『GODZILLA ゴジラ』で流れた音楽に注目
2014年に公開されたギャレス・エドワーズ監督の『GODZILLA ゴジラ』。新たに作り直されたハリウッド版『ゴジラ』だ。渡辺謙をはじめとする豪華キャストと共に、注目したいのはその音楽だ。続編『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019)ではベアー・マクレアリーがゴジラ愛溢れる楽曲を提供したが『GODZILLA ゴジラ』でもアレクサンドル・デスプラが美しい音楽を提供してくれている。
アレクサンドル・デスプラは『真夜中のピアニスト』(2005)の音楽が高く評価されており、『グランド・ブダペスト・ホテル』(2014)と『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017)ではアカデミー賞作曲賞を受賞した名作曲家だ。実は、アレクサンドル・デスプラにとって、『GODZILLA ゴジラ』は初めてのモンスター映画。サウンドトラックでは日本の太鼓を活用した音楽を展開している。
では、『GODZILLA ゴジラ』の劇中にはどのような楽曲が使用されていたのだろうか『GODZILLA ゴジラ』で流れた曲をチェックしてみよう。
『GODZILLA ゴジラ』で流れた音楽まとめ
家族の団欒シーンで「Glad About That」「Breakfast In Bed」
軍隊から帰った主人公フォードは、妻のエル、息子のサムと久しぶりの家族団欒を楽しむ。このシーンで流れているのはLinda Ballentineの「Glad About That」(2004)。そして、フォードとエルが再会を楽しむシーンで流れているのはダスティ・スプリングフィールドの「Breakfast In Bed」(1969)。ダスティ・スプリングフィールドはロンドンの歌手で、1999年にはロックの殿堂に入っている。
「Breakfast In Bed」は「ベッドでの朝食、そしてキス」「いつでも帰ってきて」という内容が歌われているラブソングだ。1969年に登場して以降、数多くのアーティスによってカバーされており、その数は10を優に超える。
ゴジラvsムートーの裏で「My Heart Can Feel the Pain」
ゴジラとムートーの戦いがテレビに映し出され、サムがソファに横になりながらテレビを見ているシーン、バックで流れているのはThe Tonettes「My Heart Can Feel the Pain」(1966)。The Tonettesは後にThe Charmelsとして知られるようになる。「痛みを感じられる」というタイトルのこの曲が流れる中、ムートーに痛めつけられるゴジラの姿が映し出されている。
優雅に流れる「(You’re the) Devil in Disguise」
ムートーがラスベガスにせまるシーン、豪勢な内装の建物に救急隊が突入するシーンで流れているのはエルヴィス・プレスリーの「(You’re the) Devil in Disguise」(1968)。「悲しき悪魔」という邦題がつけられたこの曲では、「あなたは天使のように見えるけど、天使の皮を被った悪魔だ」という内容が歌われている。これはムートーを指しているのか、それとも核の使用に踏み切る人間たちのことを指しているのだろうか……。
荒廃したサンフランシスコで「レクイエム」
『2001年宇宙の旅』(1968)でも使用されたリゲティの「ソプラノ、メゾ・ソプラノ、2つの混声合唱と管弦楽のためのレクイエム」(1965)が『GODZILLA ゴジラ』でも使用されている。フォードたちがサンフランシスコ上空からヘイロー降下を行う場面。荒廃したサンフランシスコの様子と共に「レクイエム」が流れている。人類にとって未知の境地に足を踏み入れるフォードらの心境を表現している。
以上が、ギャレス・エドワーズ監督版『GODZILLA ゴジラ』で流れた主な音楽だ。実は1960年代の楽曲を中心に構成されていたことが分かる。アレクサンドル・デスプラの音楽も聴きたい方は、サントラも要チェックだ。
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