魔法のような42分『IT’S NOT ME イッツ・ノット・ミー』ポスター&予告編解禁、レオス・カラックス監督の来日イベントも | VG+ (バゴプラ)

魔法のような42分『IT’S NOT ME イッツ・ノット・ミー』ポスター&予告編解禁、レオス・カラックス監督の来日イベントも

© 2024 CG CINÉMA • THÉO FILMS • ARTE FRANCE CINÉMA

『ITʻS NOT ME イッツ・ ノット・ミー』4月26日公開

2025年4月26日(土)よりユーロスペースほかにて全国順次公開される『ITʻS NOT ME イッツ・ ノット・ミー』より、ポスタービジュアルと予告編が解禁された。本作はレオス・カラックスが初めて自ら編集し、圧倒的なビジュアルセンスで記憶と思考をコラージュしたセルフポートレート。また、公開に先立ち3月24日(月)と26 日(水)にレオス・カラックス監督による来日舞台挨拶付きの先行上映イベントが決定した。

100%カラックス映画、心揺さぶる自画像 レオス・カラックスの新作『IT’S NOT ME イッツ・ノ ット・ミー』。「これは私ではない」と題されたセルフポートレート、、カラックスが初めて自ら編集しためまいのようなコラージュ。「鏡を使わず、後ろ姿で描かれた」自画像。子供の嘘の始まりのような「僕じゃない」という言い訳ーー。

2024年のカンヌ国際映画祭プレミア部門で初公開され、 大きな注目と関心を集めた本作は、ルモンド紙が「五つ星・ 傑作」としたのを始め、「ゴダールの精神的後継者による 心揺さぶるエッセイ」「カラックスのとてつもない宇宙」 と高く評価された。アメリカでは秋のニューヨーク映画祭で「多彩なヴィジュアルスタイルのシネエッセイ」「2024 年の最も颯爽とした映画」と高評が続き、同映画祭に参加していたイザベル・ユペールも「100%レオス・カラックス映画。この映画にとても心を動かされた」と語っている。

イメージと音の奔流、間断なく入る文字・声・音楽。 次々と引用される映画・写真・動画。カラックスの記憶と思考の中に呑み込まれる、魔法のような42分。パリの現代美術館ポンピドゥセンターはカラックスに白紙委任する形で展覧会を構想していたが、「予算が膨らみすぎ実現不能」になり、ついに開催されることはなかった。その展覧会の代わりとして作られたのが『ITʻS NOT ME イ ッツ・ノット・ミー』である。

ポンピドゥセンターからの問いかけは、カラックスの今いる位置を聞いたものだったが、カラックスはそれをもっと根源的に捉え直し、自分がどこから来てどこへ行くのかという答えのない謎に地の底から響くような低い声で口籠もりながら語ってゆく。家族について、映画について、20世紀と独裁者と子供たちについて、死者たちについて、そして「エラン・ヴィタル(生の飛躍、生命の躍動)」(ベルクソンの言葉)について。ゴダール (1930-2022)の後期のエッセイ・スタイルへのオマージュではあるものの、ゴダールが思索的・分析的なのに対し、カラックスはずっと夢想的・連想的にみえる。

ホームビデオから映画、音楽、写真とさまざまなジャンル、 フォーマットの映像を夢の断片のようにコラージュしながら自身のポートレイトをプライベートにダイレクトに描く。そこにはストーリーも結論もないが、至る所に見る者の心を揺さぶる声や瞬間がある。

難民の子供の遺体に重なるジョナス・メカスの声。留守電に残されたゴダールの伝言。娘のナスチャがピアノで奏でるミシェル・ ルグランの「コンチェルト」のテーマ。主観ショットで捉えられた『汚れた血』のジュリエット・ビノシュ。『ポ ーラX』のギョーム・ドパルデュー (1971-2008)とカテリナ・ゴルベワ (1966-2011)。盟友だった撮影監督ジ ャン=イヴ・エスコフィエ(1950-2003)への献辞。その後で、不意に訪れる驚嘆すべき素晴らしい終幕――。 すべてが親密で私的で詩的なカラックスからのメッセージだ。

今回解禁となったポスタービジュアルは、波紋がたゆたうエメラルドグリーンの空間に重力を失ったかのよう な人物が浮遊している瞬間を切り取っている。そして鮮烈な赤でタイトルの『IT’S NOT ME イッツ・ノット・ ミー』。「この世の美はまばたきを求めている」というキャッチコピー、結論も終わりもないこの映画が最後に残す「まばたき」についてのメッセージが添えられている。

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予告編では、カウントダウンと「MERDE」のテロップから始まり、スパークスの「without using hands」に のせてポンヌフの橋で踊り回り続ける人、『汚れた血』のドニ・ラヴァンの疾走、ジュリエット・ビノシュの疾走、そして、『怪人マブゼ博士』、『ポーラX』のギヨーム・ドパルデューとカテリナ・ゴルベワ、文豪フョー ドル・ドストエフスキーや歌手で活動家のニーナ・シモン、マリリン・モンロー、アナキストのシャンソン歌手レオ・フェレと若きカラックスが二人でタバコを吸う写真、爆弾を投下する戦闘機や独裁者ウクライナの女性活 動家オクサナ・シャチコのアーカイヴ、新たに撮り下ろされたベッドに横たわる子供たちや娘ナスチャがピアノを弾くシーンなど映画・写真・動画、さまざまなジャンル、フォーマットの映像が夢の断片のようにコラージュ されていく。カラックスの記憶と思考を垣間見る予告編となっている。

レオス・カラックス監督 Q&A 付き先行上映イベント開催

『IT’S NOT ME イッツ・ノット・ミー』の4月26日(土)からの劇場公開に先駆け、ユーロスペースでレオス・カラックス監督の Q&A 付き先行上映開催が決定した。カラックス監督が観客の質問に答える貴重な機会だ。

★登壇日時:
①3月24日(月) 19:15の回 (本編終了後 Q&A)
②3月26日(水) 17:30の回 (本編終了後 Q&A)

★登壇ゲスト:レオス・カラックス監督(※登壇者は予告なく変更となる場合があります。)

★会場:ユーロスペース(東京都渋谷区円山町1−5 3F)

★チケット
料金:1,900 円均一 ※ムビチケ・各種割引・招待券全て使用不可
販売:オンライン:3月 18 日(火) AM0:00 より

ユーロスペース公式 HP

劇場窓口:3月18日(火) 劇場オープン時より
※インターネット販売で完売になった場合は、窓口販売はなし。

横浜フランス映画祭2025 関連企画【レオス・カラックス 夜の果てへの旅】

フランス映画において唯一無二なる存在、レオス・カラックスは、1980年の初短編作品『絞殺のブルーズ』で 鮮烈な監督デビューを飾り、1984年の初長編作品『ボーイ・ミーツ・ガール』から2021年の初ミュージカル 『アネット』まで、一作ごとに映画と出会い直し、創造の冒険を行い、6 本の傑作を生み出してきた。そのレオスが最新作『IT’S NOT ME イッツ・ノット・ミー』とともに戻ってくる。レオスによる映画史、レオスが思考し続ける世界のテーマ、レオスを魅了し、形成してきた監督へのオマージュ、そして俳優たち、家族への愛……。それら全てが凝縮された『IT’S NOT ME イッツ・ノット・ミー』が横浜フランス映画祭 2025 で日本プ レミア上映されるのを記念し、これまでの6作品が一挙特集される。会期中にはレオス・カラックス監督と黒沢清監督のトークショー(3/23(日)18 時)、カラックス映画の全貌に迫る須藤健太郎氏によるレクチャー(3/29(土) 14 時半)も開催される。

■上映作品
・『ボーイ・ミーツ・ガール』
・『汚れた血』
・『ポンヌフの恋人』
・『ポーラ X』
・『TOKYO!』
・『ホーリー・モーターズ』
・『アネット』

主催:東京日仏学院
助成:CNC
協力:ユニフランス、ユーロスペース、アニエスベー 作品提供|ビターズエンド、フェスティバル・エイジェンシー
詳細はこちらから
※レオス・カラックス監督と黒沢清監督のトークショーは完売。

映画『IT’S NOT ME イッツ・ノット・ミー』は2025 年 4 月 26 日(土)よりユーロスペースほか全国ロードショー。

『IT’S NOT ME イッツ・ノット・ミー』公式

『IT’S NOT ME イッツ・ノット・ミー』

監督:レオス・カラックス/撮影:カロリーヌ・シャンプティエ
出演:ドニ・ラヴァン、カテリーナ・ウスピナ、ナースチャ・ゴルベワ・カラックス
フランス/42 分/2024 年/カラー&モノクロ/1.78:1
原題『C’est pas Moi』/英語題『It’s Not Me』
配給:ユーロスペース
© 2024 CG CINÉMA • THÉO FILMS • ARTE FRANCE CINÉMA

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