『ヴィジョンクエスト』ウルトロンはどう変わった? 「最も人間的」だが「さらに危険」演じる俳優が語る | VG+ (バゴプラ)

『ヴィジョンクエスト』ウルトロンはどう変わった? 「最も人間的」だが「さらに危険」演じる俳優が語る

©︎2026 MARVEL

『ヴィジョンクエスト』ウルトロンはどう変わった?

2026年10月14日(水) から配信を開始したMCUドラマ『ヴィジョンクエスト』で、ジェームズ・スペイダー演じるウルトロンが帰ってきた。本作の主人公になるのは、ドラマ『ワンダヴィジョン』(2021) に登場した通称ホワイト・ヴィジョン。精神世界の中でこれまでMCU作品に登場してきたAIたちと対話しながら、現実の事件に巻き込まれていく。

そんなヴィジョンの良き(?)相談相手となるのが、実写作品では映画『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015) 以来の登場となるウルトロンだ。かつては人類を脅かす存在だったが、『ヴィジョンクエスト』では時に的確な助言を与え、ヴィジョンの自己探求に関わっていく。

MCUでも屈指の大ヴィランの一人だったウルトロンは、どのように変わったのだろうか。演じたジェームズ・スペイダーは、その変化について語っている。

ウルトロンは以前より危険?

ドラマ『ヴィジョンクエスト』第1話では、ヴィジョンが『エイジ・オブ・ウルトロン』の際にウルトロンのバックアップを保存していたことが明かされた。米ウォルト・ディズニー・カンパニー公式サイトによると、ウルトロンはその後、芸術や文化、娯楽に触れ、人類が生み出したものへの理解を深めてきたという。

ジェームズ・スペイダーは、現在のウルトロンについて、「ある意味では、彼はさらに危険になっています。年齢を重ね、より成熟しているからです」と解説している。確かに、『エイジ・オブ・ウルトロン』当時のウルトロンは誕生して間もない、いわば赤ん坊だった。スペイダーはこう続けている。

彼は、人類が生み出したあらゆるものに触れ、そこから知識を吸収してきました。どんな情報源からでも、何でも手に入れられるんです。『エイジ・オブ・ウルトロン』では、それをできる限りの速さで行っていました。当時の彼は子どもでしたが、今は違います。それに、12年間も閉じ込められていたのです。

さらに、同記事は現在のウルトロンについて、人類の文化について人間よりも深く理解していると記している。

ウルトロンが「最も人間的」?

一方、米マーベル公式でスペイダーが強調しているのは、ウルトロンの“人間らしさ”だ。『ヴィジョンクエスト』では、豊かなひげを蓄えた人間のアバター姿も見せる。ヴィジョンの精神世界の屋根裏に閉じ込められ、人類を嫌悪しつつも、魅了されているようにも見える。

「ウルトロンは、おそらくこのAIたちの中で最も人間的な存在です。生活空間にも、それが表れています」とスペイダーは語る。「服装にもそれが表れています。感性や哲学、物事を見る視点にもです」。

『ヴィジョンクエスト』のウルトロンは、かつて矛盾に満ちた人類を滅ぼそうとしたことを認める。一方で、今では人間のように帽子を被り始めようかと検討し、人間の描いた絵から痛みや戸惑い、悲しみや怒りを読み取り、矛盾に満ちた人間はグロテスクだが、同時に美しいと評価する。

この変化の理由について、ウルトロンは「負けた時は相手を理解するのが一番だ」と話す。アニメ『ホワット・イフ…?』(2021-) では、『エイジ・オブ・ウルトロン』で勝利した世界線のウルトロンが描かれたが、そこではウルトロンは地球上の生命体を全て破壊すると、別のユニバースにも侵攻を始めた。やはり、ヴィジョンを含むアベンジャーズに敗れたことが、ウルトロンにとって転換点となったのだろう。

一方で、「ある意味では、彼はさらに危険になっています」というスペイダーの言葉も忘れてはいけない。人類の文化に惹かれながら、その人間たちを嫌悪するという、いわば人間らしい矛盾もウルトロンの一部になっている。これまでトニー・スタークらが抱えてきたような、人間であるが故のリスク(それこそウルトロンを作り出してしまうような)を、今のウルトロンは背負っているとも言える。

ウルトロンはヴィジョンの「父」?

そんなウルトロンと向き合うのが、自分の記憶や人間らしさを理解しようとするヴィジョンだ。『ヴィジョンクエスト』では、ヴィジョンと、息子の生まれ変わりかもしれない青年トーマス・シェパードの関係に加え、ウルトロンとヴィジョンの間にも父と子という構図が重ねられている。

ショーランナーのテリー・マタラスはマーベル公式で、ヴィジョンとトミーの物語を中心に据える一方で、ウルトロンをヴィジョンの父親として捉える発想にも可能性を感じたと説明。人間らしさを理解しようとするヴィジョンにとって、最も人間的でありながら危険でもあるウルトロンは、どんな父親的存在になるのか。

単に復活しただけではないMCU屈指の大ヴィランの変化が、『ヴィジョンクエスト』の「人間らしさ」と「親子」という二つのテーマをリードしていくことになりそうだ。

ドラマ『ヴィジョンクエスト』はディズニープラスで独占配信中。第3話&第4話は2026年10月21日(水)に配信される。

ディズニープラス

ヴィジョンのコンセプトアートも収録された『マーベル・スタジオ:ジ・アート・オブ・ライアン・メイナーディング』はKADOKAWAより発売中。

Source
Walt Disney Company / Marvel.com

初代ヒューマン・トーチ? 第2話に登場した絵の中の人物についての考察はこちらの記事で。

『ヴィジョンクエスト』第1話&第2話のネタバレ解説&考察はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。 訳書に『デッドプール 30th Anniversary Book』『ホークアイ オフィシャルガイド』『スパイダーマン:スパイダーバース オフィシャルガイド』『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース オフィシャルガイド』(KADOKAWA)。正井編『大阪SFアンソロジー:OSAKA2045』の編集担当、編書に『野球SF傑作選 ベストナイン2024』(Kaguya Books)。
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