『ヴィジョンクエスト』第3話&第4話はどうなった?
MCUドラマ『ヴィジョンクエスト』が2026年10月14日(水) よりディズニープラスでの独占配信をスタート。『ワンダヴィジョン』(2021)、『アガサ・オール・アロング』(2024) に続く三部作の完結編として注目を集めている。
今回は、同日配信された『ヴィジョンクエスト』の第3話と第4話をネタバレありで解説&考察していこう。以下の内容はネタバレを含むため、必ずディズニープラスで本編を視聴してから読んでいただきたい。
以下の内容は、ドラマ『ヴィジョンクエスト』第3話の内容に関するネタバレを含みます。
Contents
『ヴィジョンクエスト』第3話ネタバレ解説&考察
トニー・スターク、テン・リングス、デアデビル
第2話でパラディンに誘拐されたトーマスを救出、ジャーヴィスの犠牲によって逃げ延びたヴィジョン。『ヴィジョンクエスト』第3話「再起動」では、ピンチに陥った際に部屋を抜け出してきたウルトロンと三人で逃避行を演じている(ただしトーマスにはウルトロンの実体は見えない)。
ブッチャーバードと呼ばれる殺人犯がIT業界の人間への襲撃を続け、スタッダムでリチャード・ゲインズという二人目の被害者を出したと報じられている。第1話ではヴィジョンが読む新聞にテック界の巨人が殺害されたという見出しが踊っていた。
現場の床には翼らしき文様が残されていたといい、このニュースを見て焦る人物の元に、住宅のセキュリティシステムをハックしたブッチャーバードが現れる。第3話では、ヴィジョンたちの親子関係、ハンターとしてのパラディンという要素に、謎の事件を起こすブッチャーバードの正体、というミステリー要素が加わっている。
重傷を負ったヴィジョンは、直せるのは二人だけで、宇宙を救って死んだ者とバナー博士だと話す。前者はトニー・スタークのことだ。結局ヴィジョンは、車のバッテリーから取り出した硫酸で傷口を塞ぐという粗治療で回復。なんだかDIYでピンチを切り抜ける姿はトニー・スタークを想起させる。
パラディンの方も負傷しているが、「テン・リングスにアダマンチウムの礼品を?」と聞かれている。映画『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』(2025) で採取可能になったアダマンチウムだが、『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(2022) でシャーリンが引き継いだテン・リングスが闇の流通を仕切っているようだ。
ちなみにパラディンはテン・リングスに梨を贈るよう指示しているが、中国では梨の贈り物は「別れ」を意味する。アダマンチウムの銃弾でヴィジョンを仕留められなかったことに納得がいかなかったのだろう。
また、パラディンは「狼男に噛まれた」という過去を通して、スペシャルドラマ『ウェアウルフ・バイ・ナイト』(2022) のジャック・ラッセルを、「ヘルズ・キッチンの洗礼」として「警棒(ビリー・クラブ)で殴られた」という過去を通してデアデビルとやり合った過去を示唆する。絶妙な塩梅でユニバース要素を出している。
ちなみにパラディンはビング・バング・ブームというドローンを使っているのだが、ドラマ『ミズ・マーベル』(2022) などでダメージ・コントロール局が使っていたドローンにも似ている。ダメージ・コントロール局からのお下がりだろうか。
『12モンキーズ』とのつながり
トミーとの関係構築に戸惑っているヴィジョンは、ロボットの自分が親になれるとしたらワンダ・マキシモフの力だと説明する。ヴィジョンは父親としての自分の責任を否定しているようで、父親になることの葛藤を魔法とロボットを絡めて描く興味深い展開だ。
ヴィジョンとトミーがたどり着いたモーテルは、エマーソン・モーテル。ドラマ『12モンキーズ』にはエマーソン・ホテルというホテルが登場するのだが、実は『ヴィジョンクエスト』のショーランナーは『12モンキーズ』を手がけたテリー・マタラスで、パラディン役のトッド・スタシュウィックやイーディス役のエミリー・ハンプシャーは『12モンキーズ』にも出演している。
モーテルでは、プールのポスターを見たトミーにプールでの記憶がフラッシュバック。ワンダと同じように古いテレビ番組が好きだと語るトミーに、ヴィジョンは読んだ本を元に幻想を作り出したのだと説明するが、部屋を出ていってしまう。トミー自身の戸惑いや痛みに寄り添わない形でのコミュニケーションでは、どれだけシミュレーションを繰り返してもトミーは出ていってしまう。
ヴィジョンはウルトロンから、正直さを避けているのはヴィジョン自身では、と指摘される。親子3代の対話が描かれているようではあるのだが、一方で現在のヴィジョンを本物ではないと指摘するウルトロンは、ヴィジョンに寄り添えているのかという点は疑問ではある。
トミーの能力の真実
ヴィジョンの内部では、イーディスとフライデーがシステムの復旧に取り組んでいる。フライデーはジャーヴィスの後任を務めるのはこれで二度目だと話す。一度目はジャーヴィスがヴィジョンになった後で、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015) から『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019) に至るまで、フライデーはトニー・スタークを支え続けた。
フライデーは、ヒーローたちが戦っては倒れ、トニーが死んだ、100京以上の戦略的計算をしたけど救えなかったと明かす。話を聞いているイーディスは、『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2019) でトニーの遺品のサングラスに内蔵されていたAIで、その名は「Even Dead, I’m The Hero=死んでも私はヒーローだ」の略となっている。トニーの死と『エンドゲーム』後の世代であるイーディスは、フライデーの経験を新鮮味を持って耳を傾けている。
そしてフライデーは、ダミーとU以外のトニーが作ったAIにはモデルとなった人物がいると明かす。フライデーはアリソン・ホーガン、死を恐れないイーディスはイーディス・マークスがモデルだという。この二人の背景については、『ヴィジョンクエスト』第4話で明かされることになる。
一方のトミーは、手が自販機のウィンドウを通り抜けて負傷してしまう。ヴィジョンはトミーの手の包帯を留めてやり、ボクシングの話をして、ヴィジョン自身が恐れていることを「目的を把握できずに死んでしまうこと」と明かしたことで、ついに対話の道が開かれる。ヴィジョン自身が正直でいること、そしてトミーに寄り添うことが必要なことだったのだ。
トミーは、プールで溺れて復活した時、手が高速で動いていたことが怖かったと吐露。そして、トミーのフェージング(すり抜け)能力は、ヴィジョンの力であったことを指摘する。思えばヴィジョンも身体の分子密度を操作することで壁や敵をすり抜けることができた。
トミーはまだその力を制御できていないが、細かな振動を生み出せる力はヴィジョン由来のものだったのだ。トミーの超スピードが伯父のピエトロ由来のものではなく、父のヴィジョンにルーツを持つものだった、という展開は非常に巧い。
パラディンの過去とトミーの覚醒
パラディンはヴィジョンの居場所を突き止めたかに思われたが、突入したのは別の場所で、連続殺人犯のブッチャーバードに行き着く。ブッチャーバードはビリーのような力を使っているようにも見えるが、ヴィジョンと同じシンセゾイドのようだ。
ブッチャーバードは、パラディンの雇い主の正体を知りたがっており、パラディンの過去の記憶に侵入する。どうやらこのパラディンは、DV気味な本物の父から解放され、後継がいなかったパラディンに鍛えられた、養子のパラディンらしい。
ブッチャーバードはパラディンに、自分を「作り物」だと認めたくないという思いがあると指摘。一方パラディンは、血縁関係はないが父から教えを受けたと主張する。パラディンの側にも父子関係をめぐる葛藤があることが紹介されることになった。
再起動が必要になったヴィジョンはプールへ。トミーの能力による分子間の強力な摩擦が動力になり、ヴィジョンの再起動は実現すると説明する。トミーはトラウマであるプールで、父かもしれないヴィジョンの生死をかけた戦いに挑むことを要求される。
ヴィジョンは、改めてトミー・マキシモフの存在を見落としていたと、認める。トミーはワンダとヴィジョンの息子であり、ビリーの兄弟、幻想でも妄想でもなく、本物だと認めるのだ。ヴィジョンがAIは見ないはずの走馬灯を見る中、再起動を実行。トミーの高速振動の動力でヴィジョンの再起動に成功したのだった。
パラディンが依頼主から契約を打ち切られ、AIたちがジャーヴィスを弔う中、再起動のパワーを感知したブッチャーバードがヴィジョンの中に侵入。エンディングはハッキングされた状態のヴィジョンの精神世界が映し出されて、『ヴィジョンクエスト』第3話は幕を閉じている。
『ヴィジョンクエスト』第4話ネタバレ解説&考察
連続殺人の犠牲者たち
『ヴィジョンクエスト』第4話「マルウェア」では、ヴィジョンたちは侵入を許したシンセゾイドを追うことになる。第3話のラストで乗っ取られたヴィジョンは、セキュリティのメニューを開く「Control+Alt+Delete」コマンドなどを駆使して対処。このシンセゾイドの正体をめぐってAIたちは議論を重ねる。
ウルトロンはテック業界の大物を狙う連続殺人犯とシンセゾイドが同一人物だと指摘。ヴィジョンは相手から誰かへの執着を感じたとして、まずは殺人鬼を捕捉することを決める。
テレビではソコヴィアの戦いの追悼記念日の特集が報じられており、トミーはソコヴィアで難民を生んだウルトロンへの嫌悪感をあらわにする。この状況を乗り切るには「正直さ」が必要だとトミーは話すが、ヴィジョンはウルトロンが自分の中にいることを明かせない。ようやく信頼関係が芽生え始めた二人の間に、隠し事が生まれるのだ。
ヴィジョンとウルトロンは、殺人事件の詳細を追うためにインターポールに侵入。「私はロボットではありません」の認証システムにチャレンジするなどしてセキュリティを越えていく。二人がなりすました捜査官のパスワードは、飼い犬の名前をとったもので、その名前は「ジャバ・ザ・マット (Mutt=雑種犬、のろま)」となっている。もちろん「スター・ウォーズ」のジャバ・ザ・ハットをもじった小ネタだ。
二人は無事に情報を手にいれ、リチャード・ゲインズ、レベッカ・エドワーズに続く殺人の犠牲者が、サイモン・ムーアハウスという人物であったことが明らかになる。殺された3人はマークリッジ・バイオテック社の役員で、最初の安定した人工知能を作り出した先駆者5人組の一員だった。
最初の犠牲者は1リットルの血を抜かれており、二人目は指紋がレーザーで除去され、三人目は目を抉り取られている。つまり、犯人はテック界の巨人たちのDNA、指紋、網膜という生体キーになり得るものを奪っていたのである。
そして、リーダーのジョセフィン・キャリントン博士は2008年に死亡しており、生きているのは、ジョー(ジョセフィン)の死後にCEOになったカテリーナ・ウェルズのみ。次のターゲットがカテリーナであることが確定し、ヴィジョンはトーマスを連れてカテリーナが主催するガラの会場へと向かう。なお、このシーンではマークリッジ・バイオテックのAIシステムはスターク・インダストリーズへ売却されたことが明らかになっている。
ヴィジョンとトミーはリサと合流してガラに潜入。ヴィジョンとトミーはイタリア語で喧嘩をしているふりをしてリサが入場パスをスるのをヘルプする。ちなみにトミーは、イタリア語は里親から教わったと話しているが、演じるルーアリ・モリカはイタリア生まれである。ヴィジョン役のポール・ベタニーは、妻のジェニファー・コネリーが流暢なイタリア語を話せることで知られる。
一方のイーディスは、トニー・スタークが全てのアシスタントAIの土台としてカテリーナ・ウェルズのマトリクスを使っていたことを発見する。その上で、ジャーヴィスはスターク家の執事エドウィン・ジャーヴィス、フライデーはハワードの秘書アリソン・ホーガン、イーディスはハワードの衝突実験用パイロットだったイーディス・マークスもモデルとして使用されたという(なお、ウルトロンのベースはヒドラが開発している)。
イーディス・マークスの夫エドワード・マークスが墜落事故で死亡しており、想像を絶する痛みを抱えながら生き続けたことも明らかになる。困惑するイーディスだったが、ウルトロンは「君は君でいいんだ」と助言。良い奴すぎるウルトロンへの違和感は、この後的中することになる。
悲劇の運命を辿ったJIM
「人の再進化」と銘打たれたガラでは、カテリーナ・ウェルズがスピーチをしている。カテリーナを演じるのは映画『インデペンデンス・デイ』(1996) のマリリン役やドラマ『GALACTICA/ギャラクティカ』(2004) のローラ・ロズリン大統領役で知られるメアリー・マクドネルだ。
ガラの会場で紹介されるのは、第2話でヴィジョンの精神世界に飾られた絵画でも登場した最初のヒューマノイドの存在だ。「悲劇の運命を辿ったJIM(ジム)」「フィニアス・ホートン博士の成果」と紹介されている。
これらの要素から、ヴィジョンが「我々の先駆け」と呼んだこの存在は、原作コミックにおける初代ヒューマン・トーチであることが分かる。ヒューマン・トーチといえば、ファンタスティック・フォーのジョニー・ストームのことが広く知られているが、1939年の『Marvel Comics』第1号で登場したヒューマン・トーチことジム・ハモンドは、フィニアス・T・ホートンによって作られた人造人間だった。
映画『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』(2011) のスターク・エキスポのシーンでは、「フィニアス・ホートンによる人工人間(The Synthetic Man)」が展示されており、『ヴィジョンクエスト』第4話では、この要素が回収されている。カテリーナはこの初のAIロボを「JIMもしくはシンセティック・マン」と、スターク・エキスポで掲示されていた名前で呼ぶのだ。
カテリーナがロボット工学の曾祖父とされるフィニアス・ホートンのことを「現実世界のゼペットと呼びたい」と言うのは、ピノキオを作ったゼペットじいさんのことを指している。さらにヴィジョンは、JIMのことを「あらゆるコードの源流」「我々の元祖」としつつ、「奇跡的だが欠点もあった」と解説する。
曰く、JIMは火災事故を受けて停止になったが、誕生時から性能が不十分で、複雑な感情を処理できず、炎に飲み込まれたという。ヴィジョンは、JIMが「感じすぎて死んだ」としている。第2話でジャーヴィスと共に「感情に飲み込まれないように」という戒めを確認していたのは、この背景があったからだったようだ。
シンセゾイドの正体は…
一方で、ヴィジョンの強みとして、精神の複雑な領域を乗り切る不可思議な動力源の存在が指摘される。ヴィジョンはそれを、かつてはマインドストーンで、現在は現実に繋ぎ止めてくれる5体のAIの存在だと認識していたが、トミーは、その動力源は家族なのではないかと指摘する。
ヴィジョンがウルトロンを省いて4体と説明していたAIが本当は5体いることに気がついたトミーは、ヴィジョンが内なるウルトロンの存在を隠していたことを知る。正直であることが重要だとしていた二人の関係にヒビが入ったところで、ブッチャーバードが登場。カテリーナが狙われることになる。
だが、この時のカテリーナは、ソコヴィアでの事件に対する罪悪感はないとしていたテレビでの態度とは異なり、罪悪感は覚えると吐露する。それでも、自分の過ちを赦し、改善していくことが必要だと演説。ヴィジョンのことを「私たちの最善の姿」と表現している。
そして、ブッチャーバードの正体が5人組のリーダーだったジョセフィン・キャリントン博士をベースにしたシンセゾイドであったことが明らかになる。このシンセゾイドの名前は、クレジットではジョカスタ (Jocasta) と表記されている。
原作コミックのジョカスタは、1977年の『アベンジャーズ』162号でウルトロンが自身の伴侶として生み出したロボットで、2000年代にはトニー・スタークのアシスタントAIにもなっている。原作コミックではワスプことジャネット・ヴァン・ダインの人格がベースになっていたが、MCUでは設定が変更されたようだ。
なお、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』では、ジャーヴィスを失ったトニーが新しいアシスタントAIを選ぶ際に、データドライブの一つに「Jocasta」というラベルが貼られていた。この時はフライデーが新しいアシスタントAIに選ばれている。
『エイジ・オブ・ウルトロン』からの二つの言葉
カテリーナはジョカスタに対し、「あなたが望んだ世界を創ろうとしてる」と語りかける。するとジョカスタは「我らが平和を (Peace in Our Time)」と返し、ウルトロンもこれを復唱している。この言葉は、『エイジ・オブ・ウルトロン』でのウルトロンの初登場時にウルトロンが自らの「ミッション」として口にした言葉である。
ジョカスタの襲来に対し、ヴィジョンはホワイトヴィジョンのフォームで挑み、トーマスは高速移動能力を発揮してカテリーナを守る。だが、トミーを守りたいヴィジョンと、失うものがないジョーでは差がついてしまう。ウルトロンからはヴィジョンが息子を失うかもと恐れる父になっており、OSが感情に支配され機能不全になっていると指摘される。
そして、嫌な予感しかしないがヴィジョンはウルトロンに制御権を渡し、ウルトロンは文字通り“操舵輪”を握る。「もう僕を操る糸はない (I had strings, but now I’m free.)」というセリフは、『ピノキオ』からの引用であるとともに、『エイジ・オブ・ウルトロン』でウルトロンが初登場時にソーに破壊された際に残した言葉でもある。
ヴィジョンの制御権を得たウルトロンは、ジョカスタを殺さないとは約束したが、ジョカスタの目的を挫くためにカテリーナを盾にして、灰にして殺してしまう。ジョカスタはカテリーナの何らかの正体キーを求めていたためである。
ウルトロンが「これが終わりでないと願う」と告げると、ジョカスタは飛び去っていく。残されたウルトロンはトミーに「じいちゃんと呼べよ」と語りかけると、目を赤く光らせてトミーを連れ去る。燃え盛るJIMの絵が映し出されて、『ヴィジョンクエスト』第4話は幕を閉じている。
『ヴィジョンクエスト』第3話&第4話ネタバレ感想&考察
人間からの進化と、「私は私」
『ヴィジョンクエスト』第3話と第4話では、ヴィジョンとの対話を経てトミーの力が進歩を見せ、前回とは逆にトミーがヴィジョンを助ける立場になった。また、トミーの力がヴィジョン由来のものであることが明らかになっており、その力が単なる高速移動にとどまらない可能性も出てきた。
一方、パラディンは“依頼主”から契約を切られた一方で、養父である先代のパラディンに育てられたことも明らかになった。家族であること、あるいは受け継いだ役割というのは血によって決まるものではないという要素が示唆されている。
また、AIたちが実在した人間たちをモデルにした存在であることも明かされた。カテリーナはテレビで神が自らの姿に似せて人間を作ったように、自分たちもAIを人間に似せたと話していた。ヴィジョンは、人間の進化図に家系図を見たと言う。
神から人間、人間からAIへ——人間とAIという種同士が親子関係にあることに触れつつ、ウルトロンは「私は私」という信念を貫く。第2話ラストでウルトロンがヴィジョンに「この父にしてこの子あり」と告げたのとは異なるスタンスだ。他者との境界、線引き、そして繋がりという点も、『ヴィジョンクエスト』のテーマになっていくのだろう。
ジョカスタとウルトロンの繋がりは?
『ヴィジョンクエスト』第4話では、マーベル・コミックにおける重要な二人のロボットが登場した。一人目は初代ヒューマン・トーチことジム・ハモンドだ。「JIM」という表記になっており、まだ背景が語られたに過ぎないが、残りの4話で回想が描かれることに期待したい。
二人目は、原作コミックではアベンジャーズの一員にもなるジョカスタだ。MCUでは、そのモデルであるジョセフィン・キャリントン博士が「我らが平和を」という言葉を使っていたらしい、ということが明らかになった。
『エイジ・オブ・ウルトロン』では初登場時のウルトロンもこの言葉を使っており、まっすぐ考察すれば、ウルトロンのベースを作ったのはジョセフィン・キャリントン博士だと考えられる。ウルトロンはこれまで、そのベースはヒドラの基地でマインド・ストーンを使って行われていたAI開発データだとされていた。
トニーとブルースがそのAIを完成させてウルトロンは誕生したが、そもそもジョセフィン・キャリントン博士がヒドラに協力していたか、ヒドラのストラッカーが博士の研究を盗み出していたとすれば、ウルトロンが博士の「我らが平和を」というスローガンを引き継いでいたとしてもおかしくはない。つまり、MCU版のジョカスタは、ウルトロンの“親”のような存在かもしれないのだ。
気になるのは、ジョカスタによる三つの殺人事件のうち、二つの現場で羽の文様が残されていたとAIたちが話していた点だ。第3話冒頭のニュース映像では、模倣犯の可能性についても指摘されていた。犯人が複数人いる可能性もあるのだろうか。
そもそも、幹部たちを殺しながら生体キーを集めるジョカスタの目的はどこにあるのだろう。もし、生体キーでウルトロンの第2のボディーを解放しようとしているなら、世界に新たな危機が訪れることになりそう。そもそもジョカスタのボディーは誰が作ったのか、博士が死んだのは2008年になのになぜ今動き出したのか、という点も残された謎である。
それに、どうやらジョカスタはヴィジョンを捕えようとする“依頼人”のことも探しているようだった。こちらにはやはり、ビリーとアガサが絡んでいる可能性が残されている。第4話を経てかなり風呂敷が広げられた『ヴィジョンクエスト』。残り4話の後半戦も楽しみに観ていこう。
ドラマ『ヴィジョンクエスト』はディズニープラスで独占配信中。第5話&第6話は2026年10月28日(水)に配信される。
ヴィジョンのコンセプトアートも収録された『マーベル・スタジオ:ジ・アート・オブ・ライアン・メイナーディング』はKADOKAWAより発売中。
第1話&第2話の解説&考察はこちらから。
第2話に登場した絵画のJIMについての考察はこちらの記事で。
ウルトロン役のジェームズ・スペイダーが語った『ヴィジョンクエスト』でのウルトロンの変化についてはこちらから。
【ネタバレ注意】『アガサ・オール・アロング』最終回のネタバレ解説&考察はこちらから。
【ネタバレ注意】『パニッシャー:ワン・ラスト・キル』の解説&考察はこちらから。
【ネタバレ注意】『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン2最終回の解説&考察はこちらから。
【ネタバレ注意】『ワンダーマン』の解説&考察はこちらから。
