ギレルモ・デル・トロ監督から『Ultraman: Rising』へのアドバイス
50年以上続く「ウルトラマン」シリーズのプロローグ
2024年6月14日(金)よりNetflixにて配信が開始される『Ultraman: Rising』。1993年に放送された『ウルトラマンパワード』から31年ぶりのアメリカ制作の「ウルトラマン」シリーズになる『Ultraman: Rising』だが、アカデミー賞監督のギレルモ・デル・トロがアドバイスをしていたことを米The Academyが報じた。
ギレルモ・デル・トロ監督と言えば、「ウルトラマン」シリーズの熱心なファンで知られる人物だ。そのギレルモ・デル・トロ監督の送ったアドバイスは31年ぶりのアメリカ制作の「ウルトラマン」シリーズを描く上で重要なことだった。それはアメリカの観客が50年以上続く「ウルトラマン」シリーズを知らないことを前提として、「ウルトラマン」シリーズとは何かを表現するプロローグで映画を始めるようにとのことだった。
実は、「ウルトラマン」シリーズの大ファンであるギレルモ・デル・トロ監督が、「ウルトラマン」シリーズの世界に入り込む方法としてプロローグを提案したのです。ギレルモ・デル・トロ監督の映画で見事な成功を収めている方法です。私はそのアイデアが気に入りました。素晴らしいアドバイスでしたよ。
ウルトラマンがウルトラマンに与えた影響
2024年7月6日(土)に放送が開始される『ウルトラマンアーク』では、英語吹替版が配信されることが決定しているが、「ウルトラマン」シリーズの英語圏での放送はあまり多くなかった。そのため、英語圏の「ウルトラマン」シリーズのファンが少ないのではないかとシャノン・ティンドル共同監督も理解していることがインタビューで明らかになっている。
それでも、英語圏には「ウルトラマン」シリーズのファンがいないわけではない。シャノン・ティンドル共同監督は『Ultraman: Rising』を「ウルトラマン」シリーズの長い歴史を知るファンと、「ウルトラマン」シリーズを知らない新規のファンの架け橋となる作品にしたいのだと考察することができる。
興味深いことにシャノン・ティンドル共同監督は、『Ultraman: Rising』には大友克洋の『AKIRA』(1982-1990)や庵野秀明監督の『新世紀エヴァンゲリオン』(1995-1996)からの影響があると語っている。それ以外にも松本零士作品や特撮番組『クレクレタコラ』(1973-1974)からも影響を受けたとのことだ。
数ある作品の中でも『新世紀エヴァンゲリオン』に影響を受けたという点が興味深い。『新世紀エヴァンゲリオン』は庵野秀明監督が「ウルトラマン」シリーズからインスパイアされて制作された作品であり、「ウルトラマン」シリーズに影響を与えた作品が回りまわって『Ultraman: Rising』に影響を与えたのだ。
アメリカにウルトラマンを広める作品に
シャノン・ティンドル共同監督は「私がウルトラマンに出会ったのは、5歳か6歳の頃でした。ケンタッキーで父と一緒に見ていました」と語っている。そして、はじめて「ウルトラマン」シリーズを観た衝撃から23年かけて映像化にこぎつけたのが『Ultraman: Rising』だったということだ。その過程で一つの壁にぶつかったと以下のように続けて語った。
赤と銀の巨大なスーパーヒーローのイメージが頭にこびりついていました。忘れられなかったのです。そして1997年にロサンゼルスに引っ越して、このキャラクターと再会しました。ウルトラマンは本当にすごいキャラクターで、世界のある地域では大人気なのですが、ここアメリカではほとんどの人が知らないのです。
米ComicBook.comのインタビューで、シャノン・ティンドル共同監督は中国での「ウルトラマン」シリーズの人気に圧倒された経験を語っている。そして、その人気をアメリカ国内に広めるためにも、シャノン・ティンドル共同監督やジョン・アオシマ共同監督、その他の『Ultraman: Rising』の制作チームメンバーは数多くのイースター・エッグや情熱を作品に注いだとのことだ。この作品によってアメリカで「ウルトラマン」シリーズがどのように受け入れられるのかにも注目だ。
『Ultraman: Rising』は2024年6月14日(金)よりNetflixにて独占配信開始。
Source
The Academy/ComicBook.com
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