山崎貴監督の次々作は「怪獣映画ではないが…」アメリカで撮影、VFX多用の映画になると明かす | VG+ (バゴプラ)

山崎貴監督の次々作は「怪獣映画ではないが…」アメリカで撮影、VFX多用の映画になると明かす

2024年11月〈ゴジラ・フェス2024〉にて

山崎貴監督「ゴジラ」後の映画について語る

映画『ゴジラ-1.0』(2023) で日本映画初のアカデミー賞®︎視覚効果賞を受賞した山崎貴監督。すでに「ゴジラ」の新作映画を手がけることが発表されているが、2024年11月にはハリウッドに進出し、『グランドギア(原題)』というタイトルの映画を手がけることが報じられている。

そんな中、『パラサイト 半地下の家族』(2019) でアカデミー作品賞を含む4部門を受賞したポン・ジュノ監督と山崎貴監督の対談動画が公開。ポン・ジュノ監督の新作映画『ミッキー17』について語り合う中で、山崎貴監督の“次々作”に話題が及んだ。

米国で撮影、VFXを多用

対談の冒頭では、山崎貴監督が「次の次の映画をアメリカで撮ることになっているんですけど」と明かし、ポン・ジュノ監督がハリウッドで製作した『ミッキー17』によってハードルが高くなってしまったと嘆いている。「ゴジラ」新作の監督が発表されている山崎貴監督にとっての「次の次の作品」とは、おそらく『グランドギア』のことだと思われる。

この発言に、ポン・ジュノ監督も「次の次に撮るアメリカの作品がどのようなものか気になります」とコメント。「怪獣映画ですか?」と皆が気になるポイントを聞いてくれている。この問いに、山崎貴監督は「怪獣……ではないですね。でも大きなVFXをたくさん使う映画になります」と答えた。

山崎貴監督にとってのハリウッドデビュー作となる見込みの映画『グランドギア』では、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015)、『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』(2019) のJ・J・エイブラムス監督がプロデューサーを務める。同監督がブライアン・バークと共に立ち上げたバッド・ロボット・プロダクションズも製作に携わる。

バッド・ロボットといえば、「クローバーフィールド」シリーズやドラマ『ウエストワールド』(2016-2022) で知られる制作会社で、SFをはじめとする視覚効果を多用する作品には定評がある。「大きなVFXをたくさん使う」という山崎貴監督の「次の次の作品」が『グランドギア』であれば、バッド・ロボットからの心強いバックアップを受けての制作が実現することになりそうだ。

大きな予算を投じたVFX

次に山崎貴監督は、『ミッキー17』でのVFXを用いたクリーパー(劇中に登場する生物)のスペクタクルシーンを「どうやってやったのか」と率直に質問。ポン・ジュノ監督は、大きな予算が投じられていると明かすと共に、『オクジャ/okja』(2017) や『グエムル-漢江の怪物-』(2006) で一緒に制作を手がけたスタッフがクリーパーのデザインを手がけており、阿吽の呼吸で作ることができたと、制作の秘訣を明かしている。

一方、ポン・ジュノ監督は『ゴジラ-1.0』の“手作り感”について、1954年に公開された初代『ゴジラ』への郷愁を込めたのではと予想。しかし、山崎貴監督は「予算がなくて手作りでやるしかなかったんです(笑)」と答えている。

『ゴジラ-1.0』では、低予算で制作された脅威のVFXに世界中が驚いたが、一方で制作の現場に相応の予算がつけられない日本映画の厳しい状況も露わになった。今回の対談で、山崎貴監督はポン・ジュノ監督に“予算をかけたスペクタクルシーンを作る方法”を聞いているが、ハリウッドでの大規模な予算を投入しての映画作りに一抹の不安を感じているのかもしれない。

山崎貴監督の初英語作品は、様々な面で新たな挑戦を迫られることになるだろう。今後も日本の映画監督の海外での活躍を後押しするためにも、日本の映画界は「低予算で良いものを作る」を美談とせず、日本でも予算をかけた大作映画が作れる環境を整備していく必要がある。

今回、ロバート・パティンソン主演の『ミッキー17』が公開されたポン・ジュノ監督にとっては、2013年公開でクリス・エヴァンスが主演を務めた映画『スノーピアサー』が初の英語作品。続くNetflix映画『オクジャ/okja』も英語作品で、その後に手がけたのが韓国映画『パラサイト 半地下の家族』だ。

アジアから世界的な監督となった“先輩”にあたるポン・ジュノ監督との対談を経て、山崎貴監督は米国でどんな作品を作るのだろうか。「ゴジラ」新作と共に英語作品にも期待しよう。

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山崎貴監督とポン・ジュノ監督の対談動画の詳細はこちらから。

「マーベルの社長」に会ったことを明かして話題となったゴジラ・フェス2024での山崎貴監督のトークはこちらの記事で。

『ゴジラ-1.0』アカデミー賞視覚効果賞受賞までの軌跡はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。 訳書に『デッドプール 30th Anniversary Book』『ホークアイ オフィシャルガイド』『スパイダーマン:スパイダーバース オフィシャルガイド』『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース オフィシャルガイド』(KADOKAWA)。正井編『大阪SFアンソロジー:OSAKA2045』の編集担当、編書に『野球SF傑作選 ベストナイン2024』(Kaguya Books)。
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