『ドールハウス』ネタバレ解説&感想 ラストの意味は? 何が怖い? 続編はある? アヤの過去と今後を考察 | VG+ (バゴプラ)

『ドールハウス』ネタバレ解説&感想 ラストの意味は? 何が怖い? 続編はある? アヤの過去と今後を考察

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初掲:2025年6月13日

2025年公開の映画『ドールハウス』

2025年6月13日(金) に劇場公開された映画『ドールハウス』は、『ウォーターボーイズ』(2001)、『スウィングガールズ』(2004) などで知られる矢口史靖監督の最新作。長澤まさみが主演を務め、ポルトガルで開催された第45回ポルト国際映画祭ではグランプリを受賞した。

今回は、『ドールハウス』のラストに注目してネタバレありで解説&考察し、感想を記していこう。なお、本作は子どもへの暴力や家庭内の事故、子どもを巻き込む自動車事故、虐待、自殺に関するショッキングな内容を扱っているのでご注意を。また、以下の内容は結末のネタバレを含むため、必ず本編を視聴してから読んでいただきたい。

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注意
以下の内容は、子どもへの暴力や家庭内の事故、子どもを巻き込む自動車事故、虐待、自殺に関するショッキングな内容を含みます。
ネタバレ注意
以下の内容は、映画『ドールハウス』の結末に関するネタバレを含みます。

映画『ドールハウス』ネタバレ解説

母と人形の物語

映画『ドールハウス』は矢口史靖作品ではお馴染みの“鈴木家”の物語が描かれる。矢口作品の主人公の苗字は鈴木である場合が多く、『ドールハウス』でも一般的な家庭としての「鈴木家」が描かれる。

長澤まさみ演じる主人公の佳恵は事故で娘の芽衣(メイ)を亡くし、心神喪失の状態にあった時に骨董市で少女の人形を見つけた。この人形がドールセラピーの役割を果たし、佳恵は回復すると、夫の忠彦との間に二人目の子ども・真衣(マイ)を授かる。

少女の人形は押入れの奥にしまい、二人は真衣との幸せな生活を送っていたが、真衣が人形を引っ張り出してきて「アヤちゃん」と呼び始めたことから悪夢のような日々が始まる。『ドールハウス』が怖いのは、5歳になった真衣と、5歳くらいの見た目のアヤを交差させて描いている点だ。

アヤを“敵”として見做して攻撃すると実は真衣であったり、真衣を“娘”と見做して寄り添うと実はアヤだったりする。佳恵が夢の中でアヤだと思った真衣を殴打してしまう場面はトラウマものの恐ろしさ。子どもが危険に晒される緊張感で恐怖を煽る手法は悪趣味ではある。

アヤの真実

映画『ドールハウス』では、前半は佳恵がアヤと格闘する展開が描かれ、後半は忠彦が様々な人を頼ってアヤをなんとかしようとする展開が描かれる。忠彦は優しい夫ではあるが、実のところ芽衣が死んだ時から本当の意味では佳恵に向き合っていなかったように思える。

佳恵が回復したのは自分でアヤを見つけてきたからだったが、忠彦は何かと専門家に頼りがちだ。アヤがヤバい人形だと気づいた時も、佳恵はアヤをゴミに出したり、直接収集車に持って行ったりと、あくまで自分でなんとかしようとしていた。それでも忠彦は佳恵がおかしくなっていると決めつけ、佳恵を入院させてしまったのだ。

結果、お焚き上げ供養をすると称してアヤを骨董品屋に売ろうとした悪徳坊主の寺嶋や、超常現象を信じない刑事の山本、佳恵が入院させられた後に真衣の面倒を見ていた祖母の敏子らが次々とアヤの餌食になる中で、忠彦は呪禁師の神田を頼ることになる。呪禁師とは、呪術によって邪気を祓う者のことで、歴史上実在した職業である。

アヤの身体に人間の骨が入っていることが分かった後、神田はアヤを作った安本浩吉について調べていた池谷の元を訪ねる。かつて警察だった池谷は、安本浩吉の妻・妙子が体の弱かった娘・礼(アヤ)と無理心中を図ったこと、人形師の浩吉がそれを隠蔽するためにアヤの骨を使って娘人形を作ったこと、浩吉の自首を受けて妙子の墓を掘り返したがアヤの人形は既になくなっていたことを明かす。そうして、佳恵、忠彦、神田はアヤを妙子の墓に返すために、新潟県蔵川郡の神無島を目指すのだった。

映画『ドールハウス』ラストをネタバレ解説

どこからが幻覚?

映画『ドールハウス』のクライマックスは、1日のうち引き潮の2時間しか道が現れない神無島へと向かう場面だ。神無島の近くで宿をとった3人は、その晩にアヤに襲われてしまう。電気と蝋燭の火が消え、カメラのフラッシュだけで瞬間的にアヤの姿が捉えられる場面はホラー作品の中でも屈指の恐怖シーンに仕上がっている。

なんとかアヤを抑え込むが神田は戦いの中で足を負傷してしまい、佳恵と忠彦は二人で神無島へと向かう。二人はアヤを妙子の墓に入れることに成功するが、線香の火で神田のお札が燃えてしまい、佳恵はまたもアヤと揉み合うことに。佳恵は引っ張られていた髪をなんとかガラスで切り離してことなきを得るが、アヤとの戦いはこれで終わりではなかった。

佳恵と忠彦は家へと戻り、娘の真衣と再会を果たすが、それは真衣ではなくアヤだった。忠彦は真衣を洗濯機から助け出したと思ったが、それは死んだはずの芽衣で、芽衣はアヤを連れて去って行った。この一連の出来事はアヤが見せた幻覚で、二人はまだ神無島にいたのである。

アヤを連れて去って行った芽衣は、そうすることで佳恵を守ったのだろう。佳恵はようやく芽衣への執着を手放すことで、アヤとの戦いに決着をつけることができた。『ドールハウス』の物語は、佳恵が死んだ芽衣の姿をアヤに重ね合わせたことから始まった事件であり、佳恵が芽衣とアヤを共に葬ることが必要だったのだろう。

ちなみに幻覚の中で家に帰ってきた佳恵の髪の毛は不揃いに切れた状態だったが、芽衣登場後の佳恵の髪は元に戻っている。つまり、引っ張られていた髪をガラスで切ったシーンも幻覚であり、佳恵が芽衣の写真を落として墓に入り、お札が燃えて効力を失ったところから幻覚は始まっていたものと考えられる。

ラストの意味は?

ところが、『ドールハウス』はまだ終わりではなかった。今度こそ家に帰った佳恵は忠彦と真衣との幸せな生活を取り戻したが、一方で呪禁師の神田はカメラに録画されていた真衣がアヤと話をしていた映像から、アヤが母・妙子から虐待を受けていたことを知り、敏子と共に急いで鈴木家を目指していた。

佳恵はアヤが母・妙子の元に戻りたいのではないかと思い込んでいたが、アヤはそう思っていなかったのである。アヤは高値がつく安本浩吉の人形だから妙子の墓から盗掘されたのだろうと予想されていが、おそらく人形になったアヤは墓の中で妙子と一緒にいるのを嫌がり自分で墓を出たのだろう。

そもそもアヤの父・浩吉は妙子の虐待に気づいていなかった可能性が高い。娘は母と一緒にいたいものだという佳恵の思い込み、そして母娘の関係に関心が薄かった夫・浩吉/忠彦が生んだ結果とも言える。上記の考察が正しければ、アヤには自分で墓から出る力がある。鈴木家にいたのは、やはり真衣ではなかったのだ。

敏子&神田と入れ違いでエレベーターを降りた佳恵&忠彦は、車の中にいた娘・真衣の呼びかけに応じることなくベビーカーを押して去っていく。そのベビーカーの上に乗っていたのは真衣ではなくアヤだった、というバッドエンドで『ドールハウス』は幕を閉じる。タイトルの『ドールハウス』とは、鈴木家が“人形の家”になることを示していたのである。

エンディングで流れる曲は、ACAね(あかね)が作詞・作曲・ボーカルを担当するバンド・ずっと真夜中でいいのに。「形」。軽快な曲でありながら、「わがままな髪、繋ぎ止めていい」「何度も同じこと守るから」「人の形して歩いてく」など、アヤを思わせる歌詞が本編の内容とマッチしており、バッドエンドの後味を和らげてくれる。

映画『ドールハウス』ネタバレ考察&感想

念入りに仕掛けられていた“違和感”

映画『ドールハウス』は、生前のアヤをめぐるミステリー要素もありつつ、呪術要素も取り入れ、幾重ものオチを作るホラーの王道を発展させたような作品だった。繰り返しになるが、子どもに危険や危害が及ぶという形での恐怖体験は正直なところ嫌悪感を覚える。これは個人差があるところかもしれない。

一方で、作中の登場人物の動きの中で小さな違和感を積み重ねていき、最後に結実させるという展開は巧かった。アヤが勝手に無理心中をするような母親と一緒にいたいと思うか? という疑問には、やはり佳恵の考えが間違っていたというオチが用意されているなど、ストーリー上微妙に引っかかるような部分は、案外意図的に仕掛けられていたものであったことが分かる。

ラストの展開も、エレベーターから降りるところで真衣が5歳なのにベビーカーに乗っているという微妙な違和感があったが、それは真衣ではなく人形のアヤだからベビーカーで運ぶ必要があったということが明かされる。二人が神無島から帰ってきた後も、真衣は祖母の敏子に預けていたのでは? という視聴者の疑問は二度に渡り肯定されることになる。敏子と神田が乗ってきた車の中に真衣がいたということは、真衣はずっと敏子といたのである。

真衣はアヤと話をすることができ、アヤは真衣にお母さんを交換しようと持ちかけていた。下手を打てば真衣が妙子の墓に入っていたかもしれないが、おそらくそれは芽衣によって防がれたのだろう。佳恵が墓に落ちた芽衣の写真を拾ってガラスで髪を切った流れは幻覚だったので、芽衣の写真は墓に残ったままだと考えられる。芽衣がアヤと真衣の身代わりになったのだろう。

真衣が死ぬことはなかったが、佳恵と忠彦はアヤのものになってしまった。思えば、序盤で佳恵と忠彦がアヤをベビーカーに乗せて買い物に行っていた頃と同じ形に落ち着いたのだ。

アヤは悪くない…?

映画『ドールハウス』には、いくつかの考察要素がある。まず、真衣は幼稚園で二人の人間が首を吊っている絵と、釜のようなものに人間が入っている絵を描いていたが、あれは真衣がアヤに描かされたものだった。首を吊っている絵は妙子がアヤと無理心中をした時の、釜の絵は浩吉がアヤの骨を取り出すために釜で遺体をゆがいていた時の絵である。

つまり、アヤは自分が両親から大事にされていなかったことを真衣や佳恵に伝えようとしていたように思える。そもそもアヤは真衣が生まれるまでは大人しくしており、むしろ佳恵にとっては心の支えとなる存在だった。

だが、真衣が生まれて佳恵と忠彦がアヤをむげに扱うようになり、アヤのアピールが始まった。ベッドに入ってくるなど、人間からしたら怖くはあるが、それでも真衣はアヤを「友達」と認識しており、それなりにうまくやっていた。アヤは嫉妬したり引っ掻いたりすることはあるが、自分から致命的な不幸を招くような存在ではなかった。

アヤが人形であることを差し引けば、その行動はほとんど猫と同じである。新しく生まれてきて可愛がられている赤ちゃんに嫉妬し、毛をまき散らし、布団に入ってきて、子どもを引っ掻いてしまう……。佳恵と忠彦がアヤに変わらぬ愛情を注ぎ続けていれば、4人は幸せに暮らすことができたのかもしれない。

以上はポジティブな方の考察だ。あまり考えたくないので少しだけにしておくが、ネガティブな方の考察として、そもそもアヤが芽衣の死と関わっていた可能性も考えられる。芽衣が洗濯機の中で死んでいたというのは非常に痛ましい事故だが、アヤもまた筒状の墓穴に入れられていた。

幻覚を見た忠彦が洗濯機を叩いていると思ったら墓を叩いていたというシーンもあったが、そもそもアヤは芽衣の死を誘導したか、芽衣の死をきっかけとして佳恵に寄りついたのかもしれない。思えば、芽衣の遺品を整理するために勧められたお焚き上げ供養のチラシが奇妙に風に飛ばされて、佳恵はアヤの人形にたどり着いている。

だが、やはりアヤは猫感が強いので、本来は善良な霊と考えたいところ。やっぱり被害者の子どもが悪魔化してしまうにしても、原因は親(佳恵と忠彦)にあるという結論の方がしっくりくるからだ。

『ドールハウス』続編はある?

気になるのは、『ドールハウス』に続編があるのかどうかということだ。ラストでは敏子と神田は真衣を連れてきたはずなのに、鈴木家の食卓に3人分の食器があったことから、アヤの帰還を悟ったはずだ。

敏子と神田が鈴木家に着いた時点で、既に神無島での一件から一週間以上が経過していることに触れられている。おそらく真衣が両親のもとに戻ることは難しいだろう。今後、真衣が大人になって登場する形で続編が作られることも考えられる。

アヤは人形なので、舞台や時代を変えたシリーズ作品が作りやすいという利点もある。一方で、アヤが貞子や高谷さなのようなホラークイーンになり得るかというと、もう少し積み重ねや深堀りが必要であるように思える。その中でアヤの善性にスポットライトが当たることにも期待したい。

また、アヤのルーツは『ドールハウス』で全容が明かされたため、同じようなルーツを持つ霊や人形が登場すると、フランチャイズとしては面白くなるだろう。その場合、願わくば子どもに危害が及ばない形で描かれてほしいが、人形という設定上、難しい注文なのかもしれない。『ドールハウス』の今後にも注目だ。

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【ネタバレ注意】映画『フロントライン』ラストの解説&考察はこちらから。

【ネタバレ注意】映画『見える子ちゃん』ラストの解説&考察はこちらから。

【ネタバレ注意】『あの子はだぁれ』ラストの解説&考察はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。 訳書に『デッドプール 30th Anniversary Book』『ホークアイ オフィシャルガイド』『スパイダーマン:スパイダーバース オフィシャルガイド』『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース オフィシャルガイド』(KADOKAWA)。正井編『大阪SFアンソロジー:OSAKA2045』の編集担当、編書に『野球SF傑作選 ベストナイン2024』(Kaguya Books)。
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