【イベントレポート】大木芙沙子×斧田小夜×桜庭一樹 『トウキョウ下町SFアンソロジー:この中に僕たちは生きている』刊行記念対談@下北沢本屋B&B | VG+ (バゴプラ)

【イベントレポート】大木芙沙子×斧田小夜×桜庭一樹 『トウキョウ下町SFアンソロジー:この中に僕たちは生きている』刊行記念対談@下北沢本屋B&B

大木芙沙子さん、斧田小夜さん、桜庭一樹さんによるトークイベントが開催されました!

2025年1月29日(水)の夜、下北沢にある本屋B&Bにて、『トウキョウ下町SFアンソロジー:この中に僕たちは生きている』刊行記念のトークイベント「歴史、テック、そしてSF:下町SFの魅力と可能性」が開催されました。登壇したのは、収録作品の著者である、桜庭一樹さん大木芙沙子さん、そして斧田小夜さん。収録作品の魅力を存分に語り、下町とSFの意外な共通点も見つかったイベントの様子を、少しだけご紹介いたします。

当日は来場や配信でたくさんのお客様にお楽しみいただきました。また、アーカイブ配信が3月1日まで販売中です。

社会評論社
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大木芙沙子さんはトウキョウ下町SF作家の会会員の小説家。2019年からオンライン文芸誌「破滅派」にて活動しています。オンラインSF誌Kaguya Planetに寄稿した「かわいいハミー」「二十七番目の月」が話題になりました。2021年には惑星と口笛ブックスから電子書籍で短編集『花を刺す』を刊行。また、『kaze no tanbun 夕暮れの草の冠』(柏書房)や『水都眩光 幻想短篇アンソロジー』(文藝春秋)などのアンソロジーや文芸誌に小説を寄稿しています。余韻の残る短編小説が魅力の書き手です。


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斧田小夜さんも、同じくトウキョウ下町SF作家の会会員の小説家です。2019年「飲鴆止渇」で第10回創元SF短編賞優秀賞を、同年「バックファイア」で第3回ゲンロンSF新人賞優秀賞を受賞。その後「飲鴆止渇」で東京創元社からデビューしました。2022年に破滅派より刊行された『ギークに銃はいらない』は、冴えないギークの少年によるささやかな〈革命〉を描いた表題作などを収録した短編集です。他にも、多数のアンソロジーに短編小説を寄稿しています。緻密な構成とスケール感で読み手を引き込む作家さんです。


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小説家の桜庭一樹さんは、1999年「夜空に、満天の星」で第1回ファミ通エンタテインメント大賞の佳作に入選し、同作を改題した『AD2015 隔離都市 ロンリネス・ガーディアン』(ファミ通文庫)でデビューしました。『GOSICK -ゴシック-』シリーズや『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』(ともにKADOKAWA)などで注目を集め、2008年には『私の男』(文藝春秋)で第138回直木賞を受賞。近著には『名探偵の有害性』(東京創元社)、『読まれる覚悟』(ちくまプリマー新書)などがあります。 2021年に刊行された『東京ディストピア日記』(河出書房新社)では、コロナ禍での東京の下町の暮らしを描いています。

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『トウキョウ下町SFアンソロジー』には、下町にゆかりのある7名の著者による、7作の短編小説が収録されています(装画を描いてくださったのも「トウキョウ下町SF作家の会」の会員である作家の久永実木彦さんです)。おしゃれなカフェやギャラリーが進出し、「東京のブルックリン」と呼ばれる一方で、住む人がアイデンティティや愛着を抱き、「地元」の結束も強い、そんな下町の色々な面をSF短編でえがくことにより、「下町とはどこで、何なのか」という問いの答えを探してみる試みが、『トウキョウ下町SFアンソロジー』です。

イベントでは、登壇されたお三方の作品、さらに他の収録作も含め全ての作品について、舞台となる場所の地図を参照しながらご紹介いただきました。

『トウキョウ下町SFアンソロジー』はKaguya Booksが刊行している「地域シリーズ」の第4弾(他には、京都大阪徳島を刊行済み)にあたります。読者からは、「他の地域のアンソロジーよりも優しい終わりのものが多い」という感想が聞こえてくるそう。また、古い価値観のアップデートが下町そのものや下町がもつステレオタイプの変化とオーバーラップしているような作品があること、さらにそれがSFという枠組みの中で書かれていることの面白さについても言及がありました。

下町とSFは、どちらも「どこまでが下町/SFか」という議論が常になされてきました。中心ははっきりしていても、その周縁がどうなっているのかを把握している人はいないのではないでしょうか。イベントでは、それぞれの人がそれぞれに、「ここまでが下町」「これもSF」といったような判断をしていること、そしてある程度好き勝手にその判断を行っていることが、下町とSFの共通点として見つかったことも印象的でした。

また、短編を中心に執筆してきた斧田さん、大木さんと、長編をメインに執筆してきた桜庭さんで、物語の長さによって物語のスピードが変わることについてお話しなさっていたのも面白かったです。

イベントのアーカイブチケットは3月1日まで販売中!

下北沢の本屋B&Bで開催された、トークイベント「歴史、テック、そしてSF:下町SFの魅力と可能性」はオンライン配信も行われ、3月1日までアーカイブ配信の購入が可能です。大木さん、斧田さん、桜庭さんのお話の内容が気になった方はぜひ視聴してみてください。

こちらより、アーカイブチケットをご購入いただけます。

『トウキョウ下町SFアンソロジー:この中に僕たちは生きている』好評発売中!

『トウキョウ下町SFアンソロジー:この中に僕たちは生きている』
編者:トウキョウ下町SF作家の会
装画:久永実木彦
装幀:谷脇栗太
発行:Kaguya Books  発売:社会評論社
サイズ:文庫本(A6)    ページ: 248頁
定価:1600円(税込1730円)
ISBN:978-4-7845-4152-2

目次
はじめに
大竹竜平「東京ハクビシン」
桜庭一樹「​​お父さんが再起動する」
関元聡「スミダカワイルカ」
東京ニトロ「総合的な学習の時間(1997+α) 」
大木芙沙子「朝顔にとまる鷹」
笛宮ヱリ子「工場長屋A号棟」
斧田小夜「糸を手繰ると」
あとがき

トウキョウ下町SF作家の会
東京の下町エリアを拠点とするSF作家の会。 女性のプロ作家を主体とし、主流ではない属性を持つプロ作家の活動を支援すると同時に、敷居が高いと思われがちなSFの門戸を開く特異点となるべく活動している。〈トウキョウ下町SF作家の会〉というYou Tubeチャンネルで、SF作品の紹介や執筆に役立つテック系の解説動画を配信している。

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