ネタバレ解説&感想『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』S2第3話 ゴジラKOMとの繋がりを考察 | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ解説&感想『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』S2第3話 ゴジラKOMとの繋がりを考察

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すべては『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』へとつながる

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019)の2年前である2017年に起きた秘密組織MONARCHとタイタンXの対峙を描く『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2。その第3話である「秘密」では、ゴジラとキングギドラが真の怪獣(タイタン)の王を決める前、人類が何をしていたのかが明かされることになった。

ボストンの決戦の前——ゴジラ、コングに次ぐ脅威・タイタンXに対してMONARCHはどのように対処してきたのか。そして、その裏で蠢くエイペックス社の陰謀とは。映画では語られないモンスター・ヴァースの背景が解説されることになる。

本記事ではそのような『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第3話「秘密」の解説と考察、感想を述べていこう。なお、以下の内容は『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第3話「秘密」のネタバレを含むため、本編視聴後に読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第3話「秘密」の内容に関するネタバレを含みます。

『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第3話「秘密」ネタバレ解説&考察

旧支配者タイタンXと眷属スカラベ

1957年のチリのサンタ・ソレダード島。「偉大なる海の神(エル・グランディオス・デルマール)」は祭りの供物を眷属たるスカラベによって、自分に奉納させると、海へと帰っていった。それをケイコ・ミウラは写真に撮るが、村民たちはそれによって海の神——タイタンXの怒りを買ったらどうすると揉めている。

ここで、タイタンXの名前が「コ・カイ(Co-Cai)」であることが明かされる。この名前はアルゼンチン南部に住み、最後まで先住民同化政策に抗い続け、「抵抗する民」として有名なマプチェ族の神話に登場する「コイ・コイ・ヴィル」から取られた名前だと考察できる。

コイ・コイ・ヴィルは最も強力なピラン(精霊)の子の女神であったが、罰として角のある蛇に変えられて海に棲むようになった。彼女は海洋生物の支配者であり、人々に恵みをもたらしていた。しかし、人々がその恩恵への感謝の念を忘れると、すべてを海の底に沈めたとされる。

対となる陸の蛇のトレイン・トレイン・ヴィルは同じく恩知らずな人々に絶望するも、溺れかけている人々をカウエルチェという話せるイルカへ、溺れてしまった人々をスンパルという人魚へ、恐怖で動けない人々をマンキアルという石に変えた。そうして一部の人々を救うと両者は戦い、最後はコイ・コイ・ヴィルの勝利により、島は水没した。しかし、わずかに残された土地があり、それが現在のチリだとされる。

この住人たちは恐らく、コイ・コイ・ヴィルが再び怒り、海の底にすべてを鎮めることを危惧しているのだと考察できる。一種の集団ヒステリーになった村民たちを、最初に洞窟を教えてくれた村民のルシアが止めるが、パニックは広がるばかりだ。彼らは村外の者のことを不信心者と呼んでいる。

『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第3話「秘密」では、コイ・コイ・ヴィルをクトゥルフとし、魚に変わっていくスンパルをインスマスの住人に見立てて、マプチェ族たち南米の神話とクトゥルフ神話を掛け合わせたのだと考察できる。そして、コイ・コイ・ヴィルによって沈められた土地を古代都市ルルイエになぞらえたのではないだろうか。

この演出は非常に興味深いが、一方でアメリカ人が生んだ架空の神話が、最後まで抵抗を続けた先住民の神話を取り込んだという危険性も孕んでいる。厳しい言い方だが、これは文化盗用とされかねない表現手法だ。そもそも、時代背景もあるがハワード・フィリップス・ラヴクラフトの作品には人種差別的な表現も多い。

彼の代表作である『インスマスの影』(1936)自体も、彼が抱いていた「人種が交わることへの嫌悪感」が根底にある。そのため、これらの表現や演出、展開は「クトゥルフ神話とゴジラのコラボレーション」と手放しで喜ぶだけではなく、注意して観る必要性があるものかもしれない。

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テック長者に乗っ取られたMONARCH

2017年の監視船にはエイペックス社からジェイソン・トリソップという人物が送り込まれる。ティムが船団とタイタンXの衝突を防ぐため、リー・ショウ大佐の力を借りたことをMONARCHは重く見ており、指揮権を民間企業のエイペックス社に“委託”したのだ。

ここで、ティムの口からMONARCHとエイペックス社の関係性は蜜月という粋を超えており、完全にエイペックス社に依存していることが解説される。この時期にテック長者が立ち上げたエイペックス社が政府組織に深く食い込んでいる設定にしたのは、意図的なものがあるだろう。

現実でドナルド・トランプ大統領が側近として民間企業であるテスラ社のイーロン・マスクを政府に招き入れ、様々な行政機関を“効率化”を旗印にしたDOGE(政府効率化省)によって変えてしまい、アメリカ社会が大混乱に陥ったのは記憶に新しい。

MONARCH創設メンバーのような言い方をすれば、怪獣の監視という市民の命を預かる仕事を利益目的の集団に任せるのは危険この上ない。事実、エイペックス社は『ゴジラvsコング』でメカゴジラを生み出し、ゴジラたち怪獣——つまりは大自然の怒りを買ってしまい、大規模な被害をもたらした。

ティムはMONARCH本来の遺産、つまりレガシーが民間企業に委託され、市民の安全が利益と天秤にかけられてはならないとし、ケイコやヒロシ、リーたちを逃がした。そして彼らにタイタンXの誘導作戦を任せ、メイにエイペックス社へ潜入するように頼むのだった。

このとき、メイが日本では民営化が大流行りと言っているが、これは日本の現状を制作陣が調べた末の台詞だろう。アメリカではDOGEショックと呼ばれる政府機能の停止が発生し、最終的にはDOGEに解散命令が下された。それに対し、日本政府はDOGEショックを見た上で日本版DOGEの計画を立てている。

『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第3話「秘密」は2017年の話なので、この頃はまだDOGEショックは起きていないが、メイは日本に長く暮らしている設定だ。そのため郵政民営化など、日本で自由市場ブームのようなものが起き、民営化すれば何でも“効率化”できるとされていたことを知っていると考察できる。

親子の秘密

ケイコはヒロシの仕事場を漁る中で、孫であるケイトとケンタロウの母親が違うことを知る。そして、リーに何故違うのかを訪ねるが、リーははぐらかすばかりだった。それもそのはず、「君がいない間に君の愛しい息子は二人の女性を妊娠させて、二つの家庭を掛け持ちできると思って、不倫するようになったよ」など言えるはずがない。

しかし、ケイコもヒロシを責めきれない理由があった。ケイコはMONARCH創設メンバーであるビル・ランダと結婚し、ランダ姓を名乗っている。その一方で、リーとは完全に関係を断ち切ってはいなかったのだ。この描写のせいか、「ゴジラ」シリーズでありながら、『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第3話「秘密」は性的描写注意の警告がついている。

つまり、親子二代で不倫をしていたため、ケイコはヒロシを叱ろうにも自分がしたことの罪悪感がついて回るのだ。ヒロシはビルも最後はケイコを探すために消息を絶ったと言い、家庭環境は良いとは言えなかった、心に素直に従った結果だと言うが、それを不倫の理由にするのはいかがなものか。

結局、ヒロシはケンタロウの母親に甘え、ケンタロウとケイトの恩情に甘え、罪悪感で怒れないケイコにも甘えているのではないだろうか。また、ケイコもリーに愛していると言った上で関係は続けられないから友人でいようという甘えがあり、その手紙はビルに知られてしまっている。『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第3話「秘密」では、その甘えがどこから来て、それによって何をもたらしたのかが描かれている。

モスラは4回出現していた?

『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第3話「秘密」を見て、今回は怪獣のシーンが少ないと判断したファンは多いことだろう。しかし、今回のエピソードは随所で『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』へと繋がっている。

メイがエイペックス社の機密情報を見ているが、そこではこれまで出現した怪獣の記録がまとめられている。その一つにモスラがニューヨークに出現したという記録が残っているのだ。これにより、モンスター・ヴァースには4体のモスラが出現したことが明らかになる。

中国・雲南省の密林の古代遺跡にいたモスラ、そのモスラの死後に発見されたモスラの卵、地底に出現したそれらの母親にあたるとされるモスラ、そしてニューヨークに出現したモスラだ。モンスター・ヴァースのモスラは転生を繰り返す怪獣であるため、これらのモスラはすべて同じ精神を共有していた可能性がある。

また、同じく機密情報の中には2016年8月2日に怪獣を発見したという記載もある。その場所は前哨基地32と書かれており、ここはモンスターゼロ、つまりギドラが眠っていた南極の座標だ。MONARCHはギドラをかねてより監視していたものの、ギドラが宇宙から来た偽の王だと気づいていなかった。その裏でエイペックス社もギドラを監視していたのだ。

エイペックス社はゴジラとギドラが戦った際に回収された頭部を使い、メカゴジラを開発している。それを踏まえると、2017年の時点でエイペックス社はギドラが利用できないか監視していたことが考察できる。『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第3話「秘密」は『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』の前日譚なのだ。

『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第3話「秘密」ネタバレ感想

トモミ・カマタに捧ぐ

『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第3話「秘密」は人間ドラマがメインであり、家族とは何かということを強調したドラマ展開になっていた。しかし、ところどころで『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』につながる要素を残している。

そして最後に出されるのが、トモミ・カマタへの追悼メッセージだ。多くの人がトモミ・カマタは誰なのかと思ったことだろう。彼女はメキシコ映画界で活躍した日本人映画監督で、1970年代にメキシコに移住すると数多くの作品を発表した。

2024年9月19日に亡くなった彼女だが、実は『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』に密接に関わっている。彼女の娘であるヒロミ・カマタが監督としてに参加し、『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第3話「秘密」の監督を務めているのだ。

ヒロミ・カマタは『SHOGUN 将軍』の第1話の監督も務めた人物で、映像業界に入るきっかけは母親であるトモミ・カマタへの憧れだったという。そのことから、『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第3話「秘密」は制作陣が抱く家族への想いを反映させたエピソードなのかもしれない。

『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第3話「秘密」は2026年3月13日(金)よりApple TV+にて配信開始

『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』配信ページ

『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第1話のネタバレ解説&感想はこちらから。

『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第2話のネタバレ解説&感想はこちらから。

『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第4話のネタバレ解説&感想はこちらから。

モンスター・ヴァースの年表はこちらから。

鯨ヶ岬 勇士

1998生まれのZ世代。好きだった映画鑑賞やドラマ鑑賞が高じ、その国の政治問題や差別問題に興味を持つようになり、それらのニュースを追うようになる。趣味は細々と小説を書くこと。
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