ドラマ『ヴィジョンクエスト』配信開始
MCUドラマ『ヴィジョンクエスト』が2026年10月14日(水) よりディズニープラスでの独占配信を開始。『ワンダヴィジョン』(2021)、『アガサ・オール・アロング』(2024) に続く三部作の最終章として注目を集めている。
三部作の円環を閉じる作品として期待されている一方で、第2話では、MCUの過去作に繋がり得る要素も登場した。今回はその点をネタバレありで解説&考察していこう。
以下の内容は、ドラマ『ヴィジョンクエスト』第2話の内容に関するネタバレを含みます。
Contents
『ヴィジョンクエスト』第2話、燃え盛る人影をネタバレ考察
炎に包まれる「我々の先駆け」
人工知能のジャーヴィスをベースに、ウルトロンが作らせたボディに意識を宿して誕生したヴィジョン。現在のヴィジョンはオリジナルのヴィジョンの遺体に新たに意識が与えられた存在で、ワンダと愛を育んだ過去のヴィジョンのような感情を持てずにいる。
『ヴィジョンクエスト』第2話では、ヴィジョンが誘拐されたトーマスを助けに行く前に、注目のシーンが描かれる。ヴィジョンは“兄”のような存在であるジャーヴィスから、今回は感情を抑えて臨むよう助言を受けるのだが、この場面で一枚の絵が映し出される。
居間のような場所にかけられた大きな絵画に描かれていたのは、両脇に家が立ち並ぶ通りの真ん中で燃え盛る人影。ジャーヴィスは、感情は美しいが、同時に軽率で衝動的で自滅的で、彼はそれをよく理解していたとして、その絵の方に目を向ける。
ヴィジョンはそれを受けて、「我々の先駆け、戒めであり続けている」と同意。その人影は「不安定で破壊的になるな」と、「感情に飲み込まれた末を思い知らせる存在」だという。ジャーヴィスは「感情は命取り」と念押しして、ヴィジョンを送り出している。
正体は初代ヒューマン・トーチ?
この絵の人物の正体は、第2話では明かされなかった。オリジナルのヴィジョンにも、このように炎に包まれたシーンはなかった。一方でヴィジョンが「我々の先駆け」と呼んでいることから、この人影はヴィジョンのような人工知能を搭載した存在だったのだろう。
人造人間で身体を炎に包んでいると言えば、真っ先に思い浮かべるのは、マーベルの原作コミックに登場するヒューマン・トーチことジム・ハモンドだ。このヒューマン・トーチは、ファンタスティック・フォーでお馴染みのヒューマン・トーチことジョニー・ストームとは異なるオリジンを持つキャラクターだ。1939年に刊行された『Marvel Comics』第1号でデビューした、マーベル最初期のスーパーヒーローである。
原作コミックの設定では、ジム・ハモンドは科学者のフィニアス・T・ホートンによって作られた人造人間だ。空気に触れると全身が炎に包まれてしまうため、当初は欠陥を抱えた危険な発明品として扱われ、世間から恐れられていたが、自らの意思で炎を制御し、人間を守るヒーローになる道を選んだ。
『ヴィジョンクエスト』でヴィジョンが絵の中の人物を「我々の先駆け」と呼んだのは、ジム・ハモンドがマーベル世界における最初期の人型の人工生命だからだろうか。そして、実はこのヒューマン・トーチことジム・ハモンドに繋がる存在は、MCU世界ですでに紹介されている。
『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』に登場していた?
映画『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』(2011) の序盤で、スティーブ・ロジャースとバッキー・バーンズは1943年に開催された未来技術の博覧会、スターク・エキスポを訪れる。ハワード・スタークが空飛ぶ自動車を披露した会場だ。
その展示物の中に、赤い服を着た人造人間が透明なケースに収められている。展示には「フィニアス・ホートンによる人工人間(The Synthetic Man)」と書かれており、同じくフィニアス・ホートンが製造したコミック版の初代ヒューマン・トーチへのオマージュだと解釈されていた。
『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』では、展示物が実際に動いたのか、炎を操る能力を持っていたのかまでは明かされなかった。その後、この要素は単なるコミックファン向けの小ネタとして受け取られ、15年が経過していた。
『ヴィジョンクエスト』第2話で燃え盛る人物が「我々の先駆け」として取り上げられたことで、1943年のスターク・エキスポで展示されていた人工人間が、MCUにおける最初期の人工生命として再登場する可能性が生まれた。だとすれば、ヴィジョンが生まれる何十年も前から、人造人間は存在していたことになる。
ヴィジョンはヒューマン・トーチとどう向き合う?
初代ヒューマン・トーチとヴィジョンの関係
原作コミックでは、ジム・ハモンドとヴィジョンの身体には直接的な関係がある。コミック版のヴィジョンは、ウルトロンが生み出した人造人間だが、その身体には、活動を停止していた初代ヒューマン・トーチの身体が利用されたと説明されてきた。後に複製された身体だったと設定が整理されたものの、ヴィジョンの肉体的な起源をたどるとジム・ハモンドへ行き着く。
一方、MCU版のヴィジョンは、ウルトロンが再生クレードルを使って作ったヴィブラニウム製の肉体に、マインド・ストーンとジャーヴィスが組み合わされて誕生した。初代ヒューマン・トーチの身体を利用したという設定は採用されていない。
そのため、『ヴィジョンクエスト』第2話に登場した絵の人物がジム・ハモンドであったとしても、ヴィジョンの身体が実はハモンドから作られていたということにはならないだろう。フィニアス・ホートンの研究が、後のスターク・インダストリーズやウルトロンの技術へ影響を与えた可能性は残されているが、第2話の段階では明らかになっていない。
ちなみに『ヴィジョンクエスト』第1話では、ヴィジョンが読んでいる新聞に「テック界の巨人、殺害される」という見出しが確認できる。フィニアス・ホートンは年齢的にもう生きていないと思われるが、その子孫やホートンの後継者がこの事件に絡んでいる可能性もあるだろう。
炎と感情
『ヴィジョンクエスト』第2話のヴィジョンは、絵の中の人物を、自分たちを理解するための「先例」として置いていた。ヴィジョンはその人物を、感情によって「不安定」で「破壊的」になり、「感情に飲み込まれた」存在として捉えている。
第2話の時点で、ヴィジョンにとって感情というのは、自分をワンダや家族と結び付けるものではなく、合理的な判断を狂わせる危険な“炎”なのかもしれない。あの絵を警告として飾っていることからも、感情を取り戻すことへの恐怖が感じ取れる。
だが、第2話でヴィジョンは、トーマスを息子だと認められなくても、見捨てることができなかった。ヴィジョンは合理性だけでは説明できない衝動によってセント・メイビンズへ向かい、罠だと知りながらもトーマスを救出した。
炎は破壊をもたらす一方、人を照らし、守るためにも使える。それは感情にも言えることだろう。ヴィジョンは現時点では“炎に包まれた人物”を失敗例として見ているが、今後明かされるであろうこの人物の過去を通して、どんな物語が描かれるのか、引き続き注視していこう。
ドラマ『ヴィジョンクエスト』はディズニープラスで独占配信中。第3話&第4話は2026年10月21日(水)に配信される。
ヴィジョンのコンセプトアートも収録された『マーベル・スタジオ:ジ・アート・オブ・ライアン・メイナーディング』はKADOKAWAより発売中。
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