『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』歴史的ヒット作に
2026年7月31日に公開された映画『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』は、MCU「スパイダーマン」の第4作目。前作『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021) は全世界興収約19億ドルという大ヒットを記録したが、本作は公開から約3週間で20億ドル超という特大ヒット作に。この数字は、スーパーヒーロー映画史上最高となる全世界興収約28億ドルを記録した『アベンジャーズ/エンドゲーム』にも迫るもので、今後の動向にも注目が集まっている。
そんな中、『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』にダメージ・コントロール局の新たな長官の役で出演したトラメル・ティルマンが、自身の役柄について口を開いている。映画公開までは役名が伏せられていたが、そこにはある理由が存在していた。
以下の内容は、映画『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』の内容に関するネタバレを含みます。
Contents
ネタバレ解説『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』メッツガー長官とは?
ダメージ・コントロール局とは?
トラメル・ティルマンが『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』で演じたのは、ダメージ・コントロール局の長官であるウィリアム(ビル)・メッツガー。ダメージ・コントロール局は、MCUのメインユニバースであるアース616で超人関係の事件を取り締まっている組織だ。
MCUのダメージ・コントロール局が初めて登場したのは映画『アイアンマン』(2008) でのことで、トニー・スタークの部屋のテレビモニターにその名前が映っていた。『スパイダーマン:ホームカミング』(2017) では、スターク・インダストリーズと米政府が共同で設立した組織として、宇宙由来の物質や技術の回収及び管理を行うとされていた。
S.H.I.E.L.D.がヒドラの乗っ取り等によって壊滅状態になった後は、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021)、ドラマ『ミズ・マーベル』(2022)、『シー・ハルク ザ・アトーニー』(2022) などで超人関係の事件を担当している。相手がヒーローかヴィランかという判断は行わず、スーパーパワーを持っている相手なら武力を用いて制圧するのがその特徴である。
ドラマ『ワンダーマン』では、ダメージ・コントロール局は俳優として活動する主人公サイモン・ウィリアムズがスーパーパワーを持っているかどうかの調査を行なっていた。ヒーロー活動をしていないとしても、スーパーヒューマンを炙り出そうとしているのである。
一方で、クレイアリー捜査官が率いる現場レベルでは、成果を残さなければ翌年の予算が削られると危惧するような小者感もあった。ちなみに同作では2010年代半ば時点の副長官として、ヘイエルダールという人物が登場している。
原作コミックのメッツガー
そんなダメージ・コントロール局の長官として映画『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』で紹介されたのがウィリアム・メッツガーだ。『スパイダーマン:ホームカミング』では、タイン・デイリー演じるアン・マリー・ホーグが同局の長官として登場していたが、新たな長官に交代となったようだ。
ちなみに、原作コミックのアン・マリー・ホーグは、トニー・スタークとウィルソン・フィスクが出資して設立された、スーパーヒューマン関連の事件で破壊された建物の修復を行う建設会社ダメージ・コントロールの創業者として登場している。
MCUのダメージ・コントロール局はスターク・インダストリーズと米政府の合弁機関だったが、トニー・スタークの死によって運営体制も変わったのだろう。『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』では、ダメージ・コントロール局が“生みの親”であるスターク・インダストリーズの捜査に入っている。
そして登場したウィリアム・メッツガー長官。実は、コミックのミニシリーズ『X-Men: Children of the Atom』(1999) には、同名のキャラクターが反ミュータント活動家の人物として登場している。メッツガーのモデルとなったのは白人至上主義者のトム・メッツガーという人物で、コミックでは反ミュータント民兵組織のリーダーを務め、ミュータントへのヘイトを扇動している。
メッツガーの背景と今後は?
メッツガーはどうなった?
映画『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』では、ウィリアム・メッツガーはダメージ・コントロール局を攻撃するジーン・グレイの捕獲を画策する。しかし、最終的にはダメージ・コントロール局がジーンの姉サラを誘拐、拷問して殺してしまっていたこと、ジーンは姉のサラを探し続けていたことが明らかになる。
ピーター・パーカーによってジーンは解放されると、ラストでは、メッツガーが行方不明となっていることにも触れられている。ダメージ・コントロール局による違法な人体実験については、エレーナ・ベロワの協力のもと、警察が捜査を行なっているという。
メッツガーの失脚はほぼ確実と見ていいだろう。メッツガーが政府から離れるとすれば、原作コミックのように反ミュータントの民兵組織を立ち上げる展開もあるかもしれない。また、今回ピーター・パーカーが発明した抑制装置を悪用し、罪のないミュータントに用いるということもあり得るだろう。
俳優が語った背景
米GQでは、『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』でウィリアム・メッツガーを演じたトラメル・ティルマンが、出演の経緯とキャラクターの背景について語っている。曰く、詳細は明かされないまま「マーベルの映画に出たいか?」というオファーを受け、話を聞く前に秘密保持契約を結ぶ必要があったという。ほとんど情報をもらえない中で、それでも監督のデスティン・ダニエル・クレットンから重要なキャラクターであるということを聞かされ、ティルマンは出演を決めたとしている。
さらに、セイディ・シンクが演じる役がジーン・グレイであることが映画公開まで伏せられていたため、同時にティルマンが演じるキャラクターがウィリアム・メッツガーであることも伏せていなければならなかったという。原作コミックのファンには、映画にメッツガーが登場するということはミュータントも登場するということが分かってしまうからだ(海外では公開1ヶ月半前に予告動画のキャプション機能で名前が判明し、日本では公開2週間前に相関図で名前が明かされた)。
ティルマンは、メッツガーについて、「企業人であり少し政治家的でもある」とした上で、メッツガーをヴィランと考えるかどうかには疑問を持っているようだ。曰く、ダメージ・コントロール局はこれまでに何度も攻撃されており、メッツガーは職員・市民・世界を守る責任を負っている、力を制御できないジーン・グレイは脅威だと考えた、と擁護している。
ミュータントの時代に
だが、メッツガーが自分の正義に確信を持っている方が厄介だと言える。たとえ役職や組織を離れても、独自に自身が“脅威”だと考えるミュータントのに挑もうとするかもしれないからだ。
これまでのMCUでは、ミズ・マーベルとモイネロに「ミューテーション/ミュータント」という言葉が使われている。2027年12月公開の映画『アベンジャーズ/シークレット・ウォーズ』の後、2028年5月5日にはMCU版の『X-MEN』が公開される。MCUは新たに〈ミュータント・サーガ〉に突入するとも言われており、ミュータントの時代がやってくることは確実だ。
スーパーヒューマンを炙り出そうとしていた『ワンダーマン』でのダメージ・コントロール局の様子を見れば、今後もダメージ・コントロール局は無害なミュータントまで炙り出そうとする可能性がある。市民と政府によるミュータント狩りが始まるのだ。
その時、ウィリアム・メッツガーとピーターの抑制装置はどのように物語に絡んでくるのか、こないのか。〈マルチバース・サーガ〉の行方とともに見届けよう。
映画『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』は2026年7月31日(金)より日米同時公開。
MCU「スパイダーマン」誕生から三部作完結までの道のりを多数のコンセプトアートとインタビューで紐解く「ジ・アート・オブ スパイダーマン」シリーズはKADOKAWAより発売中。
Source
GQ
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