『日韓SF交換日記 あなたの言葉を聞くための対話』、井上雅彦さんによるあとがきを公開! | VG+ (バゴプラ)

『日韓SF交換日記 あなたの言葉を聞くための対話』、井上雅彦さんによるあとがきを公開!

日本SF作家クラブ・韓国SF作家連帯編『日韓SF交換日記 あなたの言葉を聞くための対話』がKaguya Booksから刊行

SF企業VGプラスの運営するKaguya Booksから、日本SF作家クラブ・韓国SF作家連帯編『日韓SF交換日記 あなたの言葉を聞くための対話』が好評発売中! 総勢三十名以上のSF作家・翻訳者が集って、「SFの魅力」「フェミニズム」「病気や障害と創作」「作家として大切にしているもの」「クリエイターと政治」など、様々なトピックについて綴った一冊です。

刊行を記念して、第22代日本SF作家クラブの会長であり、『日韓SF交換日記』にも日記を寄稿している井上雅彦さんによるあとがきを全文公開します。本書の特徴と魅力が端的に表現されておりますので、本書の内容をもっと知りたいという方はぜひ!

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日韓の30名以上のSF作家が語る、小説への想い、社会へのまなざし、よりよい明日を目指すたくさんの言葉

『日韓SF交換日記 あなたの言葉を聞くための対話』の冒頭には、『僕の狂ったフェミ彼女』などで知られるミン・ジヒョンによる講演録「フェミニズムとSFは韓国でどう出会い、広がったのか」を収録。

続く〈日韓SF交換日記〉では、両団体の作家24名が二人一組になって、「韓国/日本女性SF」、「フェミニズムSFと韓国/日本のマンガ」、「韓国SFの歴史と傾向」、「闘病経験を作品に盛り込む」、「ハードSFとテクノロジー」、「SF作家になるまで/なってから」など、社会的な話から個人的な話まで、様々なテーマについて執筆しています。

対談「わたしとあなたのエンカレッジ!」では、『となりのヨンヒさん』などで知られるチョン・ソヨンと、池澤春菜が、作家団体の代表をする苦労や翻訳と執筆の相互影響、複業の秘訣や大好きなSF作品などについて語り合います。

座談会「日本から見た韓国SF、韓国から見た韓国SF ──フェミニズム、男性性、兵役、連帯の可能性」では、ソ・ユンビン、ファン・モガ、へ・ドヨン、ミン・ジヒョン、藤井太洋、そして司会の堀川夢が会場からの意見や質問も交えながら、楽しく、そして真剣に討論しました。

そして、最後に収録された短編小説、かかり真魚「エコーズ」は、〈日韓SF交換日記〉への応答として書かれたSF短編小説です。

SF、フェミニズム、みみっちい喧嘩、醜くなる自由…… 韓国と日本、社会と個人、フィクションと現実。あなたとわたしの間で呼応する、よりよい明日を目指すためのたくさんの言葉たちを詰め込んだ一冊、ぜひお手に取ってみてください。

井上雅彦さんの「あとがき」公開!

『日韓SF交換日記 あなたの言葉を聞くための対話』は、日本SF作家クラブと韓国SF作家連帯の交流から生まれました。刊行を記念して、第22代日本SF作家クラブの会長であり、『日韓SF交換日記』にも参加している井上雅彦さんによるあとがきを全文公開します。本書の特徴と魅力が端的に表現されております。

あとがき

井上雅彦 日本SF作家クラブ 第22代会長

SFを愛する作家たち──それも、アジアのふたつの国の作家たちが互いの国際的な交流を通して紡ぎあげてきた、とても素敵な一大プロジェクト。

本書は、その記念すべき最初の一冊となりました。

私たち、日本SF作家クラブ(英文名=Science Fiction and Fantasy Writers of Japan; 略称=SFWJ)。

そして親愛なる、韓国SF作家連帯(英文名=Science Fiction Writers Union of the Republic of Korea; 略称=SFWUK)。

この二つの「SF作家団体」が交流をはじめたのは二〇二三年。きっかけは、日本SF作家クラブが代官山 蔦屋書店で企画運営を行うイベント《SFカーニバル》のトークショーに、韓国SF作家連帯のヘ・ドヨンさんとファン・モガさんがご出演くださったことでした。

おふたかたとも日本語がとても堪能でいらっしゃり、SFに対する想いがとても熱い。トークのお相手をされた池澤春菜さんをはじめ、私たちはすっかりおふたりのファンになってしまい、韓国SFに強い興味を抱きました。

SFWJとSFWUKはそれ以来—コミュニケーションアプリやウェブ会議の定例会を通して交流を深め、日韓共同の様々なコラボ企画を計画してきたのです。

そして、その交流が書籍化する第一弾が、この《交換日記》。

これは、おそらく、これまでに誰も読んだことのないような画期的なスタイルの本だと思います。それぞれ文化も歴史も異なる国に生まれ育ちながら、ともにSFを愛し、創作を愛するクリエイター同士が、それぞれの関心あるテーマ—執筆について、SFについて、文化について、身心について、悩みについて、創作について──「語り合う」。すなわち、一種の往復書簡の様式なのですが、なんといっても「交換日記」であるわけで、相手との対話である前に、自己との対話でもあるという、実に独特な光を放つ「対論集」なのです。

SFや比較文化論に興味のある方のみならず、たとえば、これからご自身が小説を書こうとする方、すでに小説を書いている方にも、貴重なヒントが見つかるでしょう。

さらに……。SFWJとSFWUKの共同プロジェクトは、多角的に展開しています。

二〇二五年の成果のひとつは、秋に京都で行われた《SF作家ソン》でした。これは、いわゆる〈ライターズ・リトリート〉—すなわち、複数の作家たちが一ヶ所に集まり、それぞれの執筆をしたり、互いに講演や対談などを行うことで知見を深めあう合宿—の本格的な実践だったのです。SFWJとSFWUKに留まらず、小説を書く者たちを広く公募しての開催だったのですが、実に意義のあるものとなりました。

この時に行われたミン・ジヒョンさんのフェミニズムをめぐる講演と、パネル・ディスカッションは、本書に掲載されています。特にジヒョンさんの講演は、これまでフェミニズムについての本格的な講義を受けていなかった私には実に貴重な機会でした。たとえば—本書にも紹介されていますが、フェミニズムの問題点の一つとして提起された「選択的共感」という概念。差別被害の歴史を経て多様性を尊重してきたフェミニズムの視野だからこそ提唱することができたこの概念は、フェミニズム問題を超えて、たとえば、ホロコーストを体験し人権意識を培ってきたの民族が別の民族に対して同様の加害を与えてしまう現象についても、説明できうる概念ではないかと、私には響いたものでした。このように、世界について考える機会をもてたのも、《SF作家ソン》を実現させた日韓共同プロジェクトの賜物です。次の《SF作家ソン》は韓国で開催される予定です。

最後になりましたが、企画段階から本書の制作に携わっていただきましたKaguya Booksの井上彼方さん、堀川夢さん、《作家ソン》の運営を含めてご協力いただきましたVG+(バゴプラ)の齋藤隼飛さん、そして、翻訳でお世話になりました廣岡孝弥さんに心より感謝を捧げます。

 

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『日韓SF交換日記 あなたの言葉を聞くための対話』好評発売中!

『日韓SF交換日記 あなたの言葉を聞くための対話』
編:日本SF作家クラブ・韓国SF作家連帯
イ・コンヘ/イ・サンファ/イ・シド/イ・ソヨン/ソ・ユンビン/チェ・イテク/チョン・イェ/チョン・ソヨン/チョン・ドギョム/チョン・ヘジン/デイナ/ファン・モガ/へ・ドヨン/ホン・ジウン/ミン・イアン/ミン・ジヒョン/揚羽はな/池澤春菜/井上雅彦/白井弓子/上田早夕里/かかり真魚/吉良佳奈江/立原透耶/田場狩/中野伶理/長谷敏司/林譲治/廣岡孝弥/藤井太洋/堀川夢/溝渕久美子/八島游舷
サイズ:四六判
ISBN:978-4-911294-09-3
ページ数:約300ページ
刊行:2026年5月
価格:2700円+税
デザイン:アトリエヤマグチ
装画:otama

収録しているコンテンツ
講演:フェミニズムとSFは韓国でどう出会い、広がったのか ──ミン・ジヒョン
日記:韓国と日本のSF作家24人12組による交換日記
対談:わたしとあなたのエンカレッジ! ──チョン・ソヨン×池澤春菜
座談会:日本から見た韓国SF、韓国から見た韓国SF ──フェミニズム、男性性、兵役、連帯の可能性
小説:かかり真魚「エコーズ」

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立役者のお一人、ファン・モガさんにインタビュー

『日韓SF交換日記 あなたの言葉を聞くための対話』は、韓国SF作家連帯と日本SF作家クラブの交流企画の一環として始まりました。韓国に日本の作家を、日本に韓国の作家を紹介し、お互いの文化的な背景なども共有できる場をつくりたいと考え始動した本プロジェクトでは、作品が翻訳されていない作家にも参加してもらうことで、それぞれの言語圏で読者が作家の顔を思い浮かべられるようになるということがコンセプトの一つでした。

企画の立案から書籍の刊行まで、中心的な役割を果たしたうちの一人がSF作家のファン・モガさんです。ファン・モガさんは、2019年、他人の記憶が取引される仮想空間を舞台にした短編「モーメント・アーケード」で第4回韓国科学文学賞中短編部門で大賞を受賞しデビュー。その後も社会におけるさまざまな不平等や問題をSF世界に昇華しつつ、人々の生へとまっすぐ目を向けた作品を発表しています。

『日韓SF交換日記』では、日本SF作家クラブと協力してそれぞれの作家の作風や経歴に合わせて『日韓SF交換日記』の十二組の著者をマッチングし、通訳や調整役など、企画に欠かせないコミュニケーションの役割を積極的に担ってくださいました。

そんなファン・モガさんに、この企画に込めた思いや企画に至った経緯、韓国の文化事情についてお聞きしたインタビューを、ウェブマガジンKaguya Planetに掲載しています。

『日韓SF交換日記』に、SF作家の中野伶理さんがフィクションで応える

また、〈日韓SF交換日記〉への応答として書かれたSF短編小説、中野伶理「表裏世界のアナグノリシス」をウェブマガジンKaguya Planetにて、会員向けに先行公開しています。「表裏世界のアナグノリシス」は、『日韓SF交換日記』の中でも、チョン・ドギョム「発見した人たちに捧ぐ」への応答として書かれた作品。女性差別的な事件を通して、世界は必ずしも正しくはないのだと気がついてしまった人たちに捧げる物語です。(日記とは独立した小説としてお読みいただけます)。小説の詳細はこちら

長谷敏司さんに更に聞く、「創作と病気と老いと介護」

『日韓SF交換日記 あなたの言葉を聞くための対話』には、SF作家の長谷敏司さんとミン・イアンさんがそれぞれの難病の体験と創作活動について綴った、長谷敏司「病気と創作」とミン・イアン「あなたのためのエッセイ」を収録しています。

ウェブマガジンKaguya Planetではこれと関連して、長谷敏司さんのロングインタビューを掲載。難病である潰瘍性大腸炎にかかったご自身の経験や、父親の介護をしていたご自身の経験を反映したSF小説を書かれている長谷さんに、物語を通した病気や死との向き合い方、そして重たいテーマをSF作品として表現するための力やスキルについてお聞きしました。

Kaguya Booksと日本SF作家クラブの共同プロジェクト『SF作家はこう考える 創作世界の最前線をたずねて』好評発売中!

Kaguya Booksからは、日本SF作家クラブ編『SF作家はこう考える 創作世界の最前線をたずねて』を好評発売中! 『SF作家はこう考える』は作家志望者必携の入門書。

60年以上の歴史を持つ日本SF作家クラブのSF作家たちが、どんなふうにデビューして、どこからインスピレーションを得て、どうやって創作をつづけているのかを本音で語ります。

『SF作家はこう考える 創作世界の最前線をたずねて』
編者:日本SF作家クラブ
参加している作家:茜灯里・揚羽はな・安野貴博・大澤博隆・大森望・粕谷知世・小谷知也・近藤銀河・櫻木みわ・十三不塔・津久井五月・人間六度・日高トモキチ・宮本道人・麦原遼・門田充宏・柳ヶ瀬舞・藍銅ツバメ
装画:森優
装幀:VGプラスデザイン部
発行:Kaguya Books
出版:社会評論社
サイズ:A5
ページ:164頁
定価:1900円(税込2090円)
ISBN:978-4-7845-4150-8

社会評論社
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