『呪術廻戦』第3期9話/56話はどうなった?
アニメ『呪術廻戦』(2020-) は芥見下々の人気漫画を原作とした世界的人気作品で、2026年1月より待望の第3期の放送および配信がスタートした。原作は既に完結しているが、岩崎優次がその後を描くスピンオフ『呪術廻戦≡(モジュロ)』がスタートするなど、まだまだ展開を見せている。
今回は、『呪術廻戦』第3期、死滅回游編の第9話(通算第56話)をネタバレありで解説しつつ感想を記していこう。なお、以下の内容はアニメ『呪術廻戦』第3期9話/通算56話のネタバレを含むが、アニメでまだ扱われていない範囲の原作漫画のネタバレは行わない。アニメの方を視聴してから読んでいただきたい。
以下の内容は、≈の内容に関するネタバレを含みます。
アニメ『呪術廻戦』第3期9話/通算56話 ネタバレ感想&解説
日車寛見の領域展開
アニメ『呪術廻戦』第3期9話/通算56話では、領域展開を発動した日車寛見と虎杖悠仁の戦いが描かれる。日車の術式は刑事裁判の法廷を再現し、式神のジャッジマンが判決を下すというもので、日本では明治政府が近代の刑事裁判を導入したことを考えると、割と新しめの術式だと言える。
一方で、虎杖は天元の言葉を思い出し、日車の領域展開が現代の「必中必殺」から「必殺」を取り除いた、昔のシンプルな術式であると考察している。一方で多くの縛りを用いた高度な術式でもあるため、使い手が減少していったということのようだ。
日車の領域展開による裁判所は、相撲の土俵のように、“ルールの強制”のみが実行される。ゆえに「殺」を試みる際には双方ともに領域の外で挑まなければならない。
虎杖は最初の裁判で、未成年であるにもかかわらずパチンコ店に入店したという疑いをかけられる。ジャッジマンは領域内にいる者の全ての事柄を知っているが、判決は二人のやり取りをもとに下される。虎杖は「トイレを借りただけ」と弁明するものの、「証拠」には換金所に立つ虎杖が立っており、虎杖は罪を受け入れる。
しかし、日車が助言したように、建前上はパチンコ店と換金所(問屋)は別施設である。利用者はホールで得た貸玉を景品と交換し、その景品を問屋に現金で買い取ってもらうことで、賭博罪に該当せずに現金を得ることができる。三店方式というやつだ。
虎杖はその“建前”や“理屈”を持ち出さず、素直に「パチンコで勝った」事実を受け入れてしまったため、ジャッジマンから有罪を言い渡されることになる。また、日車も助言したように、今回は特定の店舗への入店に対する審理であり、虎杖は他のパチンコ店に行ってその換金所に行ったという弁明もできた。どちらも真っ直ぐすぎる虎杖には難しかったようだ……。
虎杖 vs 日車
アニメ『呪術廻戦』第3期9話/通算56話の後半の冒頭では、日車が法曹として「天才」と呼ばれていた過去が語られる。さらに日車はわずか12日間で自らの術式を解明し、結界術の基礎を習得、術式開花から12日で1級術師レベルにまで成長していたのである。
裁判が終わり戦いが始まるパートは、前回に続き照明の使い方が効果的だ。日車による、『ONE PIECE』のサンジのような華麗な足技や、ガベル(法廷小槌)を高速で銃のように撃ち込んでいくというアニメならではのアクションも。
虎杖はペナルティとして術式を“剥奪”されるはずだったが、虎杖はまだ術式を持っていないため、一時的な“呪力の剥奪”が適用される。全く呪力を持たないという、伏黒甚爾や禪院真希と同じ状態である。
なお、アニメ第1期では、まだ術式を持っていない虎杖について、五条悟は「そのうち君の体には宿儺の術式が刻まれる」と予想している。だが、アニメ『呪術廻戦』第3期8話/55話の時点でも虎杖はまだ術式を会得していないようだ。
日車は、呪術高専で3年をかけて教員や先輩から学んでいく呪術師たちと比べると、技の習得スピードも、独学でやってのけたことも、驚異的と言わざるを得ない。一方の虎杖も、呪力なしでその天才と対等に渡り合っていく。
弱さと醜さ
一時は追い詰められた虎杖だったが、刑事裁判をモデルにした日車の術式では、「二審」を要求できることに気が付く。かつて日車を絶望させ、呪術師として人を裁くことを決めさせた二審だ。
ジャッジマンは二審の要求を退けることができない。ただ、日車の術式では二度目の審理は別件が対象になる。その嫌疑は、2018年10月31日の渋谷、つまり渋谷事変で大量殺人を犯したというものだった。
アニメ『呪術廻戦』第2期17話/41話で描かれた魔虚羅との戦いを含む、宿儺による虐殺。虎杖の意識がない状態で行われた行為だが、虎杖はジャッジマンに「俺が殺した」と、あっさり罪を認めたのだった。
虎杖には有罪、没収、そして死刑(デス・ペナルティ)が言い渡される。死刑が言い渡されると、日車には「処刑人の剣」が与えられる。これは斬られた者が必ず死ぬというチート武器だ。一方で、戦いは「必中」が解除された領域外で行われるので、やはり日車の術式では「必中」と「必殺」が切り離されていることが分かる。
虎杖にとっては厳しい状況だが、ここで日車は自分が人の弱さに触れていく中で、それを醜いと感じる様になっていたこと、かつてはその“穢れ”こそを尊ぶべきだと思っていたことことを思い出す。
虎杖がどんなに高尚な理想を抱いたとしても、「その先はただの闇」と言い放つ日車は、まるであの時のナナミンや夏油のようだ。終わることのない、勝利のないマラソン。日車はそれに疲れ切ってしまったのだろう。
日車の心は…
一方、先ほどの虎杖の裁判の証拠品は宿儺に関する情報であり、虎杖は宿儺に乗っ取られていたと反論すれば無罪を勝ち取ることができていた。にもかかわらず、自分が弱いせいだと、自分の弱さを受け入れた虎杖は反論しなかった。
そんな虎杖と向き合った日車は、弱さを尊ぶ初心を思い出し、処刑人の剣を消して虎杖にわざと殴られると、虎杖に100ポイントを使わせることにしたのだった。つまり、自身の術式では被疑者を追い詰める検事、裁判官、死刑執行人になっていた日車は、最後に弁護人という立場に戻ったのだ。
またも真っ直ぐな虎杖の“人たらし”が発動した格好だが、同時に日車の領域展開・誅伏賜死の弱点も垣間見た気がした。ジャッジマンは全てを知っているが、提出される証拠は必ずしも被疑者にとって確定的に不利なものではなく、逃げ道が用意されていると考えることもできる。その設定も、弁護士だった日車の心理が反映されたものなのかもしれない。
最後に日車は人を殺めたことがあるかと虎杖に尋ね、虎杖がそれを認めると、日車は「最悪な気分だっただろ?」と問い、アニメ『呪術廻戦』第3期9話/56話は幕を閉じる。日車の心には善性と人間らしさが残っていることが示唆されている。
日車のその後
エンディングの後、日車は102ポイント中の100ポイントを使ってプレイヤー間のポイント移動を可能にするルールを追加。これで仲間さえいれば、19日以内に人を殺していなくても術式の剥奪≒死を逃れることができる。
日車は、残った2ポイントは大江の裁判で裁判官と検事を殺して得たポイントだったと言う。非術師を殺すと1ポイント、というのが死滅回游のルールだ。日車は虎杖と行動することを誘われるが、虎杖といるとさらに自分を嫌いになりそうだとして去っていく。一方で虎杖に「またな」という声はかけている。
これで虎杖たちは、①ポイント移動を可能にする、②離脱を可能にする、という二つのルールの内、一つ目をクリア。問題は、罠に嵌められた恵の方だが、果たして。
アニメ『呪術廻戦』第3期は2026年1月8日(木) より、毎週木曜深夜00:26~、MBS/TBS 系列全国28局にて放送。配信先は公式サイトで。
『呪術廻戦』第3期9話の続きは原作漫画の19巻途中から描かれる。
『呪術廻戦』公式ファンブックは発売中。
岩崎優次が『呪術廻戦』のその後を描いたスピンオフ『呪術廻戦≡(モジュロ)』はコミック第1巻と第2巻が発売中。
漫画『呪術廻戦』最終巻の第30巻は発売中。
アニメ『呪術廻戦』「渋谷事変」編のBlu-rayは発売中。
アニメ『呪術廻戦』 懐玉・玉折/渋谷事変 公式ガイドブックは発売中。
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