映画『ドクターX FINAL』大ヒット上映中
『劇場版ドクターX FINAL』が2024年12月6日(金) より全国の劇場で公開され、初週末の3日間で興行収入6億円を突破する大ヒットスタートを切っている。2012年に放送を開始した大人気医療ドラマシリーズの最新作にして完結編となる『ドクターX FINAL』には、大きな注目が集まっている。
歴史あるシリーズに幕を閉じることになる『劇場版ドクターX FINAL』。今回はその中でも第2期以降は皆勤賞のキャラクターである遠藤憲一演じる海老名敬に注目してみよう。海老名はどんな道を歩み、『FINAL』でどうなったのだろうか。以下の内容はネタバレを含むため、必ず劇場で本編を鑑賞してから読んでいただきたい。
以下の内容は、映画『劇場版ドクターX FINAL』の内容に関するネタバレを含みます。
Contents
映画『ドクターX FINAL』海老名敬はどうなった？
病院長になった海老名
『劇場版ドクターX FINAL』では、海老名敬はついに東帝大学病院の病院長の座についている。蛭間は会長となっており、完結編でついに海老名が院長になるというファンには嬉しい展開だった。しかし、海老名院長には理事会で不信任決議が採択され、新院長に神津比呂人が就任することに。海老名はあっさり降格させられ、付け髭を外している。
『ドクターX FINAL』の海老名は、50歳以上の医者を「ゴミ」と呼ぶ神津比呂人院長とぶつかる場面もあり、これまでにも増して“反体制的”だ。海老名は元々大門未知子と対立していたが、徐々に未知子を尊敬し、応援するようになっていった。その中で権力と闘おうとする場面もあり、加地秀樹と並んで未知子に大きく“変えられた”キャラクターの一人だ。
ちなみに『ドクターX FINAL』では、海老名が院長になったことで、加地が空いた総合外科部長のポストに就任している。その上で海老名が病院長を解任されたため、海老名は院長から一転して加地外科部長の下で働くヒラの教授となってしまったようだ。
終盤では海老名も加地もリストラの憂き目に遭うが、神津比呂人が爆発事故に巻き込まれたことで事態は急変。大門未知子が同意なく神原晶の心臓を比呂人に移植するという法律違反の医療行為を行おうとした時には、蛭間が止めさせようとしたのに対し、「ですが……」と未知子の気持ちを慮った。それでも、蛭間から命令を受けると、久しぶりに声を荒げて未知子を止めようとした。
比呂人は生き延びたが、東帝大学病院からは去るものと思われる。海老名は60歳を超えており、医者としては晩年を迎えているが、残りのキャリアを東帝大学病院で過ごすことになるのだろう。
海老名敬の波瀾万丈な医者人生
大門未知子に支えられたキャリア
一時的にとはいえ、東帝大学病院の病院長にまで上り詰めた海老名敬。その医者人生は波瀾万丈だった。前史としては、裏口入学でセントミカエル医科大学に入学し、その後に東帝大学に編入、医師免許を取得し、ドラマ第2期で未知子と出会った時には帝都医科大学附属病院の第二外科で外科部長をやっていた。
第2期の最終回には帝都医科大学附属病院の主任教授の座に、第3期では東西の派閥に分かれた国立高度医療センターで外科統一部長の座についたことも。共に未知子が成功させたオペを蛭間が海老名がやったことにした結果であり、ここまでは未知子のおかげで昇進が続いたキャリアだった。
『ドクターX スペシャル』(2016) では、昼間から国立高度医療センターの金沢分院に派遣されると院長代理となり、そのまま外科部長として金沢分院に残ることになった。同作では未知子のことを無邪気に応援する海老名の姿が描かれており、この頃からすっかり未知子の“ファン”のようになっている。
転落と『ドクターY』での復活
第4期ではゲスト的に第6話のみ登場し、金沢に帰されている。第5期では蛭間に代わって新院長に就任した志村まどかによって雇われ、東帝大学病院の総合外科副部長の座についた。スピンオフの『ドクターY』第3弾では総合外科部長になっていたが、『ドクターX』第6期では北海道摩周湖第39分院の院長に左遷されていた。蛭間によってヒラという条件で東帝大学病院に呼び戻されることになり、第6期はシーズンを通してヒラとして活動していた。
第6期では副院長の座が見えたが、未知子のオペに参加して蛭間から解雇を言い渡された。未知子のおかげで昇進してきた海老名だが、この時は昇進を捨てて未知子を助けたことになる。神原名医紹介所に所属しようともしたが、晶のマネジメント料を知ってその道を諦め、『ドクターY』第6弾ではホームレス状態にある人々などを対象にした横浜の青空診断所で一人院長を務めていた。
一方で、海老名は娘の進学のために多額の借金を抱えていたが、『ドクターY』第6弾で加地がそれを肩代わりする代わりにオペに協力。富豪の特患のオペを成功させて加地は大金を手にしたため、この借金はチャラになったようである。同作のラストでは海老名は加地よりも一足早く蛭間から東帝大学に戻るよう連絡を受け、第7期で東帝大学病院に復帰している。
娘の登場
コロナ禍が舞台になったドラマ第7期では、海老名は東帝大学病院の外科分院で総合外科部長の地位にあったが、院長代理の蜂須賀に喧嘩を売り、結果的に秋田能代第49分院に飛ばされてしまう。その後、東京に出張できた際に蜂須賀の失脚を目論む蛭間に協力して東帝大学病院に復帰。だが、最終話では新型ウイルスに感染した蜂須賀のオペに大門未知子、加地、原守、大間正子と共に挑んで救っている。
その結果として蜂須賀はサフィリスタン王国の感染研究所に務めることになり、『ドクターY』第7弾では海老名は総合外科部長の座についていた。同作では海老名の娘・彩がついに登場。富田望生が同役を演じた。
海老名の娘についてはシリーズでたびたび言及されており、海老名が倹約する最大の理由が娘を大学へ行かせるためだった。同作では無事に医学生になっていることが分かった他、西畑大吾演じる東村練に想いを寄せる様子が描かれた。東村練は『ドクターX FINAL』でも研修医として登場し、ヒラに戻った海老名と愉快な掛け合いを見せており、海老名にとっては娘が好きになった相手だという意識があったのかもしれない。
ハッピーエンドの医者人生
『ドクターX FINAL』では一時的に蛭間が会長となり、海老名が病院長に。東帝大学病院で夢の院長回診を率いる海老名の姿を見るのは感慨深かった。すぐに転落してしまったが、本人も「良い夢が見れた」と言っており、娘も無事に医者への道を歩んでいるので、海老名にとってはハッピーエンドだったと言えるのではないだろうか。
波瀾万丈な医者人生だったが、時には青空診療所で人々を助け、時には負傷して山に籠った大門未知子の捜索を買って出て、時に権力に抵抗して未知子を助けるなど、海老名敬は人間味あふれる良い医者だった。同時に、海老名をここまで人間味あふれる人物に育てたのは、フリーランスの外科医として、大学病院の常識を覆してきた大門未知子に他ならない。
またいつか、未知子に振り回される海老名の姿を見てみたい。未知子が神原名医紹介所を引き継ぎ、海老名がまた東帝大学病院の院長に返り咲くことができれば、また二人の愉快な掛け合いが見られるかもしれない。
映画『劇場版 ドクターX FINAL』は全国の劇場で公開中。
『劇場版ドクターX FINAL』オリジナル・サウンドトラックは発売中。
かどたひろしによるコミカライズ版『ドクターX』は幻冬舎から発売中。
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