『ジェン・ブイ』シーズン2第5話ネタバレ解説&考察 まさかのアノ人登場で急展開、S1第1話との繋がりも | VG+ (バゴプラ)

『ジェン・ブイ』シーズン2第5話ネタバレ解説&考察 まさかのアノ人登場で急展開、S1第1話との繋がりも

『ジェン・ブイ』シーズン2第5話はどうなった?

Amazonのプライムビデオで配信されているドラマ『ジェン・ブイ』は、ガース・エニスとダリック・ロバートソンの同名コミックを実写ドラマ化した『ザ・ボーイズ』(2019-) のスピンオフシリーズ。「腐敗したスーパーヒーロー」を描いた『ザ・ボーイズ』と世界観を共有し、若き能力者たちが通うゴドルキン大学を舞台にしたストーリーが展開されている。

今回は、『ジェン・ブイ』シーズン2の第5話についてネタバレありで解説&考察していこう。以下の内容はネタバレを含むため、必ず本編をプライムビデオで視聴してから読んでいただきたい。また、本作は16歳以上を対象とした作品で、過激な暴力描写と性描写を含むためご注意を。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『ジェン・ブイ』シーズン2第5話の内容に関するネタバレを含みます。

『ジェン・ブイ』シーズン2第5話ネタバレ解説

まさかのアノ人が登場

『ジェン・ブイ』シーズン2第5話「みんな大丈夫じゃない」の脚本を手がけるのはローレン・グリアー。シーズン1では第6話「ジュマンジ」の脚本を手掛けている。

『ジェン・ブイ』シーズン2第5話は、1ヶ月前を舞台にしたシーンから幕を開ける。サイファーはのどかな環境で、前回登場したカプセルの中の人物を世話してやっている。音声ガイドでは「火傷を負った男」と紹介されており、何らかの事故に巻き込まれた人物であることが示唆されている。

流れているモーツァルトのヴァイオリンソナタを「趣味が悪い」と言いながら登場したのは、なんと『ザ・ボーイズ』シーズン4でセブンに加わり、ホームランダーを支えたシスター・セージだった。

セージは一度はホームランダーから追放されながらも、ホームランダーを助けたことでホームランダーにとって重要な存在になった。『ザ・ボーイズ』シーズン4の最終話では、アメリカ政府の実権を握ったホームランダーに「第2章」があることも予告している。

モーツァルトを否定されたサイファーは「アインシュタインの趣味だ」と、芸術を擁護するのに敢えて科学者の名前を挙げて反論。だがやはりセージの方が一枚上手で、アインシュタインは黒人のためには戦ったが中国人を嫌ったレイシストだと指摘する。

ちなみにアインシュタインは実際に旅行記に中国人を侮蔑する内容を記していたが、それが1922年から1923年のことで、1940年代から公民権運動に参加している。時系列や変遷にまで議論が及ばないあたり、映画好きだが歴史への関心が薄いサイファーの特徴が見て取れる。

シスター・セージとサイファーは肉体関係があったようで、火傷の男の目の前で二人は情事に及ぶ。「世界一賢い」というスーパーパワーを持つセージ、やはりアカデミズムの世界にも一枚噛んでいたようだ。

三人の任務と、サムの帰宅

前回の試合でマリーが勝利してランキング1位になっていたが、サイファーに操られたジョーダンは取り乱していた。操られただけでなく、マリーが持つ脅威的な能力のポテンシャルにも気圧されているようだ。

サイファーはこの茶番を、マリーの才能を開花させるためだと主張し、同時に盗撮を行ったケイトをエルマイラ・リハビリセンターに送ったと明かす。「誰かを罰さないと弱いと思われる」とは、どこかの大統領を思わせる小心さだ。

そのケイトはエルマイラで屈辱的な身体検査を受け、さらに義手とウィッグを取られて収監されていた。あれだけのヴィランだったケイトだが、視聴者の共感と同情を生む展開が巧い。ちなみにケイトは前回同様、触れた相手を思い通りにはできないが、何らかの行動を取らせることには成功している。能力が完全に戻る日も近いのかもしれない。

前回登場しなかったサムは、実家のリオーダン家を訪れていた。シーズン2第3話ではサムはジョーダンに「家が恋しくなる」と相談しており、家に帰れない理由として、母が自分を怖がっているからと話していた。この時ジョーダンからは「怖くないよ」と言ってもらっており、このやり取りを経て実家を訪れることを決意したのだろう。だが、やはりサムの母はサムに怯えているような姿を見せている。

マリー、ジョーダン、エマはエルマイラに送られたケイトを助けることに。マリーが脱走してから警備が強化されており、そこでエマはサムの力を借りてケイトの脱獄を実現しようとする。ところが、サムは「やっぱりケイトは悪い人だった」と言いこの誘いに乗らず。実家の居心地がいいということもあるのだろう、家庭と友情はうまく噛み合わないものだ。

エマはブッシュマスターことアリーの兄グレッグと良い感じの雰囲気になりつつも、3人でエルマイラへ向かうことに。今の地位も生活も捨てて友達を助けに行くのだ。この前のシーンではマリーは自分の力を受け入れた上で、良いことに使いたいと話していた。若者が徐々にヒーローになっていく成長譚が、「ザ・ボーイズ」フランチャイズの作品としては意外だが、まっすぐな形で描かれている。

「世界を変える」?

サイファーはポラリティと面談。ポラリティにはステーキが出されているが、サイファーには「いつもの」として飲み物しか出されていない。第1話ではミキサーでジュースを作っているシーンもあったが、サイファーは固形物を摂取できないのだろうか。

ポラリティはサイファーから情報を聞き出そうとしていたが、ヴォート社の知人をあたっていたポラリティの動きを掴んでいた。サイファーの情報力には目を見張るものがあるが、それ以上に冷静に情報を開示して有利なポジションを取れるという点が最大の強みだと言える。

サイファーは、能力者が自分の能力をどう受け入れるかを研究してきたといい、その点を鍛えることで本来の能力を発揮できるようになるという。マリーについては、「世界を変える」とまで言い放っている。今のアメリカはホームランダーにとっての理想郷だと考えられるが、ここからさらに世界を変えるというのはどういう意味を持っているのだろうか。

そしてポラリティはついに息子のアンドレに何があったのかとサイファーに尋ねる。アンドレは、実験の結果、能力を引き出そうとしたが耐えることができず死んでしまったのだという。アンドレの死はサイファーの実験台にされた結果起きたというのだ。

怒りを見せるポラリティだったが、サイファーは「君は何と対峙しているかわかっていない」と、またも意味深なことを言う。常識的に考えればポラリティたちはヴォートと対峙しているわけだが、能力者も大事にしない、コンパウンドVも流れていないサイファーには別のバックがついているように思えてならない。

かといってサイファーは、自分の手にナイフを刺して流血しており、普通に血は流れる様子。不死身ではないようだ。ちなみにこのシーンの最後にサイファーは「格闘技団体」とZoomすると言っているが、英語では総合格闘技団体UFCのCEOであるデイナ(ダナ)・ホワイトの名前を出している。

ヴォート社のCEO

サムは実家に残っている思い出の品を漁っている。シーズン1でサムは自殺したことにされ、人間であるインディラ前学部長によって、ゴドルキン大学の地下の「森」で人体実験を受けていた。サムの父はサムが生きていると分かった後に会おうとしていたことを明かすが、サムは母が電話をかけている姿を見つけて激昂。父を突き飛ばしてまたも家族との亀裂が生まれてしまったのだった。母はピザを頼もうとしていたといい、母が自分を恐れているというサムの思い込みが一方的な疑念を生んだのかもしれない。

マリー、ジョーダン、エマはエルマイラに忍び込もうとするが、この計画は読まれており、三人は再びエルマイラに収監されてしまう。それでも、ケイトはみんなが自分を助けに来てくれたと知ることができた。

監視カメラを見るサイファーの前に登場した「ヴォートのCEO」とはシスター・セージのこと。英語で「デトロイト」と書かれたTシャツを着ているが、デトロイトはセージの出身地だ。

サイファーはセージがCEOの職を受け入れたことに驚いたと話している。『ジェン・ブイ』シーズン2第5話の冒頭では、1ヶ月前にサイファーとセージは会っているので、その後、この1ヶ月の間にセージはCEOに復帰したと考えられる。

『ザ・ボーイズ』シーズン4ではセージは第3話の時点でCEOになっていたが、その後ホームランダーがセージを解雇し、アシュリーがCEOに戻っていた。セージはその後、シーズン4最終回でホームランダーを助けたが、セージはCEO職について「今の状態のアシュリーじゃ務まらない」と言っており、またセージがCEOの座に戻ったのである。アシュリー→セージ→アシュリー→セージという直近の歴代CEOの顔ぶれを見ると、その混乱ぶりが分かる。

サイファーはマリーをエルマイラに入れて実験をしようとしていたようで、これに成功すればホームランダーもマリーの強さに気付くと期待している。それは果たして、武器としてなのか、それとも抑止力としてなのか……。

一方のセージは、ホームランダーのことは気にしなくていい、「私たち」の望むものが手に入ると、この計画がホームランダーと離れたところでの単独行動であることを示唆している。後半戦に突入したシーズン2の第5話、セージの登場で物語が大きく動いている。

自分と向き合う若者たち

アンドレの写真を見ていたポラリティがひとり倒れてしまった一方で、サムには母は寄り添い、サムには妄想や幻覚の症状があったリックというおじがいたことを明かす。サムが妄想状態に陥ってしまい、自身をコントロールできなくなるという症状は遺伝なのだという。

Vのせいでも親のせいでもなく、生まれつきそうだったという現実を突きつけられたサムは、それでも責めたければ自分のDNAを責めてと言う母を、母のせいではないと庇う。サムは誰かのせいで病気になったわけではなく、誰にも治すことはできない。だから、誰かを責めるのではなく、自分で自分に責任を持って生き方を変えるしかない。障がいを抱えている人に対して少々厳しいようにも感じるが、今のサムには前を向くための言葉が必要だったようだ。

一方、エマも“摂食障がい”とされる”能力”と獄中で向き合っていた。コントロールさえできればかなり強い縮小/巨大化能力だが、コントロールできない限りは重荷でしかない。それでも、「助けなんか来ない」と自力でなんとかしようとするエマ。サムもそうだが、自分と向き合い苦難を乗り越えようとするストイックな若者たちの姿が描かれるのは、学生を主人公にした『ジェン・ブイ』ならではと言える。

思い起こされるシーズン1第1話

各々が脱獄しようと努力する中、現れたサイファーは、マリーに武器になって欲しいわけではなく、マリーが「救い」なのだと話す。「全員の人生がより良くなる」とも話していることからも、本当に兵器としてマリーを見ているわけではなさそうだ。

ここで意外だったのは、サイファーがジョーダンの挑発に乗って情報開示をしてしまう展開だ。サイファーは、ジョーダンとマリーを対戦させたのはジョーダンに侵入しやすかったからだと明かす。裏を返せば、サイファーの能力には“侵入”という概念があり、個々人のセキュリティーのレベルによって「侵入しやすい/しにくい」という難易度が異なるということである。

一方のジョーダンも侵入された際に、自分の身体に入ることはサイファーにとっても苦痛だと感じられたと明かす。謎に包まれているが故に脅威の力に思えていたが、ジョーダンの能力は意外と繊細なものなのかもしれない。

マリーは、ドアが歪んでいるアンドレの最期の場所を通り、捕えられていた妹のアナべスと再会を果たす。サイファーはアナベスを人質にマリーに言うことを聞かせようとしており、マリーはついに「能力の最大化」というサイファーの要望に応えることを決意したのだった。

そんな中、ケイトの不完全な能力によって、看守が房の鍵を目に突き刺すグロ注意なシーンもありつつ、一同は房を出ることに成功。しかし、警報も鳴らず守衛もいないことから、一同はこれがサイファーのトライアルであることを察する。

ジョーダンが字幕で「試してる」と言うシーンは、英語と吹き替えでは「アンドレみたいに」と付け加えている。つまりアンドレは同じような状況で導かれるようにして脱獄を試みた結果、能力を開花させることができず死んでしまったということなのだろう。

マリーたちが脱獄する前にアナベスの房へ行くと、そこには首を切られ、流血して倒れているアナベスの姿があった。マリーが全集中の呼吸を見せ、傷が閉じてアナベスは息を吹き返す。サイファーが求めていたのはこの力だったのだろうか。ちなみにマリーはシーズン1の第1話でクラブで首から出血した女性を止血するために能力を使った過去がある。

エンディングで流れる曲はダニエル・ポンダーの「Roll the Credits」(2022)。「迷子になったけど立ち止まったわけじゃない」「私は愛を感じられた」「今も感じられる」と歌われている。

『ジェン・ブイ』シーズン2第5話ネタバレ考察&感想

サイファーの真の狙いは…?

ドラマ『ジェン・ブイ』シーズン2第5話では、マリーたちがキャンパスを飛び出す展開に。妹のアナベスの死に直面したマリーが能力を開花させた。マリーの能力を開花させるために、シスター・セージはサイファーに「プレゼントを用意した」と言っていたが、アナベスのことだったのだろうか。

日本語字幕と吹き替えがない次回予告では、マリーが「奴は私の妹を殺した。私が蘇生できるかを見るために」と言い、アナベスは「彼が近くまで来てる」と発言している。この「彼」がまさかあいつではないだろう(ちょっと早すぎる)が、マリーが能力を開花させた後のサイファー&セージの計画も気になるところだ。

シーズン2第5話では、サイファーがマリーを「救い」「世界を変える」と表現していたことも印象的だった。マリーを兵器にしたいわけではなく、血を操り人を蘇生する能力者として期待しているのだろうか。

だが、そうだとすれば始めからそう話してマリーに救済者としての役割を担ってもらえば良い話だ。実際に、シーズン1第1話の時点でマリーは能力を使い、出血して死にゆく女性を止血している。この時、マリーは自分が殺してしまった母のことを思い出して止血に成功した。

「世界を変える」「全員の人生がより良くなる」という発言から考えても、サイファーとセージの狙いはより大きな計画にあるのではないだろうか。例えば、大人を能力者にする方法がすでに開発されていて、マリーの血を操る能力を使えば手っ取り早く人類の能力者化を進めることができるとか……。

逆にサイファーは個人的に、「父」と言っていた「火傷の男」を治療する術をマリーに期待しているとか……。とりあえずセージが絡んでいるということは、ホームランダーのような最強のヒーローをもう一人作るという類の計画ではないのだろう。次々と『ザ・ボーイズ』キャラがサプライズ登場し、佳境に入ってきた『ジェン・ブイ』シーズン2。残すところ3話で『ザ・ボーイズ』のファイナルシーズンへどう繋がっていくのだろうか。

サムとグレッグはエマたちのもとへ駆けつけるのか、寿命が迫っているであろうポラリティはアンドレの仇を討つことができるのか。『ジェン・ブイ』シーズン2から、まだまだ目が離せない。

ドラマ『ジェン・ブイ』シーズン2はAmazonプライムビデオで独占配信中。

『ザ・ボーイズ』原作コミックの日本語版は、G-NOVELSから発売中。

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『ジェン・ブイ』のベースになったチャプター〈We Gotta Go Now〉(23話〜30話)は日本語版の第2巻に収録されている。

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『ジェン・ブイ』シーズン2第6話のネタバレ解説&考察はこちらから。

シーズン2第4話のネタバレ解説&考察はこちらから。

シーズン2第3話のネタバレ解説&考察はこちらから。

シーズン2第2話のネタバレ解説&考察はこちらから。

シーズン2第1話のネタバレ解説&考察はこちらから。

 

『ジェン・ブイ』シーズン1最終回のネタバレ解説&考察はこちらから。

キャストが登壇した2025年のサンディエゴ・コミコンの『ジェン・ブイ』パネルの模様はこちらから。

『ザ・ボーイズ』シーズン4最終回のネタバレ解説&考察はこちらから。

『ザ・ボーイズ』シーズン4最終回で残された11の謎についてはこちらの記事で。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。 訳書に『デッドプール 30th Anniversary Book』『ホークアイ オフィシャルガイド』『スパイダーマン:スパイダーバース オフィシャルガイド』『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース オフィシャルガイド』(KADOKAWA)。正井編『大阪SFアンソロジー:OSAKA2045』の編集担当、編書に『野球SF傑作選 ベストナイン2024』(Kaguya Books)。
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