かされた。室井慎次も、恩田すみれも、和久平八郎も警察を去り、青島は新しい環境で刑事の仕事に励んでいる。

『踊る大捜査線 N.E.W.』では、野呂佳代演じる厚生課の小昏双葉が青島にお見合いを勧めるシーンが登場する。小昏は58歳になった青島が今も独身であることを指摘。青島は肯定も否定もしていないが、いずれにせよ仕事/捜査が優先という態度を示している。

『室井慎次 生き続ける者』では、室井がすみれの現在について、「家族も苦しんでいる」と話したことから、この「家族」が青島を指しているのではないかという考察が生まれた。「家族」の定義は様々だが、少なくとも青島とすみれは結婚したわけではなさそうだ。

青島が独身であるとして、それは仕事が大事という理由からなのだろう。『N.E.W.』ではその対比として、若き所轄の刑事・美浦秋の存在を置いている。仕事に追われる美浦は、彼女とのプライベートな時間が取れずに悩んでいたが、最終的には刑事としての仕事のやり甲斐を優先し、辞表を破っている。

これが「良いこと」のように描かれるのは、定年間近まで独身だったらしい青島を美浦のロールモデルとする意図があるからだろう。また、美浦と芝田ひばりは青島とすみれの関係を想起させるが、美浦には彼女がいることを明確にして、あくまで二人は仕事上の仲間であることが強調されていたように思える。

一方で、「踊る」は恋愛を描かないのかというとそんなことはなく、雪乃と真下は職場恋愛で結婚し、雪乃は警察を辞めた後も『THE FINAL』と『N.E.W.』に登場している。定年退職後も現場に出続けた和久さんにも妻と娘がいた。共に戦ってきた青島とすみれの絆が、一般的な「結婚」という枠に収まらなければならない理由もない。青島俊作と恩田すみれの物語はまだ終わっていない。

『踊る大捜査線 N.E.W.』での恩田すみれ要素

すみれへの電話と盗犯係の教え

『踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!』では、秋田県警本部長になった新城賢太郎から届けられた「室井モデル」、AIで復活した和久平八郎の言葉で捜査が動き出す。そして、青島はひばりと共にもう一度殺人事件の犯行現場へ検証に向かうことになる。

この時、青島は電話をかけ、「もしもし、すみれ——」と言いかけたところで留守電につながってしまう。青島は「留守電かよ」と言い現場へ向かうのだが、ようやくここで青島とすみれが今でも電話をかけるような仲であることが示された。

また、青島の呼びかけが「すみれ——」で止まったことは、『THE FINAL』の冒頭で二人が潜入捜査として夫婦を演じていた時に「俊ちゃん」「すみれ」と呼び合っていたことを想起させる。同作ではその後、青島はすみれに「張り込み終わったんだから呼び捨てやめて」と言われていたが、『N.E.W.』では、今の二人が以前よりも親密な関係にある可能性を残すような演出になっている。

そして青島は、殺人事件の現場で、「盗犯係の刑事」からの教えを実行していく。「現場は何度でも見ろ」「窃盗犯は自分より高い位置は探さない」「隙間に遺留品が落ちていることも多い」。そして青島は、「湾岸署のワイルドキャット」から教わったと語る。

スペシャルドラマ『踊る大捜査線 歳末特別警戒スペシャル』(1997) では、休憩所ですみれが青島にコーヒーを差し出し、「空き地署のお荷物くん」と声をかける。そして青島は「俺も早く帰りたかった。空き地署のワイルドキャットが寂しがってるんじゃないかって」と冗談めかして話す。『N.E.W.』の青島は、「盗犯係の刑事」で「ワイルドキャット」だったすみれのことを話していたのだ。

その後、ひばりはすみれの元上司でもあった中西から教えてもらった指紋検出の手法で捜査を前に進める。「室井モデル」「AI和久さん」「盗犯係の教え」によって、事件解決へ向けて動き出すのである。

「盗犯係の教え」は、青島にとっては「すみれの教え」でもある。隣の盗犯係でありながらも、和久さんと同じように刑事としての心構えを教えてくれた先輩刑事である恩田すみれ。この一連のシーンでは、仕事人としてのすみれの存在が強調されていたように思える。

青島が警察を辞めようとした理由と辞めなかった理由

『踊る大捜査線 N.E.W.』では、捜査が終盤に差し掛かると、真下勇気管理官を支えるために青島は辞職することを宣言。ノンキャリアの同期であり捜査一課の課長である北丘雲斗に辞表を提出する。

青島は、この辞表は室井さんと最後に電話で話した時(約2年前)から用意していたものであることを明かす。『踊る大捜査線 N.E.W.』では、青島が警視庁捜査一課にいる理由として、室井慎次が警察を退官する際に青島を異動させたことが明かされた。自身は偉くなって警察を改革できなかった、その罪滅ぼしとして、より捜査がしやすい警視庁に青島を移したようだ。その背景には、もう湾岸署には恩田すみれもいないから、という理由もあったのかもしれない。

Amazonプライムビデオの『踊る大捜査線 捜査資料管理室~青島俊作、空白の13年~』(2026) では、所轄で青島と一緒だった後輩の栗山孝治が、室井が退官した2021年4月に捜査一課へ異動となった青島が、翌2022年11月にはSSBCへの異動を申し出た理由として、室井がいなくなり孤独だったからではないかと推測している。その時の青島は「寂しそうだった」とも。

室井もすみれもいない、そんな職場で青島は辞表を書いた。警察を去る室井は、青島に新たな環境を用意したが、一人で仕事を続けていく意味を見失っていたのである。それでも、青島は亡くなったり、怪我をしたりして現場から離れた仲間たちの想いを預かって、まだ刑事を続けてしまっていると話す。「亡くなったり、怪我をしたり」というのは、和久さんやすみれのことを前提とした言葉だ。

警視庁捜査一課に来た後の青島は孤独と寂しさに苛まれていたが、一方で青島が警察を続けている理由は、現場を離れた仲間たちの想いを預かったからだという。逆説的に、すみれの不在が青島が刑事を続ける理由になっていたと言える。

『N.E.W.』のラストは恩田すみれに繋がるか

『踊る大捜査線 N.E.W.』のラストでは、イマーシブ・フォート東京の施設で青島は走馬灯のように過去の映像を目にする。映像は主に和久さん、室井さん、すみれさんとの思い出を振り返るもので、ストーカー被害に苦しんでいた頃の恩田すみれの姿や、『THE MOVIE 2』ですみれが胸を撃たれる痛ましいシーンも含まれていた。

青島は、スマホのバイブレーションで現実に引き戻されることになるのだが、被疑者を確保した後、外に出てスマホの電話をかけ直す。おそらく回想中に電話をかけてきたのは、先ほど電話に出られず留守電になっていたすみれで、事件を解決した後、青島はまたすみれに電話をかけ直したのだろう。

だが、電話には応答がなく、青島は「ここは出るとこでしょうよ」と愚痴をこぼしている。さらにエンドロール後のポストクレジットではまた電話の音が鳴るが、今度は「ただいま電話に出ることができません」という音声が流れる。発信は途中で切られてしまうが、「ピーという発信音の後にメッセージを録音してください」と続くとすれば、この発信も留守電行きとなってしまったのだろう。

順番的には最後の発信はすみれから青島にかけたものと思われる。すみれが二度も電話をかけ直したのは、最後の場面の日付が12月13日で、青島の59歳の誕生日だったからかもしれない。

さらに画面には「THE ODORU LEGEND STILL CONTINUES」の文字が表示される。フランチャイズの前作『室井慎次 生き続ける者』のポストクレジットシーンでは、電話を受けた青島が「青島です。えっ? 戻ります……」と言って「THE ODORU LEGEND STILL CONTINUES」の文字が現れた。その後、青島がカムバックを果たす映画『踊る大捜査線 N.E.W.』の制作が発表されている。

つまり、ポストクレジットで電話が鳴り、「踊る」が今後も続くことを示すラストは、二作連続で踏襲されているのである。前回は室井から青島にバトンが繋がれたが、今回は青島からすみれにバトンが繋がれたのではないだろうか。「踊る」の次回作が作られるとすれば、いよいよ恩田すみれがカムバックを果たすのかもしれない。

映画『踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!』は2026年9月18日(金) より全国公開中。

『踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!』公式サイト

シナリオの全文とキャスト&製作陣のロングインタビューを収録した『踊る大捜査線 N.E.W.メトロポリスを駆け抜けろ! シナリオ・ガイドブック』は10月15日発売。Amazonで予約受付中。

映画『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』は配信中。

踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望

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齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。 訳書に『デッドプール 30th Anniversary Book』『ホークアイ オフィシャルガイド』『スパイダーマン:スパイダーバース オフィシャルガイド』『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース オフィシャルガイド』(KADOKAWA)。正井編『大阪SFアンソロジー:OSAKA2045』の編集担当、編書に『野球SF傑作選 ベストナイン2024』(Kaguya Books)。
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